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カテゴリー「301 バッハ」の755件の記事

2024年11月11日 (月)

いかにはかなき、いかに空しき

三位一体節後第24日曜日用「Ach wie fluchtig,ach wie nichtig」BWV26だ。リヒター先生の選集には同日曜日用にはBWV60も採用されているが、ディースカウ先生の出番があるのはこちらだけなので、ついこちらを聴きがちだ。

特にだ。

第4曲バスのアリアは大のお気に入り。ディースカウ先生が世俗の宝なんぞ無用の誘惑に過ぎないと熱唱するのだが、、それに先立って3本のオーボエが無情の雰囲気を決定的にする。マンフレート・クレメント先生の屈指の出番でもある。

バスの出番とてもオーボエの出番としても最高級だ。

 

2024年11月10日 (日)

おお永遠そは雷の言葉

三位一体節後第24日曜日用「O Eigkeit,du Donnerwort」BWV60だ。亡くなった娘をよみがえらせたりの奇跡譚だ。

BWV60はアルト、テノール、バスの3名の独唱を伴う。それぞれ「恐れ」「希望」「キリスト」を演ずるオペラテイストになってはいるのだが、残念なことにディースカウ先生もシュライヤー先生も降り番だ。

恐れと希望の言い争いの仲裁役がキリストという位置付けか。

 

 

2024年11月 5日 (火)

エチュード変ロ長調

どこかにあったはずと思っていたが見つけられずにいた楽譜をこのほどめでたく再発見。

バッハのブランデンブルク協奏曲の第6番だ。事実上の2つのヴィオラのための協奏曲だ。学生のころレッスンの副教材だった。

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超、懐かしいなどと感慨にふけっている場合では無かった。全く弾けない。指が広がらない。

という訳で、やはり毎日これをコツコツと練習することにした。エチュード変ロ長調とはこのこと。無伴奏チェロ組曲ヴィオラ版にはフラット2個の長調はないからちょうどいい。正確なチューニングに遅めのテンポ。メトロノームで淡々と繰り返すのみだ。

2024年11月 3日 (日)

幸いなるかなおのが御神に

三位一体節後第23日曜日用「Wohl dem,der sich auf seinen Gott 」BWV139だ。皇帝の税金という身近な説法だが、作品中に税金の痕跡はない。

第4曲バスのアリアがききどころ。ディースカウ先生の出番は当然として、オーボエダモーレのクレメント先生とのアンサンブルが美しい。オーボエダモーレとは「愛のオーボエ」だ。実際にはオーボエより低いヴィオラっぽい位置付け。しっとりとしていい感じだ。

2024年10月31日 (木)

神は堅き砦

宗教改革記念日用「Ein fest Burg ist unser Gott」BWV80。ルターの宗教改革は10月31日とされている。ルターが「95箇条の論題」をヴィッテンベルク城教会に掲げた日だからだ。ルター作の有名なコラールをベースにバッハ節が躍動する。

冒頭ルターのコラールを題材にした独唱4名による壮大なフーガはまさにバッハ。特に第2曲のソプラノとバスの二重唱が大のお気に入りだ。独唱二人の問答に弦楽器のユニゾンがからむ。テンポが軽快なこともあって、重厚というより爽快という感覚。ましてや他を圧倒するディースカウ先生の歌いっぷりにただただ感動する。ここでの弦のユニゾンはヴァイオリンとヴィオラをさす。第一第二のヴァイオリンとヴィオラが同じ旋律を弾く。オクターブでもない完全なユニゾン。BWV140の第4曲「目覚めよと呼ぶ声が聞こえ」でも観察された。記譜はハ音記号が用いられているが、よく見ると音域はヴァイオリンの演奏可能範囲にとどまっている。

バッハはときどきこれをやる。

 

2024年10月29日 (火)

ヴィオラ無双

バッハの弦楽器用無伴奏作品はヴァイオリンとチェロのために書かれている。ヴィオラはスルーだ。室内楽やコンチェルト、あるいはカンタータなど宗教作品にでもたくさんの出番に恵まれていながら無伴奏作品にはありつけない。

物は考えようだ。 

無伴奏チェロ組曲をオクターブ上げ、無伴奏ヴァイオリン作品を5度下げれば、どちらも様になる。これら両方をそこそこ楽しめるのはむしヴィオラの特権ではあるまいか。無伴奏チェロ組曲のヴァイオリン版や無伴奏ヴァイオリン作品のチェロ版は、あまり楽譜を見かけない。

人前で弾こうなどという野望は元々なく、老後の慰みとして極上かと。

2024年10月28日 (月)

備えて怠るな我が霊よ

いささか歯がゆいと書いたBWV55の他に、三位一体節後第22日曜日用がもう1曲ある。「Mache dich,Mein Geist bereit」BWV115である。

BWV55がテノールの独壇場であったのと対照的に、フル編成だ。4人の独唱に加え、オーボエダモーレ、フルート、ホルンが入る。収録のメンツもディートリヒ・フィッシャー・ディースカウ先生、ペーター・シュライヤー先生、エディット・マティス先生、マンフレート・クレメント先生、ペーター・ルーカス・グラーフ先生という豪華キャスト。

強いて山場をあげるなら第4曲のソプラノのアリアか。ソプラノ独唱にフルートとピッコロチェロがからむ独特の味わいが売り。ディースカウ先生もシュライヤー先生も出番はレチタティーボだけとあって太刀持ち状態だ。

2024年10月27日 (日)

我哀れなる人罪の下僕

三位一体節後第22日曜日用「Ich armer Mench,ich Sundenknecht」BWV55。当日の説法は「自分に対する罪7回があったら、7回赦すべきか」という問いに「イエスは70回赦しなさい」と赦しの10倍返しを説く。耳の痛い話だ。

本作BWV55は代表的なテノールのためのカンタータ。全5曲のうちフィナーレのコラールを除いてテノールの独唱がある。

がしかし、リヒター先生の選集ではいささか影が薄い。ひとえにペーター・シュライヤー先生の独唱になっていないせいだ。オーボエダモーレ独奏もクレメント先生ではない。こちらの脳みそのせいではあるが歯がゆい。

2024年10月26日 (土)

Martin Stegner

マルチン・シュテークナーはドイツのヴィオラ奏者。1996年にベルリンフィルへ。2021年にはバッハの無伴奏チェロ組曲ヴィオラ版を録音している。我が家にもこのCDがある。

新しい録音のせいか音質がクリアだ。彼自身のキビキビしたスタイルと合わせて気に入っている。そもそも同曲の演奏は、瞑想系が多い。オリジナルのチェロ版ではその系統が優勢だ。解釈の部分がやけにクローズアップされた結果、「演奏者の哲学」「集大成」めいた迫真の演奏が歓迎されてきた。ヴィオラ版ではそれがすこし薄まる気がする。シュテークナー先生の録音は「思い詰め系」と「カジュアル系」が高い位置で均衡する。

今井信子先生、サイモン・ローランド・ジョーンズ先生のCDと並ぶ愛聴盤の位置に上り詰めた。

2024年10月25日 (金)

5度上げて無チェロ

我が家の無チェロコレクションの話。元々は申すまでもなくチェロ用なのだが、チェロよりオクターブ高い音が出る楽器ヴィオラにとっても古来おいしい素材だったと見えて、楽譜はもちろんCDも割とよく見かける。

がしかし、これを5度上げてヴァイオリンでとなると楽譜もCDも手薄と感じる。無伴奏ヴァイオリンには、それようにとバッハ自身が用意した渾身の作品群があるから、わざわざチェロ用を移調してまでとは思わないのだろう。無伴奏ヴィオラ作品をバッハが残さなかったから、せめてチェロ用でと思い詰めるヴィオラ奏者とは訳が違う。

ところが、ジュリアーノ・カルミニョーラという名高いヴァイオリン奏者が、その「5度上げ移調版無チェロ」のCDを出していた。

最初はあれっという感じ。無伴奏ヴァイオリン作品の5度下げヴィオラ版よりは慣れない感じ。でも繰り返し聞いていると慣れてくる。もっとCDがあっても良さそうだ。思うに「シャコンヌ」クラスの名曲が含まれないからCDの売り上げが芳しくないという大人の事情もからむ気がする。

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