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カテゴリー「301 バッハ」の368件の記事

2019年11月29日 (金)

BWV540

1862年11月29日ウィーン。ブラームスが本格的にウィーンに進出して最初のリサイタルのあった日。初めてウィーンの聴衆に聴かせるためにブラームスはバッハを選択する。それがオルガンのためのトッカータとフーガヘ長調BWV540より前奏曲だ。もちろんブラームスはピアノを弾いた。自らがピアノ独奏用に編曲した。楽譜をお持ちの人は是ご覧いただきたい。この作品冒頭から55小節間、主音「F」が低いところで鳴り続ける。オルガンで言うところの「ペダル音」だ。その上に右手を左手が2小節遅れて追いかけるカノンになっている。オルガンならばペダル踏みっぱしで済むのだが、それをピアノに編曲するとどうなるのだろうと、大きなお世話をしたくなる。

困ったことに、この編曲、現存していない。

2019年11月21日 (木)

ラストステージ

1891年3月21日クララ・シューマンの最後のコンサートがあった。これ以降人前で弾いていないということだ。クララはこのとき71歳である。

演奏された曲の中に、ブラームスがあった。「ハイドンの主題による変奏曲」op56bだ。2台のピアノ用なのだから、誰か相棒がいたはずだ。フランクフルト音楽院におけるクララの同僚が弾いたらしいが、名前は突き止めきれていない。

バッハの誕生日に合わせたなどとということは妄想だろうか。

2019年10月23日 (水)

シューマン家の音楽会

ご機嫌なCD。シューマンの声楽アンサンブルのCDを探査していて発見。原題は「Hausmusik zu Gast bei Clara und Robert Schumann」という。シューマン家の音楽会程度の意味。ツヴィッカウのシューマンコンクールをキッカケに頭角を現した彼らにピッタリの意図。以前にも言及したCalmus ensembleのアルバム。思うだに意欲的。ドイツ伝統のホームコンサートの再現を意図したことは明らかで、さらにその舞台をシューマン家に設定している。シューマン夫妻の作品が主体なのだが、それ以外に2人の作曲家の作品が加えられている。一人はバッハ。「アンナマグダレーナの音楽帳」からクラヴィーア伴奏付きのコラールやアリアが6曲。この作品自体妻アンナを含めた家族での演奏を意図したものだから、アルバムの主旨にピタリと収まる。

5番目に収められた「野ばら」は特筆ものだ。今のところ最高の演奏だ。それからラストに定番の「流浪の民」。声楽アンサンブル版で、輪郭くっきり。「魔王」が聞きたくなる。

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そしてそしてもう一人がブラームスだ。ブラームスは1853年デュッセルドルフでの初訪問以降、夫妻はもとより子供たちからも暖かく受け入れられてきた。シューマン家でのコンサートでブラームス作品が演奏されたとしてなんら違和感はない。収録作品は以下の通り。

  1. O susser Mai op93
  2. Fahr wohl op93
  3. Waldesnacht op62

見ての通り全てロベルト没後の作品。つまりこのホームコンサートにはロベルト本人は立ち会えないなどという屁理屈は邪魔なだけだ。何より上記2の「Fahrwohl」は、1897年4月6日ブラームス本人の葬儀の際に楽友協会で演奏されたいわくつきの作品。本CDのプロデューサーがどこまで知っているのか不明ながら看過できない。

シューマン本人の作品は合唱または重唱の作品ばかり。「流浪の民」や「野ばら」などを中心に、品のいい作品が手際よくまとめられている。クララの作品はアルバム中唯一のピアノ独奏作品だが、収録に用いられたピアノが1848年プレイエル社製造の貴重品。鳴り方が現代のコンサートピアノとは明らかに違う。カドの取れた響き。考えたら当たり前でホームコンサートなのだから、シューマン家といえどもスタインウェイのグランドピアノでは具合が悪かろう。

そしてもちろんクララの作品もある。「3つのロマンス」op21から1番イ短調だ。

2019年9月21日 (土)

橋渡し役

バッハ特集の結尾は、一連の「シャコンヌ話」だった。ブラームスがバッハのシャコンヌをピアノ左手用に編曲したことがキーになっている。これがクララ・シューマンへの贈り物だったことを深く掘り下げることもってエンディングとした。バロック特集の「コーダ」である。

 

バロック特集の次に開始する企画「クララ特集」との間を取り持つピポットフットにもなっている。直前の特集におけるコーダが、直後の特集に深い関係がある状態を意図的に作り出した。

 

バロック特集を終えたリバウンド対策でもある。

 

 

2019年9月 7日 (土)

下方修正

バッハ生誕333年をお祝いして、バロック特集の会期末までに、333本のバッハ関連記事を公開すると宣言したが、このほどこれを下方修正する。この数値に届いていない。バロック特集を始めるとき、カテゴリー「バッハ」に属する記事は131本あったから、会期内にこれを464本にするはずだったが、今まだ362本にとどまっている。100本のショートだ。備蓄記事まで入れれば足りているという言い訳も空しい。

原因ははっきりしている。

昨年夏のドイツ旅行報告記事を大量発信したため、バッハ関連記事の濃度が下がった。記事の備蓄は十分にあるのだが、公開のための日数が足りなくなったということ。

2019年8月31日 (土)

バロック特集総集編⑩

バロック特集最後の総集編となる。

  1. 07月01日 BuxWV175
  2. 07月02日 テレマンにもある
  3. 07月03日 シャコンヌをブラダスへ  
  4. 07月04日 さっそく発見
  5. 07月05日 横着
  6. 07月06日 アンドレアス・シュタイヤー
  7. 07月07日 ブラームスバロック
  8. 07月08日 左手のためのセレナーデ
  9. 07月09日 シャコンヌの前
  10. 07月10日 シャコンヌの尻尾
  11. 07月11日 シャコンヌのオルガン編曲
  12. 07月12日 シャコンヌの花束
  13. 07月13日 どうした風の吹き回し
  14. 07月14日 お盆のファンタジー35
  15. 07月15日 お盆のファンタジー36
  16. 07月16日 お盆のファンタジー37
  17. 07月19日 シャコンヌの花束2
  18. 07月20日 BB Mus.ms.Bach P967
  19. 07月21日 妻の筆跡
  20. 07月22日 何たる情報網
  21. 07月23日 即興伴奏
  22. 07月24日 シャコンヌとヨアヒム
  23. 07月25日 立場の違い
  24. 07月26日 ある日の残高
  25. 07月28日 アルプ・シュニットガー
  26. 07月29日 思った通り
  27. 07月30日 もう一人の候補者
  28. 07月31日 編曲の範囲
  29. 08月01日 編曲物ランキング
  30. 08月02日 オノフリ
  31. 08月03日 フルッチョ・ブゾーニ
  32. 08月04日 ほとんどトロンボーン
  33. 08月05日 出来る限りのクレッシェンド
  34. 08月06日 驚きのコンサート
  35. 08月07日 ブゾーニの辞書
  36. 08月08日 大きなお世話
  37. 08月10日 5つの練習曲
  38. 08月11日 アルヴァニス
  39. 08月12日 ニ短調ソナタBWV964
  40. 08月13日 いやはや貴重
  41. 08月14日 チェンバロでシャコンヌ
  42. 08月15日 当然の疑問
  43. 08月16日 ヤープ・シュレーダー
  44. 08月17日 読み手側の知識
  45. 08月18日 クララへの献辞
  46. 08月19日 クララへの献辞2
  47. 08月21日 キールより愛をこめて
  48. 08月22日 通説を疑う
  49. 08月23日 祖父ニコラウス
  50. 08月24日 脱臼の痕跡
  51. 08月25日 ブラームスのシャコンヌ観
  52. 08月26日 シャコンヌ情報の集積
  53. 08月27日 バロック特集の手応え
  54. 08月28日 ゲーテ生誕270周年
  55. 08月30日 風の変わり目
  56. 08月31日 本日のこの記事。

2019年8月28日 (水)

ゲーテ生誕270周年

8月28日はゲーテの誕生日だ。1749年のお生まれだから今年は生誕270年のメモリアルイヤーとなる。ブログ「ブラームスの辞書」の準主役バッハが亡くなる1年前の生まれということだ。

一方没年は1832年。本ブログの主役ブラームスの生まれる1年前である。83歳という長生きで、その長い生涯は音楽史で申すところの古典派の時代を飲み込んでいる。

  1. モーツアルト 1756-1791
  2. ベートーヴェン 1770-1827
  3. シューベルト 1797-1828

まばゆいばかりの光を放つこの3名より、先の生まれながら、彼らを見送ったということだ。

バッハとブラームスの間を、きっちりゲーテが埋めている。

2019年8月27日 (火)

バロック特集の手応え

バロック特集は会期1年8か月、記事420本でフィニッシュしそうだ。それでもなおブログ「ブラームスの辞書」の設定するゴールまでは遠い。2033年5月7日のブラームス生誕200年まで記事を敷き詰めるにはあと五千と少々をなんとかひねり出す算段が必要だ。いつの日か、もう一度バロック特集を開催できれば相当楽になる。ワーグナーやベートーヴェン、あるいはモーツアルトを特集するよりは、そちらの方がよっぽど現実味がある。

バロック特集を終えた今だからこそわかる。バッハを中心に据えたバロック特集ならまだ未言及の広大な領域が存在する。マタイ受難曲に代表される声楽作品はほぼ手つかずと言っていい。クラヴィーア作品や無伴奏チェロもしかりである。

 

 

 

 

 

 

 

 

2019年8月26日 (月)

シャコンヌ情報の集積

名高いバッハのシャコンヌには、古今東西膨大な数の論評が存在する。CDだって星の数ほどある。ところが、ところが、ブラームスのピアノ編曲版については、CDの数も数えるほどだし、文献に至っては日本語で読めるまとまった言及はないというありさまだ。あちこちにポツリポツリと点在する断片的な言及を丹念に集めるしか方法がない。タイトルからは想像もつかないような書物や文献の中に、意外な言及があるにしてもグーグル検索でさえあまり水揚げが多いとは言えない。

そういう市場の隙間にこそ、弱小ブログ「ブラームスの辞書」の出番がある。今回のシャコンヌ特集を執筆するにあたっての情報収集は、非常に有意義であった。かなりな数の記事が稼げた。

 

 

2019年8月25日 (日)

ブラームスのシャコンヌ観

「左手のためのシャコンヌ」をクララに贈ったとき、ブラームスが添えた手紙に現れる「シャコンヌへの思い」をもう一度以下に示す。

「シャコンヌは私にとって、最も美しく、かけがえのない作品の一つです。もし、この曲を聴くために、最高の技術と音楽性を持つヴァイオリン奏者をつかまえられないのなら、最も大きな楽しみは、きっとそれを心の中で聴くことでしょうね。オーケストラを使っても、ピアノにしても、私(ブラームス)がどんな方法で試みようとも、自分の喜びは台無しになります。ところが、もちろん格は落ちるものの、満足を得られる-とても純粋な喜びをこの作品から手に入れることを可能にするたった一つの方法があることに気付いたのです。それは、私がこの曲を左手だけで弾くことです。このことはコロンブスの卵の逸話を思い出させます。テクニックの種類、アルペジオなどのすべてが同様の問題となる、つまり私自身がヴァイオリン奏者になったように感じさせてくれるのです」

  1. テクと音楽性を併せ持ったヴァイオリニストが弾かないと台無しだ。
  2. もしそうしたヴァイオリニストがいないなら頭の中で鳴らすのがいい。
  3. ブラームス自身がオケに編曲しようともピアノで再現を試みようとも原曲がもたらしてくれるほどの喜びは得られない。
  4. 原曲には劣るものの、よい方法を思いついた。
  5. それは左手だけで弾いてみることだ。
  6. 思いついてみれはおさまりの良い方法だ。
  7. まるでヴァイオリン奏者になったような気分になれる。

シュレーダー先生のことだ。これくらいのことはブラームスの手紙から簡単に読み取ったことだろう。この点に同意が出来ないという立場なら、これをそのまま引用するはずがない。だからブラームス本人に語らせることで自らは沈黙したのだ。

バッハの精神を反映するという意味で、単に音をオクターブ下げただけのブラームスが高く評価されているということに他ならない。

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