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カテゴリー「743 高校オケ」の187件の記事

2017年1月 9日 (月)

年頭のあいさつ

一昨日、全国高校オーケストラフェスタにでかけた。

次女の後輩たちの演奏を聴いてきた。

感心させられたのは、演奏に先立つ部長挨拶。「聴きにいらしたお客様を癒すような演奏を心がける」と直球の言葉に始まり、昨年のドイツ公演の経験をふまえて「音楽は言葉や宗教の壁を越え得る」「平和に貢献したい」と矢継ぎ早の決意表明があった。締めくくりは「オケフェス関係者への感謝」という周到さ。

10代半ばの乙女の精一杯の意思表示として、抜群の完成度だ。その言葉が嘘でないことは、続く演奏で直ちに明らかになる。チューニングと称して鳴らされる「A音」は、最弱音の予行練習のようだ。

演奏の出来は毎度のこと。現役引退まであとおよそ半年の折り返し点のモニュメントとして記憶されるべき通過点。

2016年11月23日 (水)

Volkstrauertag

「ドイツ国民哀悼の日」とも訳されようか。1993年に制定された。毎年11月第三日曜日となる。戦没者やナチスの犠牲者を追悼する日と定められている。

だからなのだ。先の日曜日に習志野霊園にドイツ大使館付の武官を迎え、第一次大戦で俘虜となって習志野に収容されたままスペイン風邪で落命したドイツ将兵たちの慰霊祭が行われた。この慰霊祭は22年も続いているという。

次女の後輩たちがドイツ国歌の伴奏と歌で参加した。今年の春ドイツに行った生徒と、再来年の春ドイツ公演に参加する予定の生徒たちが、演奏を披露した。

2年に一度ドイツで演奏を披露することもあって、ドイツはなじみの国だ。日ごろの授業では第一次大戦と習志野俘虜収容所を取り巻く事情を学習していることもあって、演奏を披露する生徒たちの表情は確信に満ちている。ドイツを好きになればこそ、ドイツ公演の準備に心が込められるというまっすぐでシンプルな動機だ。帰国直前に落命した三十数名の将兵たちの無念が自分事になっている。慰霊という式典の性格を顧慮してか、彼女たちのトレードマークである笑顔こそ、抑制されていた代わりに、真心が特盛にされている。

演奏の出来以前に彼女らの立ち居振る舞いがすでに式典の雰囲気を引き締めている。リハーサルから静溢で敬虔な雰囲気が立ち込め始めていた。本番を待つ間もこれ以上望みようのない態度。

ハイライトのドイツ国歌斉唱はいきなりやってくる。楽器をもって伴奏するのは2年生、歌うのは1年生とおおまかな分担ができている。歌も伴奏も当然のごとく暗譜だ。正面の慰霊碑をただただまっすぐに見つめた演奏だ。先のコンクールに比べればギラギラした意思は影をひそめ、参列者を祈りで包み込むかのよう。そりゃもうすごい演奏。あの世のドイツ兵たちも浮かばれるだろう。この間、大使館付武官の空軍大佐は、渾身の敬礼を将兵の霊に捧げている。身じろぎもせぬ迫力と乙女たちの歌声が妙にシンクロしている。すごいなドイツという国はと思わざるを得ない。高校ナンバーワンオケの演奏だと同席の空軍大佐夫人に英語で耳打ちをしておいた。念のためである。彼女のリアクションは印象的だった。いわく「エモーショナル」「エレガント」「ピュア」という単語だけ聞き取れた。

式典の最後に、一人ひとりが慰霊碑に献花した。彼女たちは両親はもちろん、祖父母でさえまだまだ元気に存命中の世代であることを思うとき、慰霊碑に献花して一心に手を合わせる姿は、ただただ感動的だ。惜しむらくはこの時のBGMが録音の再生だったのが心残り。ここのBGMまで生徒たちの演奏だったらなお趣が深まったはずだ。演奏を続けながら交代で献花するなんぞ、彼女たちにとっては朝飯前のはずだ。

敬虔な時間。人のために祈るという喜びに満ちた時間だった。前日の雨をピタリと押しやる乙女らの真心は無念の死を遂げたドイツ兵たちに届いたに違いない。

彼女たちの式典への参加は今年で3回目だというのに、もはや乙女たちの演奏と歌声は式典に不可欠の様相を呈している。清楚な制服姿と、その立ち居振る舞いは、式典の華と見えた。式典後の記念撮影をする彼女たちに、いつもの笑顔が戻っていた。そこにおらぬ限り、あの空気感は伝わらぬ。ブログの下手な文章は失笑のキッカケに過ぎまいが、言わずにはいられぬ因果な性格だ。

2016年10月24日 (月)

弾丸ツアー

次女の後輩たちが挑む全国大会が一昨日福島県郡山市で開催された。演目は満を持したサンサーンスの「バッカナール」。

晴れ姿を見届けに行ってきた。貸し切りバスを仕立てての日帰り弾丸ツアーに参加した。関係者約30名和気藹々のバスツアー、紅葉前線の遅れだけが想定外の楽しいツアーとなった。

たったの9分のためにいい大人がバスで繰り出す。行きの車内でDVDで上映して、過去の演奏を味わうことで気持ちを高めていった。人に親切にして徳を積み重ねつつ「甲子園」を目指す。

ただただ、あの演奏が誇らしい。あの演奏を披露した学校の関係者であることがひとえにうれしい。「金」という賞の色に収まりきれぬ演奏の価値。10代半ばの乙女たちの渾身の演奏は、サンサーンスへの敬意にあふれた暗譜演奏。冒頭のピチカートは、まるで邪気を追い払うかのような鮮烈な響き。元弓がヴァイオリンG線を深々と噛む音色にはただならぬ決意が立ち込める。管楽器たちの厄介なソロ群は技術的なことより、プレッシャーから逃げ出さぬ根性が見事だ。県予選よりさらに磨きがかかったテンポやダイナミクスの配置。終盤の爆発のために序盤では音量もテンポも抑制されている。指揮者の意図が隅々にまで周知されている演奏だ。全員の方向性の一致なしには絶対に出せぬ音色。気品と推進力が高いレベルでバランスしたと申すべきか。

演奏が終わり、記念撮影にと現れた子ども達は、ステージでの威容とは対象的な清楚な高校生に戻る。郡山というアウェイをホームに代えるような数の保護者が記念撮影の進行を見守っていた。来年の5月まで、あの演奏が繰り返し聴ける。

車内ささやかな祝勝会をかねたバスが戻ったころ日付が変わっていた。

2016年10月22日 (土)

紅葉踏み分け

百人一首にある歌。

奥山に紅葉踏み分け鳴く鹿の声聴く時ぞ秋は悲しき

猿丸大夫の作とされる。

山の紅葉が踏まれていることは確かだ。誰が踏み分けているかについては古来論争がある。「鹿」か「作者」かだ。歌を普通に読んでいるだけではどちらともとれる。

「奥山に紅葉踏み分け」でブレスをすれば「作者」で、「鳴く鹿の」まで一息なら「鹿」だ。音楽で申せばフレージングだ。冒頭から始まるスラーが、どこまで伸びるのかみたいなモンだろう。鹿が山の中にいることは、どちらの解釈でも同じだが、作者がどこにいるのかは、解釈が割れる。だからフレージングやブレスは、大事なんだと娘に説明するよい材料だ。

作者はブレスの場所やアーティキュレーションなんぞ明示したりはしない。まるでバッハのようだ。判断を読者に任せる。このことでかえって鑑賞の幅が広がると感じる。読者はただそれを楽しめばいいが、演奏者には一定のスタンスが求められる。

ブラームス作品に頻発する曖昧な感じは、この歌に通じるような気がしてならない。どちらともとれる感じを意図的に晒して聴き手の判断を問うのだ。調性、旋律、フレージングなどがこの手の意図的曖昧さで味付けされていると思う。

本日、次女の後輩40代と41代のオーケストラ部の「甲子園」ともいうべき、日本学校合奏コンクール全国大会が福島県郡山市で開かれる。中間テストとの両立も求められながら「受験一瞬音楽一生」とばかりに、演奏に磨きをかけてきた成果を披露する。

一部保護者たちはまさに今、北上中の紅葉前線を踏み分けて応援に駆けつける。たった9分の演奏を聴きに陸奥路を駆け上る。そりゃあ、コンクールだから不運も理不尽もあるだろうが、今日の演奏がいかなるものになろうと、私は断固乙女たちの演奏を支持する。

そこでささやかな歌を一首献じて心からのエールとする。

福島に紅葉踏み分け行く親の声聞く時ぞ我ら千葉女子

お粗末。

2016年10月12日 (水)

バッカナール

次女から見れば4つ年下にあたるオーケストラ部40代の子供たちが、日本学校合奏コンクール千葉県予選に臨んだ。

結果から申し上げる。金賞と全国大会出場権を獲得した。乙女たちが全国に打って出ようと選んだのがサンサーンス作曲歌劇「サムソンとデリラ」より「バッカナール。

集まったOGや親たちの祈りを載せた演奏。清冽なピチカート一閃とともに走りだすのはオーボエのソロ。オリエントテイストを前面に押し出す「ドソロ」「大ソロ」だ。10代半ばの乙女がどれほどのプレッシャーに耐えているのかを思いやると切ないばかりだ。これ以上演奏の出来を申し上げることは控える。言葉の限界がただ露呈するだけだ。

「おめでとう」とだけ。

メンバーの中に4月に楽器を始めたばかりの生徒が少なからず混在することは奇跡。夏からでさえ相当な成長だ。文字通り子供を大人にするコンクールである。一方で、応援した親たちの熱狂も並ではない。子育て終盤の高校生活でこうまで大人がのめりこむものかと。曰く「子供を大人にし、大人を子供にするコンクール」である。

全国大会は福島県郡山市。4年前次女も演奏した思い出の街。野球で言うなら「甲子園」。男の子がいて甲子園に出るともなれば、仕事休んで親が押し掛ける。野球なら9イニングだが、彼女たちの持ち時間は9分だ。よいではないか。9分のためにバスを仕立てるくらいしてやらねば、乙女たちの積み重ねた努力に報いることなど逆立ちしても無理だ。

2016年8月 2日 (火)

虹に願いを

一昨日千葉県野田市付近。

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この歳になって初めて経験する完璧な虹。国道16号を走行中に目撃。慌てて側道にそれてパチリ。よく見ると外側にもう一つ輪がある。ほんの15分で消えてしまったから、レアポケモン並みのありがた味だ。

今日、次女の後輩オケが広島県呉市で開催中の「全国高等学校総合文化祭」で、先輩たちが獲得した出場権を堂々と行使する。一足早い乙女たちの甲子園だ。

虹は間違いなく吉兆だ。


2016年5月16日 (月)

部活三年保育

次女の後輩たち39代を送り出すスペシャルコンサートが終わった。

演奏を支える裏方に徹したのは今年卒業したばかりのOGたち。実は昨年5月のスペシャルコンサートで引退した子供たちでもある。昨年5月の引退以来、「受験コンチェルト」のソリストとして華麗なパフォーマンスを披露したばかりだというのに、「これが伝統だ」とばかりに大学生活最初の5月を後輩たちの引退公演に捧げてくれた。

総勢40数名が元部長・副部長の指揮下でステージ裏、客席、ホワイエを総括する。「段取り8分」を地で行く周到な準備と機転に拍手だ。

無事演奏会を終えた彼女たちの達成感も半端ではない。プレイヤーとしての活動は2年と1か月で終わってしまうのだが、その1年後にやってくる後輩たちへの支援をもって卒業と認定したい。

名づけて「部活3年保育」である。

2016年5月14日 (土)

間に合う人たちへ

いよいよ明日、次女の後輩39代引退公演となるスペシャルコンサートが開かれる。関係者のだれもがテンションを上げてきている。演奏はもちろんなのだが、もはやサプライズの仕掛け合いだ。相手の笑顔をあれこれと想像しながら、みんなサプライズの仕込みに余念がない感じ。飛び交うプレゼントのヤマを眺めるだけでも圧巻だ。

まだ間に合う人は何卒。

2016年5月 8日 (日)

イタリアをこの手に

定期演奏会が終わった。

高校の音楽系サークル4つの合同定期演奏会だ。オーケストラ部以外の3年生はここで引退になる。オーケストラ部にはおよそ10日後引退の花道が別に用意されている。つまり定期演奏会は準決勝なのだ。15日のスペシャルコンサートこそが決勝戦。出番はスペコンから比べればたったの1時間なのだが、ここで奇策に出た。乙女たちは先のドイツ公演でも大絶賛されたマーラーの第五交響曲の第4楽章アダージェットをラインナップからはずしたのだ。いわば決勝戦に備えてエースを温存したようなものだ。

トーナメントは一発勝負だ。決勝戦に備えてのエースの温存はリスクを伴う。得てして準決勝で墓穴を掘るものだが、乙女たちは違った。アダージェットの代わりにと繰り出した「カバレリアルスティカーナ間奏曲」が絶品の出来映えだった。エースの代役で出てきたサブがあれよあれよという間に完封した感じだ。まあ何と申すべきか「これをドイツでやらなかったのはもったいない」という演奏。超久々に聞くカバレリはどこで練習したのか別次元だった。誤解を覚悟で断言すると、明らかに「アダージェットの予告編」だ。これを聴かせておいてアダージェットを出さないのは拷問に近い。

あれからずっとカバレリが頭の中で鳴っている。アダージェットによって磨かれた弦楽器たちの表現の幅、引き出しの数が、底知れない余裕感を醸し出していた。準決勝を上から目線でやり過ごす感じ。管弦楽のためのラプソディー、イタリア奇想曲で予定通りの大活躍をした管楽器と打楽器が際立っていただけに、中間のカバレリで弦の充実をひっそりと聴かせてもらえたのはありがたい。

スペシャルコンサートまであと7日の今日、ゲネプロに臨む。

2016年5月 7日 (土)

絶妙な誕生日

5月は次女の居た高校オケのヤマ場。3年生が引退するので新旧交代となる。引退公演は決まって5月だ。高校の中にある音楽系サークルが合同で定期演奏会をするのがほぼ毎年5月4日だ。そしてその少々後のスペシャルコンサートで完全引退となる。

合同定期演奏会が5月4日と決まっているのに対して、スペシャルコンサートは不定だ。今年は15日だが昨年は9日だった。その前はたしか11日だ。合同演奏会の5日から10日後である。
だからブラームスの誕生日5月7日は必ず合同定期演奏会とスペシャルコンサートの間にやって来る。その頃乙女たちは現役最後の追い込みの真っ只中ということになる。我がブログの主人公ブラームスの誕生日は、いつもそうした緊張感の中で通り過ぎる。
絶妙といわざるを得ない。
スペシャルコンサートまであと8日。

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