地図帳の深読み-鉄道編
帝国書院「地図帳の深読み-鉄道編」という書物もまた日本鉄道開業150周年を強烈に意識した書物だ。刊行が9月15日となっている。昨日言及した「日本鉄道地図館」の2週間前にあたる。どちらも地図を切り口に鉄道を深堀りしようという意図は明確だ。昨日は様々な古地図の列挙を特徴としていたのに対してこちらは、中学高校の地理の教材として懐かしい地図帳をベースにした深堀り。加えて海外の情報ももりだくさんである。
本文168ページで、ゼメリンク鉄道が紹介される。「世界遺産になった鉄道」という切り口。同鉄道は標準軌鉄道として初めてアルプスを越えたからだという。その中で「ミュルツツーシュラーク」の地名が何度も現れる。私のようなブラームス好きにはたまらない地名だ。第4交響曲が作曲された街だからだ。「Zuschlag」の意味まで解説されていてのけぞる。
もっとも驚いたのは124ページのコラムだ。「ドイツの鉄道橋めぐり」というタイトルに心が躍った。そこで紹介されているのは、ゲルチュタール橋とレンズブルク橋の2つ。なんと私の2018年のドイツ旅行の目的地とピタリだ。
なんだかこの作者と話が合いそうだと思ったら、昨日と同じ今尾恵介さんだった。著者経歴を読むと私より一つ年上。お誕生日によっては同学年かもしれない。好きなことに打ち込んでそれを形にする。明快なロジックが見やすい仕掛けと同居する。膨大な情報量なのに読後に残るのは納得感だ。つまりこれが説得力かという感慨。
同世代として心から尊敬する。私もこうありたい。
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