棚からドーヴァー
家中のドーヴァー社の楽譜を慌てて見直した。
ブランデンブルク協奏曲や管弦楽組曲、オルガン自由曲も全て旧バッハ全集だった。
旧バッハ全集はもっとも新しいもので1897年の刊行だから、著作権があったにしても切れている。ドーヴァー社が廉価版を供給できるのは、そうした背景もあるに違いない。
ドーヴァー社グッドジョブだ。
家中のドーヴァー社の楽譜を慌てて見直した。
ブランデンブルク協奏曲や管弦楽組曲、オルガン自由曲も全て旧バッハ全集だった。
旧バッハ全集はもっとも新しいもので1897年の刊行だから、著作権があったにしても切れている。ドーヴァー社が廉価版を供給できるのは、そうした背景もあるに違いない。
ドーヴァー社グッドジョブだ。
昨日の記事「D946」で思い出した。その一つ前の「D945」の一件だ。音楽之友社刊行のブラームス回想録集第2巻96ページ。ホイベルガーの証言。
ブライトコップフ最新刊のシューベルトがブラームスと話題になった。それまで知られていなかった歌曲数曲について、刊行の裏話をブラームスが披露したようだ。これによれば、ブラームスがあるアメリカ人の訪問を受け、持参した楽譜帳に意見を求められた。この系統の話は大抵眉唾なのだが、今回ばかりは違って必死に写譜したと言っている。1828年レルシュターブのテキストにシューベルトが付曲したものの、ノッテボームが紛失作品扱いしていた貴重な作品だということだ。シューベルト協会のマンディチェフスキーに言いつけブライトコップフから出版にこぎつけたと。これが「秋めいて冷たい風が吹く」D945だというのだ。1893年3月28日の出来事。
昨日のD946よりさらに25年遅れての出版ということだ。
BWV598の楽譜なら、ネット上に画像があふれている。譜面づらを拝むだけならそれで事足りるのだが、「紙がないと落ち着かない性分」で、どうしても楽譜を手許に置きたくなった。
楽譜屋さんに出向いて店頭で係の人に事情を話すと「BWV598」単品の販売はなく、全集の中に入っているのを探すしかないと、いくつか候補を紹介してくれた。
結果、ブライトコップフの新版を買い求めた。
手持ちの楽譜との重なりが多いし、およそ5500円の価格にはためらいもあったが、表紙のデザインにころりと参って購入した。BWV598だけのための出費としては破格の痛みだが、後悔はない。買い求めたのはオルガン作品全集の4巻。巻によって黄色の部分の色が変わる。全巻そろえたくなる。
記事「室内楽の出版」で室内楽作品24曲に、ピアノ三重奏曲第1番の改訂版にFAEソナタを加えた26曲の初版データを掲載した。
26曲のうち22曲がジムロック社からの出版になっている。ブライトコップフが1曲、リーターヴィーダーマンが2曲、ドイツブラームス協会が1曲だ。大したもんだ。
記事「室内楽の初演」と見比べることで、興味深い現象が浮かび上がる。ピアノ三重奏曲第1番の初版を唯一例外として、残り全ての作品が、出版前に初演されている。作るそばから演奏され、出版は後からついてきたことがわかる。
ロベルト・シューマンは、若きブラームスを楽壇に紹介したことと並んで、有力出版社にブラームスを紹介したことはよく知られている。ライプチヒのブライトコップフ社だ。
あまり知られていないが、ブライトコップフ社にブラームスを紹介しようと試みた人物がもう一人いる。最近ブログで話題にしているフランツ・リストその人だ。
演奏旅行のパートナー・ヴァイオリニストのレーメニとの決裂を報告したヨアヒム宛の手紙でブラームス本人がそのことに言及している。このままでは故郷には帰れないから、リスト先生からブライトコップフ社に手紙を書いてもらうのに期待するかというニュアンスだ。リストは「なんならブライトコップフを紹介してもいいよ」くらいの口約束はしていたのだと思う。
作品の演奏中に居眠りした挙句に、早々にワイマールを辞したという話が、どうも浮いてしまうエピソードである。
正規の版権に準拠しない出版物のことだ。楽譜やCDが含まれることも多い。ドイツ語で海賊は「Seerauber」(uはウムラウト)あるいは「Pirat」という。「海賊版」は「Raubausgabe」となる。
ウィーンの有力な出版社にハスリンガー社がある。「Haslinger」と綴る。ブラームス作品こそ手がけていないが、ベートーヴェンやシューベルト、ショパンなどの作品を刊行している。そこそこの有名どころだ。ブラームスは作品の刊行を任せていないとはいえ、日ごろコミュニケーションをとっていたようだ。
音楽之友社刊行の「ブラームス回想録集」第2巻93ページに痛快なエピソードがある。同社のマネージャーとブラームスのやりとりがホイベルガーによって証言されている。リーナウというマネジャー氏が、同社の社長がエルベの海賊の末裔だとブラームスに話したのだ。処刑寸前で恩赦になった云々。ブラームスはすかさず「だからおまえの会社は海賊版ばかり手がけているのだな」と応酬したという。リーナウはブラームスと親しくしていてたようだ。ホイベルガーの証言によれば、ウィーン近郊へのハイキングではしばしばブラームスと行動をともにしている。
それにしても何たる機転。ここでいう「海賊」は「Pirat」ではなく「Seerauber」だったと推定できる。「Seerauber」から「Raubausgaube」を即座に連想する機転がジョークの肝になっているからだ。
不思議な点がもう一つ。リーナウが「エルベの海賊」と言っていることだ。いうまでも無くエルベは川の名前だから少し変だ。
このジョークはもしかするとシュテルテベッカーの話が下敷きになっていたかもしれない。
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