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カテゴリー「796 愛器」の12件の記事

2007年9月21日 (金)

松ヤニの谷

「松ヤニ」は弦楽器奏者の必需品だ。弓の毛に塗って摩擦力を得るためのものだ。弓の毛替えをした直後、松ヤニを塗る前の弓では、からきし音にならないことから、必要性は明らかである。弦楽器は、馬の尻尾の毛に、松ヤニを塗って、羊の腸を鳴らすのだ。

我が家で使用するのは、ごくごくオーソドックスな松ヤニだ。ヴァイオリン、ヴィオラ共用とのことで、私と娘らが交互に使っている。グレードはいろいろあるようだが「音程が良くなる」とか「スピッカートが上手くなる」とか「重音がはまる」だとかいうスペシャルな松ヤニは無いようだ。ましてやブラームス専用の松ヤニも売られていない。

使って行くうちにいつの間にか、塗りやすい箇所が決まってきてその場所だけ松ヤニが摩耗して出来るのが「松ヤニの谷」だ。私は粗忽者なのでよく松ヤニを落として割ってしまった。だから谷が出来る前に新しく買ってばかりいた。娘と楽器を始めた頃、松ヤニを不思議そうに見ていたので、「この松ヤニに谷が出来る頃上手になれるよ」と教えた。早く谷を作りたいからといっても、塗りすぎは良くない。練習の後は弦やボディあるいは弓についた松ヤニをキッチリ拭き取らねばならない。

最近、谷が出来てきた。もったいないので十文字にしている。プラスのドライバーでもあてたいような見事な形状である。

2007年3月24日 (土)

魂柱交換の成果

愛用のヴィオラの魂柱を交換してから2週間経過した。

http://brahmsop123.air-nifty.com/sonata/2007/03/post_48b4.html

あれから毎日楽器に触れていた。バッハ無伴奏チェロ組曲ヴィオラ版で、下はC線から上はA線の第6ポジションまでくまなく探検した。本日の記事はその「探検結果中間報告書」という位置付けである。

<全体>よくなった。全く別の楽器になってしまった。音の表情が変わった。音程のハマリ感が増したように思う。レスポンスはそのままに音の明るさが増したと感じられる。

<A線>試しにオブリガートを張ってみた。失敗だった。オブリガートが失敗ではない。弦の種類を変えてはいけなかった。鳴りが変わった場合、弦のせいなのか、魂柱のせいなのかわからなくなってしまう。オブリガートはヘリコアに比べて価格が高い。ほとんど倍である。元々今回の魂柱交換は、一部の弦の鳴りに不満があってのことだった。A線は不満はなかった側の弦である。今まで通り鳴ってくれれば文句はないという意味では合格だ。だったら価格の安い分ヘリコアで良いという結論は、しばらく保留したい。

<D線>ヘリコアのライトテンションだ。この弦にときたまシャリシャリ感があったことが不満の一つだった。シャリシャリ感は払拭されている。4本の弦の中では一番おとなしくなってしまった感じだ。

<G線>ヘリコアのライトテンションだ。D線のシャリシャリ感が無くなったかわりに、こちらに微細な異音感が出ている。「弦と弓が擦れる音」だと思う。「シュー」という音だ。全体が良くなったことで相対的には小さいが、気になる。楽器を弾くことを止めると、その存在に気付くような感じだ。音量と明るさは従来より良くなった。しばらく様子を見てから異音感だけを退治すればいい。

<C線>ヘリコアのライトテンションだ。最大の収穫。元々最大の不満がC線の鳴りだったから、満足である。音量が劇的に改善した。先弓でC線の引っかかりが見違えるようになった。A線やD線やG線はヴァイオリンにもあるし、C線が気持ちよく鳴ってくれるのは、極楽だ。総合的に見て、こちらの鳴りのためにD線がやや犠牲になっている感じがする。

それにしても音程が悪い。娘たちの真似をして音程の習得のためにチューナーを活用してみたが、一発でピタリとはまるのは開放弦だけみたいな感じである。ボウイングに変な癖があると、これもまたチューナーが教えてくれる。この打率を上げないと楽器の持ち腐れである。

2007年3月17日 (土)

弓購入一ヶ月

ヴィオラの弓を買って一ヶ月たった。ルンルン気分は今も変わらない。

現在の楽器を買い求めた時、予算の都合で弓にまで手が回らなかったために、15年遅れの更新になった。今となっては良かったと思っている。

あのとき万が一、弓の分までお金が工面出来て同時に弓も買っていたら、楽しみは一回で終わっていた。あるいは弓の予算をひねり出すために今の楽器を諦めていたらと想像すると背筋が凍る。

現在も愛用する46cmのヴィオラを買った時の喜びは今も鮮明に覚えているが、弓も変えていたら2つの感動の和として感じることになっていたハズだ。時間に追われている場合を除けば、パラメータ変更の鉄則は、複数のパラメータを同時に変えないことだ。何か効果が現れても、どのパラメータ変更が利いたのか判定が出来なくなってしまうからだ。もし楽器と弓を同時に変えていたら、喜びの明細が判らない。喜びを2度味わえないばかりか、「楽器でどれだけ、弓でどれだけ」という明細が実感として持てないことになるのだ。楽器を変えた感動と、弓を変えた感動を別々に独立して味わえているのはとても幸せなことだと感じている。

今回買った弓がそれほどだということである。

2007年3月10日 (土)

定期健康診断

調整に出していたヴィオラが戻ってきた。

2月16日の記事「オーバーホール」で長女のヴァイオリンを調整に出したことに言及した。先生に弾いていただいたところ「見違えたわね」と言われた。苦労が報われる思いがした。実のところ楽器屋さんとの間で2往復していたのだ。

http://brahmsop123.air-nifty.com/sonata/2007/02/post_7512.html

魂柱の位置の調整に加えて、長さを短くしてもらったのだ。それで一旦は戻ってきたのだが、D線とG線でのシャリシャリ感を覚えて再調整になっていた。無頓着な長女が「あれぇ」みたいな顔をしていたので、たまらずにお願いした。痛いとか痒いと違って症状を口で伝えるのは難しい。何度か伺って身振り手振りでお伝えすることが重要だ。技術者さんは、こちらの訴えを聞いて症状を把握する他に、どんな音が好みなのかをヒアリングする感覚なのだ。技術者ご自身もヴァイオリンを弾くので、交互に弾いてはああだこうだと議論する中から調整の方向が定まる。結論から言うと鳴りを少し抑えるセッティングにしたところでベストと判断した。

長女のヴァイオリンでのやりとりから私のヴィオラについても一大決心がつき、このほど調整に出していたが戻ってきた。定期健康診断というより少し鳴り方に不満が出ていたからだ。

  1. 弓を良くしたのだが、欲が出てしまってヴィオラの鳴りが不満になってきた。
  2. C線の鳴りが気にいらない。もっと深みが欲しい。
  3. 上辺だけで鳴っている感じ。
  4. 希にシャリシャリ状の雑音感がある。

大した腕前でもないのに要求だけはいっぱしである。同じ技術者と続けて話が出来ているから、こちらの腕前も、嗜好もある程度伝わっていることが何よりも重要だ。結果としては、少しだけ魂柱を太くした。従来の魂柱は少し細め6.5mmだった。これを7.5mmにした。表板や裏板との接触面が傾いていた。

本日サッと弾いた限りでは、全く別の楽器だ。それにしても「魂柱」とはよく言ったものだ。魂柱の交換一発こんなに変わるとは思わなかった。一言で言うと音の表情が変わってしまったという感じである。C線については文句なしだ。シャリシャリ感も払拭されている。万札1枚飛んで、コーヒー2杯分のお釣りだが、リーズナブルと感じる。しばらく弾き込んで、満足しなければ再調整に出すことで話はついている。微調整のための2往復3往復は覚悟の上という点、最初にお店に理解してもらっている。各弦くまなく弾きこんで調整の成果を判定したい。

楽器に触れない1週間は、やけに長かった。

2007年2月17日 (土)

弓購入しました

本日私のヴィオラ用の弓を購入した。

今まで使っていた弓は、今から26年前に楽器と一緒に買い求めた物だ。楽器は31万円の西ドイツ製。弓は7万円のフランス製。ケース込みで40万円の買い物だった。バイト代とお年玉3年分をつぎ込み、それまで使っていた楽器を売り払って学生最後の演奏会にやっと間に合ったという訳だ。

その後長男が生まれる直前だから15年前、今の楽器を買い求めたが、そのときは予算がなくて弓には手が回らなかった。だから我が家はヴィオラは2本あるのにヴィオラの弓は1本しかない状態が続いてきているのだ。

昨年長女には弓を、次女にはヴァイオリンと弓を買い求めたが、先生の助言もあってある程度弓にも予算を割いた。特に妻の形見のヴァイオリンを弾かせる長女には、楽器を買ってやらない代わりに弓を良くしてあげたのだ。効果の程は歴然だった。同じ楽器なのに音色や出方が全く変わってしまった。12万円の出費だったが後悔していない。妹にも同等の弓を選んだ。

今思えば、自分の弓が欲しくなるのは必然のなりゆきだった。

いくつかお店に足を運んだ。「ヴィオラの弓を探している」と言うと、なぜかどこのお店でも最初に「ご予算は」と聞かれる。内心ご予算は決めていても出来れば値札は伏せて試したいのだが、そうも行かない。仕方なく2、3割低めの金額を申し上げている。その瞬間にどの程度の客か見抜かれているのだろう。最低4~5本は目の前に並ぶ。値札を見ないようにして全部試してみる。大して腕に自信がないものだからこれがまた恥ずかしい。なじみが無いお店だと、恥ずかしさがさらに増幅する。店員さんだけではなく周囲に別のお客さんもいると、変に気を遣ってしまう。いじけた弾き方をしていては、弓の良し悪しもわかりにくくなるから、このあたりはジレンマである。弦楽器フェアとか弓フェアというイベントになると品揃えも良い代わりに、他のお客の集まりもいいだけにいっそう恥ずかしい。もちろん品揃えは肝心なのだが、心おきなく試せるという雰囲気も大切である。下手っぴにもそれなりの悩みはあるものだ。

相場感覚を感じただけで終わってしまった。

結局は、娘らの楽器でもお世話になっている近所のヴァイオリン屋さんで購入した。ある程度気心が知れているせいで心おきなく試せた。事前に予算を伝えておいて6本程準備してもらった。もちろん値札は伏せてだ。寺社仏閣のお守り、あるいは薬と同じで高い程良いと錯覚してしまうからだ。何よりも感覚優先だ。46センチの巨大ヴィオラが機嫌良く鳴ってくれるパートナーを探したという感覚である。私はどちらかというとC線の鳴り方優先の考えだ。「どうせA線はヴァイオリンにもついてるし」といういじけた感じも嫌いではない。

まずは、楽器を弾かずに持った感じと、見た目で探りを入れる。15分ほど音を出さずに比べた。この段階で気に入った順に並べておく。この段階で実は一本ダントツに気に入った弓があった。それに続く弓は3本だ。今回はちょっとパスしたいという弓が2本である。

次はいよいよ音出し。先の持った感じと見た目の順位を修正して行く作業だ。とても文字に出来ない微妙な作業だ。かれこれ小一時間は試したと思う。見た目と持った感じでダントツだった弓のほかに2本が候補として残った。ここで値段を聞く。見た目と持った感じを一目惚れした弓は2番目に高い価格でブラジル製だった。ほぼ2番手と目した弓が何と何と一番安い弓でドイツ製だった。一番高い弓は残念ながら良いとは感じなかった。一番手と二番手の価格は嬉しいお値引き後で12万円と20万円だ。両者8万の差が妥当かどうかの微妙な判断をすることになって、結局直感優先で前者20万を選んだ。ブラジル製である。

私にとって最後の弓になるであろう弓はブラジル製、楽器はドイツ製だ。なんだかワールドカップみたいだ。

無性に楽器が弾きたい。弓や楽器を変えるといつもこうだ。

最後に忘れてはならないこと。25年間がんばってくれた弓にお礼をいうことだ。キチンとオーバーホールをして昔のヴィオラとセットでしまっておきたい。どちらかの娘がヴィオラを手にする日まで、時折私がかまってやるのが一番だ。

2007年2月16日 (金)

オーバーホール

今週の火曜日に長女の楽器を調整に出した。以前次女の楽器のE線の鳴りが悪いのを相談したところ、魂柱の交換と若干の位置修正で、見違えるようになった。そうなってみると今度はお姉ちゃんの楽器の鳴り方が気になっていたのだ。全般にこもった感じがしていた。チュウニングがしにくい感じだ。音程がピッタリはまっているのに共鳴する感じに乏しかった。ちゃんと鳴らせるのは長女だけみたいな感じは嫌ではないのだが、スカッと抜けない感じは気持ちのいいものではない。

魂柱の調整で様子を見ることにした。ついでにクリーニングとニスの剥がれた箇所のコーティングだ。明日17日に出来上がることになっている。その間妹のヴァイオリンを借りて練習していたが、同じヴァイオリンといっても人の楽器だと勝手が違うようだ。5月の発表会の直前を避けて正解だった。

ついでにさっぱり判らなかったラベル表示について教えてもらった。プルトンというフランスのメーカーの製作で1821年製だということが判った。割と見かける楽器製作のグループだそうだ。ブラームスが生まれる前の楽器で、ベートーヴェンも存命中だ。私のヴィオラより56年も年上ということになる。

2007年2月 9日 (金)

ヴィオラのサイズ

ヴィオラの胴長には規格が存在しない。ヴァイオリンは胴長35.5cmに決められていることとの大きな違いである。物理の法則に従えば、ヴァイオリンより5度低い音を出すヴィオラはヴァイオリンの1.5倍のサイズが必要になるという。35.5cmの1.5倍で、実に53.25cmということになる。これでは首に挟んで演奏することが出来ない。全くもって現実離れしたサイズである。人が首に挟んで演奏する方法にこだわるならば、サイズを妥協する他はない。現行の標準的なヴィオラは、大体ヴァイオリンの15%増のサイズを採用している。これで首に挟んで演奏する方法は維持できたが、サイズを妥協しながら5度低い音を出すために弦の太さを増すことで埋め合わせた。その結果ヴァイオリンのような華麗な響きが犠牲になったという図式らしい。

つまりヴィオラのサイズは、ヴァイオリンと同等の響きと楽器の取り回しの綱引きの上で決定されると言ってよい。このバランスはなかなか決定打がなく、ヴァイオリンにおいては究極の回答を導き出したイタリアの天才製作者たちも結論に至ることが出来なかったのかもしれない。

このことは、現在も頻繁に行われている論争の出発点になっている。

「ヴィオラは大きいほうがいいのか」である。

大きい小さいという議論は客観性を欠くので、ヴィオラについてのさまざまな書物やインターネット上の記述を総合して仮決めしてみた。

  1. 小さいヴィオラ 39.5cm未満
  2. 普通のヴィオラ 39.5cm~41.5cm未満
  3. 大きなヴィオラ 41.5cm以上

ヴィオラに限らず楽器の良し悪しはサイズで決まるものではない。音色が第一で、それに取り回しや見た目、さらにはコストパフォーマンスが複雑に絡む上に、主観にも左右されるという代物だ。だから大きさだけを取り立てて論じるのは片手落ちなのだが、ヴィオラに関しては主たる論点になりがちである。

その証拠にショップでのヴィオラの値札には必ず胴長が記入されている。ネット上のカタログでも記載がある。つまりヴィオラ購入者にとって胴長は必須の情報なのだ。ヴィオラ弾きどうしの会話では胴長の話にしばし花が咲くことが多い。ヴィオラの音色を左右する重要なファクターのひとつなのだ。

でありながらヴィオラの大きさに関する優劣の議論はしばしば不毛に陥りがちである。「ヴィオラという楽器は、大きいほうがらしい音がする」という論旨と「そうは言っても取り回しが出来ねば身も蓋もない」「バシュメットのヴィオラはけして大きくない」という論旨が堂々巡りを繰り返すのが主要なパターンだ。「取り回しの悪さ」を理由に必要以上に小さなサイズのヴィオラに走る弾き手がいやしないか心配である。

たとえばヴィオラに進出を決めたヴァイオリン弾きが、店で楽器を選ぶ場面を想像願いたい。ご予算に合わせて選ばれた楽器を順に試奏するだろう。このとき必ずある種の違和感を感じるはずだ。大抵は楽器の大きさから来る違和感と、音のレスポンスから来る違和感の組み合わせだ。特に前者大きさから来る違和感は、実際には慣れによって減ずるハズのものであるし、ヴィオラ進出を決めた以上当然降りかかる違和感であるにもかかわらず、それを「取り回しの悪さ」と認識してしまう。かくしていくつかの候補楽器の中から、違和感の最も少ない小さな楽器が選ばれてしまうというパターンは想像に難くない。

私のように先にヴィオラに親しんで、娘に教える都合上後からヴァイオリンに手を出した場合は、ヴァイオリンのレスポンスの良さこそ感じるもののさしたる違和感はない。ヴィオラで弾くと音程の怪しく鳴り始めるH音が第一ポジションで弾けるのが嬉しかったりするくらいだ。しかしこのパターンは少数派だろう。

話がそれた。本来「本質論」と「運用論」として別々に議論されるべきだと思われるがいつも混ぜこぜで議論されるために水掛け論の域を抜けられないでいる。「ヴィオラらしい」の定義が曖昧なことも混迷に拍車をかける。最後には大抵穏やかな性格の仲裁者が「身体に合ったサイズが一番」という論旨で割って入ってお開きになる。もちろん「身体に合ったサイズ」の定義は曖昧なことのほうが多い。

私のヴィオラは胴長約45.5cmだ。メジャーをあてると45.5cmと46cmの間くらいだ。先の定義に従えばおつりの来るくらいの大型だ。私自身が体格に恵まれたお陰と、大きなヴィオラが好きなせいで何とか使っているが、取り回しはお世辞にも良くない。でもC線の鳴りが気に入っていることで帳消しだ。それに良く考えると指が回せないことや音程が悪いのは、「取り回し」つまり楽器のサイズのせいではない。空振りが多いのをバットのせいにしてはいけないのだ。それならばせめて音だけでもそれっぽくというのが購入の動機である。取り回しの悪いヴィオラに四苦八苦しながらというのも楽しみのうちだったりする屈折した心情もある。何よりも46cmというサイズはヴィオラ愛好家同士の会話では話のタネになるのだ。

サイズに関してさまざまな議論があることは今述べた通りだが、大きな声では言いにくい傾向をウスウス感じている。それは「大きなヴィオラの持ち主は大抵大きなヴィオラが好きだ」ということだ。つまり、本当は小さなヴィオラの方がいいと思っているのに、仕方なく大きなヴィオラを使っている人はいないような気がしている。とても嬉しい傾向である。

ヴィオラ愛好家のブラームスに尋ねてみたいことの一つである。ブラームスはヴィオラに一家言もっているに決まっている。

2007年1月23日 (火)

生誕130周年

昨日のブログへのアクセスが161に達した。これは昨年6月24日の155を更新する新記録だ。ブログアクセス系のネタが続くのは気が引けるが、新記録とあれば致し方ない。しかしアクセスネタでお茶を濁してばかりいると、飽きられてアクセス増の足を引っ張りかねないから、さっそく本論に移る。

昨年は生誕250年で盛り上がった作曲家がいたことは記憶に新しい。

昨年が生誕250周年だった人は相当いたはずだが、記憶されているのは一握りだ。生誕または没後で盛り上がるには暗黙の基準を想定せざるを得ない。

  1. 生年または没年からの経過年数が10の倍数。50や100の倍数だとさらに盛り上がる。
  2. この事実を強調することで相応のメリットを享受する集団が十分な数だけ存在する。

実は残念ながら2の基準を満たすことは出来ないが、私の身近にも存在する。

ラベルの記載を信用する限り、愛用のヴィオラは今年生誕130周年を迎える。生年が記載されているだけで、正確な月日は不明だ。考えてみると130年前の道具を今も使っているという例は、世の中そうは多くない。地球は誕生後約45億年たっているらしいが、「使っている」という表現はなじむまい。建造物にも古いものがあり、そのいくつかは現役だが、やはり「使っている」とは表現しにくい。話はいわゆる「道具」に限定されよう。

「1877年のドイツ製」ということが重要だ。ブラームス存命中に制作された楽器ながら私の手許にたどり着くまでの履歴は不明だ。この「不明」が実は貴重なのだ。「判らぬこと」はロマンなのだ。邪馬台国が「歴史のロマン」を感じさせるのは実は、判らぬことが多いからだ。「昭和史のロマン」というよりは「古代史のロマン」の方が耳になじむ。

「判らぬこと」を逆手にとって想像を膨らませる権利は誰にでもある。邪馬台国をあらぬ方向に持って行く説が後を絶たないのと似ている。同様に私のヴィオラがブラームスとニアミスしていた可能性は誰にも否定出来ない。私の手許に来てから既に15年だ。けれどもこの楽器の全生涯のうちの10%を超えたに過ぎない。物言わぬ楽器の悲しさで、本当はもっと上手い弾き手に巡り会いたいのかもしれないが、文句も言わずにそばにいてくれている。

残念ながら誕生日が不明だが、私の手許にある間は、たっぷりとブラームス、そしてバッハに浸してあげることにする。

2006年12月30日 (土)

肩あて

ヴィオラやヴァイオリンの胴体の下部に装着される補助具。無いほうがいいという意見もある。私に関して言えば不可欠だ。

このほどその不可欠な肩当てを替えた。KUN社の折りたたみ脚を使用していたが、どうもはずれる。それ以前に使用していた奴は、ヴィオラのCの部分の突起にゴムひもを引っかけるタイプだったのではずれなかったのに比べると面倒だ。ケースに収納する時のことを考えて折りたたみ脚にしたが、これがどうも不安の一因になっている。脚部不安というのは厄介で、ドイツの名機メッサーシュミットBf109のアキレス腱でもあった。競走馬でも致命的である。

弓ほどではないがそこそこの出費である。演奏中は楽器に強く付着するものだから、音にも影響しているのだと思われる。お店に出向いて幾つかを試して決めた。「MachOne」というカナダ製の肩あてだ。カナダ製らしく本体は木材、しかもメイプルという触れ込みだ。

Img_0666

実は一週間前に既に入手していたのだが、なかなか弾くヒマがなかった。お店で試していたとはいえ、遠慮もあったから心おきなく音が出せていたわけではなかったので不安だった。ここ2~3日でじっくり弾くことが出来た。

Img_0669

いやいやこれがなかなかの感触である。最初は高さや幅の調整で試行錯誤が続いたが、落ち着いてきたら楽器の鳴りが素軽くなった感じである。軽やかに鳴ってくれている感じ。ホントのところはどうだかわからないのだが、弾いている自分にはよくなったと感じられる。音程のはまり感が増したとも感じている。音程が急に良くなる訳はないので、響いている実感は本物だと思う。練習がしたくなる。肩あて一丁で大げさなことだが、出来れば一日中楽器に触れていたい気分である。

Img_0676

写真はマイアルバム「我が家の楽器」の中でも公開した。

2006年10月 9日 (月)

虫干し

秋の週末をヴィオラの虫干しにあてた。

現在の楽器を購入後、控えに回っている昔の楽器だ。25年ほど前にアルバイトして買った西ドイツ製のヴィオラだ。1979年製だからかれこれ26年前の楽器ということになる。1年半ほど前に見かねてメンテナンスに出して以来かまってやっていなかった。このところ休日はカイザー三昧だから、この週末2日間、昔の楽器でカイザーを練習することにした。

長い間放っておいたので、機嫌は当然悪い。チュウニングをしている間中、へそを曲げている。やはり楽器はたまに取り出してかまってあげないといけない。メンテナンスの第一歩は頻繁に弾いてあげることだそうだ。

胴長40cmだからほぼ標準サイズのヴィオラだ。いつも特大を弾いているので4の指が近い感じだ。2-4で取る長3度の連続や重音も楽である。このあたりの取り回しは現在の特大ヴィオラより数段楽だ。何のかんの言っても81年から10年間この楽器に世話になっていたのだから、弾き始めて間もなく機嫌が直ってきた。この楽器ではじめて弾いたブラームスの交響曲は4番だった。室内楽は確かクラリネット五重奏だ。

取り回しではこちらに軍配が上がるのだが、C線の迫力はやはり特大ヴィオラに分がある。体積は長さの3乗に比例するから胴長で5cmの差というのは決定的なのだ。出来ることなら足して2で割りたいくらいだ。つまり特大ヴィオラにこちらの取り回しがあれば鬼に金棒ということだ。「あちら立てればこちらが立たず」というようなこの種のジレンマこそがヴィオラの魅力なのかもしれない。

取り回しの悪さを埋めて余りあるテクニックがあるのが一番なのだが、そちら思うに任せない。

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ブラームスの辞書写真集

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    はじめての自費出版作品「ブラームスの辞書」の姿を公開します。 カバーも表紙もブラウン基調にしました。 A5判、上製本、400ページの厚みをご覧ください。
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