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カテゴリー「821 パートナー」の9件の記事

2007年10月 2日 (火)

運を使う

9月20日の記事「風の景」で紹介した石川勝一先生の版画展に行って来た。

こじんまりとした画廊一杯に石川ワールドが広がっていた。

自費出版で満足が得られるかどうかの鍵は出版社選びが握っていると断言してよいと思っている。著書が満足なら、売れる売れないは二の次なのが自費出版だ。そういう意味で私が今「ブラームスの辞書」の出版に満足していることの最大の要因は、よい出版社にめぐり合ったことだと思っている。

インターネットで「自費出版」をキーワードに検索すると数万件がヒットする。出版社の情報ばかりではないから、地道に情報を取捨して数件の出版社とコンタクトしたが、ほとんどみな「原稿出来たらね」という反応だった。石川書房さんはそんな中で出会った。何より我が家から自転車で行ける距離だ。さっそくファミレスで落ち合って「ブラームスの辞書」の構想を聞いていただいた。まだブラダス入力が半分にも届かない頃だ。そしてその約1ヶ月後に「ブラームスの辞書」のカバーデザイン案を送っていただいたことで、事実上出版社が決定したと申して良い。ブラダス入力に悪戦苦闘していた頃、どれほど力づけられたか計り知れない。

自費出版を手がける出版社といっても系統は様々だ。自費出版は様々なアクションの集合体だから、出版社毎に得意な領域が変わるのだ。私が選んだ石川書房さんの得意分野は「装丁」だったのだ。「装丁」とは本の見てくれを整えて思わず手に取りたくなるようなデザインを考えることだという。本の内容はもちろん著者のキャラまでをも吸収し、最適な形態を与えるのが「装丁」の仕事だとも聞く。ましてや社長ご自身が最先端のハイテクを縦横に駆使する版画家なのだ。恐ろしいと言うか、のんきと言うか、先生や石川書房さんに関するこれらの情報を、私は後から知ったのだ。「運を使う」とはこのことだ。運を使ったのでなければ、きっとブラームスのお導きだ。

「ブラームスの辞書」の装丁をはじめてご提案いただいたとき、基調となるカラーがブラウンだった。カバーはもちろんカバーの内側もブラウン、本扉の自筆譜もブラウンだ。これには心底驚いた。私の好みの色がブラウンだと判ったのだろうか。私が心の中で抱くブラームスのイメージカラーがブラウンだと感じられたのだろうか。直接お会いした機会はうんと限られているのに何故私の「ブラウンラブ」を感じて下さったのか、不思議だった。

会場に飾られた37の作品たちを見て少しだけその謎が解けた気がする。どの作品も中間色が豊かに盛られている。時折置かれる原色でさえ微妙な色調の変化が施されている。石川先生が色彩や光に関する繊細な感性の持ち主だと素人の私でもわかる。私の「ブラウンラブ」を見抜くなどきっと朝飯前なのだ。

版画展「風の景」はまだあと4日続く。運を使いにおいでください。

2007年9月20日 (木)

風の景

秋である。

個展の案内状が1通舞い込んだ。初めての自費出版本「ブラームスの辞書」の出版でお世話になった石川書房の社長さんは、実は版画家である。それもパソコンを駆使したハイテクの版画だ。出版関係の一連のやりとりが終わった後もご縁があって案内状を送っていただいている。

<石川勝一版画展>「風の景」

  • 日時 2007年10月1日(月)~10月6日(土)午前11時~午後7時
  • 場所 ギャラリー銀座

「ブラームスの辞書」の装幀をほとんど全てお任せした。カバーのデザインなどは先生の芸術に連なっていると感じられる。出版後もたびたびブログ「ブラームスの辞書」にアクセスして応援してくれている。装幀を誉められた情報があればメールでお伝えもしている。「ブラームスの辞書」の動向に一喜一憂してくれているのだ。

是非会場を訪問することをおすすめしたい。「ブラームスの辞書」のカバーの故郷の空気を堪能できること請け合いだ。先生を見かけたら「ブラームスの辞書」のネタを振っていただくと喜ぶ顔を見せてもらえると思う。

石川書房

2006年7月19日 (水)

第二のルート

「ブラームスの辞書」の販売は書店に依存していない。ブログを通じてのネット販売のみだ。これが第一のルートである。この度第二のルートで注文が舞い込んだ。第二のルートとは、「ブラームスの辞書」の出版者に注文が入り、その情報を出版者から著者である私に転送いただいたことを指す。刊行以来こうした受注のしかたを想定しなかったわけではないが、実際には希だと思っていた。

出版者・石川書房から転送されたメールを見て仰天した。注文主は、某音楽大学付属図書館となっていたのだ。この図書館の蔵書収集のご担当から、石川書房に注文が入ったというわけである。つまりこの注文は、その図書館に「ブラームスの辞書」を蔵書しますという意思表示に他ならない。

さっそく、ご担当の女性にメールを入れた。販売なんて滅相も無い。寄贈させていただく主旨をお伝えすると、丁寧なお礼のメールが帰ってきた。やはり続くときは続いてしまうのだろう。7月13日以来少し神がかっている。

冷静を装ってはいるものの、実は相当嬉しいことお察しの通りである。

2005年7月23日 (土)

装丁の評判

手前味噌もいいところだが、「ブラームスの辞書」の装丁を褒められている。

既に33冊が私の手元を離れた。無論全て無償提供の献本先である。なんせ400ページビッシリの本なので全てを読破しての感想は届いていない。しかしながら、本の装丁は見ればすぐにわかる。手にとって感じられる質感も同じだ。実は、装丁が重要なのはそのためだ。一見しての印象は、即売り上げを左右するだろう。

「デザインがさっぱりとクールで中身が濃いところが、ブラームスのイメージにぴったりだ」

「押し付けがましくなく、品がいい」

「ブラウンでのさりげない統一感がいい」

代表的なお褒めの言葉である。問題は中身の評判なのだが、しばらく先になりそうだ。

2005年7月 6日 (水)

石川書房

私が出版のパートナー選んだのが石川書房だ。社長さんは石川勝一という。これで「いしかわまさる」とお読みする。ご近所の縁とお人柄で選んだ出版社であることは、すでに何回か述べた通りである。彼は出版社の経営者なのだが、専門は装丁でありまた、パソコンを駆使したプリントアートで作品を世に問うアーティストでもある。

ちょうど今、銀座で彼の初個展が開かれている。私の著作の装丁の秘密を覗くため、今日会場にお邪魔した。けっして広いとは言えないギャラリーだが、約30の作品が飾られており、紛れもない宇宙を形成していた。案内のハガキに印刷されていた作品が赤と青のコントラストが鮮やかな作品だったが、実際にはイメージが違った。名前が言える色はその作品にしかないと言ってよい。案内状の作品はむしろ例外だった。淡い感じの色彩を基調とした微妙な色合いの連続である。敢えて「名前を言えない色」と表現したい。「中間色」と表現しては、あのニュアンスは伝わらない。いくつかの作品にブラームスのシルエットでも配置すればそのまま私の本の表紙に使えそうだった。「allegro」「adagio」のような中心的な用語を縦横に組み合わせて繊細な世界を構築したブラームスと共通するイメージである。

作品をしばらく眺めながら談笑した。この人に作品の装丁を委ねたことが、将来嬉しいアドバンテージになるかもしれない。

2005年7月 2日 (土)

運試し

出版社からメールが入った。開封するまで少しドキドキする。また不完全版下が何かをやらかしたのではないかという不安からだ。

今回に関しては杞憂だった。印刷所側の作業が順調に推移していることの報告である。不完全版下の作成は著者である私自身だが、カバー、表紙、本扉のデザインは出版社の提案を承認していた。そのカバー、表紙、本扉を印刷するためのフィルムが、印刷所に持ち込まれたとのことである。いよいよ感が高まって来る。本作りがゴールに向かって歩みを速めている実感が湧いてくる。

今回、初の自費出版に踏み切るに当たって、最大のポイントは一緒に歩んでくれるパートナー探しであった。数多く存在する出版社からどこを選ぶかという難題である。インターネットを主体に、情報収集をしたわけだが、情報が多すぎて持て余した。最終的には会社の所在地が自宅の近所という機縁も手伝って決定した訳だが、結果として正解だった。厳正な比較検討の上というわけではなかったが、今は自らの強運を喜びたい。社長の人柄によるところが大きいと思う。

原稿も出来ていない段階での、こちらの構想にジックリと耳を傾けてくださったことが大きい。著者である私の「やりたいこと」を十二分に伝えることが出来た手ごたえは何にも代えがたい。「原稿出来たら持ってらっしゃい」という出版社のほうが世間では多数を占めていると思う。

驚いたのは、まだエクセルでデータベース作成中にカバーデザインを提案してくれたことだ。たしか昨年の8月だったと思う。結果として5ケ月半に及んだデータベース作成の半ばという一番精神的にしんどい時期に届いたカバーデザイン案は、大変な励みになった。

何回かの打ち合わせの席上や、メールの中で、こちらが発する間抜けな質問にも誠実にお答えいただけたことも記憶しておかねばならない。

少しでもコストを抑えるための提案を積極的にしてくれた。けれども校正まで著者が行うという究極の低コスト路線に踏み込まずにすんだのも社長のおかげである。校正のプロに目を通してもらうことに費用を惜しんではならない。実際に校正された原稿が戻ってきた時、この言葉を腹の底から噛み締めた。自費出版をしなかったら、多分一生出会うこともなかったであろうプロフェッショナルに出会えた。

まだ、実際に本が出来たわけではない。だから礼を言うのは早いのだけれどこれだけは言っておきたい。

「今回の出版社選びでは、運を使った。たっぷりと運を使った。」

2005年6月17日 (金)

亡き妻に

原稿のあとがきを読んだ出版社の社長が「奥様のことには言及しなくてよいのですか」と言葉を選びながら尋ねてきた。誠実で暖かい質問である。あとがきの文末には、この本を子供たちと母に捧げる旨記されているのだが、亡き妻に言及がない点を心配してくれたのだ。

妻が他界して9年と5ケ月になろうとしている。長男、長女、次女を生んでくれた上に、ピアノとヴァイオリンも演奏する。特筆せねばならないのは、妻もまたブラームスが一番好きだったということだ。長男が生まれるまでは、よく二人でアンサンブルを楽しんだ。私がヴィオラを弾くのでファーストチョイスは当然のことながらブラームスのヴィオラソナタになる。ヴィオラソナタ第一番の第二楽章を「子守唄」と呼んだ彼女の感性に驚かされた。何度繰り返しても、そして何箇所弾けないところがあっても、心の底から楽しめた。我が家に今ブラームスの室内楽の楽譜がたくさんあるのも当時の名残りである。妻の遺品から見つかったラプソディop79-2ト短調の楽譜には、学生時代の発表会での彼女の取り組みの痕跡がはっきりと残っていた。3人の子供をもうけたのは、将来家族でブラームスのピアノ五重奏を演奏するためでもあった。

思い出せばきりがない。もし存命なら執筆の手助けをしてくれただろうし、刊行を喜んでくれるだろう。「亡き妻に捧げる」の一文を本書末尾に躍らせるかどうか、迷った。結論から言えば「亡き妻には直接触れない」である。妻とのアンサンブルの過程で知りえた知見をふんだんにちりばめることで、よしとする。「亡き妻に云々」の文言は、読者にとっては無用のメッセージだ。お涙頂戴の「闘病日記」の類ではない。

強がってみせたものの、本文には仕掛けを施すことにした。出版社にお願いして奥付に記載される本書の発行年月日は2005年6月15日に固定することにした。実際の発刊日がこの日にならなくてもである。本日6月17日の時点でまだ印刷にも回っていないのだから6月15日に発行されるはずはない。がしかし、妻の誕生日6月15日を本書末尾に記載することとした。実際の発行は7月中旬以降となることが確実なので一ケ月を超える「オフサイド標記」となる。

あとがきに書ききれなかった思いを綴るという、このブログの趣旨からして、もっとも大書されるべき記事である。

2005年6月 1日 (水)

お打ち合わせ

3月7日に原稿が完成し、その後のやるべきことの確認もかねて出版社と打ち合わせをする。これが3月12日だった。出版社といっても担当者ではなく社長ですよ。判型、部数、製本などあれこれと指導を受けて出版費用の決定をせねば。あと契約書の雛形を見せてもらう。費用を出来るだけ抑える意味で完全版下の持ち込み式に決める。音楽書に必須の譜例も最小限掲載するが、節約のため著者が切り貼りする。一番迷ったのは部数。配るあてから言えば20が関の山である。今回の印刷方式だと重版は割高とのことで、部数の決定には時間がかかった。結局300部で落ち着く。いろいろな面から見てこれが妥当。次に迷ったのは製本。並か上かでかなり悩んだ末、見てくれを考えて上製本カバー付きとした。打ち合わせはサクサク進む。ISBNを取得し国会図書館に納本する。校正はプロに2回お願いする。カバーデザイン込み送料別途の費用の支払いは契約時、初校時、完成時の三分割とする。判型はA5。この後再度著者校正をかけて正式契約時に原稿を渡すこととする。

出版社選び

データベース作りや執筆の前から、自費出版を依頼する出版社探しを始めてた。一介のサラリーマンにとって費用はけっして安くない。かといって変な妥協もしたくないみたいな見栄もあって少々複雑。ネットで検索すると膨大な数の自費出版屋さんがヒットしてしまい、かえって何も決められない。恐る恐る何社かコンタクトしたが、印象は概ね不調。最大の原因は「まだ原稿が完成していないこと」に尽きる。「気持ちは解ったから原稿できたら持ってらっしゃい」と態度に出てます。加えて音楽系出版社さんからは「素人風情が」みたいな見下しも見え隠れ!まあ無理からぬ話である。でもこの悔しさが少しはバネになっていたのも事実だ。かと思うと返品を置いとく倉庫の心配までしてくれる人、徒労だからやめておけとアドバイスをくれる人もいて笑える。結局一番相談に乗ってくれたところに決定。まだ原稿もないのに表紙のイメージを作ってくれたり、コストを低く抑える提案をしてくれたり、かなりのフットワークでした。意外なことに住所が我が家のすぐそば。打ち合わせは近所のファミレス。

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ブラームスの辞書写真集

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    はじめての自費出版作品「ブラームスの辞書」の姿を公開します。 カバーも表紙もブラウン基調にしました。 A5判、上製本、400ページの厚みをご覧ください。
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