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    2012年3月28日から4月4日まで、次女の高校オケのドイツ公演を長男と追いかけた珍道中の記録。厳選写真で振り返る。

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    自分で買い求めて賞味したビールの写真。ドイツとオーストリアの製品だけを厳選して掲載する。

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カテゴリー「722 日本語」の17件の記事

2015年5月21日 (木)

連歌

「れんが」と読む。中世に起源を持つ日本に特異な文学の形態。短歌(五七五七七)を上の句(五七五)下の句(七七)に分け、それを別人が詠むというのが発端。下の句の次にはまた五七五が加えられ、36句、百句になるまで続く。直前の歌の特徴を捉え巧みに続けて行く面白さを味わうものだ。

座を盛り上げるためにいくつかの決まりもある。

  • 発句 最初の句だ。季語と切れ字を必ず入れねばならない。
  • 挙句 最後の句。

複数の人が一つの作品を作るという意味では、興味深い例がある。

ご存知「FAEソナタ」だ。大ヴァイオリニスト・ヨアヒムの到着を待って、ロベルト・シューマン、アルバート・ディートリッヒそれにブラームスがヴァイオリンソナタを合作したのだ。第1楽章つまり発句はディートリッヒで第2楽章はシューマンだ。ブラームスはスケルツォ第3楽章を担当し、第4楽章すなわち挙句をシューマンが受け持った。この3人の中で一番年少のブラームスは発句や挙句を任せてもらえなかったという訳だ。

現在演奏会で取り上げられる機会は、ブラームスの担当した「第3句」が一番多くなっている。

2014年2月18日 (火)

国境のトンネル

「国境の長いトンネルを抜けるとそこは雪国だった」と始まる名作がある。今この作品や作者について薀蓄をぶちまけるほどの知識は持ち合わせていないが、最近妙に鉄道漬けになった脳味噌で、別に考察を試みる。

ドイツの鉄道は果たして何箇所で国境を越えているのだろう。頼もしい「ドイツ鉄道地図」で調べてみた。ドイツの北に接するデンマークから時計回りに列挙する。

  1. デンマーク 2箇所。
  2. ポーランド 14箇所。他に廃止された路線に12箇所。全て川を越える。
  3. チェコ 16箇所。他に廃止された路線に8箇所。
  4. オーストリア 8箇所。廃止された路線では1箇所。
  5. スイス 10箇所。廃止路線はなし。
  6. フランス 8箇所。廃止路線上には5箇所。
  7. ルクセンブルク 1箇所。廃止路線はなし。
  8. ベルギー 2箇所。廃止路線上に5箇所。
  9. オランダ 8箇所。廃止路線上に11か箇所。
  10. 合計 69箇所。廃止路線上に42箇所。

現役の路線で69箇所、これに加えて42箇所が廃止路線だから合わせて111箇所ということになる。さてさて、この111箇所の国境越え路線のうち、トンネルはとなるとわずか一箇所、アーヘンの南西に接するゲメニッヒャートンネル(870m)だけだ。トンネルを抜けるとそこはベルギーというノリである。廃止路線を含めて111箇所の国境のうち、トンネルがあるのが1箇所だった。しかもだ。たった1箇所のそのトンネルは貨物専用線上にある。一般の旅客列車はここを通らない。

いやはや意外な結末。ドイツでは旅客が国境のトンネルを抜けることが出来ない。

2013年12月 9日 (月)

猫の死因

森鴎外と並び称される文豪・夏目漱石の代表作「我輩は猫である」の主人公は猫だ。猫の視点から人間模様を描写するという構成になっている。物語の最後で主人公たる猫は、瓶にはまって死んでしまう。

その直前、猫はビールを飲んでいる。ご主人を含む数名の宴会で供されたビールの飲み残しを飲んだという設定だ。これが原因で本来ならはまるはずのない瓶にはまったかの因果関係を感じさせる。

漱石自身があまり酒に強くなかったらしく、彼の創作する人物の描写にもそれが反映する。ドイツに留学した森鴎外が、「独逸日記」の中で盛んにビールに言及するのとは大きな違いだ。

今日12月9日は漱石の命日にあたる。

2013年9月30日 (月)

カフェミネルヴァ

森鴎外の「うたかたの記」は、バイエルン王ルートヴィヒの謎の死がモチーフになっている。冒頭に出現するのが「カフェ・ミネルヴァ」だ。ミュンヘンの画学生の溜まり場という設定である。

はっきりと「カフェ」とされてはいるのだが、そこはミュンヘンだ。女給仕の立ち居振る舞いの描写から思うに、どうもビヤホールのような雰囲気である。両手それぞれに4、5個のジョッキを器用に持っている様子が描かれる。このジョッキは1リットルだから、これを計10個なら大した重さだろう。

「揺り越すばかりの泡」とは見事な表現である。

2013年9月25日 (水)

テレジア牧

森鴎外は1885年からドイツへ留学している。陸軍軍医としての留学だが、これが彼の文学作品に反映していること周知の通りである。彼の死後しばらくして刊行された「独逸日記」は興味深い逸話の宝庫だ。

1887年3月、ミュンヘンに居を移した鴎外は、下宿からの眺めを記述する。そこに出てくるのが「テレジア牧」だ。実はこれが現代世界最大のビール祭り「オクトーバーフェスト」の会場「Theresienwiese」のことを指す。彼の下宿はペッテンコーファー通り。ミュンヘンの地図を見るとなるほどTheresienwieseとは指呼の間だ。

そして翌年10月3日の日記にはオクトーバーフェスト最終日の賑わいが証言されていて地元の人々の飲みっぷりに驚いている。12リットル半を一晩で飲む輩も珍しくないとする一方で、自らは1.5リットルが限界だと告白する。

2013年7月 1日 (月)

収蔵庫

地名をあれこれ調べていて興味深い地名にたくさんめぐり合った。本日の記事でそれらにまとめて言及する。

  1. シューマンの故郷ツヴィッカウの西約60kmの街。「Moxa」と綴る。これを辞書で引くと「灸を据える際の材料」とあり起源が日本語だとされている。つまり「モグサ」だ。この地名が本当に日本語「モグサ」に由来するものなのか、にわかには信じ難い。地図で見る限り相当な田舎である。地名に反映するほどの日本との交流があるとも思えない。
  2. 始祖鳥の化石産地ゾルンホーフェンの南西およそ3kmに「Apfelthal」がある。直訳して「りんごの谷」だ。かわいらしさで申せばトップクラス。愛用の道路地図の索引には掲載されていない。
  3. 鉄道模型で有名なメルクリン社の本社があるゲッピンゲンをまず見つけよう。シュトゥットガルトの東南東およそ35kmにある。ゲッピンゲンが見つかったらそこからフィルズ川を東南東に15km遡ったあたりにあるのが「Kuchen」という街。「クーヘン」と読むが何と「ケーキ」の意味だ。
  4. こちらはスイス。スキーリゾートとして名高いサンモリッツの北北西およそ20kmに「Barentritt」がある。赤文字はウムラウトなのだが、意味は「熊の足跡」だ。
  5. 今度はドイツ最大の島リューゲン島にある。東北の端にザスニッツという街がある。そこから南に続く砂州の中央よりやや南に「Prora」がある。ナチスが2万人のキャパを誇る保養設備の建設を企てた場所。大戦の勃発と共に打ち捨てられ今もなお廃墟が残る。
  6. 北ドイツの港町キールの南南東およそ10kmに「Honigsee」がある。「ハチミツの海」または「ハチミツの湖」の意味。近所に小さな湖があるのでこちらの名前に因むか。そこから流れ出す小さな川には「Honigau」と書かれている。
  7. ミュンヘンの西南西およそ15kmの位置に「Vaterstetten」がある。「父の街」だ。一方ルートヴィヒスハーフェンの南西およそ10kmには「Mutterstadt」もあった。「母の街」とでも解せばいい。「父」や「母」は地名の構成要素になりにくいから目立つ。
  8. スイスの地名を調べていて興味深い発見をした。バーゼル市内を流れるライン川の左岸。ヨハネス橋の上流200m一帯の地名が「Totentanz」だ。正確には「死の舞踏」ではなくて「死者の舞踏」かもしれない。地名語尾「tanz」は非常に珍しい。近辺の教会に「死の舞踏」の壁画があったことに因むらしいが、確認できていない。
  9. 同一地名語尾が一つの地名の中に連続するという珍しい例。「Ostenfeldfeld」という地名が実在する。ユトランド半島の付け根の西海岸、ブラームスの父の故郷ハイデの北およそ50kmの港町フーズムを探そう。フーズムの西南西およそ20kmの位置。「feld」が語尾で連続している。地元民はちゃんと発音しているのだろうか。すぐ西となりに「Ostenfeld」という街があるから「Ostenfeld+feld」という成り立ちだろう。
  10. 愛用の道路地図で見つけた。ニュルンベルクから南東に30kmくらい行ったところに、ノイマルクトという街がある。そこから10km南に「Jura Zoo」と書いてある。「Zoo」はさすがに「動物園」の意味だが、「ツォー」と発音するようだ。でもって「Jura」は「ジュラ紀」だから驚く。恐竜でも飼っていそうな感じがする。先般「始祖鳥のふるさと」と紹介した「アルトミュールタール自然公園」の北側に隣り合う位置にあるから、相当期待できる。地名ではないに決まっているがつい勢いで。
  11. 奇妙な縁で探し当てた地名。ドイツの蒸気機関車運行路線を調べていた。レーゲンスブルクの東およそ60kmの位置に、ヴァンデルバーンという路線があって、蒸気機関車が運行されている。ゴッデスツェルからヴィーハタックまでおよそ20km程の路線。途中に出現するのが本日のお題にもなっている「Gstadt」という駅だ。何と読むのか興味深い。素直には「ゲーシュタット」なのだろう。「Stadt」はドイツ語で街だから「G街」という意味か。「G」の後に省略符もないので何かの省略でもなさそうだ。たとえば「H-Altona」といえば「ハンブルク-アルトナ」という意味があるように。近隣に「G」で始まる大きな都市も無い。不思議がってもいられない。隣国オーストリアの都市リンツの南東およそ40kmにあるワイトホフェンという駅から出ている路線にも同じ「Gstadt」という駅がある。驚いたことにこちらも蒸気機関車が運行されている。さらにその「Gstadt」の南南西40kmのところに「Gstadterboden」という駅もある。手元の道路地図にもあったが、こちらは最小のフォントで記されていて索引からははずれている。その気で捜すと「Ibach」や「Adorf」もあるから、アルファベット1文字が語幹の地名も珍名という訳ではなさそうだ。
  12. Agathenburg ハンブルクの真西約30kmにあるエルベ川南岸の街だ。「アガーテの城」くらいの意味である。アガーテといえば弦楽六重奏曲第2番で名高い元婚約者の名前。ブラームスの故郷ハンブルクに近いところがミソ。
  13. Marxsen ハンブルクの真南約25Km。今度は10歳のブラームスが師事したピアノと作曲の教師の名前そのままの街があった。
  14. hausen 地名語尾「hausen」が「heim」と棲み分けられている。「haus」(家)の複数形が元で、「集落」の意味だとされている。一方スイスで話されているドイツ語において「hausen」には「節約する」という意味が生じている。そういえばスイスの地図の索引を探していていても地名語尾「hausen」を含む地名が見つからない。

2012年12月 3日 (月)

ドイツ三部作

森鴎外のドイツ三部作は、文系を志す受験生にとって必須の知識。「舞姫」「うたかたの記」「文づかい」のタイトルに加えて主人公やあらすじくらいは、そらんじていた方がいい。

  1. 舞姫 1890年1月刊
  2. うたかたの記 1890年8月刊
  3. 文づかい 1891年1月刊

「舞姫」はドイツ留学から帰って1年半後に発表されたデビュー作。いわば鴎外の「op1」だ。鴎外のベルリンでの経験が元になっている。op2とも言うべき「うたかたの記」は、ミュンヘンでの体験がベースにある。「文づかい」op3は、ライプチヒ・ドレスデンが描写の中心になっている。鴎外の留学中の滞在地ライプチヒ(ドレスデン)、ミュンヘン、ベルリンが三部作の1つ1つに棲み分けられている。しかもライプチヒ(ドレスデン)→ミュンヘン→ベルリンという滞在と逆の順序で作品が発表されている。

20代の鴎外はドイツの香気漂う三部作をもって文壇にデビューしたということだ。作品の中に日本人の主人公とドイツの人々を無理なく矛盾なくいきいきと並存させ、それらが鴎外自身が直接見聞きしたドイツの生の風景の中に、継ぎ目なく置かれている。多くの一般日本人にとって見知らぬ土地ドイツを舞台にすることで喚起されるロマン的叙情が、作品を貫く背骨になっている。

ブラームスの生前に発表された鴎外の小説はこの3つにとどまる。op4ともいうべき「半日」は1909年の作品だ。ドイツ三部作はブラームスが生きた時代のドイツを大文豪自ら切り取った代物である。

2012年9月13日 (木)

鴎外の命名

文豪・森鴎外は3男2女の計5名の子宝に恵まれた。

  • 長男 於菟 おと
  • 長女 茉莉 まり シューマン夫妻の長女Marieと同じ。
  • 次女 杏奴 あんぬ おそらくAnneだろう。
  • 次男 不律 ふりつ これはFritzに決まっているが夭折。
  • 三男 類 るい Louiだ。ドイツ語系ではLudwigになる。バイエルン王ルートヴィヒ2世を意識したか。王を悼む漢詩の中で王本人を「路易二世」と表現していることからもルートヴィヒとルイの関係には配慮されていたと考えるのが自然だ。

以上全て鴎外の命名。さらに長男・於菟の第一第二子も鴎外の命名。

  • 長男 真章 まくす ミュンヘン時代の恩師マックス・フォン・ペッテンコーファ由来か。
  • 次男 富 とむ Tomのことだ。Thomasの愛称形なのだが、トムはいささかドイツ人っぽくない。独逸日記に出てくるアメリカ人の友人に因んだものと思われる。鴎外は彼を「性質温和にして、言辞虚飾無し」と評している。トムが鴎外に身の上話をするシーンは感動的。自分は結核の家系だから、一生結婚しないと決めている。恋人はいるのだが、そう伝えたという。鴎外は、コッホ先生が結核菌を発見したし、あなたは今頑健だから、きっと大丈夫だよと慰めた。鴎外はその記憶が残っていたに違いない。
  • 長女 百合 Julie これは幻の命名。富(トム)が女児だった場合のスペア。シューマン夫妻の3女と同じ名前と見ていい。

男女ともに漢字をあててはいるものの、全部外国語の名前を当て字であらわしたものと判る。もしやと思うことがある。

長男・於菟のことだ。これは間違いなくドイツ語圏で人気の名前「Otto」にちなんだものだろう。彼は父鴎外がドイツ留学から帰国したおよそ2年後1890年9月13日に生まれている。鴎外が「おぉ。クララ・シューマンと同じ誕生日だ」と喜んだとは思えないが、最初の男の子つまり世継ぎの命名がいい加減だったということなど絶対にあり得ない。

当時世界一有名なドイツ人ビスマルクのファーストネーム「Otto」にあやかったのではないかと勘繰る。同年3月に宰相を退任してはいたものの、鴎外のドイツ留学期間にはずっとドイツ帝国宰相の座にあった。明治の軍医鴎外が、長男に鉄血宰相にちなんだ名前を選ぶのはかなり自然だと思う。

今日は9月13日、森鴎外の長男がクララ・シューマンと同じ誕生日だという苦心のこじつけネタ。

2012年7月 8日 (日)

戦論

森鴎外は1884年から1888年にかけて陸軍軍医としてドイツに留学していた。「独逸日記」はまさにその4年間を記録したものだし、彼の作品の中にはその経験が色濃く反映しているものもある。まさにブラームスと同時代の貴重な証言になっている。

実はもう一つ言及しておきたい点がある。クラウセヴィッツの名著「戦争論」の翻訳を鴎外が手がけていた。そのタイトルが「戦論」だ。1899年6月小倉で1編と2編が訳出されたという。これは当時の大日本帝国陸軍参謀本部の意向だった。日清戦争の5年後で日露戦争の5年前の時期。対露戦争不可避の情勢にあって、軍内の教育目的で翻訳されたものだ。

日本で一二を争う大文豪が戦争理論書を訳していたことになる。当時随一のドイツ語通に白羽の矢が当たったということだろう。その訳本は日本の主要な師団13箇所以上に配布されて研究の題材になった。

2012年7月 5日 (木)

鴎外とブラームス

森鴎外とブラームスに意外な接点でも見つかれば、ブログ運営的には万々歳なのだが、そうも行かない。森鴎外がドイツに留学していた時期の日記が「独逸日記」なのだが、その時期はブラームスの創作活動の頂点とも言える時期だった。鴎外は以下の通り拠点を移しながら学んだ。

  1. ライプチヒ時代 1884年10月22日から1885年10月11日
  2. ドレスデン時代 1885年10月12日から1886年3月7日
  3. ミュンヘン時代 1886年3月8日から1887年4月15日
  4. ベルリン時代 1887年4月16日から1888年5月21日

1884年10月22日から1888年5月21日までの留学期間に初演されたブラームスの作品を見るとそれが傑作の森とも称すべき主要器楽作品の密林でもある。

  1. 第4交響曲 1885年10月25日 マイニンゲン
  2. チェロソナタ第2番 1886年11月24日 ウィーン
  3. ヴァイオリンソナタ第2番 1886年12月2日 ウィーン
  4. ピアノ三重奏曲第3番 1886年12月20日 ブダペスト
  5. 二重協奏曲 1887年10月18日ケルン

鴎外が本拠にした4都市、ライプチヒ、ドレスデン、ミュンヘン、ベルリンはブラームスも立ち寄ることはあったが生活の本拠ではなかった。二人のニアミスの可能性は限りなく低い。第4交響曲のドレスデン初演は鴎外がこの地を立ち去った3日後だ。二重協奏曲のベルリン初演は、鴎外がベルリンにやってくる2ヶ月前だった。

鴎外の「独逸日記」は、ブラームスと同時代のドイツを日本の文豪が切り取った貴重な同時代資料だが、逆にブラームスとの接点があまりに無さ過ぎて悲しい。

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