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カテゴリー「705 奇遇」の14件の記事

2010年3月15日 (月)

直線上のプラハ

現在のチェコ共和国の首都だ。東西冷戦の時代にはチェコスロヴァキア共和国の首都だった。チェコスロヴァキアはいわゆる東側陣営だったから、その首都プラハには東というイメージがつきまとう。ところが、実際は私のイメージよりは相当西に位置する。経度で申せばウィーンよりも西なのだ。

最近のめりこんでいるドヴォルザークの故郷ネラホセヴェスはプラハに近い。立身出世を遂げて以降、ドヴォルザークの本拠地はプラハだったと考えていい。1879年秋ブラームスはヨアヒムと連れだってプラハを訪れる。演奏旅行だ。このときのブラームスには演奏の他にドヴォルザークとの対面という目的があった。もちろん対面は実現した。一部の伝記ではブラームスがジトナー通りのドヴォルザーク家を訪れたと書かれている。

最近ドヴォルザークラブを隠そうともしないブログ「ブラームスの辞書」の管理人が驚喜するような偶然に巡り会った。長男と地図を見ていて偶然発見した。長男はドイツ3大Bの故郷、アイゼナハ、ボン、ハンブルクを直線で結ぶと、アイゼナハを頂点とする直角三角形になると気付いたキレ者だ。その同じノリが今回も実を結んだ。

欧州の地図を広げて欲しい。ブラームスの故郷ハンブルクから、最期の地ウィーンに向けて直線を引く。すると驚いたことにドヴォルザークゆかりのプラハが、その直線上に乗って来るのだ。

いかにも私好みの偶然だ。長男よでかした。今日は、18歳の誕生日だ。

2010年1月17日 (日)

ホ短調の交響曲

1886年1月17日は交響曲第4番のウィーン初演があった日だ。ハンス・リヒター指揮ウィーンフィルハーモニーの演奏である。これについてのハンスリックの演奏評が残っている。この批評の中に興味深い部分があった。

ハンスリックは、交響曲第4番の調性「ホ短調」を指して、「それこそがまさに独創的」と指摘している。交響曲の第1楽章に「ホ短調」を採用することがそもそも珍しいという観点だ。

本当だろうか

  1. 1771年 ハイドン44番
  2. 1885年 ブラームス4番
  3. 1888年 チャイコフスキー5番
  4. 1893年 ドヴォルザーク9番「新世界より」
  5. 1899年 シベリウス1番
  6. 1905年 マーラー7番
  7. 1908年 ラフマニノフ2番
  8. 1943年 ハチャトゥリアン2番
  9. 1953年 ショスタコーヴィッチ10番

ご覧の通りだ。このほかに怪しいのはリムスキー・コルサコフの1番。1865年に変ホ短調として完成したが1884年にホ短調に改訂された。改訂版の初演は1885年12月4日だからブラームスの4番よりは約1ヶ月遅い。

直感としてはハイドンの44番以来114年途絶えていたホ短調交響曲をブラームスが復活したように見える。ハンスリックは、その点を鋭く指摘していると思われる。それを皮切りに他の作曲家が次々とホ短調交響曲に殺到したように思える。つまりドヴォルザークも殺到組の一員ということになる。

古来ブラームスの保守性の指摘に熱心な人は多いけれど、ホ短調交響曲の復活についてはあまり大きくは取り上げられない。

それにしてもハイドンの44番とは何者だ。1872年から1875年まで3シーズンの間ウィーン楽友協会芸術監督の座にあったブラームスは、在任期間中の演奏曲目に原則として交響曲を取り上げていない。ところがたった一つ例外がある。それが今日話題のハイドン作曲交響曲第44番ホ短調だった。(←コメント欄に注記あり)

演奏会で取り上げるにあたってブラームスがハイドンの44番を十分に研究していたことは確実だから、単なる奇遇とばかりも言えない気がしている。

2009年2月 4日 (水)

偶然の裏側

一見偶然に見えている事柄の裏に必然が横たわっていたということがままある。

偶然と思っているのは単に私の知識が足りていないだけということは、きっと多いのだろうと思う。「尾を咬む」はその劇的な一例だった。オロボロスが話し手と聞き手の間に共通理解として存在するからこそ、「尾を咬む」という比喩が生きてくる。どうやらドイツでは常識かもしれない。

マウリッツ・コルネリウス・エッシャーという人がいる。1898年オランダ生まれの版画家だ。騙し絵で名高いが普通の風景画もかなりのものだ。騙し絵の最高峰「物見の塔」「滝」にも匹敵するのが「ドラゴン」だ。蛇ならぬ竜が自らの尾を咬む構図になっている。さらにこの人の最後の作品は蛇がモチーフになっている。おそらくエッシャーもオロボロスを知っていたと考える方が自然だと思う。オランダでも浸透していたようだ。

さてショパン。「子犬のワルツ」という作品がある。ジョルジョ・サンドの飼い犬の動きを見て着想されたと言われている。その犬は自分の尾とじゃれあっていたらしい。まさか尾を咬むためではあるまいな。

「ブラームスの辞書」が「お叱り覚悟」と言い訳しながら延々と偶然を追い求めるのは、100個偶然を集めると1個必然がもらえるからだ。

昨日その1個をもらえた。

2008年10月28日 (火)

マイニンゲンのバッハ

10月25日の記事「リヒャルト・シュトラウス」で、第4交響曲がマイニンゲン宮廷管弦楽団によって初演されたと述べた。

ハンス・フォン・ビューローはここの指揮者だ。宮廷楽団の全権を掌握していた彼が、ブラームスの友人だった縁で、ブラームスにこのオーケストラの機能を提供していたのだ。

マイニンゲンの宮廷楽長の先輩にヨハン・ルードヴィッヒ・バッハ(1677-1731)という人がいた。このポストがだだちに楽団の指揮者をも意味するかは不明だが、作曲家としての活躍は確認出来る。実はこの人ヨハン・セバスチャン・バッハの親戚だ。そういえばマイニンゲンという街は、バッハの故郷アイゼナハの南わずか50kmのところに位置する。いわば隣町の8つ歳上の親戚だ。

長らくバッハ最古のカンタータと思われていた「汝我が魂を冥府に捨て置きたまわざれば」BWV15が、二十世紀前半の研究でバッハの作品にあらずという結論に至った。古くからバッハの作品の割には稚拙という評価もあった作品だが、バッハ本人の自筆譜の存在が決め手となって真作とされてきた。このカンタータの真の作曲者が、ヨハン・ルードヴィッヒ・バッハであることが証明された。

この人は10月21日の記事「バッハの家系」で述べたリストには現れない。3番のリップス・バッハの子孫としてひとまとめにして言及されていて独立の番号を与えられていない。血筋が遠過ぎるからなのか、腕前のせいなのかは定かではない。

それだけなら、「へー」で終わりだが、この人の作品を調べていてぎょっとした。「Die mit Tranen saen」(赤はウムラウト)というカンタータがある。「涙をとともの種を蒔く者は」と訳される。何とブラームスのドイツレクイエム第1曲の第2部のテキストと一致しているのだ。

ブラームスは知っていたのだろうか。

2008年10月20日 (月)

バッハの家系

バッハの生きた時代。音楽家は大工などの職人と同様にその職能は父から子に代々次がれて行くものだったらしい。そんなことが延々と積み重ねられて行くと膨大な音楽家を生み出す一族も出てくる。

バッハ一族はそういう一族だった。もっとも有名なヨハン・セバスチャン・バッハもそのことは十分意識していて、50歳の頃に「音楽家系バッハ一族の起源」と銘打った系譜を自ら作成した。一族の中の音楽家を古い順に列挙して、通し番号とともに簡単なコメントを付与した代物だ。

栄えある1番はファイト・バッハという。1577年に没した人で、ルーター派の信仰のためにハンガリーを追われてドイツ・テューリンゲン地方ヴェヒマルに住み着いた。ツィターの演奏に通じたパン屋だったらしい。バッハのひいおじいさんの父だ。

どん尻の53番は、バッハの5男の一人息子ヨハン・ハインリッヒ、つまりバッハの孫だ。

4番にヨハネス・バッハがいる。ブログ「ブラームスの辞書」的にはおめでたい名前だ。バッハの祖父の兄。そうかと思うとバッハの父の兄にはヨハン・ヤーコプ・バッハ、つまりブラームスの父と同じ名前の持ち主もいる。

欧州の人々の命名は聖書由来の名前が多い。現代日本の感覚よりは選択の幅が狭く、同名の出現する可能性が高くなるのだと思う。

2008年8月31日 (日)

ミスターセレナーデ

現在も続く日本人選手のメジャーリーグ挑戦のパイオニア、野茂英雄投手の誕生日だ。7月に引退を表明した。心からお疲れ様と言いたい。

ほぼ無名の高校時代を経て社会人野球から8球団の競合の末、今は無き近鉄バッファローズに入団。この時の背番号は「11」である。その後の活躍は周知の通り。

やがて1993年、アメリカメジャーリーグの門を叩きロサンゼルスドジャースに入団。背番号は魅入られたように「16」となった。メジャーリーグでは今のところ20世紀と21世紀両方でノーヒットノーランを達成した唯一の投手だ。

日本での背番号は「11」、アメリカでは「16」というイメージが強い。私のようなブラームス好きはこの時点で既に脳味噌が反応してしまう。

ブラームス初の管弦楽作品に管弦楽のためのセレナーデ第1番ニ長調がある。時間をおかずに発表された同イ長調第2番とともにブラームスの管弦楽の初期を彩っている。これら2曲の作品番号が「11」と「16」である。脳味噌の過剰反応の原因はこれだ。

引退の報道があった7月から野茂投手に言及したサイトやブログは多いと思うが、こんなことを言っているのは多分私だけだろう。

おそらくブラームスはもちろん、野茂投手も関知しない話である。

2008年6月16日 (月)

ダメ元

「ダメで元々」の略。おまじないの一種だ。望ましい結果が得られる可能性が低い中でのチャレンジを前に、挑戦者本人の口から発せられるケースが目立つ。

実現の可能性は低いが、実現しない場合でも大きなダメージには繋がらない場合に用いられる。小さな金額を宝くじにつぎ込むようなものだ。当たれば大きいがはずれてもあきらめがつく。実現しなくても落ち込まないようにする自己暗示の側面も無視できない。

私もしばしば口にする。

つい先日だ。ブログ「ブラームスの辞書」が開設3周年を迎えるにあたり、何か記念になることがありはしないかと考えていた。そこに飛び込んできたのがココログの出版キャンペーンだ。

ココログにはユーザーのブログを本にするサービスがあることは以前から知っていたが、無料で2冊もらえるキャンペーンを実施中とのことで、「ダメで元々」で応募したのだ。何せ10名様という狭き門だから、この手の自己暗示は必須である。無論いくつかの条件がある。もらったら自分のブログでそのことに言及することだ。届いた本について感想を述べねばならない。まあ当たってからの話である。

しかしだ。嘘のようだが当たってしまったのだ。当選者10名の全国キャンペーンに当たったということだ。応募総数は知らぬが、倍率にして2倍や3倍ではあるまい。12 日に当選通知のメールを受け取ったが半信半疑だった。事務局の方と打ち合わせのメールをやりとりして、やっと実感が湧いてきた。

納本されるまでのワクワク感や、実際に手にとってからの喜びを記事にすることはもちろんだが、ユーザーの視点に立った辛口のコメントも適宜織り交ぜたい。それがモニターのつとめであろう。

異端の日記」であるブログ「ブラームスの辞書」が本になるのだ。

関連する記事を集約するためにカテゴリー「70 ブログ出版」を新設する。

2008年2月29日 (金)

うるう年

ブログ「ブラームスの辞書」開設後はじめての2月29日だ。うるう年だけに存在する。

うるう年は地球の自転周期を24時間、公転周期を1年と決めてしまっていることで堆積する誤差のリセットとでも言うのだろうか。

うるう年だけ1年の日数が366日となる。じつはこの「366」という数字は私のようなブラームス好きにとっては、趣の深い数だ。ブラームスの作品番号付きの作品数122のちょうど3倍になるのだ。

この「366」は因数分解すると「6*61」になる。「61」という半端な数はブラームス好みである。この半端な数に最初の完全数「6」を乗じたのが366なのだ。さらに言うと「61」はブラームスに縁が深い。「BRAHMS」というおなじみのスペルを数字に置き換える。「B」はアルファベットの2番目だから「2」、「R」は18という要領だ。すると「2+18+1+8+13+19」となる。これが何と61になる。アルファベットの数が6個で合計が61ということだ。これが「6*61」と呼応しているように見える。

バッハはこの手の数遊びが好きで「BACH」を数に換算した「14」を愛していたとも言われている。

一年を61日単位の1月に区切った、私年号「ブラームス暦」でも考案しようかと真剣に考えたこともある。

昨日、シートベルト着用のサインが消えた。そういう翌日にこそ、この手のおバカな話を発信する必要がある。昨日の記事がネタ切れの言い訳だと思われてはならない。「やっぱり目が離せない」と思われるようあの手この手である。

2007年12月30日 (日)

ヨハネ受難曲

バッハの真作とされる2曲の受難曲のうちの一つ。もう一方は「マタイ受難曲」だ。

日本語標記では「ヨハネ受難曲」なのだが、英文では「Johannes Passion」と綴られる。「ヨハネス・パッション」だ。ブラームスのファーストネームと同じである。

感心しながら資料を調べていてぎょっとした。

「マタイ受難曲」の方は、メンデルスゾーンによる鮮やかな蘇演が有名になっているが、ヨハネ受難曲の方はどうなっているのだろうと思って資料を当たっていたのだ。限られた資料しか当たることが出来なかったから断言は心苦しいが、どうもベルリン・ジンクアカデミーによる演奏がこれにあたるかもしれない。

このベルリンでの演奏は日付が特定できないが、年は1833年である。いかにも私好みの偶然ではないか。ヨハネ受難曲の蘇演が、ヨハネス・ブラームス誕生の年かもしれないのだ。

ヨハネ受難曲の蘇演を喜んだ神様が、人々へのご褒美として、地上に遣わしたのがヨハネス・ブラームスのような気がしてきた。

来年もこういう偶然を大切にして行きたい。

2007年8月29日 (水)

116

「ブラームスの辞書」に新たな注文が舞い込んだ。注文の主は都内在住の男性だ。ホ長調のインテルメッツォop116-4がお好きとのことで、番号は116にすんなりと決まった。

「ブラームスの辞書」40冊目の販売であり、「他人様受注」の第16号である。そして何よりも驚いたのは、今回のお届けは私の手許を離れる116冊目の「ブラームスの辞書」ということになるのだ。ご注文の番号もopus116だったので116冊目の出荷がopus116という奇遇とあいなった。かつてこういう現象は一度も無かった。これからも相当難しいと思われる。

本日の手配につきお届けは明日ということになる。

お買上げまことにありがとうございます。

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