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カテゴリー「350 演奏家」の22件の記事

2016年1月 7日 (木)

3大弦楽四重奏団

「ブラームス存命時」のという条件で、独断を駆使して3大弦楽四重奏団を考えた。

<ヨアヒム四重奏団> 1867年創設。クラリネット五重奏曲初演のメンバーを列挙する。クラリネットはミュールフェルトだ。

  • ヨゼフ・ヨアヒム 1stVn
  • ハインリヒ・デアーナ 2ndVn
  • エマニュエル・ヴィルト Va
  • ロベルト・ハウスマン Vc

<ヘルメスベルガー四重奏団> 1849年創設。弦楽四重奏曲第1番初演時のメンバーを記す。

  • ヨゼフ・ヘルメスベルガー・シニア 1stVn
  • ヨゼフ・ヘルメスベルガー・ジュニア 2ndVn
  • ジキスムント・バッハリッヒ Va
  • ハインリヒ・レーファー Va

<ロゼー四重奏団> 1882年創設。弦楽五重奏曲第2番初演時のメンバーを記す。

  • アルノルト・ロゼー 1stVn
  • アウグスト・ジーベルト 2ndVn
  • ジキスムント・バッハリッヒ Va
  • ラインホルト・フンマー Vc

ブラームスとのかかわりを考慮するとこれで決まりか。世界初演を最低1回は任されている。活動当時どれも世界一の折り紙をつけられていた。ブラームスの室内楽作品は、その初演に世界一の四重奏団を起用できたということだ。よく見ると、ジキスムント・バッハリッヒさんは2回現れる。ヘルメスベルガー四重奏団のヴィオラ奏者として弦楽四重奏曲第一番初演にかかわった後、今度はロゼー四重奏団の第二ヴァイオリンとして弦楽五重奏曲第2番を初演した。

2016年1月 3日 (日)

ロゼー四重奏団

ウィーンフィルのコンサートマスタだったアーノルト・ロゼーによって1882年に創設された弦楽四重奏団。ウィーン最高の弦楽四重奏団の地位をへルメスベルガー四重奏団から引き継いだ形となる。ロゼーは1863年ルーマニア生まれだ。17歳でウィーン宮廷歌劇場管弦楽団のコンサートマスターに就任した。以後58年間コンサートマスターとして活躍した。もはや伝説上の人物だ。大変な実力者で、エピソードには事欠かない。クライスラーの読譜力に疑問符を投げかけたのも彼と言われている。マーラーの妹ユスティーネと結婚して授かった娘の名前は、マーラーの妻にちなむ「アルマ」だった。

コンマスへの就任は1880年で、四重奏団の創設は1882年。つまりブラームスの壮年期と重なっている。弦楽四重奏曲第2番を得意としていたと伝えられるが、弦楽五重奏曲第2番を世界初演している。ブラームスの信頼は厚く、室内楽のウィーン初演を次々と担って行く。ブラームスの推薦によりウィーンに進出したドヴォルザーク作品の初演にも尽力した。

2015年12月30日 (水)

ヌヴー

ジネット・ヌヴーはフランスの女流ヴァイオリニスト。私のようなブラームス愛好家にとって、多くの場合、代えの効かない存在であり、熱い思慕の対象だ。15歳でヴィエニャフスキー国際ヴァイオリンコンクールで優勝して、センセーションとなる。この時の2位が、オイストラフだった話は、今や伝説だ。1849年10月27日航空機の事故によってこの世を去った。

ヌヴーがキャリアのスタートに選んだのがブラームスのコンチェルトだ。しかもハンブルクでという念の入れようだ。つまり彼女はブラームスを愛した。1948年にイッセルシュテットと録音したブラームスのヴァイオリン協奏曲のCDは長く私のお気に入りだった。「気迫」「集中力」「情熱」などという単語で、しばしば称賛され、同曲の演奏史に残る録音だ、
3ヶ月ほど前、ふとしたことから、某ショップで、彼女の演奏するヴァイオリンソナタ第3番のCDを見つけた。即買い。転がり込むように帰宅して早速聴いた。先述のコンチェルトがあまりにも有名なので、目立たなかったがソナタも録音していたのだ。何と言っても、事故によってこの世を去る7日前、パリでのリサイタルでブラームスの3番を弾いている。CDに収録されているのは9月21日の演奏だが、とても貴重だ。
私のように「ヌヴー補正」がかかった者にとっては、超お宝だ。1つ年上の兄のピアノに支えられて、ヌヴー節が炸裂している。第一楽章の3、4小節目の末尾にある「<>」の独特な表現がやけに説得力を持っている。第二楽章の音の組み立てが丁寧。「気迫は腹の底にしまって」という感じ。第三楽章のスタカートが長めで新鮮。反則スレスレのポルタメントっぽい節回しが、常にオフサイドラインの裏を狙うフォワードのような確信に満ちている。
ブラームス好きなんですねという演奏。1番と2番が聴きたい。

2015年12月13日 (日)

フーバイとポッパー

ブラームスの伝記にしばしば、巨匠として登場する2人だ。フーバイはヴァイオリン、ポッパーはチェロ、どちらも19世紀後半から20世紀初頭にかけて活躍した。ヨアヒムとハウスマンの次世代を背負った演奏家だ。

まずはフーバイ。1858年生まれのハンガリーのヴァイオリニスト。ドイツ系ユダヤ人のイェネ・フーバイは、ドイツ風に申せば、オイゲン・フーバーだ。父も高名なヴァイオリニストだったが13歳から5年間、ベルリンでヨアヒムの指導を受けた。20歳でパリデビューののち28歳で父のあとを継ぐ形でブダペスト音楽院の教授に就任する。

続いてポッパー。ダヴィッド・ポッパーは、1843年生まれ。ユダヤ系チェコ人。プラハの音楽家の生まれだとか。1867年ウィーンデビューを果たし、宮廷管弦楽団の主席チェロ奏者に就任。1876年ハンガリー王立アカデミーの初代チェロ科教授に就任。1896年にはブダペスト音楽院の教授になる。19世紀最高のチェロ奏者に推す向きも少なくない。人呼んで「チェロのサラサーテ」だ。

1886年12月20日ブラームスはピアノ三重奏曲第3番をこの2人とともに初演した。当時ハプスブルク帝国内最高のヴァイオリニストとチェリストを初演のメンバーに選べるブラームスの威勢であった。フーバイがヨアヒムの弟子であることは重要だ。結局2人はブラームスのお眼鏡にかなう。

2年後、1888年12月21日にはフーバイのヴァイオリンで、ヴァイオリンソナタ第3番が初演される。またもブダペストだ。さらに1890年1月10日にはまたもブダペストにおいて、ピアノ三重奏曲第1番の改訂版が初演される。メンバーはこの2人とブラームス本人。作品の初演に万全を期すブラームスは、本拠地ウィーンを離れて初演することを決断する。ブダペストを選ぶ理由は、この2人の存在だと思われる。

2015年6月19日 (金)

ヘルメスベルガー四重奏団

ヨーゼフ・ヘルメスベルガー・シニアによって1849年に結成された弦楽四重奏団。息子のヘルメスベルガー・ジュニアに引き継がれ1902年まで活動を継続した。創始者ヘルメスベルガーシニアは1842年に活動を開始したウィーンフィルのコンサートマスターだ。コンマスが弦楽四重奏団を組織するという同オケの伝統はこの時から始まる。

同カルテットの功績は枚挙に暇が無い。いわゆる「ウィーン古典派」により完成された弦楽四重奏というジャンルを磐石なものにした。ベートーヴェンの後期弦楽四重奏曲の復活や、シューベルトの復活に尽力した。1868年にはダヴィッド・ポッパーをチェリストに迎えたほか、チャイコフスキーのコンチェルトの初演者として名高いブロツキーをセカンドヴァイオリンに据えるという威勢を誇った。サッカーで申せばレアルやバルサみたいなものだ。

1862年11月16日に同四重奏団のメンバーとブラームス本人のピアノでピアノ四重奏曲第1番のウィーン初演があった。これがピアニストブラームスのウィーンデビューだ。同月29日にはピアノ四重奏曲第2番の世界初演が同じメンバーで行われた。

まだハンガリー舞曲も出ていない。「ドイツレクイエム」も出ていない。ハンブルクから9月にウィーンに進出したばかりのよそ者ブラームスの作品が、わずか2ヵ月後にヘルメスベルガー四重奏団に演奏された事実は重い。ブラームスをヘルメスベルガーに紹介したのは、ピアニストのユリウス・エプシュタインだ。ブラームス作品の出版前の楽譜を見てヘルメスベルガーは、自宅にブラームスを招いて試演し、ついには公開演奏に踏み切った。「ベートーヴェンの後継者が現れた」と絶賛することも忘れない。

ウィーン最高の弦楽四重奏団の創始者にして、ウィーンフィルのコンマスが与えた評価は、ウィーンでのブラームスの名声を高めたに違いない。

これを機に同四重奏団はブラームスと緊密な関係を続けることになる。弦楽四重奏曲第1番の初演のほか、ヴァイオリンソナタ第2番の初演をヘルメスベルガーシニアが担った。

2011年4月23日 (土)

独奏クライスラー

指揮者としてのグスタフ・マーラーがブラームス作品をどの程度取り上げたのか2008年7月7日の記事「指揮者マーラー」で述べた。

そこには交響曲ばかりでなく協奏曲も載せておいた。ヴァイオリン協奏曲が3回と、ピアノ協奏曲第1番が1回だった。ところが悩ましいことにソリストが不明だった。

このうち1910年3月10日のニューヨークでのヴァイオリン協奏曲についてソリストが判明した。フリッツ・クライスラーだったのだ。

となるとその翌日3月11日のヴァイオリン協奏曲もソリストはクライスラーという可能性が高まる。

いやはや何とも羨ましいメンツである。

2010年9月20日 (月)

個人総合

オリンピックの体操種目のことではない。昨日の記事でブログ「ブラームスの辞書」における作曲家別言及ランキングを公開した。既に我が家の子供たちの分は1月に公開している。作曲家以外の人物を含めた総合的なランキングを発表する。

  • 1位 ドヴォルザーク 266本
  • 2位 バッハ 110本
  • 3位 次女 97本
  • 4位 長女 69本
  • 5位 クララ 59本
  • 6位 長男 45本
  • 7位 シューマン 30本
  • 8位 ベートーヴェン 24本
  • 9位 ジムロック 21本
  • 10位 モーツアルト 20本 
  • 11位 妻 19本
  • 12位 シェーンベルク 17本
  • 13位 ヨアヒム16本
  • 14位 ワーグナー12本
  • 15位 マーラー 10本
  • 15位 父 10本
  • 15位 母 10本

年間企画が効いてドヴォルザークが圧勝である。バッハはここ1年でドヴォルザークに抜かれたが何とか2位を確保。これに次ぐのが我が家の次女。高校受験の展開次第ではバッハを脅かす位置だ。ヴァイオリンを止めたとはいえお姉ちゃんがクララをかわして4位に滑り込んだ。こちらは油断するとクララに抜かれるかもしれない。お兄ちゃんが地味に6位だ。さすがに家族は強い。亡き妻も11位に入り、モーツアルトに食い下がった。ジムロックがモーツアルトの上を行く辺りがブログ「ブラームスの辞書」らしいところだ。何にしてもここ1年間のドヴォルザークの勢いが半端ではなかったことが判る。

母と亡き父が仲良く10本というのも敬老の日ならではと申すべきか。

2010年3月 6日 (土)

アンリ・マルトー

フランス生まれのヴァイオリニスト。ドヴォルザークの新世界交響曲が初演されたその演奏会でブラームスのヴァイオリン協奏曲が演奏された際、独奏ヴァイオリンを受け持った。

最近彼の評伝が刊行された。有名作曲家との交流のエピソードがてんこ盛りになっている。ブラームスがその演奏を称賛した話や、米国でのブラームス普及に功績があった話など非常に興味深い。ブラームスのヴァイオリン協奏曲のカデンツァが1905年に作られたと明記されていた。新世界交響曲の初演には間に合っていなかった。

さらにブラームスについて言及した章の次にドヴォルザークとの交流も描かれる。ドヴォルザークの協奏曲を一緒に演奏した話に加え、ドヴォルザークがブラームスへの感謝の気持ちを打ち明けている描写がある。いやはや今まさに特集中のブログ「ブラームスの辞書」にとってストライクゾーンの中央である。

2008年6月10日 (火)

間抜けなタイミング

楽譜ショップのバッハの売り場を覗いていてお宝情報を発見した。気が付くのが遅くて我ながら嫌になっている。

某国内大手出版社から「ウイーン原典版」と銘打って刊行されている「平均律クラヴィーア曲集」の楽譜だ。オレンジというか朱色というか目立つ色をしているアレである。

この楽譜の中で運指を施している人の名前を見て驚いた。「Detref Klaus」と書いてある。ブログ「ブラームスの辞書」2006年8月17日の記事「クラウス教授」の中で言及したその人に違いあるまい。そうそう同姓同名などいないと思う。

彼は高名なピアノ演奏家にして教育者だ。おまけに長くハンブルク・ブラームス協会の会長を務めていた。私も「ブラームス・バロック」と題したCDを持っている。そのCDの選曲にこだわりが感じられて嬉しいというのが先の記事の内容だった。

それもそのはずだ。ウイーン原典版で運指を担当するくらいのバッハ演奏の専門家でもあるのだ。バッハラブがブラームスラブと両立しているのも納得である。

ところがところが、感心してばかりもいられなかった。そのクラウス先生は今年の1月にお亡くなりになっていた。今まで知らなかったとは不覚である。88年の生涯だったという。

ご冥福をお祈りするばかりだ。本日の記事、遅れて届けるお香典のようで決まりが悪い。

2007年11月20日 (火)

耳の洗濯

一昨日古くからのブラームス仲間と飲んだ。ワインと料理と話で満腹になった。実は、17日の記事「没後10年」でも述べたとおり、その日は父が没して10年の節目だったから、昼間のうちに記事をアップ、墓参りにも行ってきた。さっそくの御利益があった。

ノヴェロのワインが回り始めた頃、彼女が(そうその仲間とは女性なのだ)「知人がどうしても都合悪くなったコンサートがあるけど行く?」と切り出した。

  1. ブラームス ヴァイオリンソナタ第2番
  2. ブラームス ヴァイオリンソナタ第3番
  3. フランク ヴァイオリンソナタ
  • ヴァイオリン ギドン・クレーメル
  • ピアノ クリスチャン・ツィメルマン

耳を疑った。入手困難のプラチナチケットだ。このメンツにこの曲である、ノータイムでお受けした。その日から丸2日、ブラームスはおろか音楽を聴かなかった。腹を減らしておかねばならない。おいしいレストランに行く前と同じ心境だ。

昨夜その演奏会があった。高い位置後方から2人を見下ろす席。鍵盤と楽譜が丸見えだ。私ごときが言葉で説明可能な範囲をゆうに超えていた。こんなブログで屁理屈をこねているのが嫌になるくらいだ。休憩前にブラームス2曲が続けて演奏されたが、3番のフィナーレにさしかかった時「えーっ、こんなに早く」と感じた。ずーっと聴いていたかった。センスのいい譜めくりのお兄さんはえらくイケメンだった。何とこの方調律師だと休憩時間になってわかった。

昔からCDやDVDでは聴いていたが、昨夜は偽装の余地のない生の本物が弾いてくれている。このメンツだから、飛車角の競演になるのかなあと考えていたが、違った。強いて言えば飛車角ではなくて金と銀の競演だ。絶妙の距離と位置取りを保ってお互いを守りながら、玉の周囲を固めるような感じ。将棋名人が指す矢倉の絶妙の駒組みとでも申しておく。もちろん2人が守った玉はブラームスだ。

アンコールに応えて何度かステージに戻った中の2度はツィメルマンが出てこずにクレーメルだけが登場し拍手をあびた。ブラームスのソナタにおけるピアノの重要性やピアノの素晴らしいできばえを考えると、何もツィメルマンがそんなに遠慮することも無いのにと思った。何だかツィメルマンが凄く大人でカッコよく思えた。

ショパンコンクールの優勝者にして現代最高のピアニストが何も室内楽の伴奏なんかしなくてもと思ってはいけない。ヴァイオリンの名人芸を聴かせるソナタならいくつもあるが、ピアノの名人芸が聴けるヴァイオリンソナタなんぞそうあるものではない。ブラームスはうってつけだ。数の上ではもっとも多いと思われるツィメルマンサポーターの「何でショパン弾かないんだビーム」を封殺する極上の演奏だった。

弱音の美しさ、とろけそうな緩徐楽章とか、いくらでも思いつくが、昨夜のクレーメルを正確に表現することは不可能だ。

放心状態でロビーに至る階段を下りていたら、これまた女性の古くからのブラームス仲間と再会した。そのまま3人で近所の居酒屋に直行して飲んだ。

それにしても、あれだけの演奏を聴かされて第一ソナタ「雨の歌」が聴けないのはほとんど拷問に近い。

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