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カテゴリー「794 書籍」の107件の記事

2024年10月17日 (木)

意外と手薄

カール・リヒター先生関連の参考文献2種「カール・リヒター不滅のバッハ伝道師」「カールリヒター論」のお話。紙で読める数少ない情報源として重宝している。リヒター先生とバッハの関係に光があてられている。

では、あるのだが小さくない疑問もある。

カンタータや受難曲の収録にあたって競演している演奏家たちへの言及が思いのほか少ない。アリアを歌う歌手たちへの言及がもっとあってもよさそうなものだ。ペーター・シュライヤー先生やディートリヒ・フィッシャー・ディースカウ先生だってほぼスルーだ。こうした歌手たちとの関係に興味があったのだが肩透かしをくった感じ。オーボエのクレメント先生も、フルートのニコレ先生もスルーされている。

カールリヒターの本なのだから仕方ないとはいえ、愚痴の一つも言いたくなる。

 

2024年9月 5日 (木)

都市切り口

野田シェフの著書「音楽家の食卓」は、作曲家と料理という切り口ではあるのだが、その作曲家と料理を結びつけるアシストをするのに、都市が役立っている。作曲家なじみの都市の郷土料理に光を当てている。その都市にゆかりのある限り、食事はその土地の郷土料理を堪能していたに決まっているという論法だ。概ね以下の通り。

  1. バッハ ライプチヒ/アイゼナハ/リューベック/リューネブルク
  2. ハイドン ウイーン/アイゼンシュタット
  3. モーツアルト ザルツブルク/パリ/ミュンヘン/ミラノ/ウイーン
  4. ベートーヴェン ボン/ウイーン
  5. シューベルト ウイーン
  6. メンデルスゾーン ハンブルク/ライプチヒ
  7. ショパン ワルシャワ/ウィーン/パリ
  8. シューマン ライプチヒ/ウィーン/ドレスデン/ドュッセルドルフ
  9. リスト ウイーン/パリ/ワイマール
  10. ワーグナー ライプチヒ/パリ/ウイーン/ドレスデン/ミュンヘン/バイロイト
  11. ブラームス ハンブルク/ウィーン

いやはやウイーンが多いこと。バッハとメンデルスゾーン以外みなウイーンに関係がある。ウイーンはオーストリアの首都だが、ドイツ語圏内ということで違和感なくなじむ。

ブラームスとて演奏会で訪れただけというならもっと多いはずだが、生活の拠点となるとこの程度。モーツアルト、ワーグナーあるいはショパンは非ドイツも多い。ていうか、ショパンは浮いている気がする。リストも違和感無しとしない。ブクステフーデ、パッヘルベル、テレマンとは申さぬがウェーバーを入れても良さそうだがいかがなものか。

ブラームスは時代が新しい割には地味である。

2024年9月 4日 (水)

復活当選

前著「野田シェフのドイツ料理 」では、人物を切り口にドイツ料理が紹介されている。その中でも作曲家は一大勢力となっているのに、ブラームスが入っていないと嘆いた。

ところが、この度の「音楽家の食卓」は以下の通り作曲家に言及がある。

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めでたく復活当選となっているばかりか大トリを取っている。前著で落選し今回めでたく当選したのは、ブラームスのほかに、ハイドン、リスト、ショパンの3名。作曲家7名を11名に増やしているということだ。で、作曲家以外の人物はカットされた。話題を音楽に絞ったと言うことにほかなるまい。ブラームスが大トリなのは、生年順のせいなので特段に意図はないとはいえ、ひとまずうれしい。

 

2024年9月 3日 (火)

音楽家の食卓

店頭で手に取って即買いの本。

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先に紹介した本と同じ野田浩資先生のご著書。先の本より新しい。作曲家切り口をさらに突き詰めてある上に写真が数段美しくなっている。しかもしかもドイツ限定の嬉しさ。

見ているだけで相当楽しい。

 

2024年7月20日 (土)

無念の落選

昨日の続き。「野田シェフのドイツ料理」という本のことだ。

ドイツ料理の多様性が念入りに語られている。その切り口が歴史上の人物で14名が列挙されている。うち半数の7名が作曲家だ。

  1. バッハ
  2. モーツアルト
  3. ベートーヴェン
  4. シューベルト
  5. メンデルスゾーン
  6. シューマン
  7. ワーグナー

一人一人の記述はまず簡単な略歴。出身地や勤務地、そして死没の土地。そこから土地にまつわる料理に展開するパターン。人によっては食物の好みにも触れている。難しいのは作曲家の伝記が本人の食事の好みに必ずしも言及していないことだ。ビール、ワイン、コーヒーなど嗜好品には言及されることもあるけれど、銘柄までは議論されない。美食家という表現をされる人もいるけれど、ある日のパーティーの献立の記載に留まる。レシピにまで話が及ぶことはない。

それに比べていくらかましなのが通い付けのお店だ。カフェやレストランなどの実名が挙げられるばかりか今も存続していることがあるからだ。

そうそうたる独墺系。この7人に割って入れぬブラームスとは軽いショック。

2024年7月19日 (金)

野田シェフのドイツ料理

このところ宴会が多いとかいた。宴会までの時間つぶしに近くの書店に立ち寄っていてお宝に遭遇。

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2010年刊行の料理本。ドイツというのが決め手。ドイツ料理が様々な切り口から語られる。人物、地理、歴史、食材など様々な角度からドイツ料理に切り込んでいる。著者は名高いドイツ料理のシェフだ。

問題は人物。取り上げられているのは下記。

  1. バッハ
  2. モーツアルト
  3. ベートーヴェン
  4. シューベルト
  5. メンデルスゾーン
  6. シューマン
  7. ワーグナー
  8. ヘルムート・コール
  9. カール・ベンツ
  10. マレーネ・ディートリヒ
  11. フランツ・フォン・ジーボルト
  12. ゲーテ
  13. グーテンベルク
  14. ルートヴィヒ2世

簡単な略歴に始まり、ゆかりの土地を切り口に料理に切り込む。1人最低1つはレシピーが写真付きで紹介される。

素材や料理はさすがに詳しい。

ハンバーグ、キャベツ、じゃがいもなど目から鱗の詳しさ。そしてそしてビールやワインも地場の特徴が雄弁に語られる。特筆すべきはお酢だ。他の欧州系の料理に比べドイツ料理はお酢の使用頻度が段違いだと指摘して、お酢の効能まで事細かである。

ドイツとひとくくりにしてしまいがちな点に釘をさす。キーワードは「多彩さ」だ。地域ごとの特性だったり、郷土料理ならほとんど家庭ごとの多彩さだと何度も何度も念が押される。

2024年6月20日 (木)

納得の辻褄

昨日の記事「BWV番号脱落」でドーヴァー社のカンタータの楽譜本編タイトルにBWV番号の記載がないと書いた。

この現象の理由を調べていて目から鱗が数枚落ちた。

同カンタータ集の冒頭に参照元が記載されている。

「ドーヴァー社の刊行は1976年だが、その参照元はライプチヒバッハ協会が1851年から1881年にかけて刊行したバッハ作品全集である」と書かれている。旧バッハ全集のことだ。ウイルヘルム・ルストという校訂者名も付記されていた。

ドーヴァー社の種本が旧バッハ全集なら、1950年に考案されたBWV番号が反映しないのは当然だ。しかし利用者の利便を考えて目次にだけBWV番号を挿入したということでつじつまが合う。

目次に続く楽譜本文はタイトルまで含めて旧バッハ全集のコピペだということになる。

2024年6月10日 (月)

読むリヒター

記事「文藝別冊」でリヒター先生が取り上げられている話はしてある。貴重な参考文献であり話のタネ集でもある。同様の位置付けにある書物がもう一つ。

20240601_065149

厚みではこちらが上だ。近年ネットで情報収集が完了してしまうのだが、やはり紙がないと落ち着かないので貴重だ。巻末の録音リストが何よりありがたい。

バッハ以外の作曲家もかなりある。

なんとなんと入手困難ながらブラームスの「オルガンのための11のコラール前奏曲」op122があるという。

2024年6月 8日 (土)

基準が知りたい

昨日文藝別冊の「カールリヒター」ではしゃいだ。このシリーズにはかなりバックナンバーがたまっている。ほぼ人物が切り口といっていい。

歴史上の人物、作家、映画監督、俳優、漫画家、落語家などなど超多彩だ。

音楽系に絞っても作曲家、演奏家などさまざまで、ジャンルはクラシックにとどまらない。

全体のトーンはその人物にまつわるエッセイ集という感じ。学術書の堅苦しさとは無縁のカジュアルなテイストが売りかも。クラシックの作曲家ではマーラー、バッハ、ショパン、ワーグナー、モーツアルトくらい。ブラームスは落選だ。基準が知りたいと思い詰めるのは野暮だろう。演奏家はリヒター先生に加えて、カラヤン、フルトヴェングラー、マリア・カラス、グレン・グールド、カルロス・クライバーくらいか。こう並ぶとわかるような気がする。ある程度のカリスマ性が必須な感じ。

我が家にあるのは「カール・リヒター」「グレン・グールド」と「カルロス・クライバー」の3種。エリー・アメリンク先生はともかくフィッシャーディースカウ先生は是非ともほしいところ。

2024年6月 7日 (金)

文藝別冊

河出書房が刊行する「文藝別冊」の「カールリヒター」は、貴重な情報源だ。今やネットでなんでもわかる時代だが、紙がないと落ち着かない性分はきっと死ぬまで直らないから、書物はありがたい。

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2016年の刊行なのでもう9年前だが、何の不自由もない。日本公演のエピソード興味深いばかりだ。さらにはさらに避けて通れぬ「ピリオド楽器の台頭」も話題になる。ピリオド楽器の台頭はリヒター先生の晩年に起こり云々。バッハといえばイコールピリオド演奏という風潮にも慣れてきてみて、台頭当時のピリオド演奏家たちに立ち塞がる魔神状態からようやく脱しつつあるとか。

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