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カテゴリー「641 愛鳥週間」の5件の記事

2016年5月10日 (火)

アーケオプテリクス

鳥の先祖と目される始祖鳥の学名がアーケオプテリクスだ。学名なのでラテン語だ。「暁の羽毛」くらいの意味。正式には「アーケオプテリクスリトグラフィカ」という。

始祖鳥はドイツ特産である。現在10体の標本が確認されているらしいがみなドイツ産だ。1855年に最初の標本が発見された。しばらく翼竜だと思われていたらしい。この標本残念ながら既に散逸されたという。1861年にまた発見されている。大きさは大きめのハト程度。羽毛の痕跡が鮮やかながら、骨格は小型肉食恐竜に似ている。この標本故意か偶然か口元が欠落している。鎖骨があってくちばしに歯が無いのが鳥の特徴だが、おかげで歯の有無が確認出来ず関係者をやきもきさせたという。安値で英国が買い取ったから今、ロンドンにある。

1877年になってとうとう完全な化石が発見される。ゾルンホーヘンの隣アイヒシュテットからの出土だ。ミュンヘンからニュルンベルグに向かう途中にある小さな街は、良質な化石産地として有名だ。これには超高値がついた。プロイセン王立博物館が落札するのだが20000マルクという破格値。ブラームスの交響曲1曲の原稿料15000マルクより高かった。落札は企業家ジーメンスの資金援助で実現した結果、今はベルリンのフンボルト博物館にあるから人々はこれを「ベルリン標本」という。学名は「アーケオプテリクス・ジメンシイ」という。出資者ジーメンスに由来するネーミングだ。

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世界でもっとも美しい化石の賞賛をほしいままにする超有名標本だから、世界中の博物館や理科室にレプリカがある。この写真も某高等学校の理科室の前の廊下にあるもの。

以上の3体がブラームス生前の発見である。1855年といえばシューマン宅をはじめて訪問した2年後だ。入院中のシューマンに代って留守中の面倒を見ていた頃だ。この時は翼竜だと思われていたとすれば新聞に「始祖鳥」の名が踊ったことはないかもしれない。次の1861年はウイーンに定住する2年前だ。ハンブルグでコーラスの指揮活動のかたわら新聞を読んでいれば目にすることもあったと思われる。1877年になるとウイーン定住後だ。いくらかゾルンホーヘンにも近くなった。論争に決着を付ける嘴付きの完全骨格だから新聞の扱いも小さくなかったと思うが、はたしてブラームスに古生物なんぞにうつつを抜かすヒマがあったかどうか。ヴァイオリン協奏曲の仕上げでヨアヒムとの文通に忙しかった頃だ。

今日から愛鳥週間。

スペシャルコンサートまであと5日。

2009年5月16日 (土)

もう一つのナイチンゲール

5月10日の記事「愛鳥週間」で、ブラームスの歌曲に出現する鳥のリストを作り、ナイチンゲールつまり小夜鳥が、最多登場だと書いた。鳴き声の美しい鳥として認知されているようだ。

さて、ブラームスは弦楽五重奏曲第2番の完成後、創作力の衰えを自覚し、作曲を控える決断をした。ところが、この決意はあるクラリネット奏者との出会いによって撤回される。

彼の名はリヒャルト・ミュールフェルトだ。独学でクラリネットを学んだらしいが、その表現力は素晴らしく、ブラームスはたちまち虜になった。

ブラームスはミュールフェルトを指して「私のナイチンゲール」と呼んだのだ。歌曲最多出場のナイチンゲールの売りは、その美しい鳴き声だ。ミュールフェルトの操るクラリネットがそれにあやかるほどの音色だったということに他ならない。

その考えに同調する人はきっと多かったのだと思う。ヨアヒム四重奏団は、結成以来はじめてクラリネットとの競演に踏み切った。それは、ミュールフェルトを加えて、ブラームスの新作クラリネット五重奏曲を演奏するためだった。

愛鳥週間今日まで

2009年5月14日 (木)

Lerchengesang

「れるひぇんげざんく」と発音する。「ひばりの歌」あるいは「ひばりのさえずり」と訳される歌曲。作品70-2は、創作の中期にひっそりと置かれた宝物だ。ただただ可憐である。

2分の2拍子ロ長調。小節後半の2分音符が、付点4分音符と8分音符に割られ、さらにその直前に8分音符が加わった状態。つまり付点4分音符が8分音符で挟まれた形だ。この音型がひばりのさえずりの模倣であることは古来指摘されている通りなのだが、この曲に限って申せば、その音符そのものが、楽譜上で遊ぶ小鳥のように見えてしまう。音の高さを変えながら全部で21回現われる。しかもその全てが歌手のパートが休符の時だ。律儀なことに歌手の側にはこの音形は一度も現われない。2分音符を3つに割った三連符ばかりである。この2系統のリズムのせめぎ合いを味わう音楽と申しては屁理屈が過ぎるだろう。

第1交響曲と第2交響曲の間に挟まれた作品番号69から72は、全て歌曲になっている。山脈のように屹立する2つの交響曲を作曲する一方でブラームスは、23曲もこの手の可憐な歌曲を生み出していた。

1番と2番の2つの交響曲の谷間で、ひっそりとさえずるひばりである。

2009年5月11日 (月)

小夜鳥

「小夜鳥」は「Nachtigall」の訳語。西洋ウグイスとも言われる鳴き声が美しい鳥。ブラームス作品のテキストへの登場頻度ランキングの首位に君臨中だ。

作品番号97-1を背負った歌曲はずばり「Nachtigal」だ。

ピアノ伴奏部に現れる特徴ある音形といい、彫りの深いヘ短調の響きといい、一度はまると抜けだし難い魅力に溢れている。

この作品のテキストをブラームスに供給したのは、クリスチャン・ラインホルトという人。作品97-2「船上にて」も彼の作だ。テュービンゲン大学の教授で専門は刑法。

驚いたことにこの人どうやらマリア・フェリンガーの実父らしい。ジーメンス&ハルスケ社ウィーン支社長、リヒャルト・フェリンガーの妻、マリアは当時物珍しかったカメラも器用に扱った。晩年のブラームスの貴重な映像を残してくれた。この家族とブラームスは親しく交流し、ウィーンの屋敷で私的な演奏会も頻繁に催された。

こうした交流の中で、ブラームスはマリアの父の作品に曲を付けたのだと思う。マリアは実はすぐれた歌手た。夫のピアノ伴奏でブラームスの歌曲をほとんど歌うことが出来たという。つまりマリアは父の詩にブラームスが曲を付け、夫に伴奏させて歌ったことはほぼ間違いない。

羨ましい。

2009年5月10日 (日)

愛鳥週間

本日5月10日から16日まで愛鳥週間ということらしい。ブログ「ブラームスの辞書」では現在歌曲特集を実施中だ。この手のイベントはコラボがお似合いだ。つまり逃がさず便乗である。

ブラームスの歌曲に現れる鳥たちをリストアップした。もし昨年秋の願掛けが実って、ブラームスの誕生日までに20万アクセスに達していれば、「アクセス御礼ネタ」として、鳴り物入りで公開していたところだ。本来元日ネタとしても不思議ではないおバカネタだが、思い切って公開する。人名索引がとても充実しているマッコークルも、鳥名索引はさすがに掲載が無いので、してやったりだ。

例によってウムラウトを赤文字で示す。

  1. Aar  「雲が太陽に向かって」op6-5にただ一度。Adlerの詩形。
  2. Adler  「愛の道」op20-1にただ一度。これは二重唱。
  3. Drossel つぐみ 「調べのように」op105-2にただ一度。
  4. Geier はげたか 「リート」op3-4の他op75-1の二重唱「エドワード」に4回現われる。
  5. Hahn おんどり 「恋人の許へ」op14-6。WoO33-16とWoO33-18に各1箇所。
  6. Henne めんどり 「めんどり」WoO31-5のタイトル。曲中に「Hennlein」として16回出現する。
  7. Kauz みみずく 「夏の宵」op84-1にただ一度。
  8. Lerche ひばり 「ひばりの歌」op70-2のタイトルに出現。「永遠の愛」op43-1、「にわとこの木のあたりで」op63-6、「ひばりの歌」op70-2テキストに2回、「春の歌」op85-5に出現。
  9. Mowe かもめ 「リート」op3-4に3度。
  10. Nachtigall ナイチンゲール 「小夜鳥は翼を動かして」op6-6のタイトル、「小夜鳥に」op46-6のタイトル。「小夜鳥」op97-1のタイトル。「小夜鳥は翼を動かして」op6-6テキストに3度、「セレナーデ」op14-7、「あなたどこでためらっているの」op33-10、「五月の夜」op43-2、「小夜鳥に」op46-6に3度、「わが恋は緑」op63-5、「歎き2」op9-2、「サロメ」op69-8、「春は優しい恋の季節だ」op71-1、「夏の宵」op84-1、「森のしじまに」op85-6、「死はさわやかな夜」op96-1、「小夜鳥」op97-1、「あそこの牧場に」op97-4。他「愛の歌」op52の15番、四重唱「ああ美しい夜」op92-1、ドイツ民謡集に計8回出現。
  11. Schwalbe つばめ 「つばめは飛び去ってゆく」op7-4のタイトル及び同テキストに2度。「古き恋」op72-1、「娘は話しかける」op107-3。他四重唱op112-6に2度出現。
  12. Schwan 白鳥 「恋人の許へ」op14-6、「夜になっても床につけない」WoO33-38。
  13. Spatz すずめ 「いちご畑で」op84-3に2度。
  14. Storch こうのとり 「古き恋」op72-1。
  15. Taubchen 小ばと 「リート」op3-4、「あの娘のもとへ」op48-1、「日焼けした若者が」op103-5、他四重唱op103-2に3度。
  16. Taube はと 「リート」op3-4、「古き恋」op72-1。
  17. Tauben はと(複数)「鳩によせて」op63-4のタイトル。「五月の夜」op43-2、「鳩に寄せて」op63-4テキストに2度。

出現のランキングは以下の通り。複数や縮小形を合算してある。

  1. Nachtigall ナイチンゲール 31回
  2. Henne メンドリ 17回 
  3. Taube はと 11回
  4. Schwalbe つばめ 7回
  5. Lerche ひばり 5回

その他漠然と「鳥」または「小鳥」を意味する「Vogel」「Vogelein」「Vogerl」が合計32回ある。

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