ブラームス神社

  • 道中安全祈願

おみくじ

  • テンプレート改訂しました

独逸日記

  • ドイツ鉄道博物館のおみやげ
    2012年3月28日から4月4日まで、次女の高校オケのドイツ公演を長男と追いかけた珍道中の記録。厳選写真で振り返る。

ビアライゼ

  • Schlenkerla
    自分で買い求めて賞味したビールの写真。ドイツとオーストリアの製品だけを厳選して掲載する。

カテゴリー

カテゴリー「575 デトモルト」の6件の記事

2021年7月28日 (水)

就職試験

1857年5月31日。ブラームスはデトモルトの宮廷を訪問して1週間滞在した。同宮廷でピアノを教えていたクララ・シューマンが英国に演奏旅行することになったために、クララ自身がブラームスを後任に推挙したためだ。その1週間、ブラームスはピアノを教えるかたわら、バッハやベートーヴェンの作品を演奏する機会を与えられた。いわば就職試験である。

結果はもちろん合格。そりゃあまあクララの推挙だから限りなく当確なのだろうが、一応試用期間があったと見るべきだろう。

なんということか、その期間中、ブラームスはシューベルトのピアノ五重奏曲イ長調「ます」をピアニストとして演奏した。同曲第4楽章は歌曲「ます 」D550の旋律がそのまま引用された変奏曲である。ピアノパートがどれほどの腕前を要求されるものかわからぬが、15歳で「ワルトシュタイン」を弾いたブラームスだから問題は生じなかったと思われる。聴いてみたい。

「Fischer」でネタで忙しくて言い忘れた。

 

2021年7月25日 (日)

ます

オリジナルでは「Die Forelle」と綴る。魚の「ます」である。ドイチュ番号「550」を背負うシューベルト歌曲の代表格で知名度で申すなら頂上付近だ。ピアノ五重奏にも主題が転用されて名高い。シューバルトという名前の紛らわしい詩人のテキスト。バランスのとれた有節歌曲だ。

小川を元気に泳ぐますの描写に始まるが、狡猾な漁師の策にはまって釣られてしまう。水を濁らせるところの引き締まった転調がシャープだ。オリジナルには、だから身を慎みなさいと言う教訓を含むのだが、その部分は省略されている。

そう。タイトルにこそ現れないがこれもFischerが出現する。

2021年1月13日 (水)

ケンペル

ウエストファーレン・レムゴ生まれの医師。鎖国真っ只中の元禄時代に日本を訪れて、オランダ商館医師として2度に亘って江戸に赴き、将軍綱吉と謁見した。彼の死後出版された「日本誌」は英語版、フランス語版、ドイツ語版ともに広く人々に読まれた。

帰国後1698年にデトモルト侯の侍医として召されて1716年に没した。彼の遺品は英国の収集家の手に渡ったが、一部の日常品はそのままデトモルトの宮殿に残されて現在に至っている。

ブラームスは1857年から1859年までの3年間毎年9月から3ヶ月間デトモルトの宮廷に勤務した。合唱団の指導や貴婦人たちへのピアノ教授がその職務だったが、比較的時間に余裕があったとされている。

だから、ブラームスがデトモルト宮所蔵のケンペルの遺品、日本の調度品や食器を見た可能性は排除できない。

2016年9月11日 (日)

デトモルト近郊

1856年ロベルト・シューマンが没したことにより、ブラームスの献身は一区切りを迎えた。明くる1857年5月31日からおよそ一週間デトモルトに滞在し宮廷で演奏した。クララの紹介はあったものの、これは実質就職試験だった。結果は「採用」だった。同年9月からデトモルトの宮廷勤務が始まった。9月から12月までの季節限定勤務で、1859年までの3年間続けられた。

デトモルト。ビーレフェルトの南東およそ25kmに位置する小さな街。小さくはあるがリッペ・デトモルト公国の首都。森に囲まれた自然環境と、けして多忙ではない職務の間、ブラームスは周囲の自然を堪能した。

デトモルトについて調べているうちにこの街が、ドイツ史の中で特筆される位置にあることがわかってきた。特にブラームスが滞在した19世紀中ごろまでは、名実共に歴史の街だった。

世に言う「トイトブルクの戦い」。敗者はローマ帝国ゲルマニア駐在の司令官ヴァルス。勝者はケルスキー族の王アルミニウスの戦。「桶狭間」と「本能寺」と「関が原」をあわせたような位置づけにある。

まずは「桶狭間」。海道一の弓取り今川義元が、当時無名の織田信長に敗れた戦い。「雨」「奇襲」「油断」が、戦国最大の番狂わせを実現させた。ヴァルス率いるローマ軍団18000が、雨の中トイトブルクの隘路で全滅させられた。

そして「本能寺」。勝ったアルミニウスは、ローマに学んで東方戦線での勲功により騎士に列せられていた、れっきとしたローマ市民。あろうことかヴァルスの部下。この戦いはアルミニウスの謀反だ。

最後に「関が原」。戦いの帰趨が後世に与えた影響という意味で比肩する。歴史に「たられば」は無いと前置きされながら、「もし結果が逆だったら」としばしば考察されてきた。おそらくローマはエルベ川までを属領としたに違いない。現代のドイツはかなり形を変えていたと考えられている。

さて9月11日といえば、アメリカを震撼させた同時多発テロの日だが、このトイトブルクの戦いは西暦9年9月11日とされている。

アルミニウスが属したケルスキー族の本拠地こそが、デトモルト付近だ。ブラームスが勤務していた頃は、トイトブルクの古戦場もデトモルト近郊だと信じられていた。

2013年7月19日 (金)

惜しむらくは

図書館で見つけた「ビールを読む」という本にすっかりはまっている。都市と文化をビールという切り口から見つめなおすという秀逸な趣旨。さして大きくもない街の話題を丹念に掘り下げて行く姿勢が本当にたくましい。

文句をいう筋合いはまったくないし、揚げ足取りでもないのだが、一つだけ残念なことがある。同書の63ページ第4章が「デトモルト」のために捧げられている。この小さな街の歴史やゆかりの人物がビールをからめて活写されているのだが、ブラームスへの言及がない。申すまでも無くデトモルトはブラームスが最初に就職した街。1857年から3年の間時間限定で同地の宮廷に勤務した。

同書がブラームスに言及していたらもっと記事が稼げた。

2011年7月18日 (月)

ブラームスゆかりの街

ブラームスの伝記に深く親しんでいると、ブラームスと特に関係の深い街があるとわかる。ブログ「ブラームスの辞書」ではこのほど以下の通り「ブラームスゆかりの街30選」を選定した。

  1. ハンブルク ★★★★★ ブラームスの故郷。1862年29歳でウィーンに出るまでこの街で過ごした。名誉市民でもある。
  2. ウィーン ★★★★★ 1862年から1897年に没するまで35年過ごした。1年のうち4ヶ月は避暑のためにウィーンを離れるものの蜜月関係は疑えず、中央墓地に埋葬されている。
  3. デュッセルドルフ ★★★★☆ 1853年二十歳のブラームスがシューマン邸を訪問して音楽史が変わった。シューマン投身の報を聞いてブラームスが馳せ参じた街。
  4. イシュル ★★★★☆ 避暑地として最多の滞在。楽壇の重鎮はここでも人気者。
  5. フランクフルト ★★★★クララシューマン臨終の地。クララの家で最後の対面が実現した。
  6. バーデンバーデン ★★★★ クララの別荘があった。1862年から10年間ほぼ毎年訪れた。イシュルと双璧をなすお気に入り。
  7. ブレーメン ★★★★ ドイツレクイエム初演の地。
  8. ペルチャッハ ★★★★ 第2交響曲作曲など一連傑作群を生んだ。
  9. ゲッティンゲン ★★★☆ ヨアヒムと学びアガーテと出会う。
  10. デトモルト ★★★☆ クララの斡旋によるはじめて就職した宮廷。
  11. マイニンゲン ★★★ 第4交響曲初演。宮廷楽壇の機能を丸ごと貸与したビューローの功績とともに。
  12. ボン ★★★ シューマン夫妻埋葬の地。エンデニヒにも近い。
  13. カールスルーエ ★★★ 第一交響曲初演。「宮廷劇場」
  14. ライプチヒ ★★★ ピアノ協奏曲第1番不評。クララの父にも会っている。
  15. カルロヴィヴァリ ★★☆ 肝臓の治療に訪れた。
  16. ブレスラウ ★★☆ ブレスラウ大学より名誉博士号受諾。
  17. ミュルツツーシュラーク ★★☆ 第4交響曲作曲。火災の救援に参加。
  18. トゥーン ★☆3度の夏を過ごしたスイスの保養地。
  19. ヴィースバーデン ★☆第3交響曲作曲の地。
  20. ザスニッツ ★☆ 第1交響曲作曲の地。 
  21. プレスバウム ★ ピアノ協奏曲第2番作曲の地。
  22. トゥツィング ★弦楽四重奏曲第1番2番作曲の地。
  23. ブダペスト ★ マーラーのドンジョヴァンニを聴いた。
  24. ハノーファー ★ シューマン投身の報をココで受ける。
  25. リューデスハイム ★ベッケラートの家がある。
  26. ケルン ☆ ダブルコンチェルト初演。
  27. グムンデン ☆ 初のブラームス博物館。
  28. ベルヒテスガーデン ☆ 大学祝典序曲ピアノ版初演。相手はクララ。
  29. リシュリコン ☆ 第一交響曲を作曲。
  30. ワイマール ☆ リストの前で居眠りしたという。 

その他のカテゴリー

001 用語解説 002 ドイツ旅行① 003 ドイツ旅行② 004 ドイツ旅行③ 050 空席状況 051 お知らせ 052 総集編 053 アラビアンナイト計画 054 セバスチャン 055 令和百人一首 056 拾葉百首 060 ブラームス神社 061 縁起 063 賽銭 070 ドイツ分室 071 地名辞書 072 地名探検 073 地名語尾辞典 074 地名語尾 075 ドイツ語 076 ドイツ方言 077 ドイツ史 078 ハプスブルク 079 人名辞典 080 イベント 081 謝恩クイズ 082 かるた 083 のだめ 084 お盆 085 中国出張 086 英国研修 087 ブログ出版 088 意訳委員会 089 ドヴォルザークイヤー総集編 090 ドヴォルザーク作品一覧 091 平均律与太話 092 暦 093 バロック 094 ドイツバロック 095 イタリアンバロック 100 作曲 101 編曲 102 楽譜 103 音符 104 楽語 105 テンポ 106 音強 107 拍子 108 調性 109 奏法 110 演奏 111 旋律 112 音型 113 リズム 114 和声 115 対位法 116 形式 117 編成 118 ヘミオラ 119 テキスト 120 ベースライン 121 再現部 122 微調整語 123 語彙 124 表情 125 伴奏 126 ジプシー音楽 140 ソナタ 141 変奏曲 142 フーガ 143 ロンド 144 コラール 145 間奏曲 146 スケルツォ 147 ワルツ 148 レントラー 149 緩徐楽章 150 セレナーデ 153 カプリチオ 154 トリオ 155 序奏 156 シャコンヌ 157 メヌエット 158 舞曲 159 カンタータ 160 ブラームス節 161 分布 162 引用 170 楽器 171 ピアノ 172 ヴァイオリン 173 ヴィオラ 174 チェロ 175 コントラバス 177 オーボエ 178 クラリネット 179 ファゴット 180 ホルン 181 トランペット 182 トロンボーン 183 チューバ 184 ティンパニ 185 トライアングル 186 チェンバロ 187 オルガン 190 鍵盤楽器 191 弦楽器 192 木管楽器 193 金管楽器 194 打楽器 195 メゾソプラノ 196 アルト 200 作品 201 ピアノ曲 202 歌曲 203 器楽 204 室内楽 205 交響曲 206 協奏曲 207 管弦楽曲 208 合唱 209 重唱 210 民謡 211 オルガン 212 オペラ 213 カノン 214 連弾 215 練習曲 216 学生歌 230 ドイツレクイエム 231 交響曲第1番 232 交響曲第2番 233 交響曲第3番 234 交響曲第4番 235 大学祝典序曲 236 ヴァイオリン協奏曲 237 ピアノ協奏曲第1番 238 ピアノ協奏曲第2番 239 二重協奏曲 248 弦楽六重奏曲第1番 249 弦楽六重奏曲第2番 250 ピアノ五重奏曲 251 クラリネット五重奏曲 252 弦楽五重奏曲第1番 253 弦楽五重奏曲第2番 254 弦楽四重奏曲第1番 255 弦楽四重奏曲第2番 256 弦楽四重奏曲第3番 257 ピアノ四重奏曲第1番 258 ピアノ四重奏曲第2番 259 ピアノ四重奏曲第3番 260 ピアノ三重奏曲第1番 261 ピアノ三重奏曲第2番 262 ピアノ三重奏曲第3番 263 ホルン三重奏曲 264 クラリネット三重奏曲 265 ヴァイオリンソナタ第1番雨の歌 266 ヴァイオリンソナタ第2番 267 ヴァイオリンソナタ第3番 268 チェロソナタ第1番 269 チェロソナタ第2番 270 クラリネットソナタ第1番 271 クラリネットソナタ第2場 272 FAEソナタ 300 作曲家 301 バッハ 302 シェーンベルク 303 ドヴォルザーク 304 ベートーヴェン 305 シューマン 306 メンデルスゾーン 307 モーツアルト 308 ショパン 309 シューベルト 310 ワーグナー 311 マーラー 312 チャイコフスキー 313 Rシュトラウス 314 リスト 315 ヘンデル 316 ヴィヴァルディ 317 ヴェルディ 318 ヨハン・シュトラウスⅡ 319 ビゼー 320 ブルックナー 321 ハイドン 322 レーガー 323 ショスタコーヴィチ 324 テレマン 325 ブクステフーデ 326 パッヘルベル 327 シュメルツァー 328 フローベルガー 330 プレトリウス 331 シュッツ 350 演奏家 351 クララ 352 ヨアヒム 353 ミュールフェルト 354 アマーリエ 356 ビューロー 357 クライスラー 358 ヘンシェル 362 シュットクハウゼン 400 人物 401 ファミリー 402 マルクゼン 403 ジムロック 404 シュピッタ 405 ビルロート 407 ビスマルク 408 ハンスリック 409 フェリクス 411 マンディ 412 ヴィトマン 416 カルベック 417 ガイリンガー 418 エルク 419 グリム兄弟 420 森鴎外 421 ルター 422 源実朝 431 アガーテ 432 リーズル 433 マリエ 434 ユーリエ 435 オイゲーニエ 436 ベルタ 437 リースヒェン 438 オティーリエ 439 シュピース 440 トゥルクサ 441 バルビ 442 シシィ 443 メルケル 500 逸話 501 生い立ち 502 性格 503 学習 504 死 505 葬儀 506 職務 507 マネー 508 報酬 509 寄付 510 顕彰 511 信仰 512 友情 513 恋 514 噂 515 別れ 516 こだわり 517 癖 518 読書 519 リゾート 520 旅行 521 鉄道 522 散歩 523 食事 524 ワイン 525 タバコ 526 コーヒー 527 趣味 528 手紙 529 ジョーク 530 習慣 531 住居 532 恩人 533 指揮者 534 教師 535 暗譜 536 美術 537 ビール 550 楽友協会 551 ジンクアカデミー 552 ハンブルク女声合唱団 553 赤いハリネズミ 554 論争 555 出版社 556 初版 557 献呈 558 伝記 559 初演 560 校訂 571 ウィーン 572 ハンブルク 573 イシュル 574 トゥーン 575 デトモルト 576 ペルチャッハ 577 ライプチヒ 578 デュッセルドルフ 579 フランクフルト 580 ベルリン 581 アイゼナハ 582 リューベック 583 ニュルンベルク 590 イタリア 591 イギリス 592 チェコ 600 ブログMng 601 運営方針 602 自主規制 603 アクセス 604 検索 605 カテゴリー 606 記事備蓄 607 創立記念日 608 ブログパーツ 609 舞台裏 610 取材メモ 611 マッコークル 612 シュミーダー 613 一覧表 614 課題 615 カレンダリング 616 ゴール 617 キリ番アクセス 618 キリ番記事 630 記念 631 誕生日 632 命日 633 演奏会 634 正月 635 ヴァレンタイン 636 クリスマス 637 ブラームス忌 638 ブラスマス 639 クララ忌 641 愛鳥週間 642 ランキング 699 仮置き 700 思い 701 仮説 702 疑問 703 お叱り覚悟 704 発見 705 奇遇 706 区切り 707 モチベーション 708 演奏会 709 感謝 710 よろこび 711 譜読み 712 音楽史 720 日本史 721 日本人 722 日本語 723 短歌俳句 724 漢詩 725 三国志 727 映画 728 写譜 730 写真 731 数学 732 レッスン 733 ビートルズ 740 昔話 741 仲間 742 大学オケ 743 高校オケ 760 家族 761 父 762 母 763 妻 764 長男 765 長女 766 次女 767 恩師 768 孫 780 スポーツ 781 野球 782 駅伝 783 バスケットボール 784 サッカー 785 アントラーズ 786 バドミントン 790 コレクション 791 CD 792 ipod 793 楽譜 794 書籍 795 グッズ 796 愛器 797 職場のオケ 800 執筆の周辺 801 執筆の方針 802 ブラダス 803 校正 804 譜例 807 パソコン 808 ネット 809 ドボダス 810 ミンダス 820 出版の周辺 821 パートナー 822 契約 823 装丁 825 刊行記念日 840 販売の周辺 841 お買上げ 842 名刺 860 献本 861 ドイツ国立図書館

フォト

ブラームスの辞書写真集

  • Img_0012
    はじめての自費出版作品「ブラームスの辞書」の姿を公開します。 カバーも表紙もブラウン基調にしました。 A5判、上製本、400ページの厚みをご覧ください。
2024年9月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30          
無料ブログはココログ