音無き練習
自室の練習室化が佳境だ。娘2人の結婚巣立ちで空いた部屋を自分の寝室化し、CDやDVD鑑賞の拠点に改めたが、一歩進んでそこを練習室に格上げする試みのことだ。44年ぶりに楽器のレッスンも決まり老後の生活の枠組みが着々と組み立てられている。しめしめだ。
隣家とは離れており、雨戸締め切りの練習で音漏れはないのだが、やはり早朝深夜の練習は家族にも申し訳が立たぬということで、そうした時間には音無き練習をすることにしている。
読譜だ。「ふよみ」と訓じてもお叱りを受けることはあるまい。
これから練習しようという楽譜に、あれこれ書き込みをするほか、難所の事前把握にもなる。突然ト音記号になる場所、そしてそれがハ音記号に戻る場所は要注意だ。増4度の重音あるいは連続する増4度はバッハの醍醐味なのだが、破綻のきっかけにもなりかねないから下見は不可避だ。
あと、ボウイングのアップダウン。曲中の同一音型が同じボウイングになるよう割り付ける。あとはフィンガリング。大学オケデビュウのころは全ての音符に指番号を振ってしまい、仲間から「乱数表」呼ばわりされたものだが、さすがに最近は要所にとどまる。音符に指番号が添えられるだけで、同時にそれがポジション指定にもなる。第一ポジションで長3度がとりにくい巨大ヴィオラ対策にも配慮中だ。
特にだ。体験レッスンのときに指摘された装飾音符周辺のフィンガリングが、とてもとても面白い。なんだ今頃。あたりのフィンガリングの再点検となるありさま。
楽しい。こんなに楽しいのに音は出ない。秋の夜長はもちろんだが春の曙にもおすすめだ。
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