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カテゴリー「794 書籍」の86件の記事

2023年5月19日 (金)

トリセツ

この度のリベートヴェン運動にあたり、手ごろな参考文献はないかと書店をうろついていて発見した。

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そのものズバリのトリセツだ。ベートーヴェンより「トリセツ」が大書されているのがすごい。楽聖ベートーヴェンの入門手引書にはかなりなニーズがあるのだろう。

ベートーヴェンの楽譜上の用語使いが少しだけクローズアップされている。その調子で深堀りしてくれていたら「ブラームスの辞書」の比較参照で記事が数十本かけていたにちがいない。

2023年5月 6日 (土)

案の定なオチ

昨日紹介した「ドイツの言葉と絶景100」という書物の話。65ページに「森の中のあらゆる木々が私に話しかけてくるようです。聖なる森よ。聖なる森よ」とある。なんと言葉の主はベートーヴェンだ。音楽家の言葉の収録はあまり多くない。ワーグナーとシューマンを加えた3名に留まる。バッハもブラームスも落選だ。だからベートーヴェンは貴重。

もっとも引用が多いのはゲーテで、メルケル前首相や著名なサッカー選手もいて飽きさせない。「目先の利益と引き換えに未来を売るな」は大実業家ジーメンスの言葉。鋭い。

あっという間に座右の一冊となった。長男に感謝だ。

2023年5月 5日 (金)

ドイツの言葉と絶景100

いやもうご機嫌な本。 なぜか長男が私にプレゼントしてくれた。 ドイツの諺と著名人47名の言葉が、うつくしいドイツの風景写真とともに、見開き1ページに一つ記されている。 写真についての簡単な説明と、ドイツ語原文とその和訳だけで構成されている。 サクサクと読めて気持ちがいい。



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目次がない。 目次を見渡してひとまず全体を俯瞰することができない。 読み進めるとそれがとんだ横着だとわかる素晴らしい言葉たち。 ドイツの、正確にはオーストリアなどドイツ語圏を含む人々の知恵の結晶だと実感する。 写真は必ずしも風景ばかりではない。 名もない
菜の花畑だったり、カリーブルストだったり、ノイシュバンシュタイン城のような大パノラマから日常の一瞬までが丹念に切り取られている。

何よりうれしいのは時々行ったことがある場所の写真が出てくることだ。

  1. ケルン大聖堂
  2. ローテンブルク・シュピタール門
  3. バンベルク旧市庁舎
  4. リューベック・塩の倉庫
  5. ライプチヒ・ニコライ教会
  6. ライプチヒ旧市庁舎
  7. ハンブルク・エルプフィルハーモニー
  8. ミュンヘン・アリアンツアレナ
  9. ニュルンベルク・フラウエン教会
  10. ゲルチュタールブリュッケ

などなど。内容の紹介を始めたらきりがない。100全部引用したいくらいだ。

ひとつだけここに引用する。「多くを持っている人が豊かなのではなく、多くを与える人が豊かなのです」

ドイツ大好き。

 

 

2022年10月16日 (日)

地図帳の深読み-鉄道編

帝国書院「地図帳の深読み-鉄道編」という書物もまた日本鉄道開業150周年を強烈に意識した書物だ。刊行が9月15日となっている。昨日言及した「日本鉄道地図館」の2週間前にあたる。どちらも地図を切り口に鉄道を深堀りしようという意図は明確だ。昨日は様々な古地図の列挙を特徴としていたのに対してこちらは、中学高校の地理の教材として懐かしい地図帳をベースにした深堀り。加えて海外の情報ももりだくさんである。

本文168ページで、ゼメリンク鉄道が紹介される。「世界遺産になった鉄道」という切り口。同鉄道は標準軌鉄道として初めてアルプスを越えたからだという。その中で「ミュルツツーシュラーク」の地名が何度も現れる。私のようなブラームス好きにはたまらない地名だ。第4交響曲が作曲された街だからだ。「Zuschlag」の意味まで解説されていてのけぞる。

もっとも驚いたのは124ページのコラムだ。「ドイツの鉄道橋めぐり」というタイトルに心が躍った。そこで紹介されているのは、ゲルチュタール橋とレンズブルク橋の2つ。なんと私の2018年のドイツ旅行の目的地とピタリだ。

なんだかこの作者と話が合いそうだと思ったら、昨日と同じ今尾恵介さんだった。著者経歴を読むと私より一つ年上。お誕生日によっては同学年かもしれない。好きなことに打ち込んでそれを形にする。明快なロジックが見やすい仕掛けと同居する。膨大な情報量なのに読後に残るのは納得感だ。つまりこれが説得力かという感慨。

同世代として心から尊敬する。私もこうありたい。

2022年5月 8日 (日)

連休の書物

ゴールデンウィークも今日で終わる。その間夢中になった本がある。

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「食で読むヨーロッパ史2500年」という。店頭で手に取って即購入。帰宅して読んだらあっという間に引き込まれた。1ページに2か所ずつ目から鱗が落ちる感じ。「音食紀行」という副題だけあって音楽家の名前も出るには出るが、スケールはもっと大きい。歴史を大掴みしテンポよく説明し尽くす手際は天才的でさえある。史料の読み込みの深さに加え一貫した着眼にただただ感心させられた。凝りに凝った巻末のレシピー集だけがカラーなのも気が利いている。

こうありたい。

 

 

 

 

2022年3月 9日 (水)

坂東ドイツ人捕虜物語

某古書店をうろついていて、うれしい掘り出し物に出会った。

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1982年に刊行された「坂東ドイツ人捕虜物語」という書物。第一次大戦の際、中国・チンタオで捕虜になったドイツ兵の物語。米国の研究家の本を和訳したもの。第九日本初演で名高い徳島坂東のお話を、米国人が冷静に淡々と描いている。訳もいいのだろう。爽やかな余韻に浸れる。特に印象深いのは「彼らは捕虜としてやってきて、友として去っていった」というフレーズだ。

今戦争を考えている。

 

 

2021年8月27日 (金)

無理と知りつつ

ものすごい本を書いてシューベルトへの溢れる愛を隠そうとしないフィッシャーデュースカウ先生の演奏は、そりゃあもう素晴らしいのだが、我が家ではブラームスの歌曲だってCDで全て聴くことが出来る。そりゃ素晴らしい。先生のキャリアの中では要所にブラームスが出て来る。演奏の素晴らしさから逆算して、シューベルトで行ったような入念な準備があったに決まっている。シューベルトであれほどの準備をしておきながらブラームスの録音は行き当たりばったりでしたなどということはあり得まい。

となると、ブラームスについてだって相当な内容の本が書けたはずだ。フィッシャーディースカウ先生が録音したブラームス作品の解説とまで行かずとも、エッセイなら十分に書けたに違いない。既に存在していて和訳されていないだけということもあるのだろうか。私は見たことがない。

目から鱗が数十枚落ちたり、飛ぶ鳥が数十羽落ちたりするに違いない。

 

2021年8月11日 (水)

譜例無しという緊張感

今や必携のガイドブックと化した「シューベルトの歌曲をたどって」を読みふけっていて、呆然とした。全490ページの大著なのに、譜例が1か所も無い。ただの1か所もだ。著者フィッシャーディースカウ先生は、シューベルトの歌曲を作曲順にたどっては見せるのだが、論述作品の特定や、ディテイルの指摘にあたって譜例を頼っていないということだ。オリジナルがそうなっているのか、和訳本だけの特徴なのかわからぬのがもどかしい。本文中に譜例の参照をほのめかす記述はないからオリジナルにも譜例が無いと感じる。

同書が解説書でも入門書でもない証拠だ。愛好家に手取り足取りではない。自身がシューベルト全集を録音するにあたり、解釈の参考にと集めた情報の備忘的列挙が主眼なのだ。どの曲のどの場所の論述なのかは本人がわかっていれば事足りるとばかりに、譜例が姿を見せない。

音や、楽譜に頼らずにもっぱら文章と文脈だけで、シューベルトの生涯を網羅しようという決意が見え隠れする。もはや大歌手にして大文筆家だ。興味があるなら読者自ら楽譜なりCDなりを用意しなさいという静かな、しかし決然としたメッセージと見た。

かっこいいと思う。歳のせいだろうか。

2021年8月 9日 (月)

言及の範囲

フィッシャーディースカウ先生の大著「シューベルトの歌曲をたどって」を座右に旅を続けている。読み始めてまもなく、あることに気付かされた。シューベルトの生涯をリート作品で辿る旅と宣言している通り、その言及は厳しく歌曲に限られる。「ます」「死と乙女」「さすらい人」の話題になるとき、ごくごく控えめに室内楽やピアノ曲への言及がある他は、他のジャンルに対してストイックに沈黙する。

未完成交響曲だろうと、軍隊行進曲だろうと分け隔てなくスルーされる。ぼんやりと読み進めていると、シューベルトが歌曲だけを作っていたかの錯覚に陥る。

歌手であることの強烈な主張の裏返しだと拝察する。知らぬ者のいない大歌手でありながら、作曲家シューベルトや、テキストの供給者、あるいは伴奏者に対する謙虚な姿勢と相まって、その論旨に強烈な説得力を付加して止まない。

かっこいいと感じる。歳のせいだろうか。

 

 

 

2021年7月22日 (木)

ドイツ職人紀行

これまた素晴らしい本。

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さまざまなドイツの職人たちを切り口にしたエッセイ。歴史や地理に密接につながっている。地名、人名にも深く関係する。その49ページに「粉屋」が出て来る。粉屋は「ミューラー」でドイツではとてもメジャーな苗字。ほぼ集落に一軒ある水車小屋の主人である。水車小屋とはいっても石造のりっぱなつくりで必ずしも「小屋」というイメージとは一致しない。ジャガイモが台頭する以前のドイツの主食はやはり小麦で、これは粉ひきという工程抜きには語れないから、粉屋は最重要だという。運び込まれた小麦の倉庫もあり、防虫防鼠の備えもある。川の水利権まで持っていた街の名士だとされている。

一般的解説に続けてなんとシューベルトが取り上げられる。「水車小屋の娘」はその街きっての令嬢だとされている。歌曲集「美しき水車小屋の娘」では粉屋の修行でさすらう若者が修行先の娘に恋をするが、やがて自ら身を引く。どこの馬の骨かわからぬ風来坊がお嬢様に手を出すと、取り巻きから袋叩きにされるから、自ら去るのは賢明だと説く。

「フランダースの犬」の主人公ネロの憧れの相手は粉屋の一人娘アロアだった。同じ粉屋でもこちらは風車小屋の娘だ。

同じ粉屋でも、娘ではなくて女房というなら、ファリャ「三角帽子」に登場する。代官が見初めるというパターン。何かと人気者だ。

 

 

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