義援金
音楽之友社刊行「ブラームス回想録集」第2巻136ページ。ホイベルガーの証言だ。
1895年5月16日の記述として、「一昨日開催されたアリーチェ・バルビのお別れコンサートの収益が、ライバッハ震災の義援金に回された」とブラームスが話してくれたとある。つまりそのコンサートは116年前の今日。ライバッハは現在のスロベニア共和国の首都リュブリャナのことだ。1895年に大震災があり市街全域が壊滅した。それに対する義援金のことだから一応辻褄はあっている。
しかしブラームス愛好家としては腑に落ちない点も残る。ブラームスがアリーチェ・バルビにぞっこんで彼女の結婚に伴う引退公演では急遽伴奏を引き受けたエピソードまである。このコンサートは1893年12月21日だから、ライバッハの震災よりずっと以前の話である。彼女のお別れ公演が1度ではなく数回あり、そのうちの1回が1895年5月14日だったということでなければ辻褄が合わない。1年半前の演奏会の収益を寄付するというのでは、タイミングが緩すぎる。
ともあれブラームスの伝記の中に登場するほぼ唯一の「地震ネタ」と申してよい。
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