このところ宴会が多いとかいた。宴会までの時間つぶしに近くの書店に立ち寄っていてお宝に遭遇。
2010年刊行の料理本。ドイツというのが決め手。ドイツ料理が様々な切り口から語られる。人物、地理、歴史、食材など様々な角度からドイツ料理に切り込んでいる。著者は名高いドイツ料理のシェフだ。
問題は人物。取り上げられているのは下記。
簡単な略歴に始まり、ゆかりの土地を切り口に料理に切り込む。1人最低1つはレシピーが写真付きで紹介される。
素材や料理はさすがに詳しい。
ハンバーグ、キャベツ、じゃがいもなど目から鱗の詳しさ。そしてそしてビールやワインも地場の特徴が雄弁に語られる。特筆すべきはお酢だ。他の欧州系の料理に比べドイツ料理はお酢の使用頻度が段違いだと指摘して、お酢の効能まで事細かである。
ドイツとひとくくりにしてしまいがちな点に釘をさす。キーワードは「多彩さ」だ。地域ごとの特性だったり、郷土料理ならほとんど家庭ごとの多彩さだと何度も何度も念が押される。
ワールドカップカタール大会まで2か月のこのタイミングで日本代表の強化試合が組まれた。23日と27日だ。某大手ビール会社は、長くサッカー日本代表を後援しているからスポンサー名を冠した大会になる。今回の会場は2試合ともドイツ・デュッセルドルフである。勝者にはカップのほかに副賞が贈られる。これが同社のビール一年分だと誇らしげだ。国内の開催であれば気にも留めていなかったのだが、ドイツ開催でもビール1年分が賞品だと聞いてのけぞった。
デュッセルドルフと言えば特産のアルトビールが名高い。後から現れて市場を席捲した下面発酵ビールに対して古い製法を守っているという意味でドイツ語「Alt」が冠される。これにとどまらずドイツは周知の通りビール王国だ。ナショナルブランドに背を向け地ビール志向が強い。上位10社集めてもマーケットシェアは50%に届かないはずだ。おまけにドイツでは日本やアメリカでは一般的な米やコーンスターチなど副原料の使用は固く禁じられている。「ラガー」の意味も日本とは大違いでもある。同地の「アルトビール」は日本での通念と違って「ラガー」の反対概念だ。よりによってそのおひざ元の大会でかつてラガーを主力品ともしていた会社が副賞にビール1年分とは、いろいろと心配になる。
本場ドイツの地で勝利を収めたチームに、日本のビール1年分を副賞として贈呈することがマーケティング上プラスだというゆるぎない自信。アメリカとエクアドル相手に1勝1分けは悪くないが、副賞が気になって仕方がない。
酒宴系歌曲を物色しているとすぐに気づく。合唱曲にも同じノリが多い。CDショップをうろついていて興味深いCDを見つけた。
シューベルト世俗合唱曲全集だ。7枚組には下記の通りのタイトルがついている。
3巻の「永遠」と6番の「祝祭」には、どう見ても宗教的な作品がはいっているなど突っ込みどころはあるけれど、7巻がズバリ酒宴系になっている。どれもピアノ伴奏付の合唱曲だがこの7巻が一番楽しめる。
酒宴系作品を収録順に列挙する。
いやもう独唱よりは層が厚い。酒宴だから列席者で唱和するのが美しいということか。大好きなヘルティが2曲もある。昨日紹介した独唱歌曲とのテキストの重複はD183のケルナーだけ。独唱も合唱も同じD183を背負っている。D356は未完でピアノパートをチェルニーが補っているという。とにかく突っ込みどころ満載で飽きない。
そしてそしてブックレットにはオリジナルのテキストが全文掲載されている。見ての通りジャケットはビールがモチーフになっているから、もしやと思ったが、テキストにビールは全く出ない。全てワインだ。ジャケットのオクトーバーフェスト然とした絵は紛らわしい。楽しいから許すけど。
シューベルトは仲間との語らいのために、多くはアルコール入りの集まりのためにふさわしいテキストを選んでしきりに曲を付けていたと解したい。それは独唱歌曲よりむしろ合唱曲に重心がある。独唱というテーマからは千鳥足気味の逸脱だ。
酒宴好きは洋の東西を問わない。万葉集にも飲酒や宴会礼賛の歌を見かけるが、シューベルトの独唱歌曲にもざっとタイトルに現れるだけで以下の通り存在する。
最初のD183は1815年の作曲だからシューベルトは18歳だがひるむ様子もない。まずは上記8番。この中では異質。タイトルに「酒宴」があるけれど、短調はこの曲だけだし、演奏時間も3分を越えている。どこか物語調だ。それ以外はみなイケイケの長調で、すかっと短い。「それでは皆様お手許の杯をもってご起立ください」とやったあとにあいさつ代わりに歌われる感じ。どれも2分以内。乾杯前の長い挨拶は得てして嫌われる。5番は「結婚の歌」ではあるのだが、聴いた感じは婚礼の酒宴みたいなイメージなので入れておいた。飲まれているお酒はどうもワイン優勢な感じがする。
問題は、ブラームスの歌曲にはこの手の宴会礼賛の作品は無いことだ。ブラームス自身はお酒好き、宴会好きであったと複数の証言があるけれど、そういうテキストに曲を付けていないということだ。
毎年9月末から開催されるミュンヘンのオクトーバーフェストが今年は感染症の影響で中止になった。ドイツでは自国開催のオリンピック以上の関心事だが、4月には中止が決まっていた。世界最大のビール祭りで、その規模からして早々の中止決定には感心しきりだ。消費量が半端でないだけに、ビールの仕込みや食材の調達には時間がかかる。決定を躊躇するとフードロスが出るに決まっている。
オンラインオクトーバーフェストでは盛り上がるにしても量が進むまい。
今回の旅行で賞味したビールを一覧化する。飲んだ日/飲んだ街/銘柄/造られた街
<01>08.08/Tokyo/Schlenkerla/Bamberg
<02>08.08/Tokyo/Spaten/Munchen
<03>08.09/Munchen/Erdinger/Munchen
<04>08.10/Nurnberg/AltstadthofRot/Nurnberg
<05>08.10/Nurnberg/AltstadthofSchwarz/Nurnberg
<06>08.10/Nurnberg/AltstadthofSchwarzrot/Nurnberg
写真を撮りそこなうという失態。
<07>08.11/Leipzig/LeipzigerGose/Leipzig
<08>08.11/Leipzig/Auerbachkeller/Leipzig
<09>08.12/BadKostritz/Kostritzerschwarz/BadKostritz
<10>08.12/Leipzig/Ur-Krossnitzer/Krossnitz
<11>08.13/Eisenach/Eisenacherschwarz/Eisenach
<12>08.13/Eisenach/Radebergerpils/Radeberg
<13>08.14/Hamburg/Hasseroderpils/Wernigerode
<14>08.14/Hamburg/Groningerpils/Hamburg
<15>08.15/Hamburg/Kostritzerkeller/Badkostritz
<16>08.15/Hamburg/Diebelsalt/Diebels
<17>08.16/Lubeck/Aktienhelles/Bayreuth
<18>08.16/Lubeck/Bitburgerpils/Bitburg
<19>08.16/Lubeck/Ducksteinoriginal/Bayreuth
<20>08.17/Flensburg/Flensburgerdunkel/Flensburg
<21>08.17/Flensburg/Flensburgerpils/Flensburg
<22>08.17/Rensburg/Flensburgerkeller/Flensburg
<23>08.17/Lubeck/Holstenpils/Hamburg
<24>08.17/Lubeck/Carlsbergpils/Denmark
<25>08.17/Frankfurt/Licherpils/Lich
<26>08.17/Frankfurt/Franziskanerweiss/Munchen
ラーツケラーは「Ratskeller」と綴る。「市庁舎ビアホール」とでも理解すればいい。いわゆる「市営」なのかは確信がないけれど、大抵は市庁舎至近の位置で、市庁舎の建屋の内部ということも少なくない。
旅行最後の夕食はリューベック市庁舎併設のラーツケラーでとった。
いやあ、「ハンゼザール」とはおしゃれだ。「ハンザホール」の意味だ。ここはハンザシュタットだった。
まずはホルステンのピルス㉒だ。ハンブルク産の有名なブランドだ。瓶や缶なら日本でも割と飲める。樽ナマの味わいはいかにと所望したが、これが当たりだった。揺り越すばかりの泡立ちで感激した。この旅行中賞味したビールの中では苦味最高だ。食欲をそそるし、渇きをいやすという効果は大きい。料理が来る前に飲み干せた。
次はと注文したのが以下。
今や多国籍企業デンマークのカールスバーグピルス㉓である。先の52分のデンマーク訪問で飲み損ねた敵討ちである。旅行中唯一ドイツ以外のビールだが、ここの酵母はミュンヘンのシュパーテン由来なので良しとする。日本で飲むのとは別物の超正当なピルス。
頼みもせんのにシュペッツレが出てきたのかと思いきや付け合わせだ。いわば麺状マッシュポテト。山盛りだ。おいしいので食べられたのは幸いだった。
バニラとナッツのアイスクリーム。キャラメルソース付きをミットザーネで。これもおいしかった。生クリームが甘くないので別腹に拍車がかかる。
壁にかけてあった装飾。皮製の前掛けだろう。ラーツケラーマイスターと書いてある。何とか土産にと食い下がってはみたものの残念ながら非売品だった。
001 用語解説 002 ドイツ旅行① 003 ドイツ旅行② 004 ドイツ旅行③ 050 空席状況 051 お知らせ 052 総集編 053 アラビアンナイト計画 054 セバスチャン 055 令和百人一首 056 拾葉百首 060 ブラームス神社 061 縁起 063 賽銭 070 ドイツ分室 071 地名辞書 072 地名探検 073 地名語尾辞典 074 地名語尾 075 ドイツ語 076 ドイツ方言 077 ドイツ史 078 ハプスブルク 079 人名辞典 080 イベント 081 謝恩クイズ 082 かるた 083 のだめ 084 お盆 085 中国出張 086 英国研修 087 ブログ出版 088 意訳委員会 089 ドヴォルザークイヤー総集編 090 ドヴォルザーク作品一覧 091 平均律与太話 092 暦 093 バロック 094 ドイツバロック 095 イタリアンバロック 096 65の手習い 100 作曲 101 編曲 102 楽譜 103 音符 104 楽語 105 テンポ 106 音強 107 拍子 108 調性 109 奏法 110 演奏 111 旋律 112 音型 113 リズム 114 和声 115 対位法 116 形式 117 編成 118 ヘミオラ 119 テキスト 120 ベースライン 121 再現部 122 微調整語 123 語彙 124 表情 125 伴奏 126 ジプシー音楽 140 ソナタ 141 変奏曲 142 フーガ 143 ロンド 144 コラール 145 間奏曲 146 スケルツォ 147 ワルツ 148 レントラー 149 緩徐楽章 150 セレナーデ 153 カプリチオ 154 トリオ 155 序奏 156 シャコンヌ 157 メヌエット 158 舞曲 159 カンタータ 160 ブラームス節 161 分布 162 引用 170 楽器 171 ピアノ 172 ヴァイオリン 173 ヴィオラ 174 チェロ 175 コントラバス 177 オーボエ 178 クラリネット 179 ファゴット 180 ホルン 181 トランペット 182 トロンボーン 183 チューバ 184 ティンパニ 185 トライアングル 186 チェンバロ 187 オルガン 190 鍵盤楽器 191 弦楽器 192 木管楽器 193 金管楽器 194 打楽器 195 メゾソプラノ 196 アルト 200 作品 201 ピアノ曲 202 歌曲 203 器楽 204 室内楽 205 交響曲 206 協奏曲 207 管弦楽曲 208 合唱 209 重唱 210 民謡 211 オルガン 212 オペラ 213 カノン 214 連弾 215 練習曲 216 学生歌 230 ドイツレクイエム 231 交響曲第1番 232 交響曲第2番 233 交響曲第3番 234 交響曲第4番 235 大学祝典序曲 236 ヴァイオリン協奏曲 237 ピアノ協奏曲第1番 238 ピアノ協奏曲第2番 239 二重協奏曲 248 弦楽六重奏曲第1番 249 弦楽六重奏曲第2番 250 ピアノ五重奏曲 251 クラリネット五重奏曲 252 弦楽五重奏曲第1番 253 弦楽五重奏曲第2番 254 弦楽四重奏曲第1番 255 弦楽四重奏曲第2番 256 弦楽四重奏曲第3番 257 ピアノ四重奏曲第1番 258 ピアノ四重奏曲第2番 259 ピアノ四重奏曲第3番 260 ピアノ三重奏曲第1番 261 ピアノ三重奏曲第2番 262 ピアノ三重奏曲第3番 263 ホルン三重奏曲 264 クラリネット三重奏曲 265 ヴァイオリンソナタ第1番雨の歌 266 ヴァイオリンソナタ第2番 267 ヴァイオリンソナタ第3番 268 チェロソナタ第1番 269 チェロソナタ第2番 270 クラリネットソナタ第1番 271 クラリネットソナタ第2場 272 FAEソナタ 300 作曲家 301 バッハ 302 シェーンベルク 303 ドヴォルザーク 304 ベートーヴェン 305 シューマン 306 メンデルスゾーン 307 モーツアルト 308 ショパン 309 シューベルト 310 ワーグナー 311 マーラー 312 チャイコフスキー 313 Rシュトラウス 314 リスト 315 ヘンデル 316 ヴィヴァルディ 317 ヴェルディ 318 ヨハン・シュトラウスⅡ 319 ビゼー 320 ブルックナー 321 ハイドン 322 レーガー 323 ショスタコーヴィチ 324 テレマン 325 ブクステフーデ 326 パッヘルベル 327 シュメルツァー 328 フローベルガー 330 プレトリウス 331 シュッツ 350 演奏家 351 クララ 352 ヨアヒム 353 ミュールフェルト 354 アマーリエ 356 ビューロー 357 クライスラー 358 ヘンシェル 362 シュットクハウゼン 400 人物 401 ファミリー 402 マルクゼン 403 ジムロック 404 シュピッタ 405 ビルロート 407 ビスマルク 408 ハンスリック 409 フェリクス 411 マンディ 412 ヴィトマン 416 カルベック 417 ガイリンガー 418 エルク 419 グリム兄弟 420 森鴎外 421 ルター 422 源実朝 431 アガーテ 432 リーズル 433 マリエ 434 ユーリエ 435 オイゲーニエ 436 ベルタ 437 リースヒェン 438 オティーリエ 439 シュピース 440 トゥルクサ 441 バルビ 442 シシィ 443 メルケル 500 逸話 501 生い立ち 502 性格 503 学習 504 死 505 葬儀 506 職務 507 マネー 508 報酬 509 寄付 510 顕彰 511 信仰 512 友情 513 恋 514 噂 515 別れ 516 こだわり 517 癖 518 読書 519 リゾート 520 旅行 521 鉄道 522 散歩 523 食事 524 ワイン 525 タバコ 526 コーヒー 527 趣味 528 手紙 529 ジョーク 530 習慣 531 住居 532 恩人 533 指揮者 534 教師 535 暗譜 536 美術 537 ビール 550 楽友協会 551 ジンクアカデミー 552 ハンブルク女声合唱団 553 赤いハリネズミ 554 論争 555 出版社 556 初版 557 献呈 558 伝記 559 初演 560 校訂 571 ウィーン 572 ハンブルク 573 イシュル 574 トゥーン 575 デトモルト 576 ペルチャッハ 577 ライプチヒ 578 デュッセルドルフ 579 フランクフルト 580 ベルリン 581 アイゼナハ 582 リューベック 583 ニュルンベルク 590 イタリア 591 イギリス 592 チェコ 600 ブログMng 601 運営方針 602 自主規制 603 アクセス 604 検索 605 カテゴリー 606 記事備蓄 607 創立記念日 608 ブログパーツ 609 舞台裏 610 取材メモ 611 マッコークル 612 シュミーダー 613 一覧表 614 課題 615 カレンダリング 616 ゴール 617 キリ番アクセス 618 キリ番記事 630 記念 631 誕生日 632 命日 633 演奏会 634 正月 635 ヴァレンタイン 636 クリスマス 637 ブラームス忌 638 ブラスマス 639 クララ忌 641 愛鳥週間 642 ランキング 699 仮置き 700 思い 701 仮説 702 疑問 703 お叱り覚悟 704 発見 705 奇遇 706 区切り 707 モチベーション 708 演奏会 709 感謝 710 よろこび 711 譜読み 712 音楽史 720 日本史 721 日本人 722 日本語 723 短歌俳句 724 漢詩 725 三国志 727 映画 728 写譜 730 写真 731 数学 732 レッスン 733 ビートルズ 740 昔話 741 仲間 742 大学オケ 743 高校オケ 760 家族 761 父 762 母 763 妻 764 長男 765 長女 766 次女 767 恩師 768 孫 780 スポーツ 781 野球 782 駅伝 783 バスケットボール 784 サッカー 785 アントラーズ 786 バドミントン 790 コレクション 791 CD 792 ipod 793 楽譜 794 書籍 795 グッズ 796 愛器 797 職場のオケ 800 執筆の周辺 801 執筆の方針 802 ブラダス 803 校正 804 譜例 807 パソコン 808 ネット 809 ドボダス 810 ミンダス 820 出版の周辺 821 パートナー 822 契約 823 装丁 825 刊行記念日 840 販売の周辺 841 お買上げ 842 名刺 860 献本 861 ドイツ国立図書館
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