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カテゴリー「351 クララ」の159件の記事

2020年1月 3日 (金)

クララ特集総集編

クララ・シューマン生誕200年記念「クララ特集」の総集編をお送りする。

  1. 2019年09月13日 特集クララ
  2. 2019年09月14日 クララ記事100本
  3. 2019年09月15日 クララの力を借りて
  4. 2019年09月17日 没後840年
  5. 2019年09月18日 とんとご無沙汰
  6. 2019年09月19日 壮行会
  7. 2019年09月20日 1%クラブ
  8. 2019年09月21日 橋渡し役
  9. 2019年09月22日 組織委員会
  10. 2019年09月23日 ピアノ協奏曲ヘ短調
  11. 2019年09月24日 凄い本
  12. 2019年09月25日 クララの評判
  13. 2019年10月04日 シューマン全集  
  14. 2019年10月06日 ケアレスミス
  15. 2019年10月08日 友情の書簡
  16. 2019年10月09日 クララの嘆き
  17. 2019年10月10日 コンサートツアー
  18. 2019年10月11日 クララの耳
  19. 2019年10月12日 シューマンの野ばら
  20. 2019年10月13日 クララの物言い
  21. 2019年10月15日 メトロノーム値をめぐって
  22. 2019年10月16日 タイムトライアル
  23. 2019年10月17日 クララの基盤
  24. 2019年10月18日 カルメンを贈る
  25. 2019年10月19日 嫁と舅
  26. 2019年10月20日 クララのチェック
  27. 2019年10月21日 低地ライン音楽祭
  28. 2019年10月22日 蔵書整理
  29. 2019年10月23日 シューマン家の音楽会
  30. 2019年10月24日 バーター取引
  31. 2019年10月25日 文末決定性
  32. 2019年10月26日 エンデニヒの見舞客
  33. 2019年10月28日 159番
  34. 2019年10月29日 入院費
  35. 2019年10月30日 エンデニヒの患者
  36. 2019年10月31日 10月という区切り
  37. 2019年11月01日 地図ウォッチャー
  38. 2019年11月02日 せめてもの思いやり
  39. 2019年11月03日 それぞれの後始末
  40. 2019年11月04日 もう一人のユーリエ
  41. 2019年11月05日 2つのピアノ協奏曲
  42. 2019年11月06日 クララの洞察
  43. 2019年11月07日 10000マルクの寄付
  44. 2019年11月08日 魔女の変奏曲異聞
  45. 2019年11月09日 伴奏者クララ
  46. 2019年11月10日 英語の立場
  47. 2019年11月11日 墓碑の完成披露
  48. 2019年11月12日 墓碑を贈る
  49. 2019年11月13日 墓碑の絵
  50. 2019年11月14日 クララの動員力
  51. 2019年11月15日 奇妙な告知記事
  52. 2019年11月16日 スエズ運河150年
  53. 2019年11月20日 ショパン風
  54. 2019年11月21日 ラストステージ
  55. 2019年11月22日 若気の至り
  56. 2019年11月23日 シューマンとの距離感
  57. 2019年11月25日 クララを信じる
  58. 2019年11月26日 リーターのお嬢さん
  59. 2019年11月27日 名誉会員
  60. 2019年11月28日 宮廷演奏家
  61. 2019年12月01日 どんぶり勘定
  62. 2019年12月02日 徒歩旅行
  63. 2019年12月04日 お下がりのピアノ
  64. 2019年12月05日 ブラームスの悪評
  65. 2019年12月06日 もう一人のフェリクス
  66. 2019年12月07日 弾き分ける決意
  67. 2019年12月08日 MoltPassionatoの続き
  68. 2019年12月09日 スクエアピアノ
  69. 2019年12月10日 未亡人
  70. 2019年12月11日 ハンブルクのシューマン夫妻
  71. 2019年12月12日 水泳療法
  72. 2019年12月13日 署名漏れ
  73. 2019年12月14日 リヒテンタール
  74. 2019年12月15日 立て続け
  75. 2019年12月16日 賛辞
  76. 2019年12月17日 財産管理の前任者
  77. 2019年12月18日 課外授業
  78. 2019年12月19日 影武者
  79. 2019年12月20日 パストラーレ
  80. 2019年12月21日 危険な贈り物
  81. 2019年12月22日 旧バッハ全集
  82. 2019年12月23日 シューマンのクリスマス
  83. 2019年12月24日 ジャンパウル
  84. 2019年12月26日 クララのオルガン作品
  85. 2019年12月29日 クララのアヴェマリア
  86. 2019年12月30日 君たちのお母さん
  87. 2019年12月31日 作曲家大河ドラマ
  88. 2020年01月01日 クララいろはがるた
  89. 2020年01月02日 カルタ算用
  90. 2020年01月03日 本日のこの記事

 

 

2020年1月 1日 (水)

クララいろはガルタ

ある意味見え見えの展開。クララ・シューマンネタのカルタを作成した。濁点、半濁点含む68句を一挙に公開する。今回は以下の通りの禁句を設定した。

  • 「クララ」
  • 「シューマン」
  • 「ヨハネス」
  • 「ブラームス」

これらの単語を一切用いずに五七五で作った。

  1. い 犬小屋と呼ばれた家は光る谷
  2. ろ ロマン派の落とし処を見届ける
  3. は 灰色の真珠がぽろりロ短調
  4. ば バースデーカードを書かぬ年は無い
  5. ぱ パガニーニ魔女でなければ弾けません
  6. に ニ短調変奏曲のピアノ版
  7. ほ 施しはお気持ちだけを受けておく
  8. ぼ 僕も逝く一年経たず後を追う
  9. ぽ ポコフォルテ届かぬことが美しい
  10. へ 兵隊のおもちゃを家で見せられた
  11. ベ ベートーヴェン後期のソナタ弾きまくり
  12. ペ ペン震え最後の誕生祝い書く
  13. と とっておき誕生祝うこのホルン
  14. ど ドレスデン悔しい記憶敵討ち
  15. ち 地図買ってエンデニヒまで届けさせ
  16. り リウマチの痛みをそっと思い遣る
  17. ぬ 抜き差しのならぬ恋かと世間云う
  18. る 留守宅はいつもマリーが取り仕切る
  19. わ ワーグナーあれを音楽とは言わぬ
  20. か 家計簿を代わりに僕がつけている
  21. が 我慢させ咥えタバコで低音部
  22. よ 呼び出され聴いたソナタはハ長調
  23. た 頼りすぎアンタの息子金が無い
  24. だ 脱臼が左だったらどうしてた
  25. れ 連弾にピッタリハンガリア舞曲
  26. そ それなりの理由探して入り浸り
  27. ぞ ぞっとするリストにお礼書くなんて
  28. つ Cmoll実はイニシャル隠れてる
  29. ね 念のため作品の2を献呈す
  30. な 何じゃこりゃバッハが受けぬ街ばかり
  31. ら ライプチヒノイマルクトに生家あり
  32. む 無理をして一つ選べばヘ長調
  33. う ウィーンへ皇帝讃歌手土産に
  34. ヴ ヴィークにも反対をする理由あり
  35. の 乗換えをしくじりついに間に合わず
  36. お 欧州を一跨ぎするコンサート
  37. く 空気読め嫁をもらえとすすめるな
  38. ぐ 愚の骨頂テンポの数値決めるのは
  39. や 山よりも高く谷より深くから
  40. ま マリーには苦労させたと振り返り
  41. け 喧嘩して起死回生のイ長調
  42. げ ゲンなおしライン地方を旅行する
  43. ふ 夫婦よりつきあい長し40年
  44. ぶ ブラ1に見え隠れする濃い事情
  45. ぷ プールにも医者の見立てでいれさせる
  46. こ 細か過ぎ伝わりにくいこのカルタ
  47. ご 轟々の批判を軽く受け流す
  48. え 嬰へ調Fisはほんのりフェリックス
  49. て 天国に持って行きたい雨の歌
  50. で 弟子あまたフランクフルト音楽院
  51. あ 雨の歌原稿料を送金す
  52. さ 最後の日しっかり別れ際のハグ
  53. ざ 懺悔です暗譜したのはこの私
  54. き 聴きたいな黄金ペアのコンチェルト
  55. ぎ 逆縁の子供を4人見送った
  56. ゆ ユーリエを嫁がせた後気がついた
  57. め 目で合図アインザッツも要らぬほど
  58. み 認めないドヴォルザークの価値なんて
  59. し 出版をしてもよいかといつも訊く
  60. じ 10月の朔日だった出会いの日
  61. ひ 一工夫同じ曲から変奏曲
  62. び ビシビシといらん曲にはダメを出し
  63. ぴ ピッタリと誤植を先に直してた
  64. も 物心つかぬうちからピアニスト
  65. せ 詮索は野暮なばかりの阿吽かな
  66. ぜ 全集に名前を漏らす大チョンボ
  67. す 既にもう聞こえぬ耳にクラソナタ
  68. ず ずっと前聴いた時には序奏なし

あけましておめでとうございます。

2019年12月30日 (月)

君たちのお母さん

ブラームスとクララ・シューマンの娘たちとの会話の中で、ブラームスがクララを指して用いた言い回しだ。どんなドイツ語がこう訳されたのか確認していないが、クララの娘の一人4女オイゲーニエは、この言い方が好きだったと証言している。あるいはこの言い方をするブラームスがクララの娘たちから愛されていたと解したい。クララとの距離感を反映したブラームス独特の言葉だと感じる。あくまでもシューマン一家の外に身を置きながら、精一杯の親近感を表現している。私にはとても切なく映る。

今やクララとブラームスについてはあまりに多くの言葉が費やされている。ロマンだ悲恋だと文字数だけは、やけに費やされているが、最近その手には心が動きにくくなった。一方でこのように無骨で不器用なエピソードにからきし弱い。

私ごときの筆力では、正確に言い表せない微妙なニュアンスがこもっている。けれども心配はいらない。ブラームスの作品に充満するニュアンスと矛盾していない。

2019年12月29日 (日)

クララのアヴェマリア

以前に買い求めた「シューマン合唱曲全集」を聴いている。全4枚組の2枚目の冒頭に「Abendfeier in Venedig」(ベネチアの夜の祝祭)というタイトルの作品が収められている。実際に聴いてみると歌い出しは「Ave Maria」になっている。

これだけなら「ほほう、シューマンのアヴェマリアか」くらいなモンである。ドイツ語とはいえ解説書はじっくり読んでみるものだ。この作品の作曲者はクララ・シューマンだったのだ。全4枚組の2枚目の冒頭3曲だけがクララ作曲になっていた。「エマニュエル・ガイベルの詩による3つの混声合唱曲」の中の1番だ。素晴らしい。私のクララ作品へのイメージを一変させる出来映えだ。

クララはピアニストとして有名だ。作曲家ロベルト・シューマンの妻としての知名度もこれに劣っていないが、実は作曲もした。無視し得ぬ質量の作品が残されている。ピアノ作品や歌曲を聴いたことがあった。しかしこの「アヴェマリア」はその中でも出色だ。本当に可憐で上品、さらに小粋でさえある。

毎度毎度ブリリアント社には脱帽だ。

2019年12月26日 (木)

クララのオルガン作品

ブラームスのオルガン作品を収めたCDだと思って手に取った。

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op122「オルガンのための11のコラール前奏曲」の前には、作品番号のない一連オルガン自由曲も収録されている。それらに挟まれる形で、クララ・シューマンの「前奏曲とフーガニ短調op16-3」が収められていた。

オルガンによるモノローグ。端正で厳粛なフーガで引き締まるけれど、ピカルディ終止でほっこり温まる。

2019年12月24日 (火)

ジャン・パウル

ドイツの小説家。

1855年のクリスマス、クララはブラームスにバッハ全集第1巻を贈った。その前年1854年のクリスマスにもプレゼントをしている。それが本日のお題となったジャン・パウルの作品集だった、全12巻というからかなりのボリュームだ。

シューマンがエンデニヒに入院してから、デュッセルドルフにとどまって家事を手伝うブラームスは、シューマン家の蔵書整理に没頭した。この姿を見ていたクララは、ブラームスの内なる文学的興味を見抜いたに決まっている。

ジャンパウルは1763年3月21日生まれだからバッハとお誕生日が同じだ。ほとんどベートーヴェンと時代が重なっている。ロマン派と古典派の境目あたりに位置付けられているらしい。グスタフ・マーラーの第1交響曲のタイトル「巨人」は、ジャン・パウルの同名小節から着想を得たという。

 

 

2019年12月22日 (日)

旧バッハ全集

1850年、バッハ没後100年を機に開設されたバッハ協会の目的は、バッハ全集の刊行にあった。ドイツ中の英知を結集しての大作業だった。全46巻が、ほぼ年に1冊のペースで刊行されていった。1926年に新バッハ協会が設立され、また全集の刊行が始まった。こちらとの区別のために「旧」の文字が奉られた。以下に旧バッハ全集46巻の刊行を年次を追って羅列する。

  • 1851年 1巻 教会カンタータ①
  • 1852年 2巻 教会カンタータ②
  • 1853年 3巻 クラヴィーア作品(インヴェンション、シンフォニアetc)
  • 1854年 4巻 マタイ受難曲
  • 1855年 5巻① 教会カンタータ③
  • 1856年 5巻② クリスマスオラトリオ
  • 1856年 6巻 ロ短調ミサ
  • 1857年 7巻 教会カンタータ④
  • 1858年 8巻 ミサ曲
  • 1860年 9巻 室内楽①
  • 1860年 10巻 教会カンタータ⑤
  • 1862年 11巻① マニフィカトとサンクトゥス
  • 1862年 11巻② 世俗カンタータ①
  • 1863年 12巻① ヨハネ受難曲
  • 1863年 12巻② 教会カンタータ⑥
  • 1864年 13巻① 結婚式用カンタータ
  • 1865年 13巻② クラヴィーア作品②(英仏組曲)
  • 1865年 13巻③ 哀悼頌歌
  • 1866年 14巻 クラヴィーア作品(平均律クラヴィーア曲集)
  • 1867年 15巻 オルガン作品①
  • 1868年 16巻 教会カンタータ⑦
  • 1869年 17巻 室内楽②
  • 1870年 18巻 教会カンタータ⑧
  • 1871年 19巻 室内楽③
  • 1872年 20巻① 教会カンタータ⑨
  • 1873年 20巻② 世俗カンタータ②
  • 1874年 21巻① 室内楽④
  • 1874年 21巻② 室内楽⑤
  • 1874年 21巻③ 復活祭オラトリオ
  • 1875年 22巻 教会カンタータ⑩
  • 1876年 23巻 教会カンタータ⑪
  • 1876年 24巻 教会カンタータ⑫
  • 1878年 25巻① フーガの技法
  • 1878年 25巻② オルガン作品②
  • 1878年 26巻 教会カンタータ⑬
  • 1879年 27巻① 室内楽⑥
  • 1879年 27巻② 教会カンタータ主題目録
  • 1881年 28巻 教会カンタータ⑭
  • 1881年 29巻 世俗カンタータ③
  • 1884年 30巻 教会カンタータ⑮
  • 1885年 31巻① 管弦楽作品
  • 1885年 31巻② 音楽の捧げもの
  • 1885年 31巻③ 室内楽⑦
  • 1886年 32巻 教会カンタータ⑯
  • 1887年 33巻 教会カンタータ⑰
  • 1887年 34巻 世俗カンタータ④
  • 1888年 35巻 教会カンタータ⑱
  • 1890年 36巻 クラヴィーア作品④
  • 1891年 37巻 教会カンタータ⑲
  • 1891年 38巻 オルガン作品③
  • 1892年 39巻 モテット・コラール
  • 1893年 40巻 オルガン作品④
  • 1894年 41巻 教会作品(補巻)
  • 1894年 42巻 クラヴィーア作品⑤
  • 1894年 43巻① 室内楽⑧
  • 1894年 43巻② アンナマグダレーナの音楽帖
  • 1895年 44巻 手稿譜ファクシミリ
  • 1897年 45巻① 器楽作品(補巻)
  • 1898年 45巻② ルカ受難曲
  • 1899年 46巻 報告と目録

以上だ。

めまいがする。1866年の普墺戦争、1871年の普仏戦争の間も途切れていない。民族の執念さえ感じさせる。校訂者には当時の錚々たる研究家の名前が連なる。

第1巻刊行時、ブラームスは18歳。1897年刊行の45巻①が、ブラームスの生前だったのかどうかでブレも生じるが、全46巻の刊行のうち没後の刊行はわずか2巻。うち1巻は目録と報告で、もう1巻は「ルカ受難曲」だ。ブラームス自身は「ルカ受難曲」を偽作だと喝破していたことを考えると、生前にコンプリートしたと考えていい。ブラームスの後半生は、旧バッハ全集の刊行ともろに重なっている。

ブラームスはもちろん全巻所有していたが、記念すべき第1巻は1855年12月25日にクララから贈られたものだ。「愛する友、ヨハネス・ブラームスへ、始まりとして」という言葉が添えられていた。

1855年のクリスマス時には1巻から5巻までが刊行を終えていたはずだが、「そのうち1巻を贈りますね」という意味が「始まりとして」というメッセージに込められていたと見たい。つまりブラームスが刊行済の諸巻を未所有だったことを知ってのプレゼントだ。「続きは自分で集めてね」という意味だと解したい。この記事がクララネタであることを心の底から喜びたい。

2019年12月19日 (木)

影武者

有力な大名や武将などの戦国時代の重要人物は、とかく命の危険にさらされていた。戦場でなくても厄介な暗殺者が暗躍していたから、万が一に備えて偽者が用意されている。人物の重要度が高いほど影武者の数も増えたという。

作曲家クララ・シューマンの作品一覧を見ていると「カール・チェルニー:ピアノ大練習曲op500より指の練習とエチュード」という作品がある。1880年の出版だ。正確に申せば作曲ではなく、選編集という立場だから作品番号は付いていない。例によって音楽之友社刊行の「ブラームス回想録集」第3巻43ページで、クララの四女オイゲーニエが、この練習曲集の成立に言及している。

長女マリエと四女オイゲーニエが、初心者向けのレクチャで母の代講を務めることになったとき、これにおおいに関心を示したブラームスが2人に贈ったのがカール・チェルニーの「理論的実践的ピアノフォルテ演奏法」op500全3巻だった。この中に効果的な学習に寄与する曲を発見し、そればかりを抜き出して選集にするというアイデアが持ち上がった。出版元に同意を求めると「クララ先生がお出しになるなら」という返事だった。

当の本人クララは趣旨には賛同したものの、時間が無かった。これを見かねたブラームスは、実際の作業をマリエがするなら大いに手伝うという提案をした。それをクララの名前で出版すればいいというアイデアだ。これにクララも同意し、さっそく編集が始まった。注意深い校訂をブラームスが担当したらしい。最終原稿をクララが校閲して出版されたのが、先の「カール・チェルニー:ピアノ大練習曲op500より指の練習とエチュード」だったというわけだ。

クララの名前になってはいるが、実際は長女マリエが引き受け、内容はブラームスの全面的なバックアップで完成したということだ。つまりブラームスはクララの影武者ということになる。やがてこれが、ブラームスの「ピアノのための51のエチュード」WoO6に繋がって行く。

2019年12月18日 (水)

課外授業

1878年59歳のクララは、フランクフルト音楽院の教授に就任する。当時の院長はヨーゼフ・ラフだった。彼はリストの崇拝者だったが、ブラームスの奨めもあってクララはそこでクラスを持った。教授陣の中で女性はクララ一人だったが、当代最高のピアニストにしてロベルト・シューマン夫人の威光は、絶大だった。リスト崇拝者の院長にも一目置かれる存在となった。シューマンはもとより、メンデルスゾーン、ショパン、ブラームス、ベートーヴェンおよびバッハの諸作品解釈の第一人者というのが衆目の一致するところであったから、彼女のクラスに入りたい学生が欧州中からやってきた。

あまりの人気でクララのクラスは狭き門であったから、長女マリーを含む有能な弟子による代講もあったらしい。

晴れてクラスに迎えられた弟子たちには、夢のような特典があった。フランクフルトの私邸に招かれて、家庭演奏会に臨むことが出来たのだ。そこは並みの家庭ではないのだ。ヨアヒムやシュトックハウゼンのような超一流の音楽家たちが普通に出入りするところだ。そして何よりもブラームスもそのメンバーの一人だった。そこで繰り広げられるアンサンブルや会話は、お金に代え難い課外授業だったに決まっている。

2019年12月17日 (火)

財産管理の前任者

ブラームスが友人で経営者のフリッツ・ジムロックに財産管理を任せていた話はよく知られている。そうした管理の委託は、ジムロックが父親からジムロック社の経営実権を譲られた1870年以降だと思われる。

ブラームスの楽壇デビュウは1854年前後と見てよいから、そこからジムロックに財産管理を委託するまでの間、預貯金の管理を誰がしていたのかという疑問が湧く。

驚いたことに、どうもそれはクララらしいのだ。少なくとも1860年代中葉まで、ブラームスは演奏会や楽譜の刊行により獲得したお金を、クララに送っていたのだ。演奏会切り盛りや、日常のこまごまとした出費についてクララに相談を持ちかけている。金庫番をクララにお願いしていたようだ。やがてブラームスの地位が磐石になってゆくにつれて、お金の出入りも多くなり、預金管理という仕事自体が手間隙かかるものになっていった。演奏旅行に忙しいクララにとっても負担になることを配慮して、ジムロックに移管したと考えられる。

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フォト

ブラームスの辞書写真集

  • Img_0012
    はじめての自費出版作品「ブラームスの辞書」の姿を公開します。 カバーも表紙もブラウン基調にしました。 A5判、上製本、400ページの厚みをご覧ください。
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