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カテゴリー「326 パッヘルベル」の55件の記事

2019年7月16日 (火)

お盆のファンタジー37

凄い演奏だった。「墓参御礼のカノン」のことだ。あれから次女を交えてビールそっちのけで夜半まで弾きっぱなしだった。バッハさんと次女はときどきパートをチェンジしている。「実はサードも面白いからな」と訳知り顔のバッハさんだ。通奏低音のパッヘルベルさんは、楽譜を見ていない。そりゃまあ本人だし。繰り返すたびに毎回違うけど大した説得力だ。パッヘルベルさんがトイレにたった隙に、ブラームスさんがチェンバロを弾いてくれた。ブラームスさんリアライゼーションのカノンだ。パッヘルベルさんと細かいところが違うけれど、思った以上に普通だった。「本人前にしとるからのお」としおらしいブラームスさんを、バッハさんが「よかよか」とほめていた。次女いつの間にかファースト弾いてた。

こちらから、5人にお礼を用意していた。「オルガン自由曲頭出し」CD集だ。全17枚組を5名に進呈する。

  • ブクステフーデ 4枚組
  • パッヘルベル 6枚組
  • テレマン 1枚組
  • バッハ 6枚組

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先輩4名を差し置いて「やべえ」としきりに驚いているのはブラームスさんだ。次女が「ブラームスさんのオルガン作品が入ってなくてすみません」と謝ると「ワシのガラクタなんぞに用はない」といつもの謙遜ぶりだ。「現代日本でCDの音源があるものとならざるを得ずテレマンさんが少なくてすみません」と私が説明した。「未発見作品が全て見つかったらテレマンさんが最多になるはず。今度ワシの手持ちを送るから」「シュピッタの所にはブクステフーデさんのがもっとあるはず」とブラームスさんが真顔でつぶやく。「CDあるんか」と突っ込むのはやめておいた。当のテレマンさんは「なあにお三方は教会オルガニストだから」と冷静に応じている。

「道中聞きながら」と大切そうに抱えて、さっき帰っていった。

2019年7月15日 (月)

お盆のファンタジー36

令和改元の話が一段落すると、ブクステフーデさんが「ところで墓参のときについてきたネコはいったい何者だ?」と訊いてきた。セバスチャンのことだ。ペットボトルホルダーの意味を説明し、ツアーペットからブログペットに昇格したと説明した。次女が私の部屋から連れてきて差し出しながら「名前はセバスチャンです」と紹介すると、バッハさんが飲みかけのビールを吹いた。

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「一人旅の退屈を紛らせてくれたし、みなさんのお墓で写し込むことで、確かに私が現地を訪れた証拠になります」と私が付け加えた。「ケラーで支払いをするときセバスチャンを含めてツザーメンというと受けが取れました」「みなさんの墓参を1度の旅行で達成するために知恵を絞りました」「その一つがセバスチャンです」

「それではセバスチャン閣下に墓参のお礼をしよう」とテレマンさんが切り出した。バッハさんが「貴殿の家にはチェンバロがあったはずだ」と言っている。たしか前回、電子ピアノでチェンバロの音が出ると説明していた。「酔いが回る前にな」とテレマンさんが促すとおのおの何か取り出している。私の「カノンニ長調を5人で演奏する」とパッヘルベルさんが宣言した。「日本で超有名ときいたんでな」と。

何やらもじもじとブクステフーデさんが困った顔をしている。「わしはヴィオラダガンバで通奏低音を弾きたいのだが…」と小声だ。困惑の意味がわかった。彼がガンバを弾くとヴァイオリンが一人足りなくなるからだ。「道中ブラームスさんにヴァイオリンを弾くよう説得したのだが色よい返事がなくてな」とブクステフーデさんが訴える。ブラームスさんはにやりとしながら「いやいやここには可憐なヴァイオリニストがおるのでな」と次女を指さした。

チェンバロはパッヘルベルさん。ブクステフーデさんがガンバ。バッハさんとテレマンさんと次女がヴァイオリンだ。緊急会合の結果、テレマンさんが第一ヴァイオリンで、次女がやはりセカンド。バッハさんがサードを弾くときまった。気の早いパッヘルベルさんがAを鳴らしている。次女が急いで2階にヴァイオリンを取りに走った。

感動的。やけに早いテンポ。

「この日のために何回かトマス教会に集まって練習した」「練習中は私がセカンドを弾いたよ」とジョッキ片手のブラームスさん。「ご息女は飛び入りの割には溶けているな」「楽譜よりテレマンさんをガン見している」とほめてくれた。

2019年7月14日 (日)

お盆のファンタジー35

さすがのブラームスさんも今年ばかりはツアーコンダクターに徹したようだ。盆灯を待ちかねたように5名が立て続けに我が家にやってきた。ブラームスさんは手早く紹介してくれた。

ブラームス:「こちら最年長のブクステフーデさん」

ブクステフーデ:「ディートリヒと呼んでくれ」

ブラームス:「こちらはニュルンベルクのパッヘルベルさん」

パッヘルベル:「大ヨハンと呼んでくれ」

ブラームス:「こちら同郷のテレマンさん」

テレマン:「フィリップと呼んでくれ」

前に一度来たことがあるバッハさんはブラームスさんが紹介する前に「最年少のバッハです」と私に手差し出した。さすがのブラームスさんもこのメンバーの中では使い走り状態だったと見えてしきりに汗を拭いている。無理もない。

まずブクステフーデさんが「昨年は墓参ありがとう」と切り出した。昨年8月のドイツ旅行で、4名の墓参りをしたことに感謝してくれた。

玄関先の話し声を聞いて母が出てきた。「立ち話してないで中に入ってもらいなさい」といつもの仕切り癖が出ている。リフォームしたばかりのリビングに座ってもらうと、次女がビールを注いだ。乾杯の発声はブラームスさんに促されたパッヘルベルさんだ。

「プロジット」

一気飲みが終わったところでテレマンさんが私に「ところで今年、日本ではカイザーが交代したのか」と尋ねてきた。ドンピシャの時事問題である。「イエス」というと「カイザーではなくテンノーだと」とブラームスさんがしたり顔で割り込んできた。「日本は選挙で皇帝を決めたりせんようだ」と付け加える。選帝侯のことを言っているのだろう。「日本ではおよそ200年ぶりの生前退位です」「30年前の改元では、昭和天皇の崩御とセットだったから自粛ムードも目立ったけれど、今回はお祝い一色でした。慣れない10連休で大変でした」と、いつの間にか次女が説明している。前回の改元の時には生まれていなかった次女だが堂々たる講釈だ。「改元関連テレビ番組が盛んに放映される中、皇室の歴史を振り返る番組ではバッハさんの作品がBGMになっていました。」といちいち細かい。

 

2019年6月26日 (水)

来ませ聖き御霊

8大コラールに入選したコラール。原題「Komm,heiliger Geist」という。バッハ、ブクステフーデ、パッヘルベル、テレマンの華麗な競演を聴こうとCDを再生して直ちに軽い衝撃が走る。

どこかで聴いた旋律なのだ。各人によって微妙な細工が施されてはいるものの流れは同じと感じた。それもそのはずバッハの無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第3番の第二楽章フーガの旋律だ。バッハが無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第3番を作曲するにあたって第2楽章の主題に、慣れ親しんだコラールから引用したということだ。

旋律になじみが深いだけ、巨匠たちの装飾っぷりが際立つ。

 

 

2019年6月15日 (土)

インデックスコンプリート

すでに「頭出しCD集」の話はしてある。バッハ、ブクステフーデ、パッヘルベル、テレマンのオルガン自由曲のプライヴェートCDだ。パッヘルベル以外の3名については、作品番号順にCDに収載、パッヘルベルはタイトルのアルファベット順になっている。

<バッハ> 6枚組

<テレマン> 1枚

<ブクステフーデ> 4枚組

<パッヘルベル> 6枚組

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それでこれが開いたところ。

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いやー楽しい。今は達成感。

2019年6月12日 (水)

パッヘルベルの逆襲

作品番号がCDのブックレットに併記されないことを理由にパッヘルベルのオルガンインデックスCDの作成を諦めていたのだが、バッハやブクステフーデを作ってみて、あんまり楽しかったのでやっぱりやりたくなってきた。

 

手持ちのCDは、全集が7枚組1セット、パッヘルベルオルガン曲集が2種類。その他CDの中に少々作品がある。これらをエクセル上で集計して、「タイトル」「調性」でソートする。同じ曲を削除してその順でCDに取り込む。いわば「私製作品番号順」だ。作曲順の特定が難しい作曲家について、後世の研究家が付与した作品番号は、どのみち「ジャンル」と「調性」がキーになっている。

2019年6月11日 (火)

横展開の挫折

バッハ、ブクステフーデでオルガン自由曲を作品番号順に収録したプライヴェートCD集を作ったとはしゃいだ。しからばとばかりにテレマンで試みたがあっけなくとん挫した。

テレマンのオルガン自由曲は小さなフーガが20曲だけ。我が家のCDにはそれらが作品番号順に1枚に収まっているから、わざわざ作る意味がないからだ。

かくなる上はパッヘルベルだとばかりに手持ちCDをかき集めて愕然とした。ブックレットに作品番号の記載がない。これいかにと調べるとパッヘルベルの作品番号は「P」「T」「PC」の3つの系統があって、どれもが完璧でない。例えば名高い「カノンとジークニ長調」は「P37」「T337」「PC358」である。だからブックレットに作品番号の記載がない。ジャンル名と調性から目星をつけるにも同名同一調が複数あることが多く、お手上げである。

かくなる上は奥の手レーガーかと奮起したが、これまた挫折。響きに慣れることが出来ず気合が続かなかった。

ブクステフーデで作れたこと自体相当ありがたいことだと思い知った。

 

 

2019年6月 2日 (日)

学術目的

バッハのオルガン作品に親しみたくて、BWV番号順に収録したプライヴェートCD6枚組を作成した。名付けて「頭出しCD集」だ。書物、ネットを問わず作品が議論される際には、作品番号等が併記されることが多い。ブラームスならそれだけで旋律が脳内を走るのだが、他の作曲家ではそうもいかない。バッハでさえだ。

興味深い情報に出会ったとき、さっとBWV番号がわかる資料を持っていると話が一手早くなる。「頭出しCD集」製作の意図はそこにある。研究、勉強の基礎データという機能を狙っていた。つまり「学術目的」だ。手持ちのCDからお気に入りの演奏を1つ選んで後はBWV番号順に並べてCDに焼く。1枚1枚のCDの演奏時間が50分から60分になるように調節したほかは細工なし。どの演奏を選ぶかは悩ましくも楽しい作業だ。所在地、オルガン製作者という視点優先だ。ドイツ、オランダ、北欧に分布する歴史的オルガンを選ぶ。

出来上がって再生する。ドライブの途中でよく聞く。想定外の効果があった。単にBWV順の収録なのに、なかなか味わいがある。ひらたくいうと楽しいのだ。

 

 

 

 

 

 

2019年5月18日 (土)

三面鏡

よいたとえを思いついた。テレマン、ブクステフーデ、パッヘルベルはバッハを映し出す三面鏡だ。ただただバッハが好きで、彼のことを知りたい一心で、バッハだけを見つめていると、かえって本質を見落とすと気づきかけている。一歩下がってドイツバロックの一角にバッハを置いてみる。あるいは恐れ多くもバッハをワンオブゼムであると考える。

昨年夏の旅行が契機になった。バッハの他に、テレマン、パッヘルベル、ブクステフーデの墓参を敢行したのはその狙いからだ。彼ら3人を通してバッハを見つめる。

そしてそして必然のオチがある。

三面鏡によって理解が深められるバッハ自身が、ブラームスを映す優秀な鏡だということだ。

 

 

 

 

2019年5月17日 (金)

エキストライニング

お気づきの人がいるかどうか。昨年8月のドイツ旅行の報告記事が今年1月末で終わった後、すぐにパッヘルベル関連記事を連ねた。その後すぐテレマンにまとまった言及をしたと思ったら、矢継ぎ早にブクステフーデを取り上げた。

先の旅行はこの3人にバッハを加えた4名の墓参がテーマだったことを考え合わせると、実は2月以降も事実上の旅行レポートだった。少なくとも心理的にはつながっている。脳みそが熱いうちにとばかりに、バッハ関連記事の濃度が下がるのもいとわなかった。バッハをドイツバロックの大きな背景の中でとらえたいからだ。

パッヘルベルはアイゼナハ在勤中にバッハ家と交わり、バッハの長兄ヨハン・クリストフにオルガンを教えたという。両親なきあとバッハを教えた兄だから、バッハはパッヘルベルの孫弟子だ。テレマンは、バッハから次男のためにミドルネームをと所望された。ブクステフーデを聴きに遥か440kmの道を徒歩で駆け付けたことも知られている。

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