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カテゴリー「101 編曲」の57件の記事

2021年9月 4日 (土)

20のレントラー

マッコークル「ブラームス作品目録」にはちゃんと載っている。「20のレントラー」のことだ。作品番号はなし。作曲ではなく編曲なのでWoO番号もない。シューベルトの「17のレントラー」D366から第17番を除いた16曲と「4つのレントラー」D814の合わせて20曲である。大変興味深いことに、オリジナルでは独奏用のD366を連弾用に直し、オリジナルで連弾用のD814を独奏用に変えたようだ。ほぼ16小節の小品ばかり。ときどき20、24、32小節のものが混じる。詳しくはこちら

シューベルトラヴの結晶に見えて仕方がない。歌曲は王子と認定している。「裏ワルツ王」「連弾王」でも王子認定がしたくなる。

2021年4月 5日 (月)

BWV1057

「2本のリコーダーとチェンバロのための協奏曲ト長調」だ。1052番以降、チェンバロ協奏曲が続く一角を構成する。バッハが自作をチェンバロ独奏とする協奏曲に編曲している。原曲の独奏楽器が何だったのかわからなくなっている作品も多い中、このBWV1057は原曲が明らかだ。

ブランデンブルク協奏曲第4番BWV1049が原曲だ。オリジナルの独奏楽器は「2本のリコーダーとヴァイオリン」である。う~んと平たく申せばヴァイオリンをチェンバロに差し替えたということになる。

ブランデンブルク協奏曲の4番を収録したCDは綺羅星のごとく存在するがこちらBWV1057は希少価値がある。ヴァイオリンのパッセージをチェンバロ独奏に転写した様子がよくわかる。

2021年3月29日 (月)

レーガー編曲

レーガーとはマックスレーガーだ。ブラームスの「4つの厳粛な歌」のピアノ編曲など、ブラームスに親しむ過程でしばしば話題になる。編曲の素材としてはバッハも無視できない。ブランデンブルク協奏曲全6曲をピアノデュオ用に編曲している。

レコードやCDのない時代、有名作品を家庭で手軽に再現となるとピアノ編曲が現実的だったと思われる。

手許にCDがあるので、聴いてみる。作業のBGMとしては悪くないが、音色が単調で退屈だ。トランペットのハイノートなど、苦労してトランペットが出すから楽しいのであって、ピアノだとあっけない感じがする。

一方大好きな6番は、やけに品のいいセレナーデ感が充満する。編成が渋いとか、2本のヴィオラが絡み合うやりとりなど、さっぱり抜け落ちて、午後のカフェさながらのゆったり感が勝ってくる。

ともあれピアノデュオ用だというのに先のストラダール版よりもずっとシンプルな響きで好感が持てる。テクの披露が目的でない感じ。

 

 

 

2021年3月28日 (日)

2枚組の効果

記事「ストラダール」で話題にしたCDのお話。

ブランデンブルク協奏曲のピアノ独奏編曲盤だ。これだけで相当珍しい。細かい内容の話をすると2枚組になっている。ブランデンブルク協奏曲全6曲のうち5番までがディスク1に収録されているからディスク2は6番から始まる。6番大好きの私からすれば大歓迎の割り付けだが、こうなると6番の後には広大な余白ができる。

この余白に収められているのもバッハ作品のピアノ編曲で、元のバッハ作品は下記の通りだ。

  1. チェンバロ協奏曲第1番ニ短調BWV1052
  2. チェンバロ協奏曲第5番ヘ短調BWV1056
  3. オルガン協奏曲第2番イ短調BWV593 (ヴィヴァルディ:op3-8)
  4. オルガン協奏曲第4番ハ長調BWV595
  5. オルガン協奏曲第5番ニ短調BWV596 (ヴィヴァルディop3-11)

上記1番と2番はチェンバロ独奏に弦楽器の総奏がつくのだが、ソロに加えて総奏部分もろともピアノ独奏に編曲するというコンセプトだがら「無伴奏チェンバロ協奏曲」のピアノ転写だ。ストラダールの編曲ではブランデンブルクの6番はおとなしいほうで、ディスク2は進むほどに超絶技巧になっていく。ブゾーニのシャコンヌピアノ編曲に感じた「大げさ感」が思い起こされる。

19世紀は、ピアノの時代。音楽の担い手が、宮廷や教会から市民に移っていく過程で、ピアノが家庭に浸透していく。おびただしい数のピアノ作品が生まれたことは周知の事実で古今東西さまざまのクラシック作品において、ピアノ編曲版には連弾を含めてかなりな需要があったには違いないが、これを弾きこなす層が本当にあったのか心配になる。ブラームスなら絶対に望まないはずの演奏効果。

 

 

2021年3月27日 (土)

ストラダール

August Stradal(1860-1930)は、チェコの作曲家ピアニストだ。ウィーン音楽院で1884年まで学んだ後、ワイマールにわたってリスト門下になった。年代から見てブラームスとウィーンで面識があった可能性がある。リストの高弟として有名で、のちに回想録まで書いている。さらに付け加えるなら他の作曲家の作品をピアノ用に編曲している。バッハ作品は100曲もある。

彼の手によるバッハ作曲「ブランデンブルク協奏曲」のピアノ版のCDを入手した。しかもそれは自動演奏のピアノつまり「MIDI」だ。

いやはや楽しい。記事「無伴奏チェンバロ協奏曲」で書いた通り、イタリアバロックの象徴であるコンチェルトをチェンバロ独奏に転写したバッハに興味をもっているから、すんなりはまる。ブランデンブルク協奏曲が、独奏楽器を取り囲む総奏もろともピアノに転写されてれているというコンセプトはBWV971に始まる「無伴奏チェンバロ協奏曲」と通じるものがある。

2枚組のディスク2冒頭に置かれた6番には驚いた。原曲は2本の独奏ヴィオラをガンバが支えるという古風なスタイルが売り。ストラダールはオクターブあげているから、始まってすぐ面食らう。気の利いたカフェで流れていても気づかないだろう。2本のヴィオラによる掛け合いが醍醐味なのだが、そうしたテイストは薄まる。

 

 

2021年3月22日 (月)

BWV539

いわゆる「ドリアントッカータ」BWV538と、ブラームスが演奏した記録の残るBWV540の間に挟まれたBWV539は、解説書での扱いも小さく、気にもとめない作品だったが、インデックス作成の過程で聴きなおしてぎょっとした。「前奏曲とフーガ」のフーガの部分がどこかで聴いたことがある感じがした。それもそのはず無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第1番ト短調BWV1001の第二楽章のフーガそのままだった。

オルガンで弾かれてなんの違和感もない。これを無伴奏ヴァイオリンでと思い立つバッハの着想がすごい。どちらがオリジナルだったにしろ凄いことだ。

2021年2月11日 (木)

復元ごっこ

ヴィヴァルディのヴァイオリン協奏曲をバッハがチェンバロ独奏用に編曲していた話は既にしておいた。それらを「無伴奏チェンバロ協奏曲」と位置付けた。

その延長線上にあるのが「イタリア協奏曲」BWV971である。バッハのオリジナルなのだが、「協奏曲」なのにチェンバロ独奏曲である。つまり編曲ではないオリジナルの「無伴奏チェンバロ協奏曲」ということだ。

これを逆手にとった人がいる。ビオンディの相棒として知られたチェンバリスト兼指揮者のアレッサンドリーニだ。バッハの「イタリア協奏曲」をヴァイオリン協奏曲に編曲してしまったのだ。バッハがヴィヴァルディを題材に盛んに試みた「ヴァイオリン協奏曲→無伴奏チェンバロ協奏曲」という編曲の逆を行ったことに他ならない。

このほどCDを入手した。ヴィヴァルディの「四季」の売り場にあった。それもそのはずで2枚組のこのCDは、ディスク1が「四季」全曲が収まっている一方、ディスク2は編曲ものを多数含む様々な作品の寄せ集めになっていた。

芸が細かい。

実際に聴いてみると、もうスルリと入って来すぎる感じ。第一楽章だけしか収録されていないのが恨めしい。

 

 

2021年2月10日 (水)

ストラヴァガンツァ

ヴィヴァルディの協奏曲をバッハが「無伴奏チェンバロ協奏曲」に編曲した中に、op4からの編曲がある。BWV975ト短調、BWV980ト長調だ。12の協奏曲にによって構成されるそのop4にはタイトルがついている。

「La Stravaganza」と綴られるイタリア語で「奇妙なもの」という意味。当時の協奏曲としては斬新な作風だったことが命名理由とされている。「調和の霊感」op3と違って全て独奏ヴァイオリンのための協奏曲だ。

知名度だけで申すなら四季を含むop8には遠く及ばないのだが、渋い。バッハの編曲版と合わせて聴くとより楽しめる。

 

 

 

 

 

 

2021年2月 9日 (火)

奇跡のニ長調

ヴィヴァルディの「調和の霊感」の中、ヴァイオリン協奏曲ニ長調op3-9に対する深い興味が大学1年のときの夏合宿に起因することについては既に述べている。理由は説明できない。ただただいとおしい。全3楽章聞いても10分もかからない小曲ながら、本当に癒される。

その作品をバッハが無伴奏チェンバロ協奏曲に編曲していた事実がただうれしい。BWV972がそれだ。番号で申すなら名高いイタリア協奏曲のすぐあとに置かれているということだ。その選択が領主の意向の反映だったとしてもだ。その領主がこの作品の編曲をバッハに依頼した奇跡を喜びたい。バッハのアラサー時代の小粋な手仕事だ。

イタリア協奏曲に比べると世に出ているCDは少ない。我が家には4種CDがある。

  1. 1986 Guy Penson
  2. 1994 Cyprien Katsaris
  3. 2006 Vital Julian Frey
  4. 2008 Elisbeth Farr

このうち2番カツァリスだけがピアノで、あとはチェンバロ。なんといっても4番目のナクソスは、BWV972からBWV987がコンプリートだ。ヴィヴァルディのオリジナルと聞き比べるのも一興だ。

 

 

 

 

 

 

2021年2月 8日 (月)

選抜の顔ぶれ

「無伴奏チェンバロ協奏曲」は、ワイマール公の委嘱に応えた代物だから、どの曲を編曲するかは、領主の意向が色濃く反映すると書いた。ヴィヴァルディは下記の6曲が編曲の対象とされている。

  1. op3-3
  2. op3-9
  3. op3-12
  4. op4-1
  5. op4-6
  6. op7-8

3曲選出のop3は「調和の霊感」、その「調和の霊感」ヒットの柳の下狙いとも目される「ラ・ストラヴァガンツァ」op4から2曲入選。そして「四季」を含むop8「創意とインヴェンションの試み」を華麗にスルーしてop7という渋いチョイス。

op3は1711年,op4は1713年、op7は1716年という具合に出版年が少しずつずれているが、出版社は全てアムステルダムのロジェ社だ。オランダ留学中の接触はとても自然だ。当時流行の最先端だったイタリアンコンチェルトの第一人者ヴィヴァルディが新機軸特盛で次々と出版した時期は、バッハのワイマール時代と驚くほど符合している。ワイマール時代の終焉を1719年に迎えたとき、ヴィヴァルディの作品は四季を含むop8まで終わっていた。

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