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カテゴリー「809 ドボダス」の11件の記事

2010年8月28日 (土)

推定埋蔵量

地下資源があとどれほど埋まっているかという予測のことだろう。一つの鉱脈にあとどれほど埋まっているかという正確な予測無しには掘削に着手出来まい。採算が合うかどうかの判断をする場合、単純な埋蔵量もさることながら、鉱石1トンから目的の鉱物がどれほど回収出来るかも重要だ。ボーリング調査を思い浮かべるが、現在では実際に掘らなくても、地中の様子がかなりわかるらしい。

4割ドボダスの状態で、偉そうなことを言えないと言い訳しながら、ドヴォルザーク作品の楽譜に現れる諸現象について、ボチボチと話題にしてきた。「ソステヌート」「poco f」「mp」などなどだ。手持ちの楽譜を眺めているだけで、バカにならない本数の記事を書くことが出来た。有望な鉱脈だ。

ドヴォルザークの楽譜が全部集まり、全ての音楽用語の集計が終わったら、どれほどの記事が採掘出来るか想像も出来ない。

2010年4月11日 (日)

ドヴォルザークのメゾピアノ

昨日一昨日の記事は、本日のための序奏だった。

ドヴォルザーク作品の楽譜に現れるトップ系音楽用語をエクセルに取り込む作業を続けてきた。どうせ楽譜をあたるのだからトップ系のみならずパート系にもそれとなく注目していた。ブラームスでは特異な分布を見せる「mp」だが、ドヴォルザークにおける分布も興味深い。ドヴォルザークの独奏ピアノ作品に現れる「mp」を以下に列挙する。

  1. ピアノ小品B109-3 71小節目
  2. ピアノ小品B109-3 129小節目
  3. ピアノ小品B116 41小節目
  4. 詩的音画より「農民たちのバラード」B161-5 冒頭
  5. 詩的音画より「フリアント」B161-7 61小節目
  6. 詩的音画より「妖精の踊り」B161-8 65小節目
  7. 詩的音画より「セレナーデ」B161-9 4小節目
  8. 組曲イ長調第1曲25小節目
  9. 組曲イ長調第4曲30小節目
  10. 8つのフモレスケより第1番 25小節目
  11. 8つのフモレスケより第5番 57小節目
  12. 8つのフモレスケより第5番 73小節目

たったの12箇所だ。上記の一覧は作曲年代順だ。先頭は1880年である。つまりドヴォルザークの独奏ピアノ曲に出現する「mp」は1880年以降に限られるということだ。ドヴォルザーク独奏ピアノ曲全集全2巻の第1巻には出てこない。第2巻の中盤以降にしか置かれていないのだ。

ブラームス作品における「mp」密集との関連を疑いたい。同時にドヴォルザークについて「mp1880年起源説」を、ひっそりと提案する。管弦楽室内楽を含む全作品を確認していないから、ゆめゆめ断言は禁物だがかなり不気味だ。

2010年4月 2日 (金)

終楽章マーカー

「con fuoco」は「火のように」と解される。情熱的な感じの表現として用いられる。ブラームスにおける用例については2006年6月30日の記事「青春の炎」で言及した。先ごろ完成したドボダスのおかげでドヴォルザークについても用語使用の分布がおぼろげながら推定できるようになった。

ドヴォルザーク作品における「con fuoco」の用例を以下に列挙する。

  1. 交響曲第2番変ロ長調B12第4楽章冒頭 Allegro con fuoco
  2. 弦楽五重奏曲第2番ト長調B49第1楽章冒頭 Allegro con fuoco
  3. ピアノ協奏曲ト短調B63第3楽章冒頭  Allegro con fuoco 
  4. フリアントニ長調B85-1冒頭 Allegro con fuoco
  5. フリアントニ短調B85-2冒頭 Allegro con fuoco
  6. ワルツイ短調B101-2冒頭 Allegro con fuoco 
  7. スケルツォカプリチオーソB131冒頭 Allegro con fuoco
  8. 交響曲第9番ホ短調「新世界より」B178第4楽章冒頭 Allegro con fuoco
  9. 弦楽四重奏曲第13ト長調B193第4楽章 Allegro con fuoco

ブラームスはトップ系パート系合計で生涯で7回だけだ。カバー率4割のドボダスつまり4割ドボダス状態で9回の使用、しかもそれはトップ系だけだ。さらにブラームスは作品41を最後に出現が途絶えるのに対し、ドボルザークは生涯にわたって満遍なく分布する。また「Allegro」を補完する形に特化して用いられているのも面白い。

さらに興味深いのは多楽章作品で用いられる際にはほぼ最終楽章になることだ。上記2が例外だ。つまりこれが「終楽章マーカー」である。

2010年3月 4日 (木)

独仏の優越

仮設とはいえドボダスの輪郭がほぼ整ってきた。我が家にある楽譜、CD,解説書を読みあさり、出来る限りの音楽用語をエクセルにとりこむ試みだ。

断言は危険だが、おぼろげに浮かんだ傾向がある。ドヴォルザークは、発想用語を選ぶ際、その候補をイタリア語に限定していたと思われる。ドイツ語は現れない。そして母国語のチェコ語も現れない。今後ドボダスの整備が進んで、本日の予想が覆えされた時には、喜んでお詫びするが、今日のところは断言する。

いわゆるクラシック音楽における発想用語はイタリア語が主流だ。ベートーヴェンを境に母国語を用いる作曲家がボチボチ現れ始める。ところが、それには他にも重要な側面があると感じる。そこで用いられる言語はドイツ語かフランス語に限るということだ。

ドヴォルザークは、チェコ語を使おうとしない。スメタナ、ショパン、チャイコフキー、グリーク、シベリウス、バルトーク、ヤナーチェクといった面々が、母国語使用に走ったか別途確認も必要だが、どうも望み薄だと感じる。

イタリア語を別格とすればドイツ語とフランス語の使い手だけが、発想用語に母国語を用いたと思っている。

怪しいのは英語だ。ヘンデルは無理でもブリテン、エルガーあたりの楽譜には英語表記がありはしないか興味がある。

2010年2月11日 (木)

4割打者

年間規定打席数に到達し、かつ打率が4割を超えた打者。バッターにとって、あるいはファンにとって夢の数字。長いメジャーリーグの歴史の中でもわずか13人を数えるのみだ。1941年テッド・ウイリアムスが達成したのを最後に現れていない。日本プロ野球ではまだいない。

年間最多安打メジャーリーグ記録262本を達成した年、イチローの打数は705だった。4割に到達するには282本の安打が必要だから、さらに20本安打を積み重ねる必要があった。あるいは、フォアボールや犠打で655まで打数を圧縮する必要があった。難易度の高さが伺える。

仮設ドボダスと銘打って、ドヴォルザーク作品の中の発想記号をエクセルに取り込む試みが一段落した。我が家の楽譜、CD、解説書から発想記号を拾いまくった。ドヴォルザーク作品を整理するブルクハウザー番号の最大値は203だ。それに対して取り込みが出来た作品が85である。4割1分8厘である。野球で言うなら203打数85安打となる。

バッティングなら御の字だが、データベースとしては物足りない。何と言ってもつらいのはCDの解説だ。器楽曲の解説では大抵楽章毎に冒頭の発想記号が併記されている。これが声楽曲になると全く姿を消す。作品のタイトルだけで楽譜上の発想記号には何ら注意が払われていない。もっともこれはドヴォルザーク作品に限ったことではなく、ブラームスでも同様だった。器楽作品においてはバカにならない情報源になっているだけに、声楽曲での扱いが残念だ。

完成度40%少々のデータを元にブラームスと比べるなら、ある単語の出現頻度が多い場合には有効だ。4割の完成度で既にブラームスの頻度を超えるようなら、ドヴォルザークの特色だと推定出来る。

2010年2月 8日 (月)

仮設ドボダス

2月4日の記事「ピアノ限定版ドボダス」でピアノ独奏曲に限ってトップ系音楽用語の集計をしたと書いた。その後いろいろ興味深い発見があったものの、それらを深追いするのは「ブラームスの辞書」の手に余るとも感じている。

しかしそれでも、脳味噌の奥がムズムズして落ち着かない。楽譜はあまり持っていないからブラームスでやったような本格的なものにはならないが、出来る範囲でドボダスをブラッシュアップしたい。

我が家にある楽譜と解説書を総動員して出来る限りの音楽用語を集めようと思う。トップ系の音楽用語は楽譜を持っていなくても解説書の譜例で判明することが多い。せめてそれだけでもドボダスに取り込むことにした。つまり仮設ドボダスだ。

チョコを贈るだけが愛情の表現とは限るまい。

2010年2月 7日 (日)

Quasi Tempo I

先般作成したドヴォルザークのピアノ独奏曲で使われた発想記号リストの話だ。

「Quasi Tempo I」という言葉が8箇所も使われている。「ほとんど冒頭のテンポで」と解するより道は無い。ブラームスには一度も出現しない言い回しだ。使われているのは三部形式における再現部または、変奏曲中である。難解なことに「Tempo I」も10箇所出現する。あろうことか、一つの作品中に両者が混在するケースさえ観察出来る。

再現部において冒頭と同じテンポが回復するのは自然だ。問題は何故「Quasi Tempo I」と「Tempo I」が使い分けられているかだ。何故「冒頭のテンポで」という断言を避けているのだろう。

実に興味深いが、同時に悩ましい。深入りすると最早「ブラームスの辞書」ではなくなってしまう。

2010年2月 6日 (土)

アダージョ不在

一昨日の記事「ピアノ限定版ドボダス」でドヴォルザークのピアノ独奏曲に出現する音楽用語を列挙した。ブラームスとの比較は本当に興味深い。

お気づきの方も多いと思う。アルファベット順の羅列でありながら先頭が「Allegro」になっている。つまり「Adagioの不在」だ。ドヴォルザークはピアノ独奏曲で「アダージョ」(Adagio)を用いていない。それどころか「Adagio」含みの語句も無い。

新世界交響曲の冒頭や交響曲第8番の第2楽章にはちゃんと「アダージョ」が鎮座しているから「アダージョ」の完全忌避ではない。ピアノ独奏曲にだけアダージョが無いのは異様でさえある。遅いテンポのピアノ曲は存在するけれどもドヴォルザークは注意深く「アダージョ」を避けているように見える。

解釈はお手上げだが、ありがたみは極上だ。

2010年2月 5日 (金)

多様性に驚く

昨日の記事「ピアノ限定版ドボダス」の話をする。昨日は列挙だけで手一杯だった。ドボルザークのピアノ独奏作品に登場するトップ系用語を全て抜き出してアルファベット順に並べた。ブラームス作品にも登場する語句は赤文字、ブラームス作品には登場しない語句は青文字にした。つまり赤文字の語句は書籍「ブラームスの辞書」に掲載されているということだ。

全部で58種類の語句のうち、「ブラームスの辞書」に載っているのは26種類しかなかった。

ある意味で衝撃。ドヴォルザークの独奏ピアノ作品に挑もうとする場合、手許に「ブラームスの辞書」があっても、発想用語・語句の半分以上は載っていないということだ。つまりドヴォルザークの発想用語起用のセンスがブラームスとは違うということだ。全作品をあたったわけではない。たかだかピアノ作品だけで、この多様さである。

作品が作曲家の個性の反映であることと同様に、発想用語使用にも個性が色濃く宿る。基幹となる単語「Allegro」「Andante」などは共通することが多いが、その組み合わせたる語句になると、作曲家の使い回しの癖がにじみ出る。

ということはつまり、「作曲家専用音楽用語事典」は着想として見所があるということだ。「ブラームスの辞書」一冊を持っているだけで、他の作曲家の使用した用語がほとんどカバー出来てしまっては、面白くない。用語使用の癖が作曲家毎に極端に違ってこそ「作曲家別音楽用語事典」の意味がある。

繰り返す。ドヴォルザークの独奏ピアノ曲を調べただけで、この多様さだ。完全版ドボダスが出来たら大変なことになる。あるいはショパンの辞書、シューマンの辞書、ベートーヴェンの辞書、リストの辞書、シューベルトの辞書、メンデルスゾーンの辞書があったらどれほど面白いだろう。

今、底知れぬ深い淵の畔に立っているような気がする。

2010年2月 4日 (木)

ピアノ限定版ドボダス

1月9日の記事「困った性格」でドヴォルザークのピアノ独奏曲の楽譜が入手出来たからせめて作品冒頭の発想記号を集計したいと書いた。ブラームスについてはこうしたデータベースが完成していてブラダスと名付けている。ドヴォルザークについて同じ事を実施するということになれば「ドボダス」とでも命名せねばならない。私が持っているドヴォルザークの楽譜は抜けが多くてお話にならないが、ピアノ独奏曲については完璧だ。このほどそれが完成した。対象範囲はピアノ独奏曲のトップ系音楽用語のみの限定版ドボダスだ。本日はその成果を公開する。

ドヴォルザークの独奏ピアノ曲に出現するトップ系の音楽用語全てをアルファベット順に列挙する。

  1. Allegretto 9箇所。
  2. Allegretto grazioso 3箇所
  3. Allegretto leggiero 詩的音画より「戯れ」B161-2冒頭にただ1箇所。
  4. Allegretto moderato 「ドゥムカ」ハ短調B136-1冒頭にただ1箇所。
  5. Allegretto scherzando 3箇所。
  6. Allegro 8箇所。
  7. Allegro con fuoco 3箇所。
  8. Allegro feroce 4箇所。
  9. Allegro giusto 詩的音画より「農夫のバラード」B161-5冒頭にただ1箇所。
  10. Allegro moderato 2箇所。
  11. Allegro moderato(Tempo I) 詩的音画より「夜の道」B161-1の124小節目に1箇所。
  12. Allegro molto アルバムブラットB109-3冒頭にただ1箇所。
  13. Allegro non tanto 2箇所
  14. Allegro non troppo 「マズルカ」B111-5冒頭にただ1箇所。
  15. Allegro scherzando 即興曲ニ短調B129冒頭にただ1箇所。
  16. Allegro vivace 2箇所
  17. (Ancora) piu mosso ワルツイ長調B110-1の95小節目にただ1箇所。 
  18. Andante 2箇所
  19. Andante con moto 2箇所
  20. Andante e molto tranquillo 即興曲ハ短調B110-1の95小節目にただ1箇所。
  21. Andantino 影絵B98-2冒頭にただ1箇所。 
  22. Grave, tempo di marcia 詩的音画より「英雄の墓」B161-12冒頭にただ1箇所。
  23. Larghetto インテルメッツォB110-2冒頭にただ1箇所。
  24. Lento 詩的音画より「古城にて」B161-3冒頭にただ1箇所。
  25. Lento ma non troppo マズルカニ短調B111-4冒頭にただ1箇所。
  26. L'istesso tempo 3箇所
  27. Meno 組曲イ長調第1曲B184-1 27小節目にただ1箇所実在。目を疑う。
  28. Meno mosso 3箇所
  29. Meno mosso, quasi Tempo I 5箇所
  30. Moderato 8箇所
  31. Moderato e molto cantabile 詩的音画より「セレナーデ」B161-9冒頭にただ1箇所。
  32. Molto moderato 子守唄B188-1冒頭にただ1箇所。 
  33. Molto vivace 組曲イ長調第2曲B184-2冒頭にただ1箇所。 
  34. Piu mosso 3箇所。
  35. Poco  allegretto 「フモレスケ」ロ長調B187-6冒頭にただ1箇所。
  36. Poco allegro 3箇所
  37. Poco andante 3箇所
  38. Poco andante e molto cantabile 「フモレスケ」変イ長調B187-3冒頭にただ1箇所。
  39. Poco andante e molto tranquillo 主題と変奏B65-1第6変奏冒頭にただ1箇所。
  40. Poco lento 詩的音画より「スヴァタホラ」B161-13冒頭にただ1箇所。 
  41. Poco lento e grazioso 「フモレスケ」変ト長調B187-7冒頭にただ1箇所。
  42. Poco meno mosso 2箇所。
  43. Poco meno mosso-quasi andantino 詩的音画より「夜の道」B161-1の87小節目。
  44. Poco piu mosso 「マズルカ」ロ短調B111-6の26小節目にただ1箇所。
  45. Poco sostenuto 影絵B98-6冒頭にただ1箇所。
  46. Poco tranquillo e molto espressivo エクローグB110-4に2箇所。 
  47. Presto 3箇所。
  48. Quasi allegretto エクローグB103-2冒頭にただ1箇所。
  49. Quasi andante 3箇所。
  50. Quasi Tempo I 3箇所。
  51. Tempo di menuetto 主題と変奏B65冒頭にただ1箇所。
  52. Tempo di polka B3冒頭にただ1箇所。
  53. Tempo I 10箇所。
  54. Un poco meno mosso e molto tranquillo 「フリアント」ト短調B137冒頭にただ1箇所。
  55. Un poco piu mosso 2箇所。
  56. Vivace 8箇所。
  57. Vivaccissimo 詩的音画より「バッカナール」B161-10冒頭にただ1箇所。
  58. Vivo e risoluto マズルカハ長調B111-2冒頭にただ1箇所。

本日は列挙だけで手一杯だ。赤文字と青文字の塗り分けは何が基準かおわかりだろうか。

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