次女が巣立って初めての誕生日。
いつもならケーキやプレゼントをそろえて待つのだが、勝手が違う。口には出さぬがみんなさびしく思っている。これが嫁に出すということだ。
結婚のため我が家を巣立って3週間。一昨日次女が戻ってきた。引っ越しの積み忘れを取りに来るという名目だが、そんなことはどうでもよろしい。さびしくて青息吐息だった母は数日前からいきいきと準備をして待った。
土産話が尽きない。ほぼ主婦同士の会話になっている。
話だけで腹いっぱいの1泊2日だった。
一昨日彼を連れて長女がやってきた。夏休みの旅行の土産を渡しにというのは名目で、次女が去ってさびしくしているおばあちゃんを見舞いにきたのだ。
猛暑日ものかはのにぎやかな一日、だらだらと近況報告が続いた。夕食のカレーライスを楽しんでから去りがたく帰っていった。
ばあちゃんには、ありがたい一日となった。
記事「清掃という特効薬」で落ち込む母に清掃を処方する案が浮上した。気がまぎれるということだ。そいえば先日、ご近所から鶏頭のお花を大量にいただいた。お花に限らずおすそ分けはなごむ。いただいた花を見て母の顔が輝いた。さっそく家中の花瓶をかき集めて生けている。足取りも軽くだ。無料の上にきれいだとテンションがあがるようだ。
8月は半年に一度骨粗しょう症の検査がある。半年前に比べて劇的に改善していたらしい。そんな話聞いたことがないけれど、ふむふむとうなずく。歳相応に衰えてゆくばかりで改善はしないものという一般論を飲み込んで母の話をきく。なんでも82歳の平均値付近に相当する数値らしい。先生からそれを説明されて上機嫌なのだ。6歳若返った気になっているのだ。「家事が適度な運動になっている」と説明されて我が意を得たりなのだと思う。
娘らが来たらきっと嬉しそうに話すのだろう。
次女の部屋跡地のマイルーム化が進行中だ。あれこれ忙しい部屋に母が顔を出した。「普段掃除できない個所をこの機会にやったら」という提案をしにきたという。次女が去ってふさぎ勝ちな母の意外な言葉に、即同意した。気が変わらんうちにというのりだ。
普段家具に隠れている場所の掃除、カーテンレールの上、内外の窓ふきなど。とりわけ念入りなのがサッシの溝だ。ペットボトルに水汲んでこいとか、使い古しの歯ブラシや綿棒、爪楊枝が要るとか、濡れティッシュある?とか事細かである。サッシの溝の複雑な機構に知悉している感じ。歯ブラシで細部を漉しとったあと、爪楊枝や綿棒で積もったほこりをほじりだす。いつ以来かという泥の山を水で流す。
あれ?
なんだろう。次女が去って以来青息吐息だったのが、元気である。ピカピカになった部屋を眺めて次のネタを探す感じに暗さはない。
その手があったか。
次女が嫁いで10日。母と私と長男だけの家族構成になって10日。生活の枠組みが変わった。長女の結婚の際にも少々感じたが、今回の方が差が歴然だ。
慣れてゆかなばならない。娘たちの幸せのため。新しい家庭で娘らが家族の太陽になるということ。
そして残された我々もまたこの枠内で幸せに暮らすということだ。そう、私の母は今もって太陽であり続けている。
私が妻を亡くしたときから、母の第二の子育てが始まった。私の子供たち1男2女の母代わりとなった。私には弟しかいないから女の子を育てるのは初めてだった。
あれから27年、次女を嫁がせた母がつくづく、娘を嫁に出すとはこういうことかと気づかされたという。息子たちが嫁をもらったときとは雲泥の差だという。「私は昔の人間だから」と慎重に前置きしながら「娘たちは結婚することでうちのものではなくなる」という感覚が非常に強いのだそうだ。64年前自らが亡き父に嫁いだときでさえ、感じたことのない感覚らしい。「世の中の花嫁の母はみなそうなのか」「母親代わりの祖母だから」なのかと自問が続いているという。
結婚のため次女が家を出てから1週間が経過した今も茫然としている状態だ。
見守っていようと思う。
話は今年の4月9日に遡る。7時に起きてリヴィングに降りてみると、母が掃除機のホースをかかえてうずくまっていた。息も絶え絶えだ。4月当初から体調を崩して医者にかかっていたが、朝の掃除をと相変わらずがんばってみたものの息切れしたということだ。
その日から朝の清掃を私がするようになった。毎日午前6時に家族を起こすまでの間に、キッチン、洗面所、リビング、廊下などおよそ24畳相当を清掃する。畳と絨緞部分は掃除機で他は雑巾がけだ。母は朝一番で洗濯機を回し、それと並行しての清掃していたが、その清掃部分だけでもやってみるとかなりな重労働。あれから4か月ですっかり私の担当になったが昨日88歳を迎えた母だから、そんなことを87歳までやらせていたということだ。
おおいに反省したところだが、これが実は今となっては長寿の秘訣あるいは健康の秘訣かもしれぬ。その後体調が回復すると「自分で掃除したい」と言い出している。私と掃除のやり方が違うのでストレスなのだと思う。が、そこは断固譲らず私が続けている。掃除には母なりの手順や工夫があるのだ。それをルーチンととらえているようだ。脳のトレーニングにも寄与していそうだ。
4時50分に一緒に起きて母は洗濯、私は清掃となる。およそ30分間家事をやりながら会話が弾むことで、コミュニケーションになってもいる。5時30分には完了して朝食の準備にはいる。二人で飲むコーヒーが日常だ。在宅勤務に入るまでには間があるので私は2階の清掃に移る。在宅勤務スペースの清掃となる。
なぜか慣れてみると私の体調もいい。適度な運動にもなる。そしてそして何より塵一つない我が家が維持される。
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