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    2012年3月28日から4月4日まで、次女の高校オケのドイツ公演を長男と追いかけた珍道中の記録。厳選写真で振り返る。

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カテゴリー「072 地名探検」の242件の記事

2016年12月23日 (金)

カイザーヴィラ

オーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフ1世がバート・イシュルに所有した別荘。欧州屈指の景勝地イシュルにあって現在もなお最高の観光スポットとなっている。何しろ皇帝が毎夏決まってここを訪れるご利益は計り知れない。行幸は生涯に60回を数えたという。エリザベート皇后も気に入っていたという。

ブラームスもイシュルにはたびたび滞在しているから、皇帝とすれ違うことは無かったにしても、滞在期間の多くは皇帝の滞在とかぶっていたと思われる。

1891年7月3日イシュル滞在中のブラームスは、友人ホイベルガーを誘って帝室庭園を散歩したという。例によって音楽之友社刊行の「ブラームス回想録集」第2巻73ページにある。ホイベルガーの証言だ。ここでいう「帝室庭園」は「カイザーヴィラ」の訳語と見て間違い無さそうだ。

何よりもイシュルは、カイザーフランツがシシィに一目惚れした思い出の場所である。

2016年12月21日 (水)

ヘルメスヴィラ

ウィーンに滞在することを嫌うシシィを、少しでもウィーンに引き止めるため、皇帝が用意した離宮。シューンブルン宮殿の西南西およそ5kmの至近にある。現在はウィーン市立歴史博物館の分館になっている。ラインツ動物園の中にある離宮で、命名はシシィ自身といわれている。この動物園も只者ではなくて、王室の狩猟場が市民に開放されたもの。原則放し飼いで入園無料らしい。

シシィとブラームスは生きた時代がかぶる。ブラームスがしばしば散歩に訪れた可能性もある。

2016年10月 8日 (土)

サンマリーノ共和国

周囲をイタリアに囲まれた小共和国。外貨獲得策の一環で収集家向けの美しい切手を発行することで知られている。ブラームスも旅行で立ち寄ったことがある。知人の息子のために切手をたくさん買ったらしい。

私も小学生時代、切手収集に没頭していた。自慢は切手趣味週間「見返り美人」と国際文通週間「蒲原」だった。

2016年9月26日 (月)

エッツェル

5世紀に欧州を席捲したフン族の王「アッティラ」のドイツ名だ。「Etzel」と綴る。

現代ドイツの道路地図を開く。目指すは巻末索引だ。「Etzel」で始まる地名は意外と多い。

「Etzelberg」「Etzeldorf」など。本当にアッティラに関係するのかについてはなお、疑ってかかる必要もあるけれど、弘法大師由来の地名起源話と同じく、民衆の願い込みの話だろう。あるいはフン族の侵入の怖い思い出の反映かもしれない。フン族の名は、そのものずばりがハンガリーに投影されているくらいだ。

2016年9月14日 (水)

ライン初の架橋

ローマ対ゲルマンの国境線としてのライン川の位置付けの高さは既に何度も言及した。このライン川にはじめて橋を架けたのはカエサルだという。ローマの執政官でガリアを征服した男だ。優秀な政治家なのだが、かなり腕の立つ文筆家でもあった。彼が征服の苦労を「ガリア戦記」に残したおかげで今から2000年以上前のフランスやドイツを一部含むガリアの様子が判る。

紀元前52年頃、カエサルはライン川に橋を架けた。川底に木製の杭を打った木造橋だが、わずか10日で完成したらしい。ゲルマン人に対する示威行為で、大軍を渡河させて征服戦に打って出ることはしなかったが、ゲルマン人はこれを警戒したと思われる。すぐに火をつけて焼き払ったとされている。ライン川を防衛の最前線というカエサルの考えを裏付ける話だ。

はっきりとした場所は不明で、コブレンツあたりというのが定説らしい。当時の川幅は500m、あたりの水深は最大でおよそ8mとされている。

2016年9月10日 (土)

戦線の節約

記事「Limes」で、ローマとゲルマンの境界がライン、ドナウの両大河で形成されると書いた。これに「ローマ版万里の長城」である「Limes」が両者の国境という位置付けだった。ガリアを平定したカエサルは、少なくともライン川を越えて戦線を拡大する意図は無かったと言われている。

ところが、カエサルの養子で後継者のオクタビアヌスは、皇帝アウグストゥスになって以降、別の考えを持っていたようだ。ローマ対ゲルマンの最前線を「ラインドナウ線」から「エルベドナウ線」に押し広げたいと考えていたようだ。乱暴に申せばローマの支配地域を旧西ドイツ1個分増やすということだ。国境が東に遷移する。カエサルが手ごわいと言っていたゲルマン人を本拠地から追い出す戦争をせねばならない。アウグストゥスの妻の2人の連れ子、ティベリウスとドゥルーススの手柄で、ほぼその目論見は達成されていた。少なくとも2回、紀元前9年と紀元5年には、ローマ軍がエルベ川に到達している。

アウグストゥスのプランの裏には「ライン・ドナウ」を国境にするより「エルベ・ドナウ」を国境にする方が、最前線が100km以上短くなるという現実的な動機がある。国境警備に必要な兵員の数は、国境線の長さに比例するから、国境線が短くなれば兵員の数を削減出来る。

さらに現在のボン付近から、レーゲンスブルクまで550kmに及ぶLimesという柵を設けていたが、エルベ・ドナウの国境線にすれば、ドナウとモルダウを繋ぐ距離の柵で事足りる。おおよそ100kmの柵でOKだ。

アウグストゥスのプランはほぼ実現していたと見るべきだ。

2016年3月23日 (水)

作曲家ムゼウム

ドイツ国内にある作曲家たちのムゼウムを一覧化する。

  • Augsburg モーツアルトハウス
  • Bad Kostritz ハインリッヒ・シュッツハウス
  • Bayreuth ワーグナームゼウムとリストムゼウム
  • Bonn ベートーヴェンハウスとシューマンムゼウム
  • Dessau クルト・ヴァイルハウス
  • Dresden ウェーバームゼウム
  • Eisenah バッハハウス
  • Garmisch-Partenkirchen Rシュトラウス協会
  • Graupa ワーグナームゼウム
  • Halle ヘンデルムゼウム
  • Hamburg ブラームスムゼウム
  • Heide ブラームスハウス
  • Kassel ルイ・シュポーアアカデミー
  • Kothen バッハ記念館
  • Leipzig バッハムゼウム、グリーク記念館、メンデルスゾーンハウス、シューマンハウス
  • Lubeck ブラームスムゼウム
  • Meiningen レーガーアルヒーフ
  • Weinstatt-schnait ジルヒャームゼウム
  • Weissenfels ハインリヒシュッツハウス
  • Zwickau シューマンハウス

所在地名をキーにアルファベット順に並べた。見ての通り、ライプチヒには著名作曲家のムゼウムが集中する。ライプチヒを訪問する予定のある方はご記憶を。

2015年3月23日 (月)

州都ビスマルク

ドイツの13の連邦州の話ではない。ドイツにはビスマルク(Bismarck)の名前を州都にしているケースは存在しない。第二次大戦後、敗戦国ドイツからプロイセン色が徹底的に排除されたからそれも致し方ない。

ところが米国ノースダコタ州にビスマルクがある。1889年11月2日、サウスダコタ州とともに州に昇格した。39番目の州。このときビスマルクが州都と決められた。州に昇格する以前はダコタ準州時代から州都になっていた。ダコタ準州の成立は1861年。このときはヤンクトンが州都だったが、1883年にビスマルクが州都となった。鉄血宰相ビスマルクが中央政界に進出したのは1862年だから1861年準州発足時に州都の名前に取り入れられるハズがない。辻褄が合う。

1871年普仏戦争の勝利そしてドイツ帝国成立の立役者ビスマルクの名は米国にも伝わっていた。住民の3分の1がドイツ移民であったノースダコタ州がビスマルクにあやかる命名をしたとしても不思議ではない。ノースダコタ州成立の1889年は初代皇帝ウイルヘルム1世が没したあとだから、いささか微妙。ビスマルクは次のウイルヘルム2世とウマが合わなかったからだ。1890年には解任されているので1889年11月というのはギリギリのタイミングである。

20世紀にはいって独米両国は2度にわたって戦火を交えた。その間この州都が名前を変更していた形跡がない。

2015年1月30日 (金)

セントヘレナ島

アラビアはイエメンからアフリカ最南端を回って本国に帰る途中のポルトガル船が、南大西洋上に火山島を発見する。1502年のことだ。喜望峰を回ったあたりのこの海域は、南東の風が吹く。ビザンチン帝国のコンスタンティヌス帝の母親の聖人記念日にちなんで「セントヘレナ島」と名付けられた。大西洋上の貴重な補給港となってゆくがいくつかの駆け引きの結果英国の領有となった。

ざっと200年を経過した1732年、コーヒー貿易の莫大な利潤のために奔走するイギリスの東インド会社が、イエメン産のコーヒーの苗木をセントヘレナ島に持ち込んだ。コーヒーの生産可能な植民地では軒並みプランテーションが試みられていたのだ。けれども土地も狭く労働力も少ないセントヘレナ島のコーヒーはそのまま忘れ去られた。1815年に夢破れたナポレオンの配流される83年前の話である。

今日では当時の貴重なイエメン産のコーヒーの直系として珍重されているらしい。

2014年12月 6日 (土)

ウィーンの水道

ウィーンのカフェではコーヒーを注文すると、1杯の水が付いてくる。日本の喫茶店で見慣れた光景だから、日本人にとっては当たり前かもしれないが、欧州ではこれがなかなか貴重らしい。旅行に出かけてもミネラルウォーターしか飲むなと事前に警告されることが多い。じつはウィーンは例外だ。

1864年ウィーン市の南西70kmにある「Schneeberg」から新たに水を引くことが決まった。「Schneeberg」とは「雪山」で、いかにも水がおいしそうだ。1865年には、皇帝フランツ・ヨーゼフ1世が、この山の南斜面にある王室御領地の水源を水道用にするためにウィーン市に寄贈した。水道は1870年に着工し1873年には無事竣工した。ウィーン進出から11年目のブラームスはこのニュースを聞いたはずだ。竣工記念に作られたシュヴァルツェンベルク広場の噴水も見たに決まっている。

さらなる人口増に対応するために第二水道も建設された。シュタイヤーマルク州ホッホシュヴァープ(Hochschwab)から延々170kmの水道だ。10年の歳月をかけて完成したのは1910年だから、もうブラームスは亡くなっていた。

こうして提供される清澄な水がウィーンのコーヒーを支えていた。

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