庭の主
我が家の竣工は1997年だ。もう23年前だから妻はこの世を去っていたが、父はまだ存命だった。その父の意向でささやかな庭をしつらえた。盆栽や庭いじりの趣味のためだ。しかしその後一年と少々で父が亡くなり、庭の手入れは母の仕事になった。このところなかなか手が回らず、荒れ放題の庭が課題だったが、このほどその庭を物干しデッキに改造することにした。春先には決意していたもののコロナウイルスや猛暑やらで着工がずっと延期されたが、夏を過ぎてからやっととりくんだ。
着工の前日に「見納め」とばかりに二階から撮影したもの。当日は6人がかりで手分けして庭木と植木鉢を撤去してもらった。サクサク作業が進んだのだが、写真で言うと一番右下のさざんかが手強く根を張っていて最後は6人が集まって根を掘り起こした。何とか根を取り去ると現場の棟梁が「庭の主だな」とつぶやいた。
あーちゃうちゃう。それは父に違いありませぬ。
これで母は濡れた洗濯物を持って二階に上がらなくてすむ。父の坪庭が、母の聖域・物干しデッキになった。庭の主はきっとよろこんでいる。
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