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カテゴリー「580 ベルリン」の14件の記事

2015年1月17日 (土)

カフェバウアー

森鴎外の「独逸日記」にしばしば現れるベルリンのカフェ。

1877年10月14日ベルリンはウンター・デン・リンデン26番地に開業。目抜き通りの一等地に堂々開業したこのカフェは、コーヒーショップを思い起こしてはいけない。華麗な内装、桟敷席、高い天井と広いサロン、有名画家による壁画。コーヒー1杯で好きなだけくつろげるウィーン風のカフェという触れ込みだった。開業後瞬く間にベルリン名所になった。

ビリヤード台のほかに、新聞雑誌が600種おかれ、3人の司書がこれを管理していたという情報ステーションでもあった。東京日日新聞も置かれていたらしい。

だから、ブラームスもきっと一度は立ち寄っていたと思う。

2014年10月28日 (火)

当日移動

音楽之友社刊行の「ブラームス回想録集」第3巻209ページに興味深い記述がある。ブラームスの弟子イェンナーの証言だ。

1887年12月にイェンナーが初めてブラームスに会ったときの話である。イェンナーはその夜ベルリンでヨアヒム主催の「カルテットの夕べ」を聴いた。

注目すべきことに、その演奏会の後、ライプチヒに移動して、夜遅くにホテルに着いたとある。ホテルの宿泊人名簿に「ブラームス」の名前があり、翌朝早くに面会している。

ベルリンからライプチヒまでは、現代ならICEで1時間20分程度だ。「カルテットの夕べ」と銘打ってある以上、開演は夕方以降であることは確実だ。夜行列車ではないものの、夜の列車を利用して当日中にライプチヒに入っている。

2014年5月17日 (土)

路面電車

ドイツ語では「Strassenbahn」か「Stadtbahn」と綴る。スペリングから判断する限り電化されていることが条件ではないようだ。ブラームスの故郷ハンブルクには市電は無いが、ドイツはあちこちの街に市電が発達している。ブラームスが乗ったことありそうな市電ベスト10を選定する。

  1. ウィーン 1865年開業の馬車鉄道が起原。電化は1897年だからおそらくブラームスは間に合っていない。馬車鉄道になら乗っていた。
  2. フランクフルト 1872年開業。晩年のクララを訪ねて盛んに訪問しているから乗っていたかもしれない。
  3. ライプチヒ 1872年開業。ピアノ協奏曲第1番で煮え湯を飲んだが、ヴァイオリン協奏曲初演のころから雪解け。しばしば立ち寄ったからきっと乗っている。
  4. ベルリン 1865年開業。ブラームスのベルリン嫌いは知られているが、ジムロックやヨアヒムが住んでいたからやはり何かのついでに乗っていたかもしれない。
  5. デュッセルドルフ 1876年開業。シューマン家に住んでいたころにはまだ未開通だったことがネック。演奏会でしばしば訪れていたからそのついでに乗ったかも。
  6. プラハ 1875年開業。ドヴォルザークに会いに出かけたついでに乗っていたような気がする。
  7. ドレスデン 1872年開業。ザクセンの首都だからしばしば演奏会で立ち寄った。ふとしたはずみで乗っていたかもしれない。
  8. ケルン 1877年開業。二重協奏曲初演の頃には開通していた。
  9. ボン 1892年開業。開業が遅いのがネックだが、いきなり電車だった可能性もある。
  10. ミラノ 1881年開業。イタリア旅行の際乗っていたかも。

1894年開業のグムンデンは軌道幅1000mmの珍しさが売りだが、少々遅い。上記3と7は愛好家にはお宝。ライプチヒの軌道幅1458mmとドレスデンの1450mmは、世界中でここだけの超レア軌道幅だ。その他はみな標準軌なのでつまらない。

2014年5月16日 (金)

世界初の市電

1881年5月16日ベルリン。世界初の市電が開業した。路面電車なのだが、世界初の電車。ベルリン市内のハウプトカッデンアンシュタートとグロースリヒターフェルデ間の2.4kmを所要時間10分で結んでいた。時速およそ20kmで一日12往復。座席数12だったという。

電車の製作はジーメンス社だった。

森鴎外のドイツ留学は1884年からだから、既に市電が走っていたと思われるが、独逸日記にも舞姫でも直接電車に言及してはいない。

ブラームスは1889年3月にヨアヒム演奏生活50周年の演奏会に出演しているが、市電に乗ったかどうか不明だ。

2014年5月 6日 (火)

ベルリンハンブルク鉄道

プロイセンの首都とドイツ随一の港を結ぶ大動脈。ベルリンハンブルク鉄道会社によって建設が進められた。1842年に開業したハンブルク-ベルゲドルフ鉄道は、単なる部分開業と位置づけることが出来る。ベルリン-ハンブルク間の全通は1846年12月15日。

建設を進めたベルリンハンブルク鉄道会社の理事に、あのモルトケが名を連ねていた。参謀本部に所属していたモルトケが理事就任を要請されたという。1841年から4年間の在職だったので全通の時にはその職を辞していたが、それ以降のモルトケの経歴を考えるといわばエポックである。

このときの鉄道への濃厚な関与が、参謀総長としてのモルトケの発想の根幹を形成することになる。モルトケにとって軍隊の動員とはすなわち鉄道輸送の問題だというシンプルな公理に到達する。周囲に障壁がないというドイツの地理的弱点を克服するために、モルトケが用意した答えがまさに鉄道の高度利用であった。

37代引退公演・第21回スペシャルコンサートまであと5日。→こちら

2014年5月 5日 (月)

初ベルリン

ベルリン-ハンブルク鉄道は、1846年に全線開通にこぎつけた。このとき13歳のブラームスは、ニュースくらいは聞いていたに違いない。

さて、ブラームスがこの路線に乗ったのはいつのことか調べていたら、あっさり解決した。音楽之友社刊行の「作曲家◎人と作品シリーズ」ブラームスの58ページに「1858年3月ブラームスは初めてベルリンを訪問した」と書いてある。クララ一家が前年9月にベルリンに転居したからという理由も添えてある。9月から12月まではデトモルトの勤務があるので、クララ家訪問がずれ込んだと考えられる。

プロイセンの首都に向かう列車に初めて乗ったブラームスは25歳だった。

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2014年3月23日 (日)

鉄道通勤

森鴎外の「独逸日記」1888年4月1日の記事。ベルリンで2度目の引越しをしてグローセプレジデンテン通り10番地の4階に移ったとある。鉄道馬車の停留所が目の前で、そこからプロイセン国近衛歩兵第二連隊の営舎に通った。馬車鉄道で10分の通勤だった。当時鴎外は大学に通うのではなく、軍医として連隊に出仕していた。

7時30分に鉄道馬車に乗れば、8時にはフリードリヒシュトラーセの連隊に着くと喜んでいる。

2013年12月17日 (火)

ベルリナーヴァイツェン

「ベルリンのヴァイシェン」だ。「ヴァイシェン」は「Weissen」で「小麦ビール」だから、「ベルリンの小麦ビール」とでも解されよう。ドイツの首都ベルリンの名物だ。小麦麦芽が20%から時には50%以上配合される。乳酸菌由来の酸味とともに果実のシロップを入れてストローで味わうという独特なビールで、ナポレオン軍の兵士たちから「北のシャンパン」とあだ名された代物だ。

ブラームスは何故かベルリンが苦手で、必要以上に滞在しようとしなかったらしい。ジムロックの本拠地はベルリンだし、ヨアヒムもベルリンに住んだから、縁が無いとも思えないが、ベルリンの滞在を最小限にしようとした痕跡がある。

フュルステンベルクという北ドイツ最古のピルゼンもあり、数少ないベルリンの夜にビールをたしなんだ可能性は高い。ワインよりはるかに現実味がある。

2013年1月14日 (月)

落羽城

1887年4月15日の「独逸日記」に友人との別れの漢詩が現れる。その中に「落羽城」という表現がある。何とこれはベルリンのことだ。そのすぐ後に自注が振られ、「ベルリンの語源はperlin(抜け落ちた羽)」だと言っている。だから落羽城がベルリンを意味すると自ら説明している。

ベルリンの語源については諸説あって、スラブ語で「沼地」の意味とか、「熊のいるところ」の意味とかさまざまな説明がなされているが、「落ちた羽」は初耳だった。

同時にミュンヘンの起原にも触れ、こちらはラテン語の「僧」(Monacus)だと言っている。「僧」起原説は現代の定説に一致するから、「落ちた羽」説にもそれなりの論拠があると思われる。

今月19日は森鴎外の誕生日だから、それに先立ってドイツの地名に関係する森鴎外ネタをいくつか発信することにした。

2012年11月 9日 (金)

ランゲンベック祭

1888年3月9日のウィルヘルム1世崩御の記事を境に「独逸日記」の記述が薄くなる。プロイセン近衛歩兵連隊への勤務を命じられたことで、「隊務日記」と題する別の日記に記述の中心が移ったからだ。1888年4月以降の記述は本当にわずか。

その空白を補うためによせばいいのに「隊務日記」を調べようと思い立った。これが実に難解。完全な漢文で書かれている。独逸日記は漢文読み下し調だから慣れれば何とかなるのだが、完全な漢文ではお手上げ。英語よりも厄介だ。鴎外が律儀に添えてくれているドイツ語の原文が頼り。3月10日の辞令交付の日から始まっておよそ1ヵ月後の4月3日の記事に耳寄りな情報があった。

1888年4月3日の記事にランゲンベック祭が出てくる。ランゲンベックとはドイツの高名な外科医でベルリン大学教授で、デンマーク戦争では軍医正も勤めた。軍医外科として尊敬を集める存在だったため、1887年9月29日の没から半年を期してドイツ軍軍医団が感謝の集まりを企画した。鴎外は上司の石黒某とともにこれに招かれたということだ。

その会場を見てぎょっとした。「Philharmonie」となっている。いわずと知れたベルリンフィルの本拠地。1963年に竣工した現在のホールではなくて、1882年にベルンブルガー通りに建設された旧フィルハーモニーだ。さらに読み進めると、メンデルスゾーンやハイドンの名前が出てくる。独逸日記には作曲家の名前は全く出現しなかったから、実に意外。ここでブラームスが出てきていたら完璧だったのだが。昨日の記事で「独逸日記」は、音楽系の記述が薄いと書いたのだが、それを引き継いだ「隊務日記」にお宝が眠っていた。

ビューローが常任指揮者に就任したのが1887年秋からだから、ビューロー最初のシーズンが終わる頃に相当する。このシーズン最後の公演は4月20日だったことが判明している。この後、同ホールは大規模な改修を受けている。

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