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カテゴリー「072 地名探検」の275件の記事

2022年2月23日 (水)

リヒテンタール違い

シューベルトさんはウィーン生まれ。少し詳しい伝記ならリヒテンタールだと書いてある。現在では市内だが、当時は近郊であった。

ところが、ブラームスの伝記にもリヒテンタールが出てくる。こちらはドイツ南西部。保養地で名高いバーデンバーデン近郊だ。クララ・シューマンの避暑地で、ブラームスがしばしば訪れたとされている。

慣れるまでは注意が要る。

2022年2月16日 (水)

守護聖人

膨大な数に上るであろう信者の願いを聞き届けるには、神一人ではさすがに忙しいからかどうか判らぬが、キリスト教圏とくにカトリックでは守護聖人の概念が浸透している。特定の地域、特定の職業、あるいは特定の条件を満たす人毎に担当が決められている印象だ。それが守護聖人である。彼等は神ではなく人間だ。

ブラームスにゆかりの深いところで申すと下記の通りだ。

  1. ハンブルク 聖マリア
  2. ウィーン 聖シュテファン
  3. 音楽家 聖セシリア(イタリア語だとチェチーリア)

聖クララは目を病む人々の守護聖人だし、聖アントンは養豚業者の守護聖人になっている。肉屋の長男がアントニンなのはつくづく理論的だと思う。ちなみに日本の守護聖人はフランシスコ・ザビエルだ。

私の守護聖人はもちろんヨハネス・ブラームスである。

 

 

 

 

2022年2月14日 (月)

女帝

日本なら「女性の天皇」の意味。欧州なら「女性の皇帝」だろう。

オーストリア・ハプスブルク家で申せばほぼ「マリア・テレジア」の代名詞だ。ドイツ語では「Kaiserin」という。「Kaiser」の女性形だ。しかししかし、カイザーというのは王の中の王だ。神聖ローマ帝国は「女帝」を認めていないから、彼女は厳密に言うと皇帝ではなく、女帝とは言えない。

「事実上の女帝」である。皇帝はあくまでも婿のフランツ1世である。プロイセンにいちゃもんを付けられたが、実質的には家事から国事まで全てを掌握してた国の母であった。

オーストリアの地図を開く。首都ウィーンの南およそ40kmの場所に「Theresiendorf」という地名があるほか、「Maria」または「Marien」で始まる地名がオーストリアには大変多い。

 

 

2020年6月 9日 (火)

旧国名で見る日本地図帳

いやはやなんともご機嫌な本。店頭で何気なく手に取って即購入した。

20200526_110347

日本全国が県ごとに収載されている地図帳なら珍しくもないが、旧国名ごとに収載となるとお宝だ。ときどき興味深いコラムもはさまる。現在の県境と微妙にずれていたり、目からウロコな情報満載である。たとえば相模の国は普通神奈川県を思い出すけれど、川崎市と横浜市は相模の国ではなく武蔵野国になっている。

鉄道や高速道路はもちろん記載されていない。街道と宿場、寺社と城が記載のメインだ。その他遺跡、名所がいくつかある。和歌に登場する地名「歌枕」のいくつかがこのうちの名所にヒットする。格別の楽しさだ。国ごとの人口も江戸時代のデータが乗っている。和歌の時代である平安時代とは微妙にずれるが大問題ではない。古代の行政区分についても細かな解説がある。奥州の入り口「白河の関」に京都から出かける場合、鉄道にしろ自動車にしろ首都圏を経由するのが現代では一般的だが、当時は違う。岐阜→長野→群馬→栃木というルートになる。いわゆる東山道だ。

千葉県は北から下総、上総、安房に分かれる。国名の先頭に来る「上」「下」は京都に近い方が「上」になるので、古代は下総より上総のが京都に近いことになる。京都から新幹線なら東京を経由するから京都により近いのは下総のはずだが、当時は浦賀水道「走水」を船で渡るのがメインだから上総の方が京都に近いのだ。

とにかく飽きない。

2019年11月 1日 (金)

地図ウォッチャー

ロベルト・シューマンはライン川に投身した後、エンデニヒの病院に入院したが、妻のクララは面会を許されなかった。ブラームスはクララに代わってロベルトを見舞い、様子をクララに報告した。

あるときロベルトの求めに応じて地図を差し入れた。後日訪問するとロベルトは地図を眺めて地名をアルファベット順に抜き出すことに熱中していたと伝えられている。大抵の伝記では病の進行ぶりを匂わせるニュアンスで描かれている。

困った。地図を眺めて地名を丹念に拾うことが異常だとするなら、私もとっくに異常の仲間入りである。地名語尾や方言への興味は地図への没頭なくしてはあり得ない。

2018年8月21日 (火)

旅は半ば

若きバッハのリューベック訪問をブログ上たっぷり15日かけて再現した。希望に満ちた旅だったに違いない。バッハの生涯で最も長い行程であることは確実なのだが、忘れてはいけないことがある。

それは任地のアルンシュタットに戻らねばならないということだ。休暇を無断で延長しているから、帰路は心躍るという具合にはなるまい。

2018年8月20日 (月)

来たぞリューベック

本日最終日の行程

  1. 00.0 Behlendorf
  2. 05.0 Berkentin
  3. 04.0 Klempau
  4. 02.5 Keummesse
  5. 07.5 Rothebek
  6. 05.0 Luebeck

最終日24km。全443kmコンプリートだ。8月6日の出立から15日だ。4週間の休暇では心もとない。仮に全行程馬車で一日50km走っても9日かかる。もし4週間の休暇という申請を遵守するとしたらリューベック滞在は10日しか見込めない。

そうまでしてたどり着いたリューベックは、「バルト海の真珠」とたたえられ、現代では旧市街が丸ごと世界遺産だ。その中枢のマルクト広場に接してそびえたつマリエン教会こそが目的地だったはずだ。北ドイツ楽派の巨匠ブクステフーデがオルガニストとして君臨する街。

2018年8月19日 (日)

塩の道

本日の行程

  1. 00.0 Buechen
  2. 08.0 Hornbek
  3. 06.5 Breitenelde
  4. 05.5 Moelln
  5. 08.0 Behlendorf

28km。塩の大産地リューネブルクから塩積み出し港リューベックに輸送するための街道を北上するバッハだ。先に紹介した観光街道にも数えられている「Altesalzstrasse」である。塩は必需品としてハンザ同盟時代引く手あまたの交易の目玉だ。英国方面への北海へはハンブルク、バルチック海向けならリューベックへの出荷となる。ハンブルクへはエルベ川の船便だが、リューベックへは運河整備までは陸送だった。これが「塩の道」である。

2018年8月18日 (土)

エルベの渡し

本日の行程

  1. 00.0 Lueneberg
  2. 06.0 Elba
  3. 04.0 Brietengen
  4. 05.0 Artlenburg
  5. 06.0 Schnakenbek
  6. 06.0 Basedow
  7. 08.0 Buechen

エルベ渡河を含む35kmだ。実際の渡しは上記4のアルトレンブルクの北にある。川が増水していれば足止めを食うこともあるはずだ。

2018年8月17日 (金)

Lueneburg

本日の行程

  1. 00.0 Uelzen
  2. 14.5 Ebsdorf
  3. 07.5 Velgen
  4. 10.0 Melbeck
  5. 07.0 Lueneburg

本日のお宿リューネブルクは古来からの塩の産地だ。15歳のバッハは同地聖ミヒャエル教会の聖歌隊の一員となった。有給の仕事初めての就任だ。同地で元同級生と旧交を温めるというシーンがあったかもしれない。

リューベックからもハンブルクからも近い。バッハの足跡はとかく旧東独に偏りがちな中、ここは珍しく西側だった。

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