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カテゴリー「517 癖」の3件の記事

2017年8月27日 (日)

文体

文章表現上の特色のことだろうか。筆者の個性による言い回しの癖と解されよう。有名作家間の言い回しの特徴を比較したり、同一作家における表現の時系列的な変化の研究を総称して文体論と呼ばれている。

ブログを長く続けていると、文体めいたものがおぼろげながら構築されて来る。筆者である私自身は気付かない幾多の特徴がブログ記事に刻印されているものと思われる。具体的に心がけているのは「簡潔な表現」だ。ねちねちとした系統の話が多いから、粘るような文体だともたれる。

おそらく、音楽にもあるのだと思う。作曲家毎に異なる様式がある。

ブログ「ブラームスの辞書」のカテゴリーにもなっている「ブラームス節」が、おそらくそれに該当するのだと考えている。

2009年8月23日 (日)

タンホイザーの自筆スコア

タンホイザーとは言わずと知れたワーグナーの楽劇だ。

自他共に認められた楽譜コレクターのブラームスは、何と「タンホイザー」改訂版2幕の自筆スコアを所有していた。正確には預かりっ放しにしていたというニュアンスかもしれない。

ブラームスの手許にあったこの自筆譜は、ひょんなところで活躍する。友人ホイベルガーの作品を論評する中で、楽譜はキチンと見易く書けという話になったときだ。作曲以前の話として1小節に4分音符4つなら、キチンと等間隔に書けとか、シャープやフラットの位置を正確に書けとかだ。そこでブラームスが取り出したのがタンホイザーの自筆譜だ。ロ長調つまりシャープ5個が調号として書かれた部分を指さして、シャープ5個が正確な位置に律儀に置かれていると指摘した。

何を読んでいるんだかと言ってはなるまい。相当細かく読み込んでいる証拠と思う。

1875年6月、ワーグナー本人から返却を求められた。さんざんしぶった挙げ句にこれを返却するとワーグナー本人から丁寧な礼状とともに「ラインの黄金」の初版本がメッセージ入りで贈られてきた。

「ラインの黄金」

いわゆる指環4部作の先頭を飾る作品だが、ブラームスの評価では4作中最低だ。ブラームスはすぐに礼状を書いたのだが、内心相当がっかりしたのだと思う。

2006年4月20日 (木)

奇数愛好家

一部のブラームス好きの間で、根強い噂になっていることがある。「ブラームスは奇数がお好き」という説である。

なるほどハンガリー舞曲は21曲、ドイツ民謡集は49曲、ピアノのためのエチュードは51曲だ。

本日はその噂を検証したい。まず一つの作品番号にいくつの楽曲が収められているかをカウントした。結果は以下の通りである。

  1. 52回。一番多い。当たり前である。一つの作品番号に一つの作品が収まっているケースだ。交響曲や協奏曲はみなこのパターンに該当する。ピアノ五重奏曲とハイドンヴァリエーションは、ピアノ版と管弦楽版があるが、2とせずに1とカウントしている。もちろん「1」は奇数だが、これはノーカウントにしないとかえって不公平だろう。
  2. 8回。弦楽四重奏の1、2番。ヴィオラソナタもここに該当する。ピアノのためのラプソディやop91の歌曲などメジャーどころが並ぶ。
  3. 8回。op20の二重唱に始まってop117のインテルメッツォまでにまたがる。
  4. 12回。op10のバラードや、土壇場の四つの厳粛な歌などメジャーどころも多い。
  5. 13回。op19に始まって、op107まで全て声楽曲になっている。
  6. 9回。op93はaとbに分かれていて、aの側が6曲になっている。
  7. 5回。op22マリアの歌からop116のピアノ小品まで。
  8. 5回。op76のピアノ小品が代表選手だ。
  9. 3回。さすがに少なくなる。op32、op63、op69だけである。
  10. なし。
  11. 2回。op103ジプシーの歌とop122土壇場のオルガンコラール。
  12. 1回。op44だけです。
  13. 1回。op113のカノンだけ。
  14. なし。
  15. 2回。マゲローネのロマンスと新・愛の歌だけ。
  16. 1回。ご存知ワルツop39だけ。
  17. なし。
  18. 1回。愛の歌op52。

19回以上は作品番号つきの作品には出てきません。これで奇数34回に対して偶数は37となる。もちろん「1」はノーカウントだ。

作品番号のないところは以下の通り。没後の出版もあるからブラームスの意図ではないケースも入っているので参考程度です。

2曲:3回、5曲:1回、12曲:1回、14曲:1回、15曲:1回、16曲:1回、20曲:1回、28曲1回、49曲:1回、51曲:1回

全部併せると45対38で偶数の勝ちとなる。

必ずしも奇数偏愛とは言えないことが判る。10、20、30、40、50のような10進法で数えて区切りのいい数字を使っていない傾向があることは事実である。1から15までの数字で存在しないのは10と14だけである。「10を避けている」と思えなくも無いというわけである。作品番号の無い作品に20が一度だけ使われているほかは、区切りのいい数字は表れない。

この手のおバカなネタを真面目に突き詰めるところが本ブログの特徴である。

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