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カテゴリー「108 調性」の124件の記事

2022年7月24日 (日)

移調の理由

バッハは、自作であれ他の作曲家の作品であれ、編曲に際してオリジナルではない調に移調することがある。基準は不明だ。チェンバロ奏法に精通したバッハが演奏上の配慮をしたものと受け止められている。

ヴィヴァルディの「調和の霊感」の中、ホ長調協奏曲op3-12を無伴奏チェンバロ協奏曲に編曲する際にも移調を試みている。オリジナルのホ長調がハ長調に移されてBWV976となった。私のようなヘボな弦楽器奏者にとってはありがたい移調だ。ホ長調と言えばシャープ4個が奉られた長調であるのに対し、移調先のハ長調は調号なしだから、演奏が容易になる。

編曲の依頼主であるワイマール公の腕前に配慮した可能性はあるのだろう。高度な芸術的判断とも思えない。

まさかと思うことがある。

同コンチェルトBWV976の次、BWV977ハ長調は原曲不明の作品だが以下のように立ち上がる。

 

20170413_084951
レ抜き音階がひとつ前のBWV976と共通する。

 

20170413_130503
どちらもハ長調だから「ドミファソ」という「レ抜き」っぷりが鮮明に浮き上がる。「移動ド」などという操作をしなくてもいいからだ。

この両作品に共通する「レ抜き」の配置をより鮮明にするためにオリジナルのホ長調をハ長調にしたなどということはあるまいな。

 

 

2022年7月17日 (日)

レ抜き音階

長調の音階から「レ」と「ラ」を抜いてみるといい。「ドミファソシド」「ドシソファミド」と歌ってみればこれが沖縄音階だとわかる。記事「BWV976」で言及したヴィヴァルディのヴァイオリン協奏曲ホ長調op3-12の第二楽章は、移動ドで「ドーミーファソー」と立ち上がる。冒頭こそ「レ」が抜けた音階なのだが、すぐに「レ」(実音:嬰ヘ)が現れるから、聴き手が沖縄テイストを実感することはない。

 

20170314_110832
しかし、「レ」抜きのこの音形は、同協奏曲の中核にも見える。なぜなら第1楽章冒頭にもヴァイオリンに「ドミファソッソッソッソ」が配備されているからだ。

 

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バッハのホ長調ヴァイオリン協奏曲の冒頭を思い出すまでもなく、主和音の上行「ドミソ」なら珍しくもないが、ここに一瞬でも「ファ」が噛むことで微妙な味わいになる。

この手の「異なる楽章間に共通する音列」は、ブラームスにとってはよくある話だ。

2022年1月 5日 (水)

組み合わせ決定

室内楽カップの組み合わせが下記の通り決定した。グループ内で総当たり戦を行い、上位2曲12作品に加えて、3位の中から成績優秀の4曲が決勝トーナメントに進む。各組の記載はポット順とする。

<グループA>

  1. 弦楽六重奏曲第1番変ロ長調op18
  2. ピアノ四重奏曲第2番イ長調op26
  3. ピアノ三重奏曲第2番ハ長調op87
  4. クラリネットソナタ第1番変短調op120-1

<グループB>

  1. ピアノ五重奏曲ヘ短調op34
  2. 弦楽四重奏曲第1番ハ短調op51-1
  3. クラリネットソナタ第2番変ホ長調op120-2
  4. ヴァイオリンソナタ第1番ト長調op78

<グループC>

  1. 弦楽六重奏曲第2番ト長調op36
  2. 弦楽四重奏曲第2番イ短調op51-2
  3. ピアノ三重奏曲第1番ロ長調op8
  4. チェロソナタ第1番ホ短調op38

<グループD>

  1. 弦楽五重奏曲第1番ヘ長調op88
  2. ピアノ四重奏曲第1番ト短調op25
  3. ホルン三重奏曲変ホ長調op40
  4. ヴァイオリンソナタニ短調op108

<グループE>

  1. 弦楽五重奏曲第2番ト長調op111
  2. ピアノ四重奏曲第3番ハ短調op60
  3. クラリネット三重奏曲イ短調op114
  4. チェロソナタ第2番ヘ長調op99

<グループF>

  1. クラリネット五重奏曲ロ短調op115
  2. 弦楽四重奏曲第3番変ロ長調op67
  3. ピアノ三重奏曲第3番ハ短調op101
  4. ヴァイオリンソナタ第2番イ長調op100

グループAのみ長調3曲の短調1曲となったが、他は長短仲良く2曲ずつだ。各G内に同じ主音の調が無い。弦楽器のみの室内楽がどの組にも最低1曲は入っている。クラリネット入り作品は同一G内に複数存在しない。グループFを構成する作品の調性を見てほしい。「H、B、C、A」となる。入れ替えると「BACH」が完成する。

 

2022年1月 4日 (火)

ポット分け

ブラームスの室内楽24曲をワールドカップの組み合わせ抽選よろしく4作品ずつA~Fの6組に分けてみる。その際のルールを下記の通り定める。

  1. 五重奏または六重奏が各組に必ず1曲入る。
  2. 四重奏が各組に必ず1曲入る。
  3. 同じ調または同主調の作品が同一Gに複数存在しない。
  4. 各Gには長調短調の作品が2つずつ同居する。ただしA組は例外とする。
  5. ピアノを含まない作品が各Gに最低1曲は入る。
  6. クラリネット入りの作品が同一グループに複数存在しない。

上記を満たすべくポッド分けを行う。これで各ポット6曲ずつとなるが、二重奏ソナタが7曲で、三重奏が5曲なので、二重奏ソナタから1曲が第三ポットに回る。(※)

  • 第一ポット 五重奏と六重奏
  • 第二ポット 四重奏
  • 第三ポット 三重奏※
  • 第四ポット 二重奏ソナタ※

上記ポット分けで組み合わせルールの1と2に対応できる。

第一ポット6曲を、作品番号の若い順に以下の通り各グループに自動的に配分する。

  • グループA 弦楽六重奏曲第1番変ロ長調op18
  • グループB ピアノ五重奏曲ヘ短調op34
  • グループC 弦楽六重奏曲第2番ト長調op36
  • グループD 弦楽五重奏曲第1番ヘ長調op88
  • グループE 弦楽五重奏曲第2番ト長調op111
  • グループF クラリネット五重奏曲ロ短調op115

さあ抽選だ。

2021年12月22日 (水)

最愛の短調

記事「シューベルトの24曲 」でシューベルト歌曲の私的ベスト24を紹介した。短調が少ない。一般的知名度では上位に来る「魔王」「死と乙女」「糸を紡ぐグレートヒェン」「セレナーデ」が落選している。ブラームスでも短調は24曲中5曲だから大差ない。もう私の脳みその構造に由来するとしか説明できない。

シューベルト歌曲の私的ベスト24の中に入選した短調作品は以下の通り。

  1. 月に寄す D193
  2. こびと D771
  3. 水の上で歌う D774
  4. ノルマンの歌 D846

これがいわばノミネート。シューベルト歌曲の短調私的ベストはこの中から決まるはずだ。非常に悩む。僅差で「水の上で歌う」に決めた。。

ブラームスだと下記のノミネネート。

  1. 永遠の愛について op43-1
  2. あの娘のもとへ op48-1
  3. 野を渡って op86-4
  4. 私は顔を向けてみた op121-2
  5. おお死よなんと苦しいことか op121-3

これも悩む。なんとか「あの娘のもとへ」に決まった。

つまり先に紹介した「王と王子の12番歌合せ 」の中の7組目は「最愛の短調歌合せ」だったということだ。

 

 

2021年11月15日 (月)

墓地の調

フィッシャーディースカウ先生の「シューベルトの歌曲をたどって」という書物は本当に素晴らしいのだが、ときどき何の前触れもなく、すごいことをサラリと断言するから油断できない。本日もその系統の話だ。

「ある兵士に寄せる挽歌」D454の解説の中に現れる。先生のシューベルト全集の収録から漏れているこの作品に対して「一般に墓地を意味するハ短調を採用していること以外大した意味を持っていない」と珍しく無残な表現になっている。ところが前段の「一般に墓地を意味するハ短調」とはこれいかにだ。いやもう初耳だ。運命交響曲などベートーヴェンを象徴する調だとは思っていたが、墓地の調なのか。西洋の音楽において個々の調性が特定のイメージと結び付けられていることは承知していたが、「ハ短調が墓地」だとは自覚がなかった。

根拠には言及がない。もっと知りたい。

ブラームスの「4つの厳粛な歌」の中にハ短調の作品がなくがっかりしたが、op105-4がハ短調だった。「Auf dem Kirchhofe」(墓地にて)というタイトルを見て腰が抜けた。ブラームスは墓地を扱うテキストに曲を付けるとき、ハ短調を採用していた。

私の知らぬ常識や必然がいくつか横たわっていそうだ。

 

2021年5月28日 (金)

余韻深々

以下の通り完成した「平均律歌曲集在宅版」を再生して楽しんでいる。

  1. ハ長調 恋歌op71-5 HP ヘルマン・プライ
  2. ハ短調 領主フォンファルケンシュタインの歌op43-4 AS アンドレアス・シュミット
  3. 変ニ長調 我等はそぞろ歩いたop96-2 HP
  4. 嬰ハ短調 まどろみはいよいよ浅くop105-2 MS 白井光子
  5. ニ長調 サッフォーの頌歌op94-4 MS
  6. ニ短調 人間の成り行きはop121-1 DFD フィッシャーディースカウ
  7. 変ホ長調 五月の夜op43-2 HP
  8. 変ホ短調 愛の誠op3-1 JN ジェシーノーマン
  9. ホ長調 すみれによせてop49-2 DFD
  10. ホ短調 あの娘のもとにop48-1 DFD
  11. ヘ長調 野のさびしさop86-2 MS
  12. ヘ短調 小夜鳥op97-1 MS
  13. 嬰へ長調 我が恋は緑op63-5 HP
  14. 嬰ヘ短調 雨の歌op59-3 DFD 
  15. ト長調 セレナーデop106-1 DFD
  16. ト短調 私は顔をむけてみたop121-2 DFD
  17. 変イ長調 おお涼しき森よop72-3 DFD
  18. 変イ短調 エーオルスのハープによせてop19-5 MS
  19. イ長調 調べのようにop105-1 HP
  20. イ短調 夕立op70-4 DFD
  21. 変ロ長調 夏の宵op85-1 DFD
  22. 変ロ短調 ことづてop47-1 DFD
  23. ロ長調 森のしじまにop85-6 HP
  24. ロ短調 永遠の愛についてop43-1 HP

聴き込んでみると、好みの曲を調性順に羅列しただけなのに味わいがある。9番のホ長調「すみれによせて」から11番ヘ長調「野に一人いて」までの3曲の連なりは絶妙だ。13番と14番の嬰へ組ではシューマンの遺児フェリクスに思いをはせてしみじみする。17番から21番への流れも馥郁たる香気が感じられて淀みがない感じ。ラストのロ短調「永遠の愛について」のイントロが始まるとしみじみする。この曲が大トリになる偶然を味わうべきだ。

2021年5月27日 (木)

平均律歌曲集在宅版

記事数を稼ぐための小出しもそろそろ限界という訳で、平均律歌曲集改訂版24曲にお気に入りの演奏を充てたプライヴェートCD作成を報告する。在宅のつれづれに、ドライブのお供に流しっぱなしにしてストレス最小を意図した。先に演奏家の紹介から。

  • ディートリッヒ・フィッシャー-ディースカウ(Br)10曲。DFDと略記。
  • ヘルマン・プライ(Br)7曲。HPと略記。
  • 白井光子(MS)5曲。MSと略記。
  • ジェシー・ノーマン(Sop)1曲。JNと略記
  • アンドレアス・シュミット(Br)1曲。ASと略記

12年前 には22曲に22人の女性歌手を充てていたが、パズルとしての面白さとは裏腹に、好みの演奏の羅列にならないというストレスにさらされていた。この度の改定で全24曲に拡充した代わりに、歌手の重複を許可した結果、歌手は上記5人に絞られることとなった。世の中女子の時代だというのに女性歌手は人数で40%、曲数で25%にとどまった。昔からの刷り込みの効果か、フィッシャーーディースカウとヘルマン・プライでおよそ3分の2を占めることとなった。そうした後ろめたさは、完成したCDを再生して吹き飛んだ。名付けて「平均律歌曲集在宅版」と洒落込む。以下に明細を紹介する。

  1. ハ長調 恋歌op71-5 HP
  2. ハ短調 領主フォンファルケンシュタインの歌op43-4 AS
  3. 変ニ長調 我等はそぞろ歩いたop96-2 HP
  4. 嬰ハ短調 まどろみはいよいよ浅くop105-2 MS
  5. ニ長調 サッフォーの頌歌op94-4 MS
  6. ニ短調 人間の成り行きはop121-1 DFD
  7. 変ホ長調 五月の夜op43-2 HP
  8. 変ホ短調 愛の誠op3-1 JN
  9. ホ長調 すみれによせてop49-2 DFD
  10. ホ短調 あの娘のもとにop48-1 DFD
  11. ヘ長調 野のさびしさop86-2 MS
  12. ヘ短調 小夜鳥op97-1 MS
  13. 嬰へ長調 我が恋は緑op63-5 HP
  14. 嬰ヘ短調 雨の歌op59-3 DFD 
  15. ト長調 セレナーデop106-1 DFD
  16. ト短調 私は顔をむけてみたop121-2 DFD
  17. 変イ長調 おお涼しき森よop72-3 DFD
  18. 変イ短調 エーオルスのハープによせてop19-5 MS
  19. イ長調 調べのようにop105-1 HP
  20. イ短調 夕立op70-4 DFD
  21. 変ロ長調 夏の宵op85-1 DFD
  22. 変ロ短調 ことづてop47-1 DFD
  23. ロ長調 森のしじまにop85-6 HP
  24. ロ短調 永遠の愛についてop43-1 HP

以上。総演奏時間は78分50秒。CD1枚にピタリと収まる。

ハ短調に「領主フォンファルケンシュタインの歌」を起用するのは私ならではかと。フィッシャーディースカウにもプライにも録音が無いマイナー気味の作品ながら、キリリキビキビで心地よいと採用。歌唱はフィッシャーディースカウの弟子アンドレアス・シュミットが師匠の居ぬ間の洗濯。フィッシャー・ディースカウの居ぬ間というなら、変ホ短調「愛の誠」も同じでジェシーノーマンさんに1票。居ぬ間系と申すなら嬰ハ短調の「まどろみはいよいよ浅く」ニ長調「サッフォーの頌歌」にもフィッシャー・ディースカウの録音がない。日本人メゾソプラノ白井光子先生の登場。イニシャルがメゾソプラノとピタリの「MS」というのがおされ。彼女は鬼の居ぬ間専任でもなくて、全5曲のうち、他の3曲はフィッシャー・ディースカウに競り勝っての採用。ウイーンのブラームスザールで生を聴いて以来ファンになったプライくらいがフィッシャー・ディースカウに対抗する存在。曲数では劣るが、ラスト2曲を受け持って面目躍如だ。

むっちゃ楽しい。

 

 

2021年5月24日 (月)

歌手パズルを諦める

2009年4月19日の記事「平均律歌曲集」に発覚した誤りの修正をキッカケに12年後の今の感覚でチョイスを更新 した。全22曲に加え欠けていた調を無理やり補って24曲とした。

そこではたと考えた。

12年前同様に、これら24曲を女性歌手1人1曲のパズルにするのかどうかだ。我が家所有のCDをパソコンで取り込んで、プライヴェートCDを組み立てるというパズルとしての楽しみに疑問を感じた。

その理由は、「調性別ベスト歌曲集」ではあるのだが、必ずしも「ベスト演奏の集積」にならないということだ。加えて昨今のコロナ禍で、在宅勤務なり外出自粛なりから来る巣ごもりの供として見た場合、自室やマイカーで「流しっぱ」にする際、大好きな曲がお気に入りの演奏にならないという状況は切実なものだ。「ベスト演奏の定義はなんぞ」と突っ込まれればたちまち返答に窮する素人でもあるので、そこは「大好き演奏」と挿げ替えてもいい。

女性歌手一人1曲の選定は「あちら立てればこちらが立たず感」に溢れたやりがいではあったが、この際その楽しみは放棄して、「在宅最適」を目指すこととする。

2021年5月21日 (金)

キーコントロールの謎

移調して歌うことが歌曲にのみ許されたかという話からおバカな思い出話にそれる。

カラオケ伴奏のキーを自分のキーに合わせて調整出来る機能がある。今や当たり前で珍しくも何ともない。この機能が世の中に出始めた頃の話だ。昨今のマシンでは、リモコンで操作した結果が画面に表示されるのだが、昔はそうではなかった。

私もキーを変えたくなった。やってみたがイメージと違うのだ。1音くらい低く出来ればいいのに低過ぎてしまうのだ。その場は笑ってごまかしたが長くトラウマになって残った。謎が解けるのに5年以上かかった記憶がある。

キーコントロールをするリモコンにはボタンがついてる。高めるにしても低めるにしてもそのボタンを押すのだが、このボタンがいけない。高めるほうには「♯」低めるほうには「♭」が描かれている。1音低くしたいと思った私は「♭」を2回押してしまっていたのだ。実際の移調と同じノリをキーコントロールのボタン操作で再現したのだ。実際の楽譜では「♭」を2個付けることで1音低い調に移行するのだ。ハ長調が変ロ長調になるのと同じ理屈だ。半音下げたい時に「♯」を5回押していたのだ。訳が分からなくなるのは当たり前である。

ここでいう「♯」や「♭」は単に「高める」「低める」の意味だ。胸のわだかまりはなくなったが、カラオケが上手くなった訳ではない。

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ブラームスの辞書写真集

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    はじめての自費出版作品「ブラームスの辞書」の姿を公開します。 カバーも表紙もブラウン基調にしました。 A5判、上製本、400ページの厚みをご覧ください。
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