忘れてはならぬ事
おバカなブログを開設して延々とブラームス話を開陳しているが、ときどき言い聞かせていることがある。アナリーゼごっこの心得くらいな位置づけだ。
たとえばソナタの話をする。主題提示部だ、展開部だ、再現部だとにぎやかだ。あるいは第一主題、第二主題という話も半ば必須だ。
しかし、ブラームスは楽譜の上に明記している訳ではない。「ここからが展開部ですよ」とか「再現部始まります」などとは書いていない。それらの情報は、音楽学者や評論家の分析の結果、そう呼び慣わされているだけだ。ブラームスは沈黙している中、他者がアナリーゼの都合で、そう命名しているだけだ。リピート記号が存在すれば提示部の終わりと展開部の始まりは比較的明かだが、再現部は人によって異論が出ることもある。ブラームス本人が「ここからが再現部です」と明言していないから、そういうことも起きて来る。
「p」や「f」などのダイナミクス、「Allegro」「Andante」などの発想記号は、ほぼブラームス本人に由来する。だから「ブラームスの辞書」はそれらを数えたり分布を調べたりする。採用された拍子や調も、同様に探査の対象たり得る一方、「フガート」「ヘミオラ」などは同等とは言えない。
後世の愛好家にアナリーゼの楽しみを残してくれているかのようだ。
最近のコメント