弦楽四重奏三昧
9月23日は月曜ながら祝日だった。午後のひととき弦楽四重奏を堪能してきた。ヘンシェル四重奏団の演奏会。
- メンデルスゾーン 弦楽四重奏曲第3番ニ長調
- シューベルト 弦楽四重奏曲第13番イ短調
- ベートーヴェン 弦楽四重奏曲第9番ハ長調
いやいや精緻な演奏だった。ピアニシモを存分に操るとでも申すか。ピアニシモに引き込まれるとでも申すか。ピアニシモに落としきった底の底からさらにまたディミヌエンドして、最後の最後に大事なことをささやくか。常設の四重奏団とはこういう呼吸なのかと感心しきりだ。
で。
で、最近ヴィオラの演奏にはまっているせいか、ついついヴィオラ奏者を見てしまう。私の座席は彼女に正面から正対する位置という幸運をただ感謝した。そう、同四重奏団のヴィオラ奏者は紅一点だ。ヴァイオリンと比べれば、さして大型の楽器ではないとすぐにわかる。そのせいなのかどうか、彼女の構えは楽器が高く上がる。フィンガリングが常に目線より上で行われているくらい。
さらに何がすごいといって彼女のボウイングだ。上下する右手の優雅な動き。弓の返し毎に披露される柔らかな指のクッション。それでいてラズモフスキーのフィナーレを先導するフーガの扱いはキレッキレ。切れ味が優雅さと同居するとでも申すしかない。
ヴィオラっていいな。と心から思った。
アンコールは、ベートーヴェンの13番の四重奏の緩徐楽章だった。
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