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カテゴリー「560 校訂」の5件の記事

2019年5月25日 (土)

校訂者ルスト

楽譜屋さんにお取り寄せを頼んでおいた楽譜が届いた。バッハのオルガン作品のうち「前奏曲とフーガ」の全集という謳い文句につられて買い求めた。4か月待ちも苦にならずワクワクと待った。

全集というからにはBWV531から始まる「前奏曲とフーガ」がもれなくBWV番号順に収載されている。写真左。表紙を飾るのはハンブルク聖ヤコビ教会のシュニットガーオルガンだ。右側のものと合わせてオルガン自由曲がコンプリートする。

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校訂者はウィルヘルム・ルスト。ブラームスがトマスカントルへの就任要請を固辞した際に、代わりにと白羽の矢が立った人物。つまりトマスカントルだ。

 

2009年10月 6日 (火)

新世界交響曲

ドヴォルザークのホ短調交響曲の通称だ。ベートーヴェンの第5番、シューベルトの第8番と並んで3大交響曲と呼ぶ人もいる。

大学4年団長になって初めて臨んだ定期演奏会のメインプログラムだった。

ドヴォルザークの伝記である限り1892年に渡米したことに触れずにすませることは出来ない。「新世界」とは新大陸つまりアメリカのことだ。弦楽四重奏曲第12番「アメリカ」と同じくアメリカ滞在中の作品である。

ドヴォルザークはト長調交響曲の出版に際して出版社ジムロックと不和に陥った。だからこれが英国の出版社から刊行され一部で「イギリス」と呼ばれているのだが、この新世界交響曲の出版は、何故かそのジムロックに委ねられた。そしてジムロックは出版に際しての校訂をブラームスに依頼した。1893年ブラームス60歳である。ブラームスの楽譜校訂の腕前は折り紙付きだ。ましてやこのころ既にブラームスは楽壇の大物だ。ブラームスから作品の感想を送られたドヴォルザークはいたく感激したそうだ。

ドヴォルザークへの入れ込みぶりは並ではないということだ。

音楽之友社刊行の「ブラームス回想録集」第2巻153ページ。1896年2月16日のホイベルガーの証言はこれを裏付ける。ブラームスは新世界交響曲を暗譜していたことが明らかになる。心をこめて校訂しているうちに暗譜してしまったのだと思う。暗譜するほどの気合いだ。

ブラームスは新世界交響曲の行く末を案ずるハンスリックに対して穏やかに反論する。「必ず共感する友を得られる健全な曲」と評している。

2009年1月31日 (土)

シューベルト交響曲全集

1884年と1885年の2回に分けてブライトコップフ社は、シューベルトの交響曲全集の楽譜を出版した。

今日がシューベルトの誕生日であることだけが、この記事を掲載した理由ではない。実は、このときのシューベルト全集の校訂にブラームスが深く関与していた。おのおのの巻にブラームスの名前は書かれていないものの、編集委員会に参画していたらしい。

音楽之友社刊行の「作曲家◎人と作品シリーズ」のブラームスのあとがきにおいて、著者西原稔先生が、いみじくも指摘しておられる。「楽壇を2分した論争の当事者」「ベートーヴェンの後継者」という面だけの解釈でよいのかという問題提起に続き、今後は「シューベルトの後継者」としてのブラームスという面からいっそう研究が展開されるべきだと力説されている。

本当はカテゴリー「シューベルト」があってもバチが当たらないくらいなのだと思う。

2008年12月 5日 (金)

モツレク

モーツアルトのレクイエムを指す。おそらく日本の愛好家独特の言い回しである。

ケッヘル番号626を背負うモーツアルト最後の作品だが、実はモーツアルトは完成させることが出来ずに世を去った。モーツアルトの意思を受け継いで完成にこぎつけたのは、弟子のジュスマイヤーだった。だからこのレクイエムには、モーツアルト本人の手による部分と、弟子の補筆による部分が混在している。古来より作曲技法の拙い部分に加筆修正を施す試みが行われてきた。

レクイエムのスコアの中からモーツアルト自身による音符と、ジュスマイヤーによる音符を峻別する作業にブラームスが関わっていたことが、友人のジョージ・ヘンシェルによって証言されている。関わっていたどころか、その作業の主役であったかのようなニュアンスも感じられる。

楽譜の校訂に深く関わっていたのは何もバッハだけではないのだ。

2008年10月17日 (金)

ショパン全集

ショパンの楽譜の話である。

現在ショパン楽譜の全集と言えば、パデレフスキー版がポピュラーだ。ピアニストでポーランド首相でもあったパデレフスキーの編集。ショパン没後100年記念事業の一環として国家の威信をかけて刊行された。

他にショパンコンクールご用達のエキネル版やウイーン原典版も存在する。

この話、実はブラームスに関係が大ありだ。

1878年だから、今から130年前にもショパン全集が刊行された。このとき何とブラームスは校訂者として参画していた。お茶濁し程度の参画ではなくてほとんど編集主幹のノリだ。

  • 第 3巻 マズルカ
  • 第 4巻 ノクターン
  • 第 8巻 ソナタ
  • 第10巻 その他
  • 第11巻 ピアノと弦楽器
  • 第12巻 ピアノと管弦楽
  • 第13巻 遺作

上記計7巻を担当するという活躍ぶりだった。その気になれば「ショパンの辞書」でも書けるくらいだったのではあるまいか。

1863年完成の「パガニーニの主題による変奏曲」以降、遠ざかっていたピアノ独奏曲の作曲に戻ってきたのは「8つのピアノ小品」op76で、何を隠そう1878年の作品だ。ショパン作品の校訂により創作欲が刺激されたとも思われる。偶然の一致として一笑に付せない重みがある。

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