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カテゴリー「001 用語解説」の1012件の記事

2018年4月14日 (土)

冠詞

ヨーロッパ系言語特有の品詞。英語で申せば「a」「an」「the」だ。これが不定冠詞と定冠詞に分かれることも周知の通りである。英語はシンプルだと気づくのはドイツ語の学習が始まって間もなくだ。名詞の性や格によって変化する上に、形容詞の格変化にも影響する。幸い英語同様に複数形には用いられないが、中には複数形にも付着してしまう言語もあるらしい。

冠詞が無い日本人には厄介な概念だ。「a bed」「the bed」あるは冠詞無しの「bed」では、意味が変わってしまうことも少なくない。

黙って以下の3つを眺めて欲しい。

  1. ドイツ語 Ein Deutsches Requiem
  2. 英語 A German requiem
  3. 日本語 ドイツレクイエム

どれもブラームスの作品番号45を指している。そもそもどうして不定冠詞「Ein」「A」が用いられるのかが実感として理解出来ない。「Das Deutsche Requiem」ではいけない理由がイメージ出来ない。見ての通り日本語ではその手の論点は発生しない。けれども原文が「Ein Deutsche Requiem」だろうと「Das Deutsche Requiem」だろうと、その違いを日本語へ反映させようと思うと大変なことになるので結局は「ドイツレクイエム」落ち着かざるを得まい。

2018年4月 6日 (金)

モテット

ミサ曲以外の宗教的声楽曲の総称。起源はルネサンス期に遡るという。バッハも数多くのモテットを書いたし、モーツアルトには名高い「アヴェ・ヴェヌム・コルプス」がある。

バロック時代には欧州各地で地域ごとに独自の発展を遂げる。ロマン派の興隆により、宗教曲の相対的な地位が下がるともに下火に転じたとされている。

ロマン派も土壇場に近いブラームスも合計7曲のモテットを書いている。

  1. 2つのモテットop29
  2. 2つのモテットop74
  3. 3つのモテットop110

律儀なことに初期中期後期に一度ずつ置かれている。宗教曲らしく全てが無伴奏つまりアカペラと明示されている。バッハやシュッツのようなドイツの大先輩たちの向こうを張った作風だ。このうちのop74は、当代最高のバッハ研究家、フィリップ・シュピッタに献呈されている。

こういう曲を書くから保守的だのなんなのと外野席から野次が飛ぶのだと思う。

2018年3月23日 (金)

バロックの紀元前

世界史を学ぶ学生にとって「B.C.」と言えば基本中の基本だ。「紀元前」の略号だ。キリスト生誕以前の年代表記の際に用いられる。キリスト生誕後を示す「A.D.」と違って省略はされない。

バロック音楽作品を収録したCDのブックレットの中にも割と頻繁に「b.c.」が出現する。大抵は小文字だ。まさか「紀元前」の意味と誤解する人はおるまい。

「basso continuo」の略。「basso」は低音。「continuo」は英語「コンティニュー」と語源が同じで、合わせて「通奏低音」と和訳される。チェンバロやオルガンあるいはヴァイオリンなどの独奏曲を除いて頻繁にあらわれる。

バロック時代のことを「通奏低音の時代」と呼ぶ学者さえいるくらいだ。バスのパートには単音と数字が記されいて、演奏者の即興でどうぞというあれである。

通奏低音はパート名ではないので必ずしも単一の楽器ということもなく、楽器の種類や数もまた演奏者の判断に任せられる。長い経験に照らして選ばれるだけあって大体固定されているようだ。

2018年2月23日 (金)

音楽の母

日本の初等教育においてヘンデルを指す通り名だ。

小学校の音楽室に飾ってある肖像や年表のもっとも端にいるのが、バッハとヘンデルだ。片方のバッハには「音楽の父」という称号が奉られてるいる。同い年でドイツ生まれのヘンデルは、男であるにもかかわらず「音楽の母」と呼ばれている。当時の音楽家はカツラをつけていて長髪に見えるから、同級生の間では「ヘンデルは女だ」と信じている奴もいた。

この言い回しの根拠はどこにあるのだろう。当時は純心だったが今となっては、眉に唾の一滴も塗りたくなる。ドイツ音楽偏重の音楽史観だと思う。後期バロックの2人が始原と位置づけられているだけで相当な怪しさだ。

まあよい。

ヘンデルのオルガン作品はオルガン協奏曲に偏っている。いわゆるオルガンコラールは見かけない。独奏曲はフーガが少々あるだけだ。

本日2月23日はヘンデル生誕333年のメモリアルデーだ。

2018年2月19日 (月)

四声体

4つの声部からなる楽曲のことか。各声部が対等であることが前提だ。つまりポリフォニーに特化した言い回しである。

作曲訓練の初期において、ブラームスは合唱曲を書くことを推奨していた。それを「キチンとした四声体で書かねばならないから」と理由付けている。「簡単ではないが、勉強になる」というニュアンスだ。

初期ブラームスの作曲キャリアはハンブルク女声合唱団向けの夥しい合唱作品で覆われている。多くは三声ないし四声だ。やがてそれらを混声四部合唱に編曲してWoO34やWoO35として出版している。

そういえばバッハが愛したフーガも、基本形は四声とされているようだ。四声が基本だからこそ、ニ声のインヴェンションや三声のシンフォニアに教育的意義があるのだ思う。

コラールの多くは四声体だという。専門の聖歌隊が歌っていた賛美歌を大衆に開放するにあたって、旋律や和声進行の簡素化を行うと同時に、旋律をソプラノに置いて会衆に歌わせるとともに、他の声部を聖歌隊に割り振った。おそらく、ドイツ合唱曲伝統の四声体は、コラールに由来するものと思う。

2017年12月25日 (月)

アンカー

船の錨のこと。あるいはリレーの最終走者もアンカーと呼ばれる。小学校の紅白対抗リレーでは、アンカーが特にたすきをつけて走る場合もある。決着がアンカー勝負にでもなればレースは俄然白熱する。相当カッコいい。

音楽之友社刊行の作曲家◎人と作品シリーズ「ブラームス」の生涯編の最終ページで著者西原稔先生は「ブラームスの死をもってドイツロマン主義が終わった」と断言しておられる。話が大き過ぎて呑み込みきれていない。ドヴォルザークに継承権は無いとしてもブラームスの死後、Rシュトラウスやグスタフ・マーラーの活躍があったし、シェーンベルク、ベルクそしてウェーベルンの台頭もある。そんなことは百も承知でブラームスの死をドイツロマン主義の終焉と位置づけたのだ。

ブラームスの伝記の最終ページであるが故にそう断言したのだろうか。ブラームスははたしてドイツロマン主義のアンカーだったのだろうか。

おそらく第一走者はベートーヴェンなのだと思う。それ以降シューベルト、ウェーバー、シューマン、ワーグナー、メンデルスゾーンなどなど華麗なメンバーが走り抜けた。彼等の奮闘を受け止めて20世紀に繋ぐ役割を、本当にブラームスが担ったという意味なのだろうか。

紅白リレーのアンカーに比べると何だか切ない。紅一点のクララの死まで見届けての華麗なゴールインと呼ぶには少し抵抗もある。

ブログ「ブラームスの辞書」を長く続けるなかから答えが見つかればいいと思う。

2017年12月14日 (木)

空虚五度

「空虚五度」とは、第三音を抜いた和音だ。「ドミソ」という場合の「ミ」を抜くことだ。ミにフラットが付けば短調、付かねば長調になるという具合に、長短の決定権を握る第三音の省略であるから、長短いずれとも決めかねる曖昧さが売りだ。古来用例は山ほどあるが、ベートーヴェンの第九交響曲の冒頭がとりわけ名高い。16小節間「ミ」と「ラ」しか現われないという徹底ぶりである。

ブラームスは最初の管弦楽作品である「管弦楽のためのセレナーデ第1番」の冒頭でベートーヴェンの第九交響曲と同じ空虚五度を配置する。3小節目でホルンに嬰ヘ音が現われて、あっという間にニ長調が確定してしまうが、第九交響曲をすこーしは意識していたかもしれない。

2017年12月 8日 (金)

鎖国

江戸幕府の外交政策のこと。外交と貿易の幕府独占という意味かと思われる。薩摩藩や松前藩など例外もある。諸外国とのつきあいをやめたため、科学技術の進歩という面で遅れをとった原因というイメージが過剰に強調されている感じもする。

我がブログ「ブラームスの辞書」は、いい歳をした大人が管理しているにも関わらず、世の中の動きに敏感に反応するとは言い難い。サッカーについてのトピックに控え目に言及する程度だ。

季節、天変地異、政治、事件との連動をむしろ意図的に避けている。私個人の身の回りの出来事への感想が記事になることもない。世間様の動きに背を向けている姿は「鎖国」にも似ていよう。その手の話は私がブログで話題にしなくても皆が話題にする。ブラームスネタへのこじつけに成功しない限りは積極的に取り上げることはない。

例外は家族の話題だ。とりわけ子供たちの話は時々記事のネタになる。ブラームスネタの濃度が低下する一因ではあるが懲りる様子は無い。将来子供たちのカテゴリーを順に振り返ると事実上の育児日記になっていると思われる。つまり鎖国体制の中、わずかに開かれた出島のようなものだ。

2017年12月 1日 (金)

シュトーレン

ドイツのお菓子。クリスマスの代表的な味だ。元々ドレスデンの名物らしい。シューマン一家はデュッセルドルフに移る前にはドレスデンに居たから、シュトーレンを食べたかもしれない。けれども当時既にドイツ中で食べられるようになっていたとすればドレスデン以外でも口にすることは出来たと思われる。

ブラームスの母がシュトーレンを作ったかどうか確認中。

2017年11月28日 (火)

お袋の味

おそらく「母の手料理」のことで間違いあるまい。我が家の子供たちにとっては「祖母の手料理」と同義である。もちろんおやつも含むと解してよかろう。

ブラームスにも「母の手料理」があった。

  1. エッグノッグ ラム酒と卵で作る飲み物。卵黄とラム酒にバニラや生クリームなどを加えて作るらしい。香辛料を一つまみ入れる。れっきとしたアルコール飲料なので子供にはきついと思うが、当時のドイツは現代の日本とは少し事情が違うと思われる。
  2. こけもものジャム こけももと砂糖それにレモン汁を加えて煮る。
  3. オートミールケーキ 母からの手紙に現われるが、レシピは不明。文脈からしてブラームスの好物と思われる。
  4. ザルツブルガーノッケル メレンゲを焼いて膨らませたもの。

1855年4月クララはハンブルクでの演奏会に際してブラームスの実家に滞在する。ブラームスの伝記であればほぼ必ず言及されるエポック。このときブラームスの母がクララを心を込めてもてなしたとされている。上記のうちどれかをクララに振舞った可能性がある。

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