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    2012年3月28日から4月4日まで、次女の高校オケのドイツ公演を長男と追いかけた珍道中の記録。厳選写真で振り返る。

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カテゴリー「401 ファミリー」の14件の記事

2019年12月 6日 (金)

もう一人のフェリクス

クララ唯一の孫娘の名がユーリエであることは既に述べておいた。三男フェルディナンドの長女だ。このフェルディナンドは全部で7名の子に恵まれた。1歳にならずに亡くなった三男ヴィクトール以外は皆成人に達した。そのヴィクトールのすぐ下の弟の名前がフェリクスだった。シューマン夫妻の最後の子供四男と同じ名前である。彼の詩にブラームスが曲を付けている。とりわけ「我が恋は緑」が名高い。ブラームスは彼の名付け親でもあったが、1879年に他界した。

フェルディナンドの四男が生まれるはその3年後だ。祖母クララの意向が反映した名づけだったことは確実である。

2019年11月 4日 (月)

もう一人のユーリエ

シューマン夫妻の3女ユーリエに、ブラームスが密かな思いを寄せていたことは、「アルトラプソディ」op53作曲のエピソードと共に語られて有名だ。最も色濃く母の面影を受け継いだ娘だったが1871年26歳で他界した。

シューマン夫妻の子供たちの中で結婚したのは3名。上記のユーリエの他に、次女エリーゼ、三男のフェルディナンドだ。三男フェルディナンドの第一子長女は1874年に生まれていて、ユーリエと名付けられた。クララの孫の中では唯一の女の子だ。クララの三女ユーリエを失った悲しみが癒えぬ中生まれた女の子に、ユーリエと命名するのはありそうな話である。

病弱だったフェルディナンドに代わってクララが養育費を負担した。クララから孫娘への手紙は出版されていて日本語でも読める。

このユーリエは、ユーリエ叔母様と違って長生きした。亡くなったのは1955年のことだ。私の生まれるわずか5年前のことである。ブラームスはクララの唯一の孫娘がユーリエという名前であったことを知っていたと思う。

2019年10月19日 (土)

嫁と姑

クララとロベルトが結婚にこぎつけたとき、ロベルトの母は既にこの世を去っていたから、嫁クララは、姑との関係に配慮する必要はなかった。むしろ実父との確執が悩みのタネだった。

クララの息子たちのうち次男のフェルディナンドだけが結婚した。つまり嫁を貰ったのだ。嫁の名はアントーニエという。2人は7人の子供を授かった。クララの孫ということになる。フェルディナンドが42歳でこの世を去った後、孫たちの養育費はクララが負担したが、嫁との折り合いは良くなかった。

嫁と姑の確執は、7人の孫たちにも微妙な影を落とした。長男は60歳のブラームスを「喉を鳴らす仔猫」と評していたフェルディナンドで、クララの臨終の際にもそばにいた。この長男以外の6名は、どうも母アントーニエ寄りの立場だったという。特に弟のアルフレートは後に祖母クララを攻撃する文書を公にした。「シューマン夫妻の4男フェリクスの父親はブラームスではないか」という俗説の起源は彼の文書に起因するらしい。

 

 

2017年11月29日 (水)

ザルツブルガーノッケル

ザルツブルクのお菓子。

ブラームスの母が得意にしていたと伝えられる。その他ホイベルガーがイシュルに出かけたブラームスに配慮して、レストランに好物を注文する一件にも名前が出てくる。レストランの対応は「ブラームス先生の健康に配慮して、ザルツブルガーノッケルはキャンセルにした」というものだった。「甘過ぎて身体に良くない」という意味だろう。

ブラームスのお菓子好きを今に伝えるエピソードだ。

2017年11月28日 (火)

お袋の味

おそらく「母の手料理」のことで間違いあるまい。我が家の子供たちにとっては「祖母の手料理」と同義である。もちろんおやつも含むと解してよかろう。

ブラームスにも「母の手料理」があった。

  1. エッグノッグ ラム酒と卵で作る飲み物。卵黄とラム酒にバニラや生クリームなどを加えて作るらしい。香辛料を一つまみ入れる。れっきとしたアルコール飲料なので子供にはきついと思うが、当時のドイツは現代の日本とは少し事情が違うと思われる。
  2. こけもものジャム こけももと砂糖それにレモン汁を加えて煮る。
  3. オートミールケーキ 母からの手紙に現われるが、レシピは不明。文脈からしてブラームスの好物と思われる。
  4. ザルツブルガーノッケル メレンゲを焼いて膨らませたもの。

1855年4月クララはハンブルクでの演奏会に際してブラームスの実家に滞在する。ブラームスの伝記であればほぼ必ず言及されるエポック。このときブラームスの母がクララを心を込めてもてなしたとされている。上記のうちどれかをクララに振舞った可能性がある。

2017年6月10日 (土)

ホルシュタイン人

さて1806年神聖ローマ帝国解体時の勢力地図。ハンブルクとリューベックを結ぶ線以北が事実上デンマーク領だった。ブログ「ブラームスの辞書」的には1806年は重要な年だ。ブラームスの父ヨハン・ヤーコプの生まれた年だからだ。つまり神聖ローマ帝国解体の年とはブラームスの父の生年でもあるのだ。

彼はハイデの生まれだ。ハンブルクの北西約75kmにあるハイデは当然ホルシュタイン公国領内だから事実上のデンマーク領ということになる。19歳でハンブルクに出た1825年の段階でさえまだデンマーク領だ。プロイセンが両公国の領有をデンマークと争ったデンマーク戦争をどんな思いで見つめていたのだろう。その年1848年はブラームスが15歳でコンサートデビュウをした年でもある。

ブラームスの父はどんな言葉を操ったのだろう。低地ドイツ方言だとされているが、これはハンブルクの言葉である。彼の故郷ではホルシュタイン方言が話されていたハズだが、想像以上にデンマーク語がも通じたのではあるまいか。この地方のドイツ方言は、デンマーク語との共通部分も多い。デンマーク訛りのホルシュタイン方言を操り、公式な場では低地ドイツ方言も話せたと思われる。

ハンブルクに出てすぐ、公的な職業に就いたことから見て、言語コミュケーションに不安があったとは思えない。

2015年2月 4日 (水)

ゴールドベルク変奏曲

1865年2月母クリスティアーネの訃報に接したブラームスを見舞った友人がいた。ゲンスバッヒャーというチェリストだ。親密度はなかなかのものだ。何しろチェロソナタ第1番を献呈されているほどだ。

悲報に接したブラームスは、一心にピアノに向かっていた。弾いていた曲が本日のお題、バッハの「ゴールドベルク変奏曲」だ。長い間ずっとピアノを弾いていたらしいが、全曲を弾いたのか一部だったのかは解らない。冒頭のアリアか、はたまたクオドリベートか。何という光景だ。ブラームスが演奏する「ゴールドベルク変奏曲」を目の前で聞いたとは恐るべき果報者だ。

ゲンスバッヒャーは、ブラームスの頬に涙がつたっていたと証言する。

2015年2月 3日 (火)

没後150年

一昨日、絶好の天気の中、母を連れ出して富士山を見にドライブに出かけた。ポカポカと温かいのもありがたいのだが、何より富士山の頂上付近に雲がなく、ダイナミックな富士全体を堪能できた。

前日つまり1月31日には、こういう夕焼けが見られたので、期待が膨らんだ。↓

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朝6時に家を出発して、たどりついた東名高速・足柄SAから。快晴に恵まれた上に、頂上付近に雲がかかっていない。↓

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こりゃあ期待できるとばかりに車を走らせてお目当ての東名高速・由比パーキングエリア。期待通りの富士山。ひょっとして雪煙まで観察できる。↓

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いよいよ最初のお目当て。さった峠。広重の東海道五十三次・由比に描かれた絶景。旧街道から急坂を登って、みかん畑の斜面の小道をくねくねと走ってたどりついた。母とともに声を失った。↓

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お次は、世界遺産の目玉・三保の松原↓

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最後は日本平より。↓

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このほかにも道中ずっと霊峰富士を堪能することができていた。母とは、2年前の次女のコンクール全国大会以来のロングドライブだった。渋滞にかからなかったこともあり、大満足の一日となったから、滅多に載せない写真を奮発した。丸子宿のとろろ汁も味わって、日帰りとしては盛りだくさんの一日。

そうそう、今日2月3日はブラームスの母クリスティアーネの命日。1865年に亡くなっているから今年は没後150年に相当する。だからというわけではないが親孝行ネタ。

謹んでコーヒー特集を中断します。

2012年5月 1日 (火)

一姫二太郎

「女の子1人に男の子2人がよろしい」という意味だと長く勘違いしていた。第一子が女の子で次に男の子がという順番が、楽な子育てにつながるという意味らしい。「太郎」というのは「長男」の意味だと判れば、誤解は起きない。2人目までの子どもの順番を言っているだけなので、3人目以降の有無や人数は考慮されていない。

我が家は「2姫1太郎」だが、姉と弟がいるブラームスはきっちり「一姫二太郎」で、「女1男2」の誤解された意味としても当てはまる。

実はビスマルク家も1848年長女マリー、1849年長男ヘルベルト、1852年次男ウィルヘルムという具合に子宝を授かったから、ぴたりと「一姫二太郎」になっている。男の子は2人とも軍人で政治家だ。

2011年7月20日 (水)

アルスタースズメ

先日入手したMEMBRANN社製の「ドイツ民謡集」10枚組を眺めていて面白いことに気付いた。9枚目と10枚目のCDのタイトルや歌い出しの部分に地名が出現する。

  1. Bi uns in Altona 
  2. An de Alster,an de Elbe,an de Bill
  3. Meine Ostsee
  4. Einer Mowe von der Elbe

「Altona」はハンブルクの地区名、「Alster」はハンブルクの湖、「Elbe」はハンブルクが面する大河、「Ostsee」はバルト海だ。つまりこれらはハンブルク関連地名だ。そのつもりで10枚目のCDの演奏家を見て驚いた。「Hamburger Alsterspatzen」となっている。「Spatzen」は「Spatze」の複数形。「Spatz」は微妙な単語でいろいろな意味があるけれどここは素直に「スズメ」と解する。演奏する団体の名前として「ハンブルクのアルスタースズメ」という程度の意味だろう。

CDの演奏を聴く限り歌手付きの楽団だ。オーケストラよりも気軽な感じの団体だと解して間違いはあるまい。「ハンブルク、アルスター、楽団」というヒントで思い出す人物がいる。ブラームスの父親だ。息子のコネで最終的にはハンブルクフィルのコントラバス奏者になったが、それ以前は「アルスターパビリオン」の楽団で弾いていた。アルスタースズメという団体名だったかどうかは不明だが、何だかかすっている気がする。

演目は港町ハンブルクを象徴するようなタイトルばかりが並んでいる。

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