シューベルトの歌曲をたどって
素晴らしい書物のタイトル。オリジナルは「Auf den spuren der Schubert-Lieder」という。著者は不世出の大歌手ディートリヒ・フィッシャーディースカウ先生だ。1971年の出版で、全訳の出版は1976年。この度の歌曲特集を展開するために不可欠ということでネットで購入。
2012年のフィッシャーディースカウ追悼の復刻版である。定価より高いというよくあるパターンだが背に腹は何とかで購入。
すごい本だ。買ってよかった。シューベルトの生涯を折々の歌曲作品で辿るという趣旨なのだが、学者然とした目線と大芸術家というスタンスが絶妙なバランスを見せる。ほぼ作曲順に作品をトレースするという縦糸に、テキストの作者という横糸を混ぜ、楽譜、手紙、批評、日記などの様々な資料に裏付けられた堂々たる学問書だ。
シューベルトの歌曲作品をブログ上で辿る際の優秀なガイドブックとしてこの先頻繁に引用することとする。
フィッシャーディースカウおそるべし。
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