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カテゴリー「527 趣味」の7件の記事

2016年10月 8日 (土)

サンマリーノ共和国

周囲をイタリアに囲まれた小共和国。外貨獲得策の一環で収集家向けの美しい切手を発行することで知られている。ブラームスも旅行で立ち寄ったことがある。知人の息子のために切手をたくさん買ったらしい。

私も小学生時代、切手収集に没頭していた。自慢は切手趣味週間「見返り美人」と国際文通週間「蒲原」だった。

2014年3月 7日 (金)

トリックス

「Trix」と綴る。今となっては王者メルクリン傘下の模型ブランド名。メルクリンが伝統の「交流3線式」であるのに対し、トリックスは「直流2線式」だ。元はれっきとした独立の模型メーカーだった。ブランドの立ち上げは1930年だが、創業は1838年に遡るヨハンハフナー社。ニュルンベルクの隣町フュルトで創業した玩具メーカーで、中心商品は「兵隊の人形」だった。

いやはや奇遇。兵隊の人形はドイツにおける男の子の定番玩具だ。ブラームスだって例外ではない。ハンブルクにブラームスの自宅を訪ねたクララは、ブラームスが兵隊の人形を見せてくれたと証言している。

ずっとそのメーカーを捜していたが、ヨハンハフナー社はその候補の一つだ。鉄道模型への進出は1880年以降で、それまでは「兵隊人形」のトップメーカーだった。

2014年3月 6日 (木)

メルクリン

Marklin(aはウムラウト)と綴る。世界最大最古の鉄道模型メーカー。鉄道模型をホビーの王者とする人は多い。楽しみも大きいが要求される出費と暇とスペースも大きい。本気で論じ始めると底が無い。

1859年ドイツ・ヴュルテンベルク州ゲッピンゲンで玩具メーカーとして創業した。鉄道模型への参入は1891年。その後常に業界をリードし、鉄道模型の世界規格を生み出したのも同社だ。いわゆる「交流3線式」だ。ポイントを含む複雑なレイアウトを敷設する場合に有利とされている。

問題はブラームスがメルクリンを知っていたかどうかだ。もちろん当時の模型はまだ完成度において現代に比すべくもないハズだが、楽壇の重鎮が鉄道模型にうつつを抜かしていたら、関係者の目には必ず留まるハズで、だれかがそれを書き残すに決まっているのだが、誰も証言していない。

2010年1月18日 (月)

手が出ぬ

先日ホルンソナタの楽譜を探しにショップを徘徊していた。首尾良くゲットで会計をしてホクホクとレジを離れようとした時、1枚のパンフレットが目にとまった。

モーツアルト交響曲第40番ト短調のファクシミリ譜が発売されるという。

一瞬で脳味噌にアドレナリンが充満した。古楽譜コレクターだったブラームス自慢の筆頭が、モーツアルトのト短調交響曲の自筆譜だったからだ。ちょっと詳しい伝記には大抵書いてある。ピアノ五重奏曲を献呈した返礼にヘッセン王女アンナから下賜されたものだ。以来ブラームスは亡くなるまでこれを大切に保管していた。遺産を引き継いだウィーン楽友協会の所蔵となって今に至る。

そのファクシミリ譜の発行元も楽友協会だった。間違いないと思ってパンフを詳しく読むと「元々の所有者はブラームスだった」とはっきり書いてある。あわせて「19世紀半ばまで買い手が現れなかった」というエピソードも紹介されている。「もしや」と思うことがある。「19世紀半ばまで買い手がつかなかった」という状態を打破したのは、ブラームスにこれを下賜したヘッセン王女アンナだったのではあるまいか。ピアノ五重奏曲op34の完成は1864年だ。19世紀半ばという表現と矛盾しない。ブラームスの古楽譜コレクターぶりを察知したヘッセン王女アンナが、何か喜びそうなものをと物色した結果ではなかろうか。

さらに凄いのは「ブラームスによって音の間違いに印が付けられている」とも書いてある。ということはつまりモーツアルトとブラームスの筆跡が共存している資料ということだ。お宝である。

価格は72000円。お宝度から見ればリーズナブルだと思う。そうは思うが「それでは」とばかりに買えるかとなるとそうはいかない。楽譜やCDのショップをうろつくのは気晴らしになるが、こればっかりはストレスだ。7200円だったらきっと買っていたと思う。72万円だったら、すっぱり諦めがつく。何とも微妙な価格設定だ。

ブラームス神社の賽銭はあてにならない。「ブラームスの辞書」が今年中に20冊売れたら買いに行こうと思う。まだ2冊しか売れていない。

2007年7月 4日 (水)

民謡の収集

作品番号無き作品WoOの31から38にわたって約160曲ものドイツ民謡が残されている。31から33までが独唱用で、34から38までが合唱用だ。独唱用と合唱用で重複する曲もあるが、160曲というのは大した量である。作品番号が付与され一般にリートと分類されている独唱歌曲でさえ200曲程度だから、ジャンルとしての民謡は無視できない勢力になっている。その意味で1月12日の「カテゴリー民謡の創設」は遅きに失したと申し上げて良い。

http://brahmsop123.air-nifty.com/sonata/2007/01/post_4f9e.html

ブラームスの実直さから推定して、作品番号を付与した作品は自分の創作で、作品番号を付与せずに民謡集に収録された作品は、ブラームスがフィールドワークを通して拾い集めたものと断ずることが出来よう。「民謡の収集」である。

民衆の間で歌われていたもの、もちろん民謡集の形で出版されていたものもあるだろう。録音技術のなかった時代、「民謡の収集」とは口で言うほど簡単ではなかったと思われる。ブラームスが演奏活動のために欧州中を旅した過程で耳にした民謡を、五線に書き留めた作品もあったに違いない。ブラームスのことだから、旋律を聴いて即座に五線紙に書き留めることなど造作もないことだったと思われる。それどころか、彼の頭の中にはベースラインさえ同時にひらめいていたことは確実である。そしてシンプルで気の利いた和声を施したピアノ伴奏を加えた。

その成果を自作とは完全かつ明白に区別する形で、つまり「民謡」を出版したことはもっともっと注目されていいと思う。実際に収集された民謡の数は出版された数より相当多かったとも思われる。こうして放置すれば消え去って行きかねない民謡は、ブラームスの手で永遠の命を得た。WoO33の「49のドイツ民謡」は1894年の出版だ。ブラームスが自らの創作活動の集大成と考えていたことはほぼ確実である。

私がブラームスを深く深く愛する理由の一つをこの周辺に求めることも出来る。

2007年6月23日 (土)

パルミジャニーノ

ブラームスがしばしばイタリアを訪れたことは有名である。ついぞ一度も訪問することがなかった英国とは対照的だ。合計9回にも及んだイタリア旅行だが、不思議なことにブラームスの一人旅は一度も無い。必ず親しい友人を誘っていた。そうした友人の一人がヨーゼフ・ヴィトマンだ。ブラームスとのイタリア旅行に3度同行した様子を手記に残している。「ブラームス回想録集」第3巻に掲載されて日本語で読むことが出来る。

ブラームスはイタリアの美術と建築を称賛していたという。美術館で長い時間を過ごすこともしばしばだったと証言している。案内書よりも直感を優先したらしい。1890年4月パルマ滞在の折にピロッタ宮殿内の美術館を訪れた。時のたつのを忘れて感動に浸ったという。

現在、東京上野の国立西洋美術館で「パルマ-イタリア美術、もう一つの都」という企画展が開催されている。そこにブラームスが見た絵がいくつか展示されているということを、ブログ「ブラームスの辞書」の読者の一人からお教えいただいた。知らぬが仏だ。知ってしまった以上何が何でも見たくなり、昨日休暇を取ってかけつけた。午前10時の開館直後、しかも雨が降り始めたとあって人もまばらな中じっくりと鑑賞できた。

「聖カタリナ神秘の結婚」がお目当ての作品だ。パルミジャニーノ(1503~1540)の作品である。展覧会のオフィシャルプログラムにもヨーゼフ・ヴィトマンの証言するエピソードが掲載されている。ブラームスがこの周辺の絵を見て回ったことは確実だ。

気になることもある。「ブラームス回想録集」第3巻でブラームスが気に入ったとされている絵のタイトルは「聖カタリナの婚約式」となっている。展覧会のプログラムでは「聖カタリナ神秘の結婚」とされている。タイトルが違うのだ。回想録集には絵の写真も載っているが、「聖カタリナの神秘の結婚」とは違う絵になっている。居合わせた主催者の何人かに聞いてみたがわからなかった。ブラームスが鑑賞した作品全てが今回来日しているわけではないだろうから、こういうことも起こり得る。

ブラームスの愛したイタリアには大いに興味をそそられる。かといって気軽に出かけるわけにも行かないから、あっちから来てくれるのはありがたい。入場料とプログラム、そして絵葉書1枚で4000円と少々だ。イタリアに行ったと思えば安い。

美術館は平日しかも雨天の午前に限る。

2006年10月31日 (火)

四季のうつろい

10月27日の記事「秋のソナタ」を書いてしまったならば、どうしても触れざる得ないネタがある。「ブラームスは春夏秋冬のどれが好きなのだろうか?」という話である。

標題音楽に背を向けたブラームスであるから、作品のタイトルに四季の痕跡を見ることは難しい。弦楽六重奏曲第1番が「春の六重奏曲」とあだ名されているが、ブラームス本人の関知するところではない。器楽作品の中には四季のいずれかを暗示する部分は無いと考えていい。

やはり四季に対する感性は欧米人と日本人では差があるのかもしれない。ビートルズは膨大な作品を残しながら「四季」を何らかの形で盛り込んでいるのは「Here comes the sun」の「winter」ただ一箇所だったと思う。

ブラームスとて例外ではない。しかし歌曲の作曲のためにブラームスが選んだ詩には、わずかながら四季を描写したものがある。タイトルそのものに四季のいずれかが盛り込まれているケースや、タイトルには無いものの歌詞の中に四季を盛り込んでいるケースである。総数としてあまり多くないので以下に列挙する。対象は四季(春夏秋冬)の言葉が直接出現するものに限った。日本人の感覚であれば四季を連想する単語であっても、カウントには入れていない。たとえば「雪」「夕立」「月」などはそれぞれ「冬」「夏」「秋」とも受け取れるが、ブラームスもそうだったとは断言できないのでカウントしていないということだ。また「五月」も「春」か「夏」か怪しいのでノーカウントとした。

<春>

  1. 愛と春Ⅰ op3-2
  2. 愛と春Ⅱ op3-3
  3. 春 op6-2
  4. 誓い op7-2
  5. 春の慰め op63-1
  6. 春は優しい恋の季節だ op71-1
  7. 秘め事 op71-3
  8. 恋歌 op71-5
  9. 昔の恋 op72-1
  10. 春の歌 op85-5
  11. 調べのように op105-1
  12. ねこやなぎ op107-4

<夏>

  1. おお来たれ、心地よい夏の午後よop58-4
  2. 夏の宵 op84-1
  3. 夏の宵 op85-1

<秋>

  1. 秋思 op48-7
  2. 野を渡って op86-4

<冬>

  1. 霜が置いて op106-3

ご覧の通りこの勝負は「春」の圧勝である。

ブラームスの故郷ハンブルグは北国である。ウイーンはハンブルグよりは相当南だけれども、緯度で言うなら日本の北海道に相当する。当然冬は厳しく、夏は短い。長い冬から開放される春を待つ気持ちは、日本人の想像を超えていると思われる。そして春は5月からなのだ。「五月の夜」や歌詞に「五月」が出てくる「口づけ」op19-1は、「春」に加えてもいいくらいなのだ。

逆に秋は短い。日本のように秋を初秋、仲秋、晩秋と3分割出来るほど長くないのだ。その長くない秋は、冬に備える準備で忙しいのだ。そうした感覚が上記の統計に反映していると思われる。

春12曲のうち短調は4番と8番の2曲だけだ。夏は2番が短調だ。春夏15曲のうち短調は3曲だけである。一方秋冬は3曲全て短調になっている。

秋にブラームスが聴きたくなったり、秋というとブラームスを連想するのは日本人の特徴のようだが、こと歌曲の題材で見る限り「春」優勢は動かし難い。ドイツに当時流布していたテキストが数の上で元々「春優勢」で、ブラームスは満遍なく曲を付けただけという可能性もあるが、留意だけはしておきたい。

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