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カテゴリー「511 信仰」の5件の記事

2013年9月29日 (日)

ミカエルからゲオルグ

キリスト教の祝日の話。キリスト教には何人も聖人がいる。職業や国などには守護聖人などが細かく設定されている。本日の話題、聖ミカエルの日は今日9月29日だ。そして聖ゲオルクの日は4月23日。

昔、ビール醸造において雑菌のコントロールが出来なかったころ、ビールは雑菌の活動が盛んな暑い時期に醸造することが出来なかった。菌の活動が弱まる寒い時期に醸造するしきたりであった。「ミカエルからゲオルグ」というのはそうした事情を反映した言い回しで、ビールは聖ミカエルの日から聖ゲオルクの日までに仕込みなさいという教えになっている。

日本の感覚でいうと秋春の彼岸の間というニュアンスに近い感じ。

2013年1月18日 (金)

十字架会

鴎外の「独逸日記」、ザクセン軍演習の記述の中、1885年8月28日の記事に現れる。ネルハウという村で劇を鑑賞したあと、部屋に戻るところで鴎外は男に呼び止められ「十字架会」に勧誘された。原文では「Kreuzbruder」という。

戯れに入会を諾したとある。1マルクを寄付して薄い鉄片の会員証を受け取った。このとき興味深い入会の儀式に言及している。入会希望者は自分の今までの人生における失敗を3つ告白せねばならないとされているのだが、既婚者は2つでよいことになっている。鴎外は「結婚が男にとっての失敗」と看做されていることを面白がっている。同時にこの手のお遊びがドイツ国内にあまねくひろまっていると断じている。

生涯独身のブラームスなら、人生の失敗を3つ申告したに違いない。

そして今日1月18日は両親の結婚記念日。父はもちろん私も失敗の申告は2つでいい。

2011年7月 1日 (金)

主要5教会

現在でこそ市域が拡大して郊外にまで教会が建てられているが、ブラームスの生きた当時は、5つの教会が市内の信者を管轄していた。創建の年代順に列挙する。

  1. 聖ペトリ教会 811年カール大帝による創建で、ハンブルク最古の教会。市庁舎のすぐ東に隣接している。1842年の大火で焼け落ちたがすぐに再建されている。
  2. 聖ニコライ教会 12世紀半ばの創建。聖ペトリ教会の南西およそ300m。第二次大戦の爆撃で塔だけが残った。今は平和のモニュメントとして保存され、教会自体は移転した。
  3. 聖カタリーネン教会 1256年創建。聖ペトリ教会の南およそ500m。創建当時ここは中州だった。
  4. 聖ヤコビ教会。1350年創建。聖ペトリ教会の東およそ200m。1693年に設置されたオルガンで名高い。若きバッハがわざわざ聴きに来たほどだ。
  5. 聖ミヒャエリス教会 アルスターフレートの西への市域の拡大により1641年創建。小さな礼拝所がもっと昔からあったとも言われている。唯一最初からプロテスタント教会として建てられた。当時裕福な商人は市の東側に住んでいたから「貧者の教会」と言われたが、今では市の象徴となる。ブラームスの生家はこの教区に属していたため、洗礼をうけることになった。

教会で面白いのは、ビートルズが出演したことで知られる、カイザー・ケラーの向かいにある聖ヨゼフ教会。現在ではプロテスタントが圧倒的に優位のハンブルクにあっては珍しいカトリック教会だ。さすがに市の真ん中という訳にも行かず、当時は市壁の外だったこの地に建てられた。「Grosse Freiheit Strasse」「大いなる自由通り」という地名は、カトリックを信仰する自由に因んだ命名といわれている。

2010年5月 3日 (月)

信心深さ

ブラームス関連書物を読んでいて感じることがある。ブラームスが教会に行ったという記事を見かけない。数々の記述からブラームスがプロテスタントであることは容易に推測出来るが、あまり信心深いという感じがしない。日曜日に教会に行くことなど、当たり前だからいちいち伝記には書かれないのかもしれないが、気になる。そりゃあ親しい友人とはクリスマスカードのやりとりはしているし、贈り物も交換しているが、今一つ熱心さに欠けているような気がする。

バッハはライプチヒ・トマス教会のカントルだからとかく教会関連の記述が多い。リストは僧籍に入っていたし、ブルックナーは教会のオルガニストだ。ドヴォルザークは割と頻繁に「敬虔なカトリック」であったという記述にぶつかる。

音楽之友社刊行の「ブラームス回想録集」第2巻157ページに興味深い記述がある。1896年2月24日のことだ。ブラームスがドヴォルザークを「熱狂的なカトリック」と称している。「ドヴォルザークほどの働きバチは、疑ったりするヒマが無いから、子供時代に刷り込まれたことに一生従うのさ」と言っている。「自分とは逆に」というニュアンスが言外ににじみ出る。

もちろんブラームスには無視しえぬ質量の宗教作品がある。多くの場合のテキストは、聖書から選ばれている。聖書に関する知識は詩人のヴィトマンも感心しているが、信仰の深さが特筆大書されているわけではない。当たり前だから書いていないとも言える。

一方、ドヴォルザークはブラームスを評して「これほどの大人物でありながら、信仰を持っていない」と嘆く。ドヴォルザークには「大人物には確固たる信仰があるものだ」という基準があったことを物語る。そしてドヴォルザークはブラームスがその基準を満たしていないと感じているということなのだ。ブラームスのドヴォルザーク評と表裏の関係ながら矛盾しないエピソードである。

2006年7月12日 (水)

ブラームス教

「ブラームスの辞書」の刊行から1年が過ぎた。ずっとブログを更新し続けることが出来た。記事を書くために「ブラームスの辞書」の執筆中と変わらないくらいブラームスにドップリと浸かっていた。そういう自分に驚いている。そして汲めども尽きぬブラームスの懐の深さに今更ながら感心している。

好き嫌いを通り越して、もはや信仰に近いとも感じている。そういえば昔からそういう兆しがあった。写譜を好きなどというのは典型だ。これなどは写経に通ずるところがある。クリスマスよりブラスマスだったりもその実例だ。ブラームスが失恋の痛手に浸らないように細心の注意を払ってきた。結婚披露宴ではブラームスを流していたし、2次会は第四交響曲だった。ハネムーンでウイーンの中央墓地に墓参りに行ったときはなんだか聖地巡礼の気分だった。子供らに最初に聞かせた音楽はブラームスだった。妻が他界したときは、ずっとドイツレクイエムを流していた。娘たちのヴァイオリンの当面のゴールはブラームスの演奏だ。

ブラームスの楽譜は重要な経典ないしは聖書のようだ。経典には注釈書が付いて回るが、思い余って自らそれを書いてしまったのが「ブラームスの辞書」だと位置付けられる。朝晩のお祈り代わりに毎日ブログの更新だ。お布施はCDショップと楽譜ショップに毎月せっせと納めている。この調子だと子供らの結婚式は「ブラ前」結婚に違いない。

どこから見ても宗教だ。とかく宗教心が希薄といわれる日本人だが、そうでもない。

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    はじめての自費出版作品「ブラームスの辞書」の姿を公開します。 カバーも表紙もブラウン基調にしました。 A5判、上製本、400ページの厚みをご覧ください。
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