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カテゴリー「723 短歌俳句」の140件の記事

2024年1月15日 (月)

今年の大河

大河ドラマのことだ。今年の主人公は紫式部。やれ源平だ、戦国だという題材が多いのだがこれは異色だ。さっそく初回放送の視聴率が取り沙汰されていたが、我が家にとっては、こちらの方がなじむ。

紫式部をはじめ登場人物の何人かが百人一首に出てくる。百人一首をほぼそらんじている母は、作者までは記憶しておらず、紫式部は「めぐりあいて」だとよ伝えると即「雲隠れ」かと切り返してきた。小学生の私に百人一首を教えてくれたときのままだ。藤原道長が百人一首にいないことを残念がっていた。いくさが前面に出ないから平和なのかと短絡してはいけない。かえって陰湿と思わねばなるまい。この先、お歌やお香がどうからんでゆくのか楽しみである。

鎌倉の右大臣の弟子としては、しっくりとくる。

2023年7月17日 (月)

歌物語テイスト

恒例の「お盆のファンタジー」は昨日までの3日で本年分を終えた、めでたく50本に達したこともあって、このほど新趣向に挑んだ。それが歌物語である。古典文学の1ジャンルで、代表作はと問われれたら「伊勢物語」と答えておけば大滑りはしないと思われるが、正確な定義となるとやや手に余る。源氏物語だって進行の要所に歌が配置されているし、日記文学にだって歌が出てくることもある。

この度源実朝を扱ったお盆のファンタジーには3日の間に歌を6首配置した。

  • 1 大麦の香りほどろに立つる泡盛りて弾けて揺れて飲むかも (実朝師匠)
  • 2 麦かもす黄金立ちたるギヤマンに揺り越すほどぞ泡もほどろに (私)
  • 3 毒消しの験と麦酒飲み干して心慰むこの夕べかも (ブラームス先生)
  • 4 南蛮の楽の匠と思ひきや和歌の浦にも立ち慣れにけり(実朝師匠)
  • 5 しろがねの槐と敢へて名付くるにためらはぬ我右府の愛弟子(私)
  • 6 やよ励め水と清きを競ひつつ山と高きを争へや君 (実朝師匠)

<1> ビールの泡を見た実朝師匠の驚きの反応。もちろん師匠の絶唱「大海の磯もとどろに寄する波割れて砕けて裂けて散るかも」を本歌取りしたものだ。実朝師匠自身の歌という設定のため、本歌取りの定義をはずれるが、「大海」を「大麦」に、「波」を「泡」にすり替えたという趣向だ。(えっへん)

<2>師匠の即詠を受けた弟子である私が慌てて唱和した感じ。古典和歌としては「ギヤマン」はいささか浮くけれど酒の席の即興とあればペナルティキックとまでは行くまい。結句「泡もほどろに」を指して師匠が「旅人風」と言ってくれたのはお咎めなしのサインだ。万葉集の大伴旅人作「淡雪のほどろほどろに降りしけば奈良の都し思ほゆるかも」を踏まえた軽い本歌取りであるとわかってくれる師匠という設定。もちろん「淡雪」の「淡」は、ビールの「泡」とかけられているのは、師匠も私も脳内共有を終えている。「淡は泡でしょ」(どやっ)

<3>あっとおどろくブラームス先生の詠作。こちらは直前のやりとりが大伴旅人風だったことを受けて、その息子大伴家持の「我が宿のいささ群竹吹く風の音のかそけきこの夕べかも」を軽く念頭に置いている。当然それに気づく実朝師匠だ。(ぼーぜん)

<4>はブラームス先生の即興の作やお歌の知識に実朝師匠が心底驚いた様子。「南蛮」は「異国の」くらいのニュアンス。「楽の匠」と合わせてブラームスのことを指す。「異国の音楽の巨匠とばかり思いこんでいたけれど、どうしてどうして和歌にも精通されていますね」くらいのニュアンス。かつて慈円が父頼朝をほめた歌を記憶している実朝という含み。(きりっ)

<5>私が未来の自分の歌集に「銀槐和歌集」と名付けたいという申し出を快諾してくれた喜びを込めた感じ。「右府」は「右大臣」のことで鎌倉右大臣・源実朝を指す。(サクッ)

<6>帰りがけに私に気合を注入する師匠の歌。「精進しなさい」と言い置いて帰って行ったということだ。(ウルッ)

いやいや楽しい。本歌取りをメインに据えて推進力を借りた感じ。本歌取りは古典和歌の根幹をなす技法ながら、実際の歌集では、歌の前後の詞書きにそのことが記されることはない。「誰それのあの歌を本歌に取りしています」などとやらぬのがお約束。野暮というものだ。今回一連の種明かしは例外中の例外である。本来そんなことをするのは恥ずかしいことなのだ。当時は詠み手も受け手も先行する膨大な歌の知識が十分あったから、野暮は言わぬのがお約束だった。学習目的でのみなんとか許される感じ。

この6首すべて私の自作である。歌物語の作者は進行に合わせて登場人物が詠む歌を自作せねばならない。「お盆のファンタジー」に歌物語テイストを付与しようと思ったら、それは歌の自作を意味する。当然のことながら緊張した。

 

2023年7月15日 (土)

お盆のファンタジー51

実朝先生とブラームス先生はいつしか本歌取りを話題にしていた。先人の作を踏まえて自作に織り込む技法のことだという実朝先生の説明を聞いたブラームスさんの目がきらりと輝いた。ビールを飲みほしてほっと息をついたあと「変奏じゃな」とつぶやく。

本歌取りは盗作とは完全に一線を画する。盗作は引用元がばれると困るが、本歌取りは「知っているかなあ」とばかりに読み手に投げる。歌い手と読み手どちらの側にも膨大な数の過去の作品をそらんじているという状況が根底にある。読み手はそりゃ誰それのお歌の本歌取りだと見破ったうえで、ならではの歌を返す。返す側も返された側もそれで満足する。

「根底にあるのは先達への敬意さ」という実朝先生の説明で我が意を得たりとブラームス先生が立ち上がった。本歌を構成する様々な要素のうち、どことどこを残すか、あるいはどことどこを変えるかの着眼こそが肝じゃなとしたり顔のブラームス。

南蛮の楽の匠と思ひきや和歌の浦にも立ち慣れにけり」とは実朝先生の詠。

「残念ながら」とブラームスが切り出す。「ドイツ語という言語の枠組みではどうにもならぬ」

一つは漢字と仮名。一文字にひとつひとつ意味のある漢字がどうにもすごい。そこに一文字一音の仮名が加わって表現が格段に深まるようじゃの。と続ける。「してその心は」と実朝先生。「それはじゃ」「膨大な数の同音異義語の存在だ」とブラームス。

たとえば昨日話題になった「泡」と「淡い」じゃ。見ての通りそれは名詞と名詞にとどまらぬから、「秋と飽き」「松と待つ」もかとブラームス。こうした組み合わせの数だけ「掛詞」が成立するじゃろ。ドイツ語ではそうはいかん。表向きの意味とは別の意味合いを裏で走らせることが出来る。序詞、掛詞、歌枕、縁語など総動員すれば二重三重に含みを持たせることも可能じゃ。まさに対位法じゃなと。

あとは文末決定性。日本語では最終的な意味の決定が文末になる。だから意図的に文末まで言わない体言止めが技法として成立するんじゃな。雄弁一方かと思うと言わぬが華の文末省略で、結論を受け手の感性に委ねるとでもいうかの。

あれよあれよという間に二人は意気投合している。「わしも作曲を習わねば」と真顔の実朝先生だった。

「まずは変奏曲になさいますかな」とブラームスがお茶目なウインクをかました。

2023年1月20日 (金)

だから実朝

昨年9月17日「実朝生誕830年」の記念日にスタートした実朝特集を本日のこの記事でお開きとする。開始から10月いっぱいを実朝周辺の歴史的考察にあて、11月から昨日までお歌の論考に費やすという二部形式とした。

いやはや格別の楽しさ。西洋クラシック音楽と日本古典和歌なんぞ、共通点皆無もいいところだが、およそ4か月もブラームスネタを中断して熱中した。別ブログ立ち上げまでは荷が重そうだが、かなり踏ん張れると思えたところが収穫だ。私の実朝ラブの理由が盛り込み切れた。音楽系の記事を通じてブラームスやバッハのキャラを浮き彫りにできればと考えてのブログだが、実朝のキャラにも波及しそうだ。

しかし、よくよく考えると一番浮き彫りになるのは、おそらく私のキャラ。学問であることをあきらめておバカな妄想を情報めかして語るというコンセプトにジャンルは関係ない。「数えることを億劫がらない」をベースに「暇」と「筆まめ」と「凝り性」がブレンドされている。

次の寄港地はどこだろう。

2023年1月19日 (木)

鎌倉右大臣の13首

延々と源実朝の作品について記事を重ねてきた。この辺で実朝作品私的ベストを選定しておく。このところ何かとはやりの13首とする。

<第1位>大海の磯もとどろに寄する波破れて砕けて裂けて散るかも SWV641

 迷いに迷ってこれ。3位までとの差はわずか。史上最高の海の描写。

<第2位>時により過ぐれば民の嘆きなり八大竜王雨止め給へ SWV619

 2020年に選んだ「令和百人一首」ではこの歌を採ったのだが、今回は2位。明日はどうなるやら。

<第3位>もののふの矢並みつくろふ籠手の上に霰手走る那須の篠原 SWV677

 明日首位に出ても驚かないくらいの第3位。「矢」と「霰」に弱い。

<第4位>東の関守る神の手向けとて杉に矢立つる足柄の山  SWV720

 坂東の王者たる風格。

<第5位>結ひ初めて慣れしたぶさの濃むらさき思はず今も浅かりきとは SWV632

 古典のしきたりからすこーしだけ外れた恋。茫然自失の征夷大将軍。

<第6位>おほかたに物思ふとしも無かりけりただわがための秋の夕暮  SWV185

 「自分のための秋」とは近代短歌のモノローグの先取りか。

<第7位>咲きしよりかねてぞ惜しき梅の花散りの別れは我が身と思へば  SWV664

 稀代の梅詠みの真骨頂。梅に翳りを添えさせたら右に出るものはない。

<第8位>食み上る鮎棲む川の瀬を早み早くや君に恋ひわたりなむ  SWV682

 ピチピチの彼女か。

<第9位>くれなゐの千入の真振り山の端に日の入ると時の色にぞありける SWV633

 写メなしのインスタ映え。

<第10位>野辺分けぬ袖だに露は置くものをただこの頃の秋の夕暮  SWV516

 言わぬ美学。わかる者だけついておいで。

<第11首>箱根路をわれ越え来れば伊豆の海や沖の小島に波の寄る見ゆ  SWV639

 詠む遠近法。

<第12位>千々の春万の秋を永らへて花と月とを君ぞ見るべき  SWV353

 知性と情。

<第13位>世の中は常にもがもな渚漕ぐ海人の小舟の綱手かなしも SWV604

 詠むレガート。

現時点における好きな順を、泣く泣くひねり出した。トップ3は紙一重。13位シード権争いも熾烈だった。次点を挙げたらきりがない。

ブラームスやシューベルトの歌曲を特集する度に、その末尾でマイベスト歌曲を選定してきた。選定の過程を悩ましくも楽しいと喜んだ。実朝の13首選定も、同じ種類の楽しさだった。

実朝は「和歌のブラームス」つくづく。

続きを読む "鎌倉右大臣の13首" »

2023年1月18日 (水)

私の25首

実朝作品の抽出において、私と勅撰和歌集では、どうにもズレがあると書いた。実朝を初めて入集させた定家は9番めの勅撰和歌集「新勅撰和歌集」のために実朝作品25首を選んだ。私もこれにあやかって25首を選ぶことにする。「春」「夏」「秋」「冬」「賀」「神祇」「旅」「恋」「雑」の9つの部立てに沿って選出を試みた。

<春>

  • 君ならで誰にか見せむ我が宿の軒端に匂ふ梅の初花 SWV740
  • 咲きしよりかねてぞ惜しき梅の花散りの別れは我が身と思へば SWV664
  • 青柳の糸より伝ふ白露を玉と見るまで春雨ぞ降る SWV665

<夏>

  • いにしへを偲ぶとなしに古里の夕べの雨に匂ふ橘 SWV139
  • 岩くぐる水にや秋のたつたがわ川風涼し夏の夕暮 SWV147

<秋>

  • おほかたに物思ふとしも無かりけりただ我がための秋の夕暮 SWV185
  • 野辺分けぬ袖だに露は置くものをただこの頃の秋の夕暮 SWV516
  • くれなゐの千入の真振り山の端に日の入るときの色にぞありける SWV633

<冬>

  • 雪深き深山の嵐冴え冴えて生駒の岳に霰降るなり SWV336
  • もののふの矢並み繕ふ籠手の上に霰手走る那須の篠原 SWV677

<賀>

  • 千々の春万の秋を永らへて花と月とを君ぞ見るべき SWV353
  • 東の国に我が居れば朝日さすはこやの山の陰となりにき SWV662
  • 山は裂け海は浅せなむ世なりとも君に二心我があらめやも SWV663

<神祇>

  • 時により過ぐれば民の嘆きなり八大竜王雨やめ給へ SWV617
  • 伊豆の国山の南に出づる湯の速きは神の験なりけり SWV643
  • 宮柱太敷立てて万代に今ぞ栄へむ鎌倉の里 SWV715

<旅>

  • 玉櫛笥箱根のみ湖けけれあれや二国にかけて中にたゆたふ SWV638
  • 箱根路をわれ越え来れば伊豆の海や沖の小島に波の寄る見ゆ SWV639
  • 東の関守る神の手向けとて杉に矢立つる足柄の山 SWV720

<恋>

  • 我が恋は初山藍の摺衣人こそ知ららね乱れてぞ思ふ SWV374
  • 結ひ初めて慣れし髻の濃むらさき思はず今も浅かりきとは SWV632
  • 食み上る鮎棲む川の瀬を早み早くや君に恋ひ渡りなむ SWV682

<雑>

  • 世の中は常にもがもな渚漕ぐ海人の小舟の綱手かなしも SWV604
  • 物言はぬ四方の獣すらだにもあはれなるかなや親の子を思ふ SWV607
  • 大海の磯もとどろに寄する波破れて砕けて裂けて散るかも SWV641

現実に勅撰入集している歌10首を赤文字にしておいた。部立てのバランスに配慮すると意外と難しいとわかった。SWV633を無理やり秋に押し込んだ。現実の勅撰和歌集に習って夏と冬は層が薄い。「賀」は概ね天皇礼賛。「神祇」は信仰。「雑」がわずか3枠とはきつい。

我こそは撰者。幸せだ。

2023年1月17日 (火)

勅撰とのズレ

昨日の記事「定家のチョイス」で、定家が新勅撰和歌集に採用した25首と、私の選んだ66首では3首12%しか重複しないと驚いた。しからばとばかりに話を勅撰和歌集全体に広げてみる。実朝の勅撰入集は定家分込みで92首だ。この92首と私の66首との重複は15首、22.7%。明細は下記。

  1. いにしへを偲ぶとなしに古里の夕べの雨に匂ふ橘 SWV139
  2. おほかたに物思ふとしも無かりけりただ我がための秋の夕暮 SWV185
  3. 降らぬ夜も降る夜も紛がふ時雨かな木の葉の後の峰の松風 SWV276
  4. 山高み明け離れゆく横雲の絶え間に見ゆる峰の白雪 SWV333
  5. 雪深き深山の嵐冴え冴えて生駒の岳に霰降るらし SWV336
  6. 千々の春万の秋を永らへて花と月とを君ぞ見るべき SWV353
  7. 千早ぶる伊豆のお山の玉椿八百万代も色はかはらじ SWV366
  8. 我が恋は初山藍の摺衣人こそしらね乱れてぞ思H SWV374
  9. 雪積もる和歌の松原古りにけり幾世経ぬらむ玉津島守 SWV572
  10. 世の中は常にもがもな渚漕ぐ海人の小舟の綱手かなしも SWV604
  11. 箱根路をわれ越え来れば伊豆の海や沖の小島に波の寄る見ゆ SWV639
  12. 伊豆の国山の南に出づる湯の速きは神の験なりけり SWV643
  13. 青柳の糸より伝たふ白露を玉と見るまで春雨ぞ降る SWV665
  14. 山は裂け海は浅せなむ世なりとも君に二心我があらめやも SWV663
  15. 宮柱太敷立てて万代に今ぞ栄へむ鎌倉の里 SWV715

定家の12%に比べれば2倍弱に跳ね上がるとは言え、けして多いとは言えない。そもそも実朝節の根幹と言えるだろうか。SWV639が無かったら実朝作と気づいてもらえるかどうか怪しい。重複数の落差よりもそちらが気になる。

勅撰和歌集の撰選ともなれば春夏秋冬賀旅恋など部立てのバランスや配置にも配慮するなど制約やしきたりもあろう。勅撰和歌集の根幹は春夏秋冬旅恋にある。それに引き換え実朝は雑歌得意という志向の違いも大きいと思う。

勅撰和歌集が私のように「好き」だけを基準にするわけにもいかない事情もわかる。92首のうち77首もスルーもさることながら、一般的に流布する実朝代表作が勅撰入集してないことも散見される。

私のようなニワカの基準が勅撰入集の基準と合致しているハズはないのだと無理やり自分を納得させている。

 

2023年1月16日 (月)

定家のチョイス

昨年11月1日以降、年明け1月11日まで個別の実朝作品について記事を積み重ねた。その間に取り上げたのは66首。現時点における実朝和歌お気に入り66撰と見ていい。現代に伝えられた実朝作品は757首あるので、8.7%を抽出したことになる。

定家は9番めの勅撰和歌集「新勅撰和歌集」において実朝の作品25作を入集させた。その25作品のうち、私の66首との重複作品は下記の3首に留まる。実際に定家が参照していた実朝作品の総数は不明だから抽出率で比較できないのが残念だ。

  • 山高み明け離れ行く横雲の絶え間に見ゆる峰の白雪 SWV333
  • 世の中は常にもがもな渚漕ぐ海人の小舟の綱手かなしも SWV604
  • 山は裂け海は浅せなむ世なりとも君に二心我があらめやも SWV663

たったこれだけかという印象。定家が入集させた歌のうち残り22首を私はスルーしたことになる。私の基準は好きかどうかだけで、勅撰入集は基準にしていなかったとはいえ、極端だ。

2023年1月14日 (土)

諦めていない

ブログ「ブラームスの辞書」管理人のハンドルネームのことだ。2020年に開設以来のハンドルネーム「アルトのパパ」から現在の「実朝の弟子」に改めた。還暦過ぎていつまでも「パパ」でもあるまいという名目だった。

2005年以来その時点までで15年も「ブラームスラブ」を言い訳に屁理屈をこねまわしてきたのだが、「ブラームスの弟子」とは名乗らなかった。その理由に今言及する。ブラームス大好きではあっても自ら演奏したり、作曲したりは諦めているからだ。大好きではあるけれど、作曲も楽器演奏も自分がすることはない。いや出来ない。

ところが今、臆面もなく「実朝の弟子」を名乗っている。つまりこれはこの先「歌」を自ら作りたいからだ。五七五七七のお歌だ。実朝が精魂込めた古典和歌の創作を諦めていないということだ。「自らの周辺の事実や、自分の信条感情をおれがおれがとばかりに臆面もなく盛り込む」現代短歌とは断固一線を画しつつだ。

2023年1月13日 (金)

運命の二択

18歳の若者を「文系」「理系」に二分する意味を今ほど疑っていなかった私は本当に悩んだ。音楽系や体育会系に進むテクを持ち合わせていないせいもあってだ。得点獲得上「数学」「古典」に傷を持つ私はどちらを選ぶのか。「因数分解」より「品詞分解」の方がいくらかマシということで文系を選んだけれど、このところの実朝特集は古典てんこ盛りなのに違和感がない。「係り結び」「掛詞」「序詞」「縁語」「本歌取り」など息をするように語れる。変われば変わるものだ。

実朝のおかげ。

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ブラームスの辞書写真集

  • Img_0012
    はじめての自費出版作品「ブラームスの辞書」の姿を公開します。 カバーも表紙もブラウン基調にしました。 A5判、上製本、400ページの厚みをご覧ください。
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