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カテゴリー「434 ユーリエ」の8件の記事

2015年3月11日 (水)

ユーリエ生誕170年

今日は3月11日。東日本大震災から4年経過した。

実は3月11日はシューマン夫妻の三女ユーリエの誕生日でもある。1845年の生まれだから今日は170周年ということになる。

母クララの面影を色濃く残すユーリエは、ブラームスのひそかな思慕の対象だった。彼女の婚約の知らせに狼狽したというエピソードとともに記憶される女性。その結果「アルトラプソディー」が作曲されたことで名高い。

当のユーリエは、ブラームスの思いに気づいてたという可能性にはすでに言及しておいた。

2013年5月27日 (月)

ユーリエの結婚

1869年9月22日シューマン夫妻の3女ユーリエがイタリアの貴族と結婚した。これにショックを受けたブラームスの苦悩から「アルトラプソディ」op53が生まれたことは割と知られている。ユーリエはブラームスのひそかな恋慕の対象だった。

未明にバイエルンミュンヘンがサッカーの欧州チャンピョンになった昨日、30年来の知人のご子息の結婚披露宴に招かれた。父の勤務先の社宅に住んでいたどいう縁で、親戚同然のつきあいが続いていた。生まれた頃から孫同然にかわいがってきた母と参列した。

新郎新婦の思いが詰まったあっという間の3時間半だった。新郎のプロフィール紹介で言及された母はいきなり涙。30年続いた親戚付き合いの集大成。当時生まれたばかりだった新郎が、そのつきあいの厚みをキッチリと呑み込んでくれていたことが母の涙の理由。親戚でもないのに涙腺を決壊させまくるよそのおばさんだ。新婦への説明、さぞ苦労したことだろう。

初対面の新婦の人柄さえ偲ばれる何とも暖かな手作り感覚あふれる披露宴。驚いたのは新婦側の余興。某大学チアリーディング部出身の新婦の仲間が披露した本番さながらのパフォーマンス。全国トップに君臨する同部の実力を生で体験させてもらった。現役を退いてから少しブランクがあるという新婦もドレスで参加という熱い熱いノリ。始終笑顔を絶やさなかったメンバーの一人が、新婦への呼びかけのところで絶句。現役時代髣髴のエネルギーと絆をまざまざと見せ付けられた。部活っていいなあ。思わずブラボーを奮発した。

最後は新婦の手紙朗読、花束贈呈、新郎父挨拶と進み、新郎が締めてお開き。若い二人を育んだ両家の暖かな家風を満喫して帰宅。

ブログ「ブラームスの辞書」的に素晴らしいことが一つ。終始笑顔で披露宴をリードした感のある新婦の名前は「友里恵」という。もちろん「ゆりえ」と読む。「ユーリエ」だ。最後の手紙朗読のとき、新婦自らの口から「この名前を付けてくれた両親への感謝」が語られた。「おかげで素晴らしい友達に沢山出会えた」と。このお嬢さん只者ではない感じ。

でかしたぞ、かックン。ユーリエを射止めた君にブラームスのご加護を。

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サッカーチャンピオンズリーグの話と、披露宴の話、そして部活の凄さに一気に言及する絶妙のネタ。よって地名はお休み。

2011年3月27日 (日)

献呈のデリカシー

献呈をするしない、つまり献呈の体裁を取る取らないの基準はどこにあったのだろう。

3月20日の記事「公の場」でブラームスの公の場は楽譜であると書いた。楽譜の表紙は玄関みたいなものだから、そこに献呈の辞が書かれるということは、極めてオフィシャルな性格を持った行為だ。献呈の体裁を取るということは、大臣の公式発言のようなものだ。記者クラブでのオフレコ発言とはとは違う。

後世の伝記作家や愛好家の間でどれほど有名なエピソードであっても、ただちにそれが献呈に結びつくとは限らない。アルトラプソディop53は、シューマンの3女ユーリエへの片思いとその破局が作曲のキッカケになっていることを知らぬ愛好家はいないが、アルトラプソディはユーリエに献呈されてはいない。アガーテのエピソードで名高い弦楽六重奏曲第2番もアガーテに献呈されていない。献呈していないブラームスのデリカシーを味わうべきだと思う。献呈は贈り手のブラームスにとっても、受け手にとっても幸福であることが前提になる。

2010年4月12日 (月)

ブラームスハウス

「Brahmshaus」と綴る。今更和訳が要るとも思えない。ブラームスのゆかりの家のことだが、記念品が収蔵されていたりして、観光名所化していることも多い。

ドイツ南西部のバーデンバーデンにもある。リヒテンタールにクララの家があったから、ブラームスは何度かバーデンバーデンに滞在したという曰くつきだ。

次女のヴァイオリンの先生がこのほどバーデンバーデンに赴いた。昨日のレッスンの際にお土産をいただいた。次女にはかわいらしいチョコ。私には山ほどの写真だ。バーデンバーデンのブラームスハウスを見学したという。ブラームス行きつけのレストランにも立ち寄って、お気に入りの席の写真も撮影して来てくださった。

クララの3女ユーリエの結婚式が行われた教会でヴァイオリンを演奏したそうだ。

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ブラームスハウスのパンフレットとチョコレート。

2008年5月17日 (土)

お心当たり

世の中いくつになっても判らぬことはあるものだ。どなたかお心当たりの方はいないだろうか。

かれこれ4週間前からブログ「ブラームスの辞書」に「ユーリエ・シューマン」というキーワードでたどり着く人が激増している。昨年11月10日の記事「ユーリエ・シューマン」が釣られているのだ。

誰か有名人がテレビやネットで「ユーリエ・シューマン」に言及したのか、はたまた来年のラフォールジュルネのお題にでもなったかなどと愚考するが、説得力ある理由にたどりつけない。それ以前も「ユーリエ・シューマン」というキーワードで釣られることが無かった訳ではないが、今回の激増振りはその量において群を抜いている。

私のブログは見ての通りブラームス偏重のブログだ。だから唐突なキーワードだとのけぞりもするのだが、今回の「ユーリエ・シューマン」は微妙だ。検索する人々に悪意は無かろうが単にのけぞるにはあまりに切ない。

2007年11月10日 (土)

ユーリエ・シューマン

1872年11月10日ロベルトとクララの3女ユーリエは、27歳でこの世を去る。母クララの面影をもっとも色濃く受け継いだユーリエはブラームスの密かな思いの対象だった。シューマン家に出入りしていたブラームスは、ユーリエをとりわけかわいがっていたともいう。彼女の結婚に衝撃を受けたブラームスが「アルトラプソディ」を作曲したことは、よく知られている。

クララは4人の子供に先立たれている。女の子はこのユーリエただ一人だ。周囲の証言によればユーリエは繊細な外見の通り、病弱だったからクララも心配していたという。

そのユーリエは1869年に結婚してから2人の子供を産んでいる。そして亡くなった時、3人目を身ごもっていた。病弱のユーリエが3年の間に2人産み、さらに3人目を妊娠中とは恐れ入る。気の毒だ。

ユーリエの長男はエドワルド、次男はロベルト、妊娠中の子供はキアラという女の子らしい。キアラはロベルト・シューマンの謝肉祭に登場する名前で実はクララの象徴である。この時代に妊娠中の胎児の性別がどうしてわかるのかはおくとしても、エドワルド、ロベルト、キアラというのは何やら象徴的だ。

ロベルトはもちろん父の名前だ。キアラがクララとすると、残るエドワルドが気になる。祖父母の名前に因んだ名付けをすることはよくあるのだが、それなら長男にロベルトと命名しそうなものだ。エドワルドという名は父ロベルトに因んだ名付けより優先順位が高いと思われる。ユーリエの兄弟にエドワルドという名前の持ち主はいない。もしも父方のマルモリート伯爵の類縁にエドワルドの系統の名前の持ち主がいるなら一応納得である。

これより今や定番とも化したお叱り覚悟の深読みに走る。

ブラームスの作品10に「4つのバラード」がある。ニ短調を背負った第1番はスコットランドの古詩「エドワード」が下敷きになっている。この「エドワード」をドイツ語読みにすると「エドワルド」になるのだ。エドワードは主人公の少年の名で、このテキストはエドワードとその母の会話体になっている。エドワードによる父殺しを母が詰問するという悲惨な内容だ。

古来一部から、エドワードをブラームス、母をクララ、父をシューマンという役回りを想定する説があった。私自身はただちにうなずきにくいと思うが、ユーリエの3人の子供の名前を知った時真っ先に思い出したのがこの作品だ。ロベルトより優先順位の高いこのエドワルドはブラームスを象徴しているのではないだろうか。ユーリエは当然「4つのバラード」作品10を知っていた。少女時代、姉たちをさしおいてかわいがられた記憶が投影してはいまいか。もしかするとブラームスの密かな思いを察していた可能性さえ想像してしまう。

2007年9月23日 (日)

精霊の主題

ロベルト・シューマンの晩年を襲った心の病の症状の一つに幻聴がある。A音が絶え間なく聞こえたり、天使が決まった旋律を繰り返し奏でたりという具合だったとされている。作曲家の性というべきか、シューマンは自らを苦しめる旋律を作品に用いている。ヴァイオリン協奏曲第2楽章や、「精霊の主題による変奏曲」にその旋律が現れるという。

ブラームスもまたこの旋律を用いて変奏曲を書いている。「シューマンの主題による変奏曲op23」である。当代きっての変奏曲の泰斗ブラームスによれば、変奏には向き不向きがあるという。何でも変奏曲の素材になる訳ではないということなのだ。旋律の美しさは当然として、ベースラインがしっかりしていることが無視し得ぬ条件だったりする。つまりブラームスによって変奏の題材に選ばれたということは、ブラームスの採用基準をクリアしていたことに他ならない。恩師への追慕、クララの機嫌取りなんぞで決定するはずもなく、ましてやシューマンの心を苦しめた旋律という興味本位であるはずもない。

健気と言うか、いじらしいというかブラームスはこの主題を変奏曲の題材に用いたことについてクララがヘソを曲げやせぬかと気を遣っていたという。結論から申せば、クララは大人の対応に終始したものと思われる。なぜならばこの変奏曲は、シューマン夫妻の三女ユーリエに献呈されている。言い伝えによると、ユーリエは最も色濃く母クララの面影を受け継いでいたという。夕顔の遺児・玉鬘みたいな存在だ。ブラームスの密かな思いの対象でもあったユーリエに、母クララの逆鱗に触れるような作品を献呈するはずがない。

9月23日にピッタリの話題だ。作品9も作品23も「シューマンの主題による変奏曲」だからだ。

2006年5月23日 (火)

WoO31

「WoO」とは「Werke ohne Opuszahl」のことで「作品番号無き作品」を表す略号だ。その31番目とでもご理解願いたいが、この番号は出版順でも作曲順でもない。整理の都合で付与された番号である。栄えある「WoO1」は「ハンガリア舞曲」で「WoO2」は「FAEソナタ」という具合に器楽優先になっている。

「WoO31」は「子供ためのドイツ民謡集」である。曲集の冒頭に「Den Kindern Robert und Clara Schumanns gewimt」という文言が誇らしげに掲げられている。「gewidmt」は「献呈」という意味だ。ヴァイオリン協奏曲がヨアヒムに、ピアノソナタ第二番がクララに捧げられているのと同じ意味である。そう「ロベルトとクララの子供たちに捧げる」という献辞になっているのだ。献呈は1858年である。つまりロベルト・シューマンの死から2年後ということになる。父が他界し、母のクララは演奏旅行で家を空けがちな中、残された子供たちに捧げられたということなのだ。正確に言うと1858年の夏、ゲッティンゲンに避暑に訪れていた父親無きシューマン一家訪問の際の手土産であったらしい。マリエ、エリーゼ、ユーリエ、オイゲーニエ、フェリックスの5人とクララだ。

曲はブラームスの作曲ではないから作品番号はふられていない。民謡好きのブラームスが気に入った民謡の中から子供に相応しい作品を選んで、気の利いた和声と伴奏をつけたと思えばいい。もちろん自らの芸術を世に問う野心作ではないだろう。1858年と言えば、ピアノ協奏曲第一番の作曲が平行して進められていた頃だ。作曲の紆余曲折に加え初演でも痛みを被った作品の裏で、ひっそりと書き上げられたと思われる。このときシューマンの遺児たちは長女のマリエでさえまだ17歳である。それなのに、ヴァイオリン協奏曲やピアノソナタ第二番のような大曲と同じ「献呈」という手続きを踏んでいることが、健気でいじらしい。子供相手に巨匠的技巧を要する難曲大曲なんぞを選ばないところが、粋でさえある。

マッコークルによれば2番と4番にのみ初演の具体的な日付が付されているだけで、他は不明となっている。野暮を言ってはいけない。ブラームス自身かクララのピアノで5人の子供たちのうち誰かが最初に歌ったに決まっているのだ。1858年夏のゲッティンゲンといえば、あるいはアガーテが歌った可能性だって無いわけではない。

25歳の青年の誰もが出来る芸当ではあるまい。これもある意味でシューマンネタである。

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