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カテゴリー「350 演奏家」の56件の記事

2024年10月17日 (木)

意外と手薄

カール・リヒター先生関連の参考文献2種「カール・リヒター不滅のバッハ伝道師」「カールリヒター論」のお話。紙で読める数少ない情報源として重宝している。リヒター先生とバッハの関係に光があてられている。

では、あるのだが小さくない疑問もある。

カンタータや受難曲の収録にあたって競演している演奏家たちへの言及が思いのほか少ない。アリアを歌う歌手たちへの言及がもっとあってもよさそうなものだ。ペーター・シュライヤー先生やディートリヒ・フィッシャー・ディースカウ先生だってほぼスルーだ。こうした歌手たちとの関係に興味があったのだが肩透かしをくった感じ。オーボエのクレメント先生も、フルートのニコレ先生もスルーされている。

カールリヒターの本なのだから仕方ないとはいえ、愚痴の一つも言いたくなる。

 

2024年5月29日 (水)

御年91歳

5月27日、28日と大切なお誕生日が2日続いた。本日もだ。

史上初のバッハ・カンタータ全集の録音という金字塔を打ち立てたヘルムート・リリンク先生は1933年5月29日のお生まれ。今日91歳になられる。つまり存命である。

バッハの孫、ディースカウ先生と続く記念日3連投だ。

もちろん我が家にもそのカンタータ全集のCDがある。

2024年5月 2日 (木)

会心の選考漏れ

一昨日紹介した書物「オペラものしり図鑑」の話を続ける。この中にオペラ歌手名鑑が収載されていて重宝しているとはしゃいだ。

御大フィッシャーディースカウ先生は特筆大書されている。ヘルマン・プライ、ペーター・シュライヤーももちろん写真入りだ。記述がオペラに偏っているのは、趣旨からして当然だ。女子だとマリア・カラスさんの赤文字アンダーライン的扱いも想定内。

ところがだ。ところが大好きな歌手が載っていない。

ソプラノ歌手エリー・アメリンクだ。どうしたことだ。

そう、彼女はオペラ歌手ではないのだ。残されたCDのライブラリを顧みることで納得がいく。シューベルト歌曲の第一人者である一方モーツアルト、ハイドンの歌曲にも確固たる足跡が残る。そしてそして何よりバッハだ。オラトリオやカンタータのアリアこそが主戦場。

オペラ歌手名鑑から漏れていること自体が、彼女のキャラを雄弁に物語る。脳内リーディングソプラノの座に可憐に君臨し続けている。

載っていなくてこんなにうれしいのも珍しい。

2024年3月 9日 (土)

圧倒的とはこのこと

改めてディートリヒ・フィッシャー・ディースカウ先生の話。聴き比べファイルを繰り返し鑑賞してつくづくだ。すごい人だ。

私と彼の初めての接点はもちろんブラームス。

ドイツレクイエムがスタートだ。次が「4つの厳粛な歌」。そしてブラームスの歌曲に拡大して一区切り。オペラ「フィガロの結婚」の伯爵で再認識した後、一連のシューベルト特集でやはりまた度胆を抜かれた。歌だけではない浩瀚な書物に心底驚いた。グラムフォンのシューベルト全集はきっと一生の宝だ。フリッチャイと共演した第九もまた軽くない衝撃だった。

そこにだ。そこにこの度バッハが加わった。

なんという人だろう。

泣きたい。

2023年6月11日 (日)

チェリビダッケ

パズル交響曲の13人 」で11番ことブラームスの2番を誰にするかは軽い難問だった。ベーム・ウイーンフィルが早々に圏外に去ったせいもある。チェリビダッケをどこかでなんとか取り上げたく思っていたのでブラ2をお任せすることにした次第。

彼にはまったのは社会人になってからだ。残された録音はけして多くないけれどいい感じ。第1楽章の結尾前の「in tempo ma piu tranquilo」が決定打となった。遅目のテンポでも退屈しないのはよいことかなと。

2023年5月17日 (水)

一筋の光明

昨日、第九をバリトンをキーに列挙した。なぜそのようなことするかというと、歌は聴いていて誰なんだかわかるからだ。オケだけでわかる人にはわかるのだと思うけれど、まだまだ私にはハードルが高い。バリトン独唱はそれにくらべると数段楽だ。

フィッシャーディースカウ、プライ、リッダーブッシュ、モル、ハンプトンはほぼ百発百中だ。嫌いという意味で分かる人もいるにはいるが、聴き分けられるという意味では収穫のうちである。

これ、テノールは名高い独唱があるから、まだいい。ソプラノやアルトはつらいところだ。歌う方はもっとつまらんのではないかと危惧する。

2023年3月 3日 (金)

演奏家の刷り込み

それにしても不思議だ。中学時代以降クラシック音楽に目覚めて、レコード鑑賞に明け暮れた。最初に買い求めた演奏が脳内に刷り込まれてしまい、他の演奏に親しめないケースが多々ある。LPがCDにとって代わり、処分したLPのうち、お気に入りだけはCDを買い戻した。興味が別ジャンルに移行するとき、そうした刷り込みが最初に買い求めるCDを選ぶ際の下敷きになるケースも多い。

今回の常用USB作成にあたって、「1曲1演奏」の自主規制を守るということは、つまりもっともお気に入りの演奏を選ぶことに他ならない。いざ目隠しして聴けば正確に聞き分けが出来ないにしても、先入観込みで1曲チョイスになる。

たとえば、ヴァイオリニスト、ヘンリク・シェリングだ。中学時代、ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲のレコードを初めて買い求めたのが彼の演奏だった。彼の知名度や実力をよくわからないまま買っていた。当然、スプリングソナタもクロイツェルソナタも彼の演奏を選んだ。やがてバッハに興味を持った。ヴァイオリンソナタ、そして極めつけが一連の無伴奏作品。気が付けばメンデルスゾーンも彼だ。やがてブラームスに目覚めても、コンチェルトは元よりヴァイオリンソナタやピアノ三重奏曲だってシェリングだった。

そういえばモーツアルトもメンデルスゾーンも判で押したようにシェリング。

グリミォーやスークだって好きなのに1枚ならシェリングだ。例外はヴィヴァルディのアッカルドくらい。当時まだ古楽器は台頭しておらず、ビオンディは敷地外だった。

もはやお守りだ。いろいろ鑑賞経験を積んだ今でもシェリングは落ち着く。

2023年2月 2日 (木)

楽しみの二本柱

一昨日と昨日の続き。

クラシック音楽というジャンルにおいて、「同曲異演」の比較は盛り上がる。学問にまで高めることを諦めれば、格好の酒の肴である。「演奏家論」「指揮者論」などというのもはばかられるような「演奏家ネタ」は大変盛り上がる。「作曲家ネタ」と合わせて楽しみの二本柱だと断言したところで、炎上には至るまい。ボヤで収まるはずだ。

ブログ「ブラームスの辞書」はこのうちの作曲家ネタに重心を置いていた。せっかく二本柱があるのに片方を留守にしてきたという自覚だけはもっている。理由は明快。目隠しして聴いてもわかる作曲家側だけを取り上げておきたいといういじけた心理のせいだ。自分が聞き分けられもせぬのに演奏家の好みをあれこれ取り沙汰するのもいかがかと。

ところが、一連のシューベルトネタをこね回すうちに、歌手だけは比較的聴き分けられそうだとわかってきた。あるいはピアノの場合グールドだけが鼻歌は別としても少しは区別できる。要は好きな演奏家はだんだんわかるようになるということだ。中学高校とお金がなくて1つの作品に複数のレコードをなかなか買えずにきたことも一因かもしれない。要は聴き込みが足らんということだろう。

好きな作曲の作品について大好きな演奏家であれば、そのうち聴き分けることができるかもしれない。

ブラームスに加え、ベートーヴェンの力も借りながら、演奏家ネタの比重を少しずつ増やして行くことにする。

2022年10月 4日 (火)

グールド没後40年

1982年10月4日グレン・グールドが50歳でこの世を去った。卒中の発作で倒れてから8日後のことだ。50歳は当時としても若い。

私的ピアニストランキングの首位の座をペーター・レーゼルと分け合う存在だ。

彼のバッハについては最早語り尽くされている。私は彼のベートーヴェンだって好きだ。とりわけテンペスト。ワルトシュタインの録音がないのがつくづく惜しい。大きな声では言いにくいがモーツアルトだって無視できない。一般に流布したモーツアルトとは対極なのだろうが、生前のモーツアルトがグールドのように弾いていないとは断言できまい。

生誕90年のわずか9日後に没後40年が来る。

 

 

 

2022年8月14日 (日)

カニーニ

ブルーノ・カニーニはイタリアのピアニスト。1935年12月30日ナポリのお生まれ。昨日の記事「アッカルドマジック」でヴィヴァルディのヴァイオリンソナタのCDを入手したとはしゃいだが、そのCDでチェンバロを担当しているのが、カニーニさんだ。アッカルドさんのヴァイオリンもろともすっかり気に入ってしまっている。

この人とアッカルドさんのコンビは、なんとブラームスに飛び火する。ヴァイオリンソナタ全3曲のCDがある。こちらは当然チェンバロではなくてピアノを聞かせてもらえる。どちらも達者ということだ。

さてさて話はさらにバッハに。ヴィクトリア・ムローヴァさんとのコンビでバッハのヴァイオリンソナタを録音している。残念ながら全6曲ではなくて1番ロ短調、2番イ長調、6番ト長調の3曲だけがチョイスされている。ムローヴァさんには、別のチェンバリストと組んだ全曲アルバムも出ているがカニーニ版は本当に素晴らしい。チェンバロも達者なカニーニさんがなぜあえてピアノを選んだのかわかる気がする演奏だ。

 

 

 

 

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