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カテゴリー「301 バッハ」の441件の記事

2020年11月29日 (日)

地味にバッハ

カンタータ140番。「目覚めよと呼ぶ声が聞こえ」の第二曲レチタティーヴォハ短調の冒頭の話だ。テノールの独唱が「彼が来る」「彼が来る」と語りかける場面。同カンタータの肝、花婿の到来を告げるシーン。

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ブラームスの第4交響曲の第一楽章冒頭にそっくりだ。ブラ4はホ短調で「H-G-E-C」と立ち上がるのに対し、長3度低いものの、音程の関係は丸ごと維持される。第4交響曲はフィナーレにおいてカンタータ150番の終末合唱が引用されることは有名だが、こちらの類似はあまりに瞬間芸的なので見過ごされている気がする。

この程度で興奮していては身が持たないと知りつつつい。

2020年11月26日 (木)

Sleeper's Awake

バッハ作カンタータ140番「目ざめよと呼ぶ声が聞こえ」BWV140の通称だ。三位一体節後第27日曜日のためのカンタータだ。この「三位一体節後第27日曜日」というのが厄介だ。この祝日は教会暦上で一年最後の祝日なのだが、発生しない年もあるので順に説明する。

  1. 三位一体節は、復活祭の後第8日曜日と決まっている。
  2. その復活祭は、春分以降最初の満月の日の後の、最初の日曜日。
  3. 復活祭は年によって変わり、1か月程度幅があるので、当然三位一体節も変わる。
  4. 待降節は、11月30日に近い日曜
  5. 三位一体節後第27日曜日が、待降節より後になってしまう場合には設定されない。
  6. 三位一体節後第27日曜日は復活祭が3月26日より前だった年だけに存在する祝日である。

つまりあったりなかったりのレアな祝日だということだ。「春分の日3月21日から3月26日までの間に満月の日と日曜日がこの順で両方存在する」という厳しい条件になる。春分の日は3月21日固定とされて、26日とのわずか5日の間に、満月と日曜日がこの順で収まる必要がある。

バッハはそのレアな祝日のために1723年のトマスカントル就任から8年待った。待っただけのことはある傑作がカンタータ140番「目ざめよと呼ぶ声が聞こえ」BWV140。1731年の三位一体節後第27日曜日のために作曲されその年に初演されたとわかっている。ちなみにバッハがトマスカントル在任中「三位一体節後第27日曜日」が存在したのは、1731年と1742年の2回だけだから、どれだけレアかわかる。

初演はその早いほう1731年11月25日だ。テキストは花婿の到着を待つ花嫁の準備の比喩で、用意周到を奨励する寓意を含む結婚話である。

亡き妻との結婚披露宴には大学オケの仲間が祝典合奏団を組織してかけつけ、BGMを生演奏したのだが、開宴前来賓の入場の際のBGMとして同曲を流した。結婚準備をモチーフにしたコラールだから披露宴にピッタリだと私が選んだのだが、披露宴が1731年11月25日の初演からピッタリ259年後というのがセールスポイントでもあった。昔からおバカだった。

 

 

 

2020年11月22日 (日)

WFバッハ

本日はバッハの長男ウイルヘルム・フリーデマン・バッハの誕生日だ。1710年のお生まれなので今年は生誕310年に相当する。

もちろんひとかどの音楽家だったが、ベートーヴェンの生誕250年と重なっては分が悪い。

2020年11月19日 (木)

コンチェルトバッグ

こう見えてもエコバッグ好きだ。知人も心得たもので、ライプチヒ土産に気の利いたプレゼントを買ってきてくれたものだ。

 

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何かの楽譜だ。

 

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冒頭部分を拡大するとバッハのイ短調ヴァイオリン協奏曲の第一楽章だとわかる。おシャレだ。

2020年11月18日 (水)

イ短調オーボエ協奏曲

中古CDショップのバッハコーナーは何かと退屈しない。本日も発掘系の話題だ。一連のチェンバロ協奏曲、BWVでいうなら1052以降の作品群は、オリジナルの独奏楽器をさまざまに想定されれているが、イ短調とホ長調のコンチェルトだけは独奏楽器がヴァイオリンであることが確実視されているために、他の楽器でのトライという意味ではCDの層が薄い。

イ短調ヴァイオリン協奏曲BWV1041をオーボエ独奏に切り替えたCDを発見した。いやはや素晴らしい。辛抱たまらんという感じ。8分の9拍子のフィナーレは切ない。

2020年11月17日 (火)

第三のドッペル

長くブラームスを愛好する私にとって「ドッペル」と言えば「ヴァイオリンとチェロのための協奏曲イ短調op102」のことだ。正式な名称の中に「ドッペル」(二重)の文言は現れないにもかかわらず、そうした刷り込みになっている。愛好家一般の平均値からははずれているとの自覚ももっている。

一般愛好家の平均値という切り口ならばバッハの「2つのヴァイオリンのための協奏曲BWV1043」だろう。私とて大好きだ。娘がヴァイオリンのレッスンを受けている頃、いつの日か二人で弾きたいと慣れないヴァイオリンに持ち替えて第一楽章を必死で練習したものだ。

このほど第三の「ドッペル」に出会った。某ショップをうろついていて、マンツェとポッジャーというバロックヴァイオリン界のスター2名の演奏を収めたCDを入手した。もちろんドッペル狙いだ。ところが収録曲の中に「BWV1060」の記載を見つけて軽い衝撃を受けた。

「BWV1060」とは、チェンバロ協奏曲として伝わっているものの、現在では「ヴァイオリンとオーボエのための協奏曲」として名高い。大好きな曲だ。何らかの独奏楽器のための協奏曲からバッハ本人がチェンバロ協奏曲に編曲したというものだ。古来もとの独奏楽器の復元が試みられてきたが、「ヴァイオリンとオーボエ」という組み合わせはほぼ定説と化している。

先に掘り出したCDの演奏者にはオーボエ奏者の名前がない。つまり独奏オーボエのパートをヴァイオリンで弾いているということだ。

BWV1043のドッペルと違い独奏両パートの扱いが均質でないことから、片側をオーボエとする復元が説得力を獲得しているのだが、弾かれてみるとはまる。もともと大好きだからか。

 

 

2020年11月16日 (月)

奇特なソリスト

ジュリアーノ・カルミニョーラはイタリアのヴァイオリニスト。ビオンディとならぶイタリアンバロックヴァイオリンの泰斗だ。

彼の演奏するバッハのヴァイオリン協奏曲集のCDが手元にある。イ短調、ホ長調、ドッペルニ短調の定番3曲に加えて、BWV1056とBWV1052がおさめられている。全体に切れ味を感じさせる演奏だ。

このうちの「2つのヴァイオリンのための協奏曲ニ短調BWV1043で奇妙な現象が起きている。本ディスクの主役カルミニョーラが独奏ヴァイオリンの2番を受け持っている。独奏ヴァイオリンの1番は、バックのオケのコンミスが受け持つというしくみだ。ライナーノートによれば、コンミスつまりこの女性はカルミニョーラの弟子だと書いてある。

昔、娘たちがヴァイオリンのレッスンでこの曲に取り組んだとき、先生が「2番の方が難しい」とおっしゃっていたことを思い出した。なのに我が家のコレクションは全て主役のヴァイオリニストが1番を受け持っている。カルミニヨーラだけが例外だ。無論このレベルのヴァイオリニストにとって同曲のソロパートの難易度が問題になるはずもないから、カルミニョーラの選択は一定の見識の表れに違いあるまい。そのつもりで聴くと2番の入りとかわくわくするから不思議だ。

 

 

2020年11月15日 (日)

チェンバロ側の事情

バッハの「チェンバロのための協奏曲」、独奏するチェンバロの台数は1から4までとさまざまながら、何らかの独奏楽器のための協奏曲をバッハ自身がチェンバロ独奏に編曲したものだ。それらをBWV番号、調性、オリジナルの調性、オリジナルの楽器の順に以下に列挙する。

  1. BWV1052 Dmoll←Dmoll ヴァイオリン
  2. BWV1053 Edur←Fdur ヴァイオリンorオーボエ
  3. BWV1054 Ddur←Edur ヴァイオリン
  4. BWV1055 Adur←Adur オーボエダモーレ
  5. BWV1056 Fmoll←Gmoll ヴァイオリン
  6. BWV1057 Fdur←Gdur チェンバロと2つのリコーダー
  7. BWV1058 Gmoll←Amoll ヴァイオリン
  8. BWV1059 Dmoll 断片 オーボエ
  9. BWV1060 Cmoll←Cmoll ヴァイオリンとオーボエ
  10. BWV1061 Cdur オリジナルなので原曲なし
  11. BWV1062 Cmoll←Dmoll 2つのヴァイオリン
  12. BWV1063 Dmoll←? オーボエ/ヴァイオリン/フルート
  13. BWV1064 Cdur←Ddur 3つのヴァイオリン
  14. BWV1065 Amoll←Hmoll 4つのヴァイオリン

不思議なことがある。上記赤文字で記した部分は、編曲にあたって2度下の調に移調されている。オリジナルと断片をのぞく12曲のうち7曲が2度下への移調ということだ。9番の「ヴァイオリンとオーボエのための協奏曲」も原曲の調性については論争があり、「ニ短調」がオリジナルであったとする学者もいる。

元の独奏楽器はさまざまなのに、「2度下への移調」ばかりになっているのだから、これらはチェンバロ側の事情カモと推測する。

 

 

 

 

 

 

2020年11月14日 (土)

独奏楽器の復元

元のコンチェルトが編曲によって装いを変えることは共通しているのに、結果生まれた作品には微妙な違いがある。まずは「無伴奏チェンバロ協奏曲」を志向したのがBWV972からBWV987までの15曲だ。演奏に必要なのはチェンバロ1台である。同じ発想ながらチェンバロでなくオルガン独奏になった曲も3曲ある。

さて今一つの系統は、元のコンチェルトの独奏パートを同数のチェンバロに置き換えたパターンだ。BWV1052からBWV1065まで。ソロを取り囲むトゥッティは原曲のまま維持される。

前者はワイマール時代他の作曲家の作品からの編曲であるのに対して、後者は自作からの転用で、ケーテン時代の作品。

無伴奏チェンバロ協奏曲の方は、原曲における独奏楽器がわかっているのに対して、後者は元の独奏楽器が確定していないものが多い。元のコンチェルトの自筆譜が発見されていない中、編曲後の姿の楽譜だけが残されているから、古来研究家が元の独奏楽器の復元に心を砕いてきた。

BWV1060では、一番聴かれているのが「ヴァイオリンとオーボエ」となっているが、「2本のヴァイオリン」盤も捨てがたい。

あるいはBWV1056ヘ短調は、ヴァイオリン協奏曲あるいは、チェンバロ協奏曲で弾かれることが多いけれども、オーボエ盤もおすすめだ。

 

 

 

 

 

 

2020年11月13日 (金)

かけもちの人たち

バッハの室内楽、ヴァイオリンソナタとガンバソナタのCDコレクションを列挙した。それらを見比べるとわかるが、どちらのリストにも名前の挙がっている人がいる。下記の通りだ。

  1. Zuzana Ruzickova 往年の大チェンバリスト。
  2. Gustav Leonhardt 古楽器界の大御所。
  3. Glenn Gould 風雲児グールド。この中では唯一のピアニスト。
  4. Trevor Pinock 
  5. Kieth Jaretto 地味にチェンバロを弾いている。カシュカシアンとのガンバソナタ花丸。

当たり前と言えばあたり前だが、鍵盤楽器奏者たちは、ガンバソナタではガンバ、チェロ、ヴィオラのお供だ。

さてさて弦楽器側でただ一人、かけもちがいる。ヨゼフ・スークという人。ガンバソナタではヴィオラをに持ち替えている。ヴァイオリンソナタではエラートとスプラホン2種ある。ガンバソナタとあわせて3回の登場すべてがルチコヴァのチェンバロ。全体に落ち着いたテンポでしっとりとした演奏で、お気に入り度高めだ。無伴奏ヴァイオリン作品の録音と合わせて、バッハへの深い敬意に満ちている。ドヴォルザークの曾孫である。

 

 

 

 

 

 

 

 

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