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カテゴリー「703 お叱り覚悟」の44件の記事

2024年11月14日 (木)

ドイツ式音名のまさか

先日ヴィオラの第二ポジションを2系統に分けた。G線上の人差し指で取る音を元に「B型」「H型」と命名してみた。

その過程でまた妄想が膨らんだ。

ドイツ式音名はなぜ「シのナチュラル」を「H」と呼ぶのだろう。英語圏では「B」だ。ドイツ式で「シのフラット」は「B」なのに英語圏では「B♭」と呼ぶ。ついでに申すならイタリアなどラテン系でも「シのフラット」はあくまでも「シの派生」だ。

なぜドイツ式だけが「H」「B」と呼び分けるのだろう。隣り合う半音に独立した文字を当てているのは、ドイツ式においてもここだけだ。

なぜだろう。私の知らぬ歴史が一つや二つ隠れていそうだ。

いいではないか。

音名に「H」を加えることで何が起きるか考えてみるといい。

「BACH」という綴りが完成するではないか。AとCの1音半がかくも濃密に音名となる。

私はこの結論で満足。

2024年4月 8日 (月)

花祭り考

花まつりはお釈迦様の誕生日。4月8日とされている。

素朴な疑問。キリスト教のイースターに近いのは偶然なのだろうか?イースターはクリスマスと並ぶ、キリスト教の大切な日。固定ではないとはいえ、お釈迦様の誕生日に近いというのは、偶然と考えていいのか。

聖徳太子もイエスキリストも馬小屋の生まれという伝承がある。そのたぐいの偶然と考えていいのか。私の知らぬ必然が一つ二つありはしないかと疑っている。

20世紀以降で以下の通り、イースターと花まつりが一致する。

  • 1917年
  • 1928年
  • 2007年
  • 2012年

この次は2091年だという。

 

2023年7月11日 (火)

楽聖の位置づけ

「楽聖」とはもちろんベートーヴェンだ。同時に私自身のクラシック音楽体験の原点。今でこそブラームスラヴを隠そうとしないブログの管理人だが、源流はベートーヴェンだった。ブラームスはもちろんバッハもモーツアルトもそこから派生したと申していい。

本日はクラシック音楽鑑賞50年を記念して、楽聖ベートーヴェンとブラームスの脳内比較を試みる。作曲のジャンルとして2人に共通するのは、下記の通りだ。

  • 01 交響曲
  • 02 ピアノ協奏曲
  • 03 ヴァイオリン協奏曲
  • 04 弦楽五重奏曲
  • 05 弦楽四重奏曲
  • 06 ピアノ三重奏曲
  • 07 クラリネット三重奏曲
  • 08 ヴァイオリンソナタ
  • 09 チェロソナタ
  • 10 ピアノソナタ
  • 11 歌曲

これら各々についてベートーヴェンとブラームスの脳内序列を炎上覚悟で判ずる。

<01交響曲> ブラームスのせり勝ち

<02ピアノ協奏曲> ブラームスのせり勝ち

<03ヴァイオリン協奏曲> ブラームスの圧勝

<04弦楽五重奏曲> ブラームスの圧勝

<05弦楽四重奏曲> ベートーヴェンの勝ち

<06ピアノ三重奏曲> 引き分け

<07クラリネット三重奏曲> ブラームスの勝ち

<08ヴァイオリンソナタ> ブラームスの圧勝

<09チェロソナタ> ブラームスの圧勝

<10ピアノソナタ> ベートーヴェンの勝ち

<11歌曲> ブラームスの圧勝

ブラームスの8勝2敗1分。もちろん判定基準は作品数ではない。ベートーヴェンの2勝は弦楽四重奏とピアノソナタ。ブラームス自身無理とあきらめてこのジャンルからは早々に退却している印象。20年温めて43歳まで待った交響曲は、その後に続く3曲を合わせて師匠をうっちゃった。行きがかり上「競り勝ち」としたが会心の勝利。先行したベートーヴェンは後輩の躍動を知る由もないのに対してブラームスは、物心ついた時から眼前にベートーヴェンの作品群がそびえたっていた。だからがんばれるのだ。それは先人ベートーヴェンに対しての敬意と言い換えてもさしたる支障はない。わずかにオペラを例外としてブラームスはベートーヴェンが指し示したこの道をひた走った。もしかすると音楽史上その路線の最終走者かもしれぬ。

それにしても幸いなのは、ジャンルが違うせいでバッハとこういう比較をしなくて済むことだ。

 

2022年6月10日 (金)

自由の中の不文律

記事「オルガン自由曲の標題」でバッハのオルガン自由曲を構成する標題について整理しておいた。

  1. 前奏曲とフーガ 18曲 「Praeludium und Fuga」BWV531から552まで。
  2. トリオソナタ 6曲 BWV525から530まで。両手と足でトリオという斬新さ。
  3. コンチェルト 5曲 BWV592から596まで。他者作品の編曲。「無伴奏オルガン協奏曲」
  4. トッカータとフーガ 5曲 BWV538、543、564、565、566。
  5. トリオ 4曲 BWV583から586。
  6. フーガ 4曲 BWV574、575、578、579。BWV578は「小フーガト短調」である。
  7. 幻想曲とフーガ 3曲 BWV537、542、582。
  8. 前奏曲 3曲 BWV568~570。
  9. 幻想曲 2曲 BWV572と573。
  10. アリア 1曲 BWV587
  11. カンツォーナ 1曲 BWV588
  12. パッサカリアとフーガ 1曲 BWV582
  13. パストラーレ 1曲 BWV590

コラールに準拠しないという一点をもって「自由曲」とくくられてはいるのだが、実は完全な自由ではないと感じる。「舞曲」がない。「アルマンド」「コレンテ」「サラバンド」「ジーク」「シャコンヌ」「ブーレ」など、バロック時代を特徴づける舞曲が全く出現しない。

わずかに1曲存在する「パッサリア」を舞曲と分類する人もいる。バッハが「パッサカリア」を舞曲と考えていなかった証拠かと妄想も膨らむ。

チェンバロやヴァイオリンによる「ソナタ」には「教会ソナタ」と「室内ソナタ」があって、それらは「舞曲の有無」により分類されていた。「教会ソナタ」には舞曲を含まぬと。「オルガン自由曲」が真に自由なら舞曲を含んでもよさそうなものだ。「自由」とはいえ、やはり「不文律」があるのだ。

持ち運びの難易度から見て、オルガンで弾かれることイコール教会で弾かれることだ。だから、教会ソナタに舞曲の混入が許されぬことと符合する。オルガン作品に舞曲を忍び込ませることはタブーなのだ。

ここでも舞曲を拒絶する教会という構図が示されている。

2022年6月 9日 (木)

歌と踊り

「歌と踊り」はしばしば使われる言い回しだ。セットで用いられる対の概念である。

キリスト教はしばしば「歌う宗教」と評される。賛美歌、コラールなど歌を歌うことが教義にのっとているとされている。宗教改革のルーターは賛美歌を積極的に取り込んだ。歌うことはかなり重要な位置付けにある。西洋音楽自体がキリスト教の関与無しに発展はあり得なかったと断言してもよもやブログは炎上するまい。

踊りはどうだろう。キリスト教が「歌」を中心に据えた「音楽」を巧みに取り入れているとは言いながら、それはあくまでも歌にとどまり、踊りには踏み込んでいないように見える。

収穫を祝う農民の集まりにこそ相応しいのが踊りである。あるいは、記事「ハルツ」で言及したワルプルギスの集まりは踊りが主体だった。朝まで踊るのだ。

毎度毎度のお叱り覚悟がある。キリスト教が歌に重きを置いているのは、「踊り」がザクセン族古来の信仰のベースにあったからではあるまいか。ザクセン族がキリスト教化の名目で、無理矢理捨てさせられた本来の信仰の中心に「踊り」があったのではないだろうか。キリスト教側から申せば「踊り」が異端宗教の象徴だったのではあるまいか。時代が深まれば反キリスト教の意識は薄れて来ようが、踊りはそれでも世俗の風習にとどまったと見たい。メヌエットやジークなど本来舞曲であった音楽が、踊られない器楽曲となって行くのは、キリスト教文化圏の中では必然だったように思えてならない。

「踊り」にはどこかキリスト教的でないノリを感じてしまう。だから、「教会ソナタ」から舞曲が締め出されていると解したらお叱りを受けるのだろうか。

 

 

2021年3月23日 (火)

BWV547

言うまい言うまいと思っていたが、こらえきれずに記事にする。バッハの前奏曲とフーガハ長調BWV547の話だ。後半のフーガがブラームスの第二交響曲の第4楽章に似ている。

20201226_165912

あちらはニ長調でこちらはハ長調だが、移動ドで読む限り一致している。拍子はどちらも2分の2だ。第二交響曲では音価が2倍に拡大されている。その後に続く連続する4度下降もなんだか怪しい。

この手の似ているネタは得てして偶然だ。だからお叱りも覚悟だ。誰かに言われるくらいなら自分で言っておきたいという因果な性格である。

 

 

2021年1月26日 (火)

楽器の法王

かつてピアノを楽器の王様と認定しながら、人の声の優秀さを話題にした。ところがメンデルスゾーンは、オルガンを「楽器の王様」と断言しているらしい。

このところバロック特集を展開する中で新たな考えが浮かんだ。オルガンには発音後の減衰を伴わぬというセールスポイントがあるし、歴史は控えめに見積もってもピアノの数倍はある。

かといって、「楽器の王様」の称号をピアノから剥奪するのも乱暴だと思い一計を案じて良いことを思いついた。オルガンを「楽器の法王」に認定する。単に「王」だと俗界のトップという感じがするが、「法王」だと聖界の長というニュアンスがこもる。「皇帝」となると「王」より上っぽくてややこしい。オルガンの来歴を考えると、信仰と密接不可分だ。「法王」という提案にはその含みもある。

「オルガンのイメージはどうみてもプロテスタントでしょ」という突っ込みを受ける覚悟だけは出来ている。「法王」というとローマに住んでいるイメージがあるけれど、「楽器の法王」は是非ともリューベックかハンブルクにお住まいいただきたい。

2019年8月22日 (木)

通説を疑う

連続して左手のためのシャコンヌについてのブラームスとクララのやりとりを紹介した。

クララでも右手を出したくなるのかなどと笑っている場合ではない。古来語られるシャコンヌの編曲の動機は、クララの右手の脱臼ではない可能性も浮上する。クララ自身がこの返信で述べているように「当地(キール)について右手で机の引き出しを開けようとした際に筋を痛めた」のが事実とするなら、ブラームスが脱臼の見舞いのために作曲したという通説と矛盾する。クララ自身が右手を痛めたのとほぼ同時に左手のシャコンヌが届いた偶然に驚いているからだ。

そういえば紹介したブラームスの手紙には「クララの脱臼」を気遣う文が欠けていた。右手を脱臼した見舞いにと「左手のためのシャコンヌ」を贈ったのなら、添えた手紙がそれに言及しないのはおかしい。
往復書簡集の出所など他に確認すべきことも多いが、やっかいな矛盾が噴出したものだ。

2019年7月10日 (水)

シャコンヌの尻尾

無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番の5曲目、てゆーか「シャコンヌ」の話。一番最後の音は「D」だ。そしてそのひとつ前の音も「D」になっている。「レレー」と聞こえる。まあ、エンディングだということもあって、奏者によっては大きくテンポが緩んでいるので「レレー」どころではなく、「れーーーれーーーーーーーーーー」くらいに聞こえることもある。

この連続する「D」はデジャブだ。

どこかで聴いたことがあるのだ。それはきっとパルティータ第1曲「アルマンド」の冒頭だ。アルマンドは、アウフタクトで立ち上がるお約束がある。ここでも例外ではない。シャコンヌの尻尾と同じ連続する「D」で立ち上がる。デジャブの原因はきっとこれだ。音の高さまで完全に一致する「D」だ。

フィナーレに置かれたシャコンヌの尻尾は、第一曲アルマンド冒頭のエコーと聴こえる。

2019年6月13日 (木)

賛美歌フリー

「ロミオとジュリエット」は、イタリアヴェローナの貴族社会が舞台だった。これを20世紀ニューヨークに転写したのが「ウエストサイドストーリー」だということはよく知られている。これにより生じる受け手側のイメージが、物語の進行を円滑にする。全体がフィクションであるからこそ、こうしたディテイルのリアリティが説得力を生む。物語に幅と奥行きが出る。受け手に「ありがち」と思わせる舞台設定はとても大切だ。受け手がそこそこ舞台を知っているということだ。

オルガンコラールは、受け手側に賛美歌の知識が存在する。「みなさんよくご存じのあの賛美歌」を、「私が料理しました」ということだ。「オルガン自由曲」は、何が自由かというと基礎としての賛美歌がありませんがという意味だ。「賛美歌フリー」である。

元々生活の中にキリスト教の信仰が根付いていない私が、オルガン作品に親しもうと思ったら、まずはオルガン自由曲から入る方が垣根が低いと思った。

一連のオルガン頭出しCDはそのキッカケだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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