氷山の一角
私のバッハ体験を思い出してみる。大学1年でブランデンブルク協奏曲の5番がほぼ初体験。それ以前は、中学の音楽の時間の「小フーガト短調」があるくらい。あるいは「G線上のアリア」や「グノーのアヴェマリア」をBGM的に体験したかもしれない。
学生オケ時代、バッハが定期演奏会で取り上げられることはなかったが、団内の様々なイベントでバッハに接した。ブランデンブルク協奏曲全般に横展開することに始まり、ヴァイオリン協奏曲から2つのヴァイオリン、オーボエとヴァイオリンの両協奏曲に波及するのはさしたる時間もかからなかった。やがてヴァイオリンとチェロの無伴奏作品に興味が移るとほぼ同時に、一連のクラヴィーア作品や、「トッカータとフーガニ短調」でオルガンも聴いた。
声楽への興味はベートーヴェンの第九止まり。カンタータはもちろんマタイもヨハネも遠い遠いよその話だった。
今になってこれらを俯瞰すると、膨大なバッハ作品から見れば量的には氷山の一角だ。それだけでバッハを好きと思えた。「木を見て森を見ず」あるいは「水を見て小川を見てない」か。小川はやがて大河となって大海に注いでいた。
「バッハ作品目録2022」の助けもあって、今やっとそのことに気づき始めた。45年かかった。
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