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カテゴリー「611 マッコークル」の19件の記事

2016年8月21日 (日)

翻訳

文書を異なる言語に変換すること。話言葉の場合は通訳と呼ばれる。

「ブラームスの辞書」の執筆で、マッコークルの「ブラームス作品目録」にお世話になっている。一面ドイツ語で800ページ超の大著だ。私は「ブラームスの辞書」執筆の決意と同時に買い求めた。30000円を少し超えたと思う。当時は痛い出費だったが、今ではその判断に感謝している。文字通り世界最高のブラームス本だと感じる。

マッコークルへの憧れはカテゴリー「611 マッコークル」の中で何度も述べてきたが、この本が和訳されればどんなに素敵だろう。かなりなお値段になるに決まっているが絶対に入手したい。

販売部数がさして伸びるとも思えないから、多くの出版社は尻込みするに違いない。となると自費出版かとも思うが、一個人には少々荷が重い。

音楽の知識に加えてドイツ語の知識が必須である上、ブラームスへの愛着もあるに越したことはない。オリジナルドイツ語版の出版社ヘンレ社との著作権の交渉も発生するに違いない。

2015年11月23日 (月)

知らぬが仏

マッコークルに目を通すことが増えたお陰で、困った情報も目にするようになった。

ブラームスが他の作曲家の作品を編曲した作品のうち、現在まで伝えられていないものが列挙されている。ブラームスと知人の手紙等で言及されているので存在が推定されていながら、楽譜が失われているケースだ。

この中にベートーヴェンの弦楽四重奏曲第9番ハ長調「ラズモフスキー第3番」の第4楽章のピアノ編曲がある。中学高校とベートーヴェン大好き少年で、大学に入ってヴィオラを始めた初心者にとって、この楽章は夢の楽章だ。ベートーヴェンらしい長大なフーガがヴィオラによって開始されると、昨日言及した通りだ。

室内楽のフィナーレで、長大なフーガをヴィオラが先導するといえば、弦楽五重奏曲第1番がある。こちらはヘ長調だが、イメージだけは似ている。

ブラームスによるピアノ編曲があったとは驚きだ。けれども現実には伝えられていなくて出来映えを確認出来ないのは拷問に近い。こんなことなら知らない方がましだ。

もっとある。

シューマンのピアノ五重奏曲のピアノ連弾用編曲だ。同じシューマンでもピアノ四重奏の方はキッチリと伝えられていて、CDも出ている。五重奏も聞きたかった。

いっそ何も知らなければ平和だったのだが。

2013年2月15日 (金)

地名語尾「quelle」

記事「赤マイン白マイン」で水源を表す語尾が違っていると書いた。白マインの水源地が「Weissmainquelle」となっている一方で、赤マインは「Rottermainursprung」となっている。

マッコークルの「ブラームス作品目録」にも「Quelle」という単語が出てくる。記述の根拠となる資料を指し示すとき「Quelle」という言葉が使われる。「引用元」「参照元」の意味だから川の水源というイメージとうまく溶け合う。

水が湧くという意味では先に紹介した「泉3兄弟」と似ている。元は同じ意味だったらしいが、今ではニュアンスを少し変えている。「Born」「Brunn」「Bronn」の場合、少し人の手が加わった状態を指す。「井戸」や「噴水」だ。

一方「Quelle」はもっと自然な湧き水である。噴水や井戸が川の水源になることはイメージしにくいが、「Quelle」はむしろそちらのイメージである。

そして泉3兄弟が全て男性名詞であるのに対し、「Quelle」は女性名詞だ。

2011年9月15日 (木)

民謡の手書き譜

世界最高のブラームス本マッコークルの「ブラームス作品目録」は、民謡の部分についてもさすがに芸が細かい。WoO31から38に至る「ドイツ民謡集」がきっちりと掲載されているほかに、ブラームスが残した各国民謡の手書き譜が全て載っている。さすがに譜例は無いものの作品の歌い出しのアルファベット順でなんと240作品に及ぶ。

厳密に申せばモテットも含まれているが、民謡についてはブラームス編曲として刊行した作品の楽譜は30曲に過ぎない。民謡収集の範囲はドイツを中心に欧州諸国を網羅する感じだ。ドイツを除けばロシア、ポーランド、スウェーデン、ノルウェイ、デンマークなどが多い。フランスまであるのが微笑ましい。

筆写した年代も1850年代から1880年代までずっと続いている。ブラームスは欧州各地の民謡に触れ、これはと思う作品をせっせと書きとめたのだ。刊行にこぎつけた民謡はその精華、抽出物であると心得たい。さらに付け加えるなら、ブラームスの耳に触れた民謡の数は、ここに掲げられた数の数倍に及ぶと思う。

1894年になって、これらの譜面を整理する中から「49のドイツ民謡」を選び出したのだ。

2009年10月 7日 (水)

カルメン

2008年6月3日の記事「狩の獲物たち」の中で、ブラームス作「禁則違反のリスト」に登場する作曲家を列挙した。この表は、はたしていつまで作り続けられていたのかというのが本日の話題である。

それを探る手掛かりが本日のお題「カルメン」だ。そのリストに現われた作曲家の中で最年少であり唯一ブラームスより年下なのがジョルジョ・ビゼーその人だ。問題の禁則違反はビゼーの代表作「カルメン」の第2幕12曲に現われるらしい。ということはつまりこの表は「カルメン」の初演1875年以降にも作られたことになる。もっというなら1875年10月23日の「カルメン」のウィーン初演以降だという可能性は低くない。

さらにこのほど思わぬところに手掛かりを発見した。例によって音楽之友社刊行の「ブラームス回想録集」第2巻87ページだ。何と1892年10月25日の記事として、その年の夏にブラームスがイシュルで、ビゼーの作品全集のスコアをむさぼり読んでいたと証言されている。ブラームスが「カルメン」で到達したビゼーの巧みさを称賛したと書いてある。もしかすると「カルメン」の禁則違反の発見はこのときではないだろうか。むさぼり読んでいたのはスコアを見るのがこのとき初めてだったからだと解したい。

「カルメン」はタイトルロールがメゾソプラノになっているという点で異色だ。メゾソプラノラブのブラームスが熱狂するのもむべなるかなである。1892年ブラームス59歳だ。いくつになっても探究心旺盛である。

実はドヴォルザークも、不道徳な内容に顔をしかめながらもカルメンの音楽を高く評価していた。

2009年7月26日 (日)

マッコークルのための独和辞典

7月12日の記事「記念事業」で作成を宣言した「マッコークル斜め読みのための独和辞典」がひとまず完成した。今後も加筆修正はあるに決まっているが、サクサクと公開する。

「Sonata」や「Symphonie」でもあるまいということで、収載語はご覧の通りになった。マッコークルの大著「ブラームス作品目録」を斜め読みする際に知っておくと便利な単語だけに絞っている。序文を真剣に読もうと思うと、物足りないがご容赦である。

  1. Abbildung  筆写
  2. Abschrift  写本 
  3. ander 他の 「他の作曲家」と用いられることが多い。
  4. Anfang 根源
  5. Anhang 補遺 お宝情報のヤマだ。
  6. Anmerkung 注 ここもこぼれ話、与太話が多くて面白い。
  7. Auffuhrung 演奏 「Erste Auffuhrung」で初演を意味することになる。
  8. Auflage 発行部数
  9. Ausgabe 刊行。楽譜の最初の刊行なら「Erstausgabe」となる。
  10. Autograph 自筆譜 作品の自筆譜の所在を記載する項を示して用いられている。
  11. Bearbeitung 編曲 ブラームス作品が本人または他人にいじくられた場合や、他人の作品をブラームスがいじった場合に現われる。お宝情報の宝庫だ。
  12. Besetzung 編成 管弦楽作品や合唱作品で演奏に参加するパートが列挙される。
  13. Beisitzer 所有者 自筆譜や初版譜などのお宝を所有する果報者を記す。
  14. Bibliographisch 書誌学上の
  15. Einleitung 手引き
  16. Entstehung 成立 「Zur Entstehung」という見出し以下に作品の成立にまつわるエピソードが語られる。
  17. ermitteln 確かめる 皮肉なことに「nicht」を伴って、確認が出来ない事柄を指し示すという用法が多いような気がする。
  18. Erscheunung 出現 「Erscheunungdatum」として現れ、当該作品の広告や批評初出が記載される。
  19. Fassung 版 
  20. fremde 他人の
  21. gewidmt 献呈 「widmen」の過去分詞だ。マッコークルでは作品名の下に「~gewidt」と書かれて「~に献呈された」の意味を表す。
  22. Hand 手 ピアノの演奏に要する手の本数を示す。2本か4本であることが普通だ。
  23. Heft 巻
  24. Herausgabe 出版 
  25. Honorar 報酬 大抵は初出版の記事の中に現れて、ブラームスへの原稿料が書かれる。
  26. Inhalt 目次、内容
  27. Komponist 作曲家
  28. Kopist 筆写者
  29. Korekturabzug ゲラ刷り
  30. Manuskript 手稿
  31. nachgewiesenermassen 確認済みの
  32. Partitur スコア
  33. posthum 死後の ブラームス没後に出版された作品の作品番号の前に置かれる。大抵は「post.」と略される。
  34. pseudonym ペンネーム GWマルクスとか。
  35. Rezension 批評
  36. Sammlung コレクション 自筆譜や初版譜、あるいは手紙などのお宝の所在を示す記事の中によく現われる。
  37. Satz 楽章 「Mittelsatz」で第二主題の意味の場合もあるらしく要注意。
  38. Shaonkuizu 謝恩クイズ
  39. Siehe 「Sehen」見るの命令形。「Siehe~」で「~を見よ」という意味。参照先を手際よく示す機能がある。
  40. Singstimme 声部 
  41. Stimmen パート譜。
  42. Takte 小節 各々の譜例の末尾、総小節数を示すアラビア数字の後におかれる。
  43. Verlag 出版社 出版社とのやり取りは多彩で面白い。
  44. Veroffentlichung 刊行物
  45. verschollen 所在不明の 自筆譜などの行方がわからない場合によく出て来る。
  46. Verzeihinis 目録
  47. Vorbesitzer 前の所有者 現在の保管場所に収まる前の持ち主。大物であることが多い。
  48. Vorwort 序文
  49. Widmung 献呈
  50. Zeitung 新聞

2009年7月12日 (日)

記念事業

イベントや出来事あるいは目標の達成を永く記憶するために立ち上げるプロジェクトのことか。やろうとしているプロジェクト開催のための大義名分を強引に紐付けるという思惑も一部混入していると思う。

昨日書籍「ブラームスの辞書」は、刊行4周年を迎えた。20万アクセスへの到達と合わせて謝恩クイズを実施中だ。つまりこれが「記念事業」である。

さて、刊行4周年や20万アクセスはさておき、先般買い求めた電子辞書の有効活用を考えている。声楽曲のテキストへの理解を深めるというのが真っ先に思い浮かぶ。歌曲特集が電子辞書購入に私を走らせた原動力だったことは事実だが、歌曲特集が一段落してしまった今、タイミングとしては焦点が甘い。

電子辞書をまさしく骨の髄まで活用出来るネタがあった。

マッコークルだ。世界最高の「ブラームス作品目録」である。書籍「ブラームスの辞書」の執筆に先だって購入したが、現在でも調べ物に重宝している。全編一面のドイツ語というのが玉にキズだが、これはマッコークルの責任ではない。調べるとなるとドイツ語の辞書が手放せない。簡単な単語なら判るようになってきたが、突き詰めるには心許ない。

今回購入した電子辞書を使って「マッコークル専用の独和辞典」をブログ上で作成することにした。マッコークルをサクサクと理解するために最低押さえておきたい単語を列挙するというコンセプトだ。いわば「マッコークル斜め読みのための独和辞典」だ。

8月には別途単月プロジェクトの予定がある。9月以降1年間の大型プロジェクトを立ち上げるので、7月中に完成くらいの緩い目標をとりあえず設定することとする。

謝恩クイズ実施中

2008年12月18日 (木)

出版社という切り口

マッコークルの「ブラームス作品目録」の巻末に、出版社索引がある。ブラームス作品の初版を発行した出版社がアルファベット順に列挙されている。生前の出版と没後の出版に分けられている。つまり生前の出版はブラームス本人のお墨付きによる出版社だと位置付けられているのだ。

このほどその情報をブラダスにインプットすることにした。全ての音楽記号の出現する位置が作品名と小節数で特定されている他、その場所の調、拍子、作品のジャンルなどがパラメータになっている。そのパラメータに「初版の出版社」を加えることにしたのだ。

狙いはただ一つだ。特定の用語や語句の分布が出版社に左右されているかを検証するためだ。たとえば初期のピアノ作品に大袈裟気味の指定が目立つ現象に「初期ピアノ症候群」と名付けているが、これがじつは初期のブラームスのピアノ作品のほとんどを出版したブライトコップフ社の癖かもしれないからだ。ブラームス作品の出版は初期においてブライトコップフ社が優勢だが、後期は圧倒的にジムロック社になる。

本来楽譜は作曲家の意図に忠実であるべきだから、出版社の癖が反映することなどあってはならない。だからブラダスに取り入れて「用語使いの癖が出版社に左右されていない」ということを確認したいのだ。

2008年8月25日 (月)

蓄積の賜物

ブラームス最後の作品、それは「オルガンのための11のコラール前奏曲」op122である。伝記によればクララ・シューマンの死後イシュルで作曲されたとある。これら一連のコラール前奏曲は定旋律と呼ばれる古くから伝わる賛美歌をベースに装飾を施したものである。つまりコラール前奏曲の作曲を決意するということは、つまり曲をつけたい賛美歌、定旋律を選ぶことから始まると申して良い。

我が家にある楽譜にはその11曲全てについて元の定旋律の出所が載っている。

8番の至宝「1輪のバラが咲いて」のハーモニーはミカエル・プレトリウスが施したものだ。この人は6月3日の記事「狩の獲物たち」の中に出てきた。リストの11番目にいる。

9番と10番は同じリストの10番目に現われるハンス・レオ・ハスラーだ。

最後のコラール集を作曲する際、ブラームスは若い頃収集したバロック初期の作品群を当たったのだ。バッハを100年も遡る時期の作品がいつでも取り出し閲覧可能な状況に整理されていたと見るべきだ。

先輩作曲家の「禁則違反」でさえきれいにリスト化されていたくらいだから、いずれ作曲の素材になるような作品は、いつでも取り出しが可能だったに違いない。

2008年7月19日 (土)

マッコークルの隙間

7月12日の記事「ドイツの地図」を見て欲しい。ドイツの地図を買い求めて楽しむ話だ。索引が充実していて嬉しいと書いた。ブラームスの伝記に現れる地名全部を拾い出したらさぞ楽しいだろうと述べて最後に「当分退屈しない」と結んだ。

凝り出すと止まらない性格である。すっかり地図帳にはまり込んだ。と同時にムクムクと野望が浮かんできた。

マッコークルの大著「ブラームス作品目録」は、私の中では超え難き壁と位置づけているが、巻末の膨大な索引が売りの一つだ。「人名」「作品名」「歌曲のテキスト」「筆写者」「編曲者」などが所狭しと並ぶ。ところがこの分厚い壁に隙間を見つけたのだ。

マッコークルに地名索引が無いのだ。もちろん本文には地名が出てくる。作曲した場所、初演した場所、自筆譜の所在地などなどだ。

マッコークルが漏らしていることは、私にとってはチャンスだ。マッコークルの隙間を埋めてやりたい。

ブラームスの伝記に登場する地名リストを作ろうと思う。夏休みの宿題にちょうどいい。けれども8月中に終わるかどうか定かではない。

結果はブログ上で報告する。暑いのにおバカが止まらない。

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フォト

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    はじめての自費出版作品「ブラームスの辞書」の姿を公開します。 カバーも表紙もブラウン基調にしました。 A5判、上製本、400ページの厚みをご覧ください。
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