昨日の記事「ピアノ限定版ドボダス」の話をする。昨日は列挙だけで手一杯だった。ドボルザークのピアノ独奏作品に登場するトップ系用語を全て抜き出してアルファベット順に並べた。ブラームス作品にも登場する語句は赤文字、ブラームス作品には登場しない語句は青文字にした。つまり赤文字の語句は書籍「ブラームスの辞書」に掲載されているということだ。
全部で58種類の語句のうち、「ブラームスの辞書」に載っているのは26種類しかなかった。
ある意味で衝撃。ドヴォルザークの独奏ピアノ作品に挑もうとする場合、手許に「ブラームスの辞書」があっても、発想用語・語句の半分以上は載っていないということだ。つまりドヴォルザークの発想用語起用のセンスがブラームスとは違うということだ。全作品をあたったわけではない。たかだかピアノ作品だけで、この多様さである。
作品が作曲家の個性の反映であることと同様に、発想用語使用にも個性が色濃く宿る。基幹となる単語「Allegro」「Andante」などは共通することが多いが、その組み合わせたる語句になると、作曲家の使い回しの癖がにじみ出る。
ということはつまり、「作曲家専用音楽用語事典」は着想として見所があるということだ。「ブラームスの辞書」一冊を持っているだけで、他の作曲家の使用した用語がほとんどカバー出来てしまっては、面白くない。用語使用の癖が作曲家毎に極端に違ってこそ「作曲家別音楽用語事典」の意味がある。
繰り返す。ドヴォルザークの独奏ピアノ曲を調べただけで、この多様さだ。完全版ドボダスが出来たら大変なことになる。あるいはショパンの辞書、シューマンの辞書、ベートーヴェンの辞書、リストの辞書、シューベルトの辞書、メンデルスゾーンの辞書があったらどれほど面白いだろう。
今、底知れぬ深い淵の畔に立っているような気がする。
最近のコメント