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カテゴリー「723 短歌俳句」の42件の記事

2020年8月 7日 (金)

母方の祖母

私の母の母、つまり母方の祖母の話題だ。もうすで他界している彼女の名前は「むめ」という。私が小さい頃とてもかわいがってもらった。もちろん明治の女だが、子供心に変な名前だと思っていた。母に由来を聞いても「はて」と言うばかりだった。還暦を記念する「令和百人一首」選定の過程で古語に親しむ中から意外な、そして劇的なオチにたどり着いた。

「むめ」はどうも「梅」らしい。学校のテストだったら「うめ」と書かねばならぬのだが、古くは「むめ」と標記したらしい。源実朝のお導きだ。

  1. 出で去なば主無き宿となりぬとも軒端の梅よ春を忘るな
  2. 君ならで誰にか見せむ我が宿の軒端に匂ふ梅の初花

どちらの実朝の作。1番は辞世と伝わる。2番は紀友則の本歌取りだ。実朝は梅を愛した。それだけで十分だ。生涯の歌人と奉るにふさわしい因縁ではないか。

そうそう、源実朝は後鳥羽院の一回り遅れのねずみ年。そして私も。

2020年8月 6日 (木)

後鳥羽上皇

大好きな歌人である。歴史の時間には承久の変に敗れて隠岐の島配流の憂き目にあった悲劇の人と習う。歌人としての格は相当高い。どうも私の好みは辞世や挽歌に傾きがちで、歌人で言えば大津皇子、有間皇子、源実朝、大伴家持など悲劇系の人に偏る。後鳥羽上皇も悲劇枠だ。

見渡せば山もと霞む水無瀬川夕べは秋と何思いけむ

もう大好き。百人一首にはこちらを採用してほしかったくらい。

彼は治承4年7月7月14日のお生まれで、これを西暦に直すと1180年8月6日となる。つまり本日は840回目の誕生日であり本年彼は70回目の年男だ。

2020年6月11日 (木)

落選供養

私撰百人一首の選定にあたり、採用の可否判断そのものが大きな楽しみだった。この際、無念の思いで選定を見送った歌人を整理し列挙しておく。まずは「小倉百人一首」収載の男性歌人の落選組から。

  1. 凡河内躬恒 「心あてに」
  2. 小野篁 「人には告げよ」
  3. 菅原道真 「神のまにまに」
  4. 素性 「今来むと」
  5. 遍照 「をとめの姿」
  6. 俊恵 「よもすがら」
  7. 紀友則 「しづ心無く」
  8. 飛鳥井雅経 「衣打つなり」
  9. 西園寺公経 「花誘ふ」
  10. 曽根好忠 「由良の戸」
  11. 藤原清輔 「ながらへば」
  12. 藤原顕輔 「漏れ出づる」

こうして眺めているだけで溜息が出る。残念だ。次はその他の男性歌人。

  1. 源頼朝
  2. 信生
  3. 足利尊氏
  4. 花山院
  5. 土御門院
  6. 上杉謙信
  7. 武田信玄
  8. 徳川家康
  9. 毛利元就
  10. 武田勝頼
  11. 明智光秀
  12. 石田三成
  13. 平経盛

武士たちは、心を鬼にして退席願った。有名人ばかりだ。

最後に女性。

  1. 小野小町
  2. 清少納言
  3. 相模
  4. 二条院讃岐
  5. 俊成女
  6. 建礼門院右京大夫
  7. 平時子
  8. 美福門院加賀
  9. 平徳子
  10. 平時子

この場を借りて供養させていただくこととする。合掌。

 

 

 

 

 

 

2020年5月27日 (水)

きっちり300年後

新古今和歌集の完成は元久二年だ。この年に完成披露パーティが開かれているのだが、まだ序文は完成していなかった。このあと「切り継ぎ」と呼ばれる改訂作業が延々と続いたし、隠岐の島配流後の後鳥羽上皇がこれぞ決定版と自負した「隠岐本」まである。何故に無理矢理完成披露を急いだのか。それはその年が「古今和歌集」成立300年に相当するからだ。古今和歌集の成立は西暦に直すと905年だ。かの元久二年は西暦1205年にあたる。日本史でさえ西暦での暗記が定着しているから気づきもしないが、1205-905の引き算が成立することに何の不審も感じない脳みそをリセットする必要がある。これを日本の元号で管理すると以下の通りとなる。その年号が始まった年の西暦を付しておく。

  1. 延喜 901
  2. 延長 923
  3. 承平 931
  4. 天慶 938
  5. 天暦 947
  6. 天徳 957
  7. 応和 961
  8. 康保 964
  9. 安和 968
  10. 天禄 970
  11. 天延 974
  12. 貞元 976
  13. 天元 978
  14. 永観 983
  15. 寛和 985
  16. 永延 987
  17. 永祚 989
  18. 正暦 990
  19. 長徳 995
  20. 長方 999
  21. 寛弘 1004
  22. 長和 1013
  23. 寛仁 1017
  24. 治安 1021
  25. 万寿 1024
  26. 長元 1028
  27. 長暦 1037
  28. 長久 1040
  29. 寛徳 1044
  30. 永承 1046
  31. 天喜 1053
  32. 康平 1058
  33. 治暦 1065
  34. 延久 1069
  35. 承保 1074
  36. 応徳 1084
  37. 寛治 1087
  38. 嘉保 1095
  39. 永長 1097
  40. 承徳 1097
  41. 康和 1099
  42. 長治 1104
  43. 嘉承 1106
  44. 天仁 1108
  45. 天永 1110
  46. 永久 1113
  47. 元永 1118
  48. 保安 1120
  49. 天治 1124
  50. 大治 1126
  51. 天承 1131
  52. 長承 1132
  53. 保延 1135
  54. 永治 1141
  55. 康治 1142
  56. 天養 1144
  57. 久安 1145
  58. 仁平 1151
  59. 久寿 1154
  60. 保元 1156
  61. 平治 1159
  62. 永暦 1160
  63. 応保 1161
  64. 長寛 1163
  65. 永万 1165
  66. 仁安 1166
  67. 嘉応 1169
  68. 承安 1171
  69. 安元 1175
  70. 治承 1177
  71. 養和 1181
  72. 寿永 1182
  73. 元暦 1184
  74. 文治 1185
  75. 建久 1190
  76. 正治 1199
  77. 建仁 1201
  78. 元久 1204

という具合である。ひとまず歴史の教科書に出がちな元号を赤文字にておいた。令和改元でも記憶に新しいところ、改元して正月が来ればもう「二年」になる。上記39番目と40番目でも明らかなとおり、1年に二度改元という例もある。二年連続の改元だって珍しくないので、元号〇年というところの「〇」の部分を単純に足し算しただけでは全く使い物にならない。元久二年が延喜五年から数えて300年後にあたるとわかるには、確固たる年号のルールと管理が不可欠だとわかる。

そしてさらに押さえておきたいことがある。古今集と新古今の間が300年あるのに対し、万葉集成立と古今集は100年程度の間隔しかないことだ。万葉集の成立は諸説ある。8世紀末から9世紀初頭で仮に8世紀真ん中750年まで遡っても古今集とは150年しか離れていないということだ。古今と新古今の間300年と一口に言うが、バロックの始まりが1600年で、1900年がロマン派の終焉だと考えると、とても長いとわかる。

 

 

 

 

2020年5月 4日 (月)

ごしごしごしごし

昨日ブログ通算5500本目の記事を公開したとはしゃいだ。

本日は2020年5月4日。一方でブログ「ブラームスの辞書」は、2005年5月30日の開設から5454日目となる。その間記事の抜けが無かったことを自慢するのは毎度毎度のお約束だが、本日の主眼はそこにはない。2020年5月4日に5454日目を迎えるという極上の偶然を思いやる。勢いあまって午前5時4分に公開した次第。

ブラームスそっちのけでバッハやドイツバロックネタに走ることにはもはや何の後ろめたさも感じない脳みそになっていたが、令和百人一首ネタ連発には、呵責もあった。生誕60周年を自ら祝う企画と、自分に言い訳してきた。おかげで60年心にたまった垢をごしごしごしごしと洗い流すことが出来た。

コロナに痛めつけられた心を少しでも洗い浄めたい。

2020年3月31日 (火)

西行没後830年

文治6年如月16日に、辞世での予告通りにこの世を去った大歌人が西行だ。西暦なら1190年なので今年は没後830年となる。

大好きな新古今和歌集に象徴される和歌の絶頂期を、藤原俊成とともに準備したという位置づけだ。「歌」「仏」「旅」の3つを高い次元で程よくブレンドし、続く世代に決定的な影響をもたらしたと評価される。息をするように歌を吐く印象。しきたり、流派には無縁に見えながら、身勝手な自己流あるいは前衛に堕していないと感心するばかり。

「令和百人一首」では恐れ多くも和歌のシューベルトと認定した。

2020年3月30日 (月)

疫病退散奉納

世の中、ますます委縮してきた。新型コロナウイルスの話だ。オリンピックの延期も決まりいよいよ閉塞してきている。都市封鎖の現実味が重くのしかかる。ブログ「ブラームスの辞書」では注意深くコロナの話題を避けてきたが、そうも参らぬと本日初めて話題にする。

疫病退散を願ってお叱り覚悟のオリジナル和歌集を奉納することとする。そもそも昨今の騒ぎは、世が世なら国中の僧侶をかき集めて、加持祈祷をさせるレベルだ。神も仏も、いやいやイエスさまもマリアさまも総動員がいるはずだ。私も座視できぬ。

  1. し方の十年のきかなにも人にもせぬ縁あり
  2. 十の春にぞこころなき病まだ見ぬ後の世々に伝へむ
  3. きそびれまだ声聞かぬ鶯はころな憂しとて谷に籠もれる
  4. の病みを照らす心の拠りどころなりとて花の灯りをぞ待つ
  5. ふや我明日は家族か知らねども笑ふ我家をころなよくらむ
  6. 縦ならば目にもさやなるころなよけ荒き神々心して読め
  7. 花のころのみと春は添ひかねて声だに鎮む四方の営み
  8. 咲く花を神酒はころなと思し召す宴まばらなる花の下影
  9. 家々のふところなべて寒からし野辺のかまどに立つ煙無し
  10. まじないになるやならぬや試みにコロナの麦酒拝みてぞ飲む
  11. 毒消しの験と麦酒飲み干してこころなぐさむこの夕べかも
  12. 雛仕舞い遅れがちなる我家かなころな故にとむべも言ひけり
  13. 久方のころなに心砕くとも知恵の緒きらり卒業の子ら
  14. 白まゆみ家居する日の朝じめりころなよくとて香焚きにけり
  15. 夕気配こころなしにか暮れを急ぎなほ道の辺の人ぞ稀なる
  16. 秋来れば集ふ手筈の神無月ころな出雲と思いとどまれ
  17. 時は今大和島根を守るころ勿来の関を閉じて固めよ
  18. ぬ人をくに松ともき身かなかぬ藻塩にも小慣れつつ
  19. 物の名に既に籠めしか友則のしづこころなく花の散るとは
  20. 夕されば禊ぞ夏と知るこころならの小川に風そよぐとも
  21. 春の野にすみれ摘みにと歩み出てころなの峠踏みや越えまし
  22. きりぎりす鳴くさ筵は無けれどもころなころなと人ぞ鳴くなる
  23. 東風吹きて匂ひ起こせし梅の花時ぞ過ぐるところな広めそ
  24. 春過ぎて夏来るまでと祈るかなころな干すてふ神に仏に
  25. 玉鉾の道に子供の跡絶えて春まだ寒くころな討つなり
  26. 時を経て祟るころなる滝川の割れてや末も逢はで過ぐさむ
  27. 乙女をば留むばかりの天津風ころなの裳裾閉じてこそみめ
  28. 経も無く緯さへ見えぬ毛色かなころなたつとて吹く春嵐
  29. 山は裂け海は浅せなむころなるも流行り病に心閉ざすな
  30. 佐保姫の去るとも聞かぬ竜田川ころなをぞ絶て千早振る神
  31. 足引きのやまいの仕業憎むとも人のこころなさても忘れそ
  32. 切り貼りの歌にころなを閉じ込めて幣と手向けむ護れ神たち

願をかける以上、半端な数では聞き届けてもらえまいが百首に届かなかった。信心が足りてない。その代わり全てのお歌にコロナを刷り込んでおいた。「物の名」「折句」を一部含む。あるいはいくつか本歌取り割と真剣にぞありける。

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おっと、こちらはお神酒だ。

 

2020年3月15日 (日)

班対抗かるた大会

小学校4年の3学期。1970年のことだからもう50年前の話だ。

担任だった植木先生は、国語の時間に突然「百人一首大会」をやると切り出した。明日の午後から練習してみるから、おうちに百人一首がある人は持参してくださいと。続けて黒板に一首書いた。

よをこめてとりのそらねははかるとも

よにあふさかのせきはゆるさじ

これで上の句と下の句を説明してくれた。取り札には下の句しか書いていないこと。読むのは上の句から読むこと。だから歌を暗記している人は、上の句が読まれるやいなや取り札に殺到できます云々。意味や歌人の説明はなし。

帰宅してさっそく両親に話すと、我が家に小倉百人一首があった。「おおっ」ってなもんだ。上記の清少納言の歌を暗記してしまったと話すとたいそう喜んでくれた。

翌日、クラスをおよそ7人ずつの6班に分けて100枚をばらまいての乱取り。私は20枚とって班で一位になった。ろくに歌を覚えていないのに要領よく立ち回って優勝した。先生は各班の優勝者を集めて決勝大会をやるとおっしゃった。1位だけを集めた班、2位だけを集めた班、3位だけを集めた班、4位以下はランダムで班を作って来週は一日がかりにしましょうと。私は思いがけず20枚とれて一気に気合に点火された感じ。

帰宅して父に話すと、暗記を手伝ってくれることになった。父も母もほぼ100首暗記していた。父が読んで母と対戦する。あるいは母が読んで父と対戦する。そのうち私が読んで両親が真剣勝負を始めた。こうして一週間後に全部覚えていた。最後に暗記したのは「人はいさ心も知らずふるさとは花ぞ昔の香ににおひける」紀貫之だった。初句を言われれば、下の句まで全部言えるようになった。歌人との紐付けはまだできていないし、歌人の氏素性もわかっていないまま、歌だけ丸暗記に成功したということだ。1文字目決まりの「むすめふさほせ」や、初句で決まらないお歌など、両親のウンチクも吸収した。

決勝戦は、他の対戦を全部終えたあと、クラス全員が注目するなか先生が読み人になって行われた。各班の1位だけ集めた6人で乱取りした結果、私一人で51枚とって優勝。残り30枚くらいからは全部私がとった感じ。竹製の小さな花瓶をトロフィー代わりにと先生が用意してくれた。

当時の得意札は阿倍仲麻呂だった気がする。

クラシック音楽にのめりこむのはこの3年後であった。

2020年3月 7日 (土)

旋律はどうした

ドイツ民謡の研究が当初文学者の手によって進められたことは既に述べてきた。ロマン派の文学運動の一環として起こったからだ。現在でこそ民謡において旋律とテキストは密接不可分と考えられているが、当初はもっぱらテキストの収集研究だった。

日本にも古来和歌の伝統がある。8世紀中庸奈良時代に成立したと考えられる万葉集が、現存する最古の和歌集だと位置づけられている一方、万葉集の詞書きなどから万葉集に先行する歌集が存在したこともほぼ確実だ。

五七五七七に区切られた31音で成り立つ和歌は、実際どのようにうたわれてたのだろう。競技カルタつまり百人一首では、100首の歌が同じ旋律で歌われている感じである。和歌を文学として見る限りそれでも良いのだと思うが、「口に出して読まれて何ぼ」だとすれば旋律めいた節回しで読まれていたとも考えられる。和歌が芸術となる以前、民衆の声の発露だとするならなおのこと個々の歌毎に別旋律だったとしても不思議はないとにらんでいる。同じ人間だ。ドイツで起きたことが日本で起きぬハズはない。それがいつの間にか旋律という要素が脱落した結果和歌が文学になったのではないだろうか。CDや楽譜が無いということを前提とするなら、旋律の伝承はテキストに比べて難易度が高いと見た。

古今和歌集以降、和歌集が天皇の命令で作られ、貴族たちのたしなみになってしまう前、庶民のザレ歌がいつしか五七五七七の形態に落ち着いたということはないだろうか。しかもそれらは当初独自の旋律を持っていたなどという想像は荒唐無稽だろうか。

さらにだ。和歌の流れや意味内容によって朗誦する際のダイナミクスに影響があったのかなど興味はつきない。歌合せなどでお歌を詠みあげる人が専門化して読み方が紙に残れば、そのキャラは楽譜に通ずるものがあるはずだ。

 

 

2020年2月24日 (月)

謹んで提案する

2020年オリンピックイヤー。国民的行事と位置付けられて準備が進んでいるが、それだってやがて終わる。ここに謹んで提案したいことがある。

令和改元を記念して今上陛下の命で23番目の勅撰和歌集を編纂してほしい。

ネット環境フル活用で、広く国民から和歌を募集し、当代一流の撰者が集まって20巻1500歌程度を選んで出版してほしい。ネット公開も考えてもいい。なにか国際的に問題を引き起こすのだろうか。あるいは法的な問題があるのだろうか。内閣総理大臣の執奏に、陛下が答えるという形の勅撰なら象徴天皇制に抵触するとも思えない。

部立ては現代風にアレンジするのもいいだろう。「春夏秋冬」は決定として、「恋」は思い切って省く。それから部立てとしての収まりについて議論の余地もあろうが「青少年」を切り口にしてもいい。中高生枠に100首程度。歴史上の歌人枠として300程度。皇室枠として100程度。撰者枠も20程度。いっそ思い切って一人の入集は1首としてもいいかもしれない。歌会始のお歌は検討の対象だ。

当然、過去の勅撰入集歌は対象外だ。

オリンピックの準備と開催に比べれば費用は安くすむのではあるまいか。

 

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ブラームスの辞書写真集

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    はじめての自費出版作品「ブラームスの辞書」の姿を公開します。 カバーも表紙もブラウン基調にしました。 A5判、上製本、400ページの厚みをご覧ください。
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