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カテゴリー「117 編成」の29件の記事

2022年3月 5日 (土)

ディヴィジョン

管弦楽曲弦楽器の楽譜中にあって、同時に発するよう記された音をパート内で手分けして弾けとする指示。記譜上では重音奏法と変わらぬ表示になる。手分けの数だけ五線の段を別にすれば明快確実なのだが、諸般の事情でそうも行かない場合「div」という略号を音符に添える。ちなみに「div」の解除には「unis.」と記される。「ユニゾン」の意味だ。

複数記された音を、手分けして単音として弾いてオーケストラ全体で帳尻を合わせた場合と、個人個人が全部重音奏法をした場合では、結果として得られる響きに違いが出る。重音がキッチリはまった時にあごに感じる心地よい響きは格別だ。これがパートの人数分増幅されるのだから効果は絶大だ。作曲家たちは当然それを知っている。

「ブラームスの辞書」ではこの「div」はカウントの対象にしていないが、「div」にはいろいろな疑問点もある。たとえば最大の関心事は「div」は作曲家の意図かどうかである。学生時代の経験では、指揮者から重音にこだわって音程が悪くなるより「div」にして確実に音を捉えるように言われることが多かった。後世のある段階でのそうした指示が楽譜上に混入している可能性もあるかもしれない。

絶対に「div」にして欲しくない場所にはしばしば「non div」という書き込みが現れる。これもまた作曲家本人の意思かどうか怪しい場合もあろう。

複数の音符が記載されいいて、かつ「div」とも「non div」とも書かれていない場所はいったいどういう位置付けになるのだろう?物理的に重音奏法が不可能な場所は当然「div」としても、現実的でないくらい難しい重音になる場合でさえ、「何が何でも重音を」という作曲家の意図である可能性もあって悩ましい。気になりだすと落ちつかない。

2022年1月 5日 (水)

組み合わせ決定

室内楽カップの組み合わせが下記の通り決定した。グループ内で総当たり戦を行い、上位2曲12作品に加えて、3位の中から成績優秀の4曲が決勝トーナメントに進む。各組の記載はポット順とする。

<グループA>

  1. 弦楽六重奏曲第1番変ロ長調op18
  2. ピアノ四重奏曲第2番イ長調op26
  3. ピアノ三重奏曲第2番ハ長調op87
  4. クラリネットソナタ第1番変短調op120-1

<グループB>

  1. ピアノ五重奏曲ヘ短調op34
  2. 弦楽四重奏曲第1番ハ短調op51-1
  3. クラリネットソナタ第2番変ホ長調op120-2
  4. ヴァイオリンソナタ第1番ト長調op78

<グループC>

  1. 弦楽六重奏曲第2番ト長調op36
  2. 弦楽四重奏曲第2番イ短調op51-2
  3. ピアノ三重奏曲第1番ロ長調op8
  4. チェロソナタ第1番ホ短調op38

<グループD>

  1. 弦楽五重奏曲第1番ヘ長調op88
  2. ピアノ四重奏曲第1番ト短調op25
  3. ホルン三重奏曲変ホ長調op40
  4. ヴァイオリンソナタニ短調op108

<グループE>

  1. 弦楽五重奏曲第2番ト長調op111
  2. ピアノ四重奏曲第3番ハ短調op60
  3. クラリネット三重奏曲イ短調op114
  4. チェロソナタ第2番ヘ長調op99

<グループF>

  1. クラリネット五重奏曲ロ短調op115
  2. 弦楽四重奏曲第3番変ロ長調op67
  3. ピアノ三重奏曲第3番ハ短調op101
  4. ヴァイオリンソナタ第2番イ長調op100

グループAのみ長調3曲の短調1曲となったが、他は長短仲良く2曲ずつだ。各G内に同じ主音の調が無い。弦楽器のみの室内楽がどの組にも最低1曲は入っている。クラリネット入り作品は同一G内に複数存在しない。グループFを構成する作品の調性を見てほしい。「H、B、C、A」となる。入れ替えると「BACH」が完成する。

 

2022年1月 4日 (火)

ポット分け

ブラームスの室内楽24曲をワールドカップの組み合わせ抽選よろしく4作品ずつA~Fの6組に分けてみる。その際のルールを下記の通り定める。

  1. 五重奏または六重奏が各組に必ず1曲入る。
  2. 四重奏が各組に必ず1曲入る。
  3. 同じ調または同主調の作品が同一Gに複数存在しない。
  4. 各Gには長調短調の作品が2つずつ同居する。ただしA組は例外とする。
  5. ピアノを含まない作品が各Gに最低1曲は入る。
  6. クラリネット入りの作品が同一グループに複数存在しない。

上記を満たすべくポッド分けを行う。これで各ポット6曲ずつとなるが、二重奏ソナタが7曲で、三重奏が5曲なので、二重奏ソナタから1曲が第三ポットに回る。(※)

  • 第一ポット 五重奏と六重奏
  • 第二ポット 四重奏
  • 第三ポット 三重奏※
  • 第四ポット 二重奏ソナタ※

上記ポット分けで組み合わせルールの1と2に対応できる。

第一ポット6曲を、作品番号の若い順に以下の通り各グループに自動的に配分する。

  • グループA 弦楽六重奏曲第1番変ロ長調op18
  • グループB ピアノ五重奏曲ヘ短調op34
  • グループC 弦楽六重奏曲第2番ト長調op36
  • グループD 弦楽五重奏曲第1番ヘ長調op88
  • グループE 弦楽五重奏曲第2番ト長調op111
  • グループF クラリネット五重奏曲ロ短調op115

さあ抽選だ。

2021年12月15日 (水)

毎度毎度の大疑問

このところずっと話題にしてきた男声女声について、素朴な疑問がある。

混声四部合唱といえば、ソプラノ、アルト、テノール、バスで構成される。この指定は作曲家の関与が濃厚だ。重唱にしても事情は同じである。

翻って独唱はどうか?

ソプラノ用歌曲は存在するのだろうか?高声用や低声用という表示を見かけたことはあるけれど、それらがただちに「ソプラノ用」「バス用」を意図するのか自信がない。歌い手、弾き手各一名という指定だけで、声種指定は無しと見受ける。

そのかわり、声の都合による転調が独唱歌曲にだけ認められているように思えて仕方がない。

 

2021年10月22日 (金)

Freundeskreis

酒宴系歌曲を物色しているとすぐに気づく。合唱曲にも同じノリが多い。CDショップをうろついていて興味深いCDを見つけた。

20211013_151428

シューベルト世俗合唱曲全集だ。7枚組には下記の通りのタイトルがついている。

  1. Verganglichkeit うつろい
  2. Liebe 愛
  3. wigkeit 永遠
  4. Heldentum 英雄
  5. Natur 自然
  6. Feste 祝祭
  7. Freundeskreis 語らい

3巻の「永遠」と6番の「祝祭」には、どう見ても宗教的な作品がはいっているなど突っ込みどころはあるけれど、7巻がズバリ酒宴系になっている。どれもピアノ伴奏付の合唱曲だがこの7巻が一番楽しめる。

酒宴系作品を収録順に列挙する。

  1. Trinklied D356 ?
  2. Trinklied D148 カステッリ
  3. Trinklied D183 ケルナー
  4. Trinklied D267 ?
  5. Trinklied D75 シェッファー
  6. Trinklied aus dem 16Jahrhundert D847 グレッファー
  7. Trinklied im Mai D427 ヘルティ
  8. Trinklied im Winter D242 ヘルティ

いやもう独唱よりは層が厚い。酒宴だから列席者で唱和するのが美しいということか。大好きなヘルティが2曲もある。昨日紹介した独唱歌曲とのテキストの重複はD183のケルナーだけ。独唱も合唱も同じD183を背負っている。D356は未完でピアノパートをチェルニーが補っているという。とにかく突っ込みどころ満載で飽きない。

そしてそしてブックレットにはオリジナルのテキストが全文掲載されている。見ての通りジャケットはビールがモチーフになっているから、もしやと思ったが、テキストにビールは全く出ない。全てワインだ。ジャケットのオクトーバーフェスト然とした絵は紛らわしい。楽しいから許すけど。

シューベルトは仲間との語らいのために、多くはアルコール入りの集まりのためにふさわしいテキストを選んでしきりに曲を付けていたと解したい。それは独唱歌曲よりむしろ合唱曲に重心がある。独唱というテーマからは千鳥足気味の逸脱だ。

 

2021年9月 3日 (金)

連弾王

シューベルトを「裏ワルツ王 裏」と認定した勢いで続ける。作品全体を見渡して感じるのはピアノ連弾曲が多い。短い作品が多いが、数が多いのでCD5枚組になるかもしれない。

ブラームスが世に出たきっかけ「ハンガリア舞曲」はピアノ連弾だった。作品39の「ワルツ」もオリジナルは連弾用だ。管弦楽や4重奏以上の室内楽には連弾バージョンが存在するが、シューベルトはもっと多い印象。D番号順にざっと拾っておく。

  1. 幻想曲ト長調 D1
  2. 幻想曲ト短調 D9
  3. 幻想曲ハ短調 D48
  4. 6つのポロネーズ D599
  5. 3つの英雄的行進曲 D602
  6. ロンド ニ長調 D608
  7. ドイツ舞曲と2つのレントラー D618
  8. フランスの歌による8つの変奏曲 D624
  9. 序曲 ト短調 D668
  10. 序曲 ヘ長調 D675
  11. 3つの軍隊行進曲 D733
  12. グランデュオ D812
  13. 自作主題による変奏曲 D813
  14. 4つのレントラー D814
  15. ハンガリー風ディヴェルティスマン D818
  16. 6つの大行進曲 D819
  17. フランス風主題による変奏曲 D823
  18. 6つのポロネーズ D824
  19. 大葬送行進曲 D859
  20. 英雄的大行進曲 D885
  21. 子供の行進曲 D928
  22. ファンタジーヘ短調 D940
  23. アレグロイ短調 D947
  24. ロンドイ長調 D951
  25. アレグロモデラートとアンダンテ D968A
  26. 2つの性格的な行進曲 D968B

すごい量。シューベルトを「連弾王」とひそかに認定する。念のために申し添えると独唱者一人にピアノ連弾の伴奏というケースは一つもない。

 

2021年5月 4日 (火)

オルガン任意

ドイツレクイエムの編成のお話。ドイツレクイエムの演奏に参加する楽器で、オルガンは任意とされている。「おってもおらんでもよろしい」ということらしい。

周知の通り、同作品はレクイエムの文言こそタイトルに踊っているものの、ルターの独訳聖書からテキストを採用しており、典礼のための音楽とはせずに、あくまでも音楽会での演奏が前提とされている。だからオルガンの参加を必須としていないのかとも思う。op55の「勝利の歌」もまたオルガン任意だ。作品番号が近い合唱作品op53「アルトラプソディ」やop54「運命の歌」は、オルガン不参加である。

バロック特集や、旅行の影響で、私の脳内のオルガンの位置づけが変わった。オルガンへの深い共感は、バッハの聴き方の幅が広がったばかりか、プロテスタントの信仰、教会の知識を増加させた。ひいてはドイツバロック音楽を聴く上での姿勢に決定的な違いを生じさせた。そうした脳みそでドイツレクイエムを聴くことで思ってもみなかった視点が新たに加わった。

やけに「オルガン任意」が気になる。是非入れてほしい。我が家所有のCDの中でオルガンが参加しているのはジュリーニ指揮のウィーンフィルだけだ。ところが、このムジークフェラインのライヴ録音ではあまりオルガンが聞き取れない。オルガンが聞き取れないことがストレスにさえなる。

一方、ピアノ連弾版や2台のピアノ版のCDがあることを思うと、いっそ独奏オルガン版がほしくなる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2020年11月30日 (月)

オブリガートヴァイオリン

ニコル・マット指揮ヨーロッパ室内合唱団の、「4声のためのコラール」DISC2に収められた「目覚めよと呼ぶ声が聞こえ」は、同曲集の白眉だ。バッハのBWV140の終末合唱として名高いがこちらも味わい深い。原曲はクラヴィーアソロであるところ、合唱を補ったヴァージョンなのだが、2コーラス目に独奏ヴァイオリンがさしはさまれる。

伴奏と申すにはあまりに可憐だ。事実上ソプラノとユニゾンで主旋律をトレースする。

同曲集6枚組数百曲の中でヴァイオリンがこのように加わるのはこの曲だけだ。編曲のセンスと言われてしまえばそれまでだが、2コーラス目にのみ加わるという巧妙さまで含めて職人芸だ。

 

 

 

 

2019年6月28日 (金)

Gera di due violini in uno

イタリア語だ。「1台のヴァイオリンによる2台のヴァイオリンの競争」とでも解しておけばいい。

エアフルト生まれで主にマインツで活躍した作曲家ヨハン・ヤコプ・ワルター(1650-1715)のソナタ集「ホルトゥス・ケリクス」の第17番のタイトルだ。

興味深いのはその内容。記譜はト音2段とヘ音1段の計3段だが、2段に分かれたト音記号部分はヴァイオリン1本で演奏することになっている。一台のヴァイオリンによる、2役だ。独奏ヴァイオリンによる複数声部作品の先駆けと考えられる。楽譜が2段になっていることで、声部の進行は明瞭な一方で、記譜から重音奏法とは察知しにくい。

このソナタ集の出版は1688年バッハ3歳のころだ。当時からヴァイオリン学習の基礎教材として使用されていたから、バッハ自身が使用していた可能性も排除されていないという

バッハが一連の無伴奏作品で指し示したもの、単一弦楽器による複数声部の扱いが到達点とするなら、ワルターのこの作品は、発想として源流を形成していると思われる。

2019年6月27日 (木)

始祖としてのジョゼッペ・コロンビ

イタリア・モデナのヴァイオリニスト・作曲家。1634年生まれで1694年に没した。17世紀イタリアにおいて無伴奏ヴァイオリン作品作り手としては、ほぼ唯一の存在と目される。

バッハのシャコンヌに象徴される「無伴奏ヴァイオリン作品」は、ヴァイオリンの故郷イタリアではむしろ異端であり、通奏低音を伴うのが普通だった。

「無伴奏ヴァイオリン作品」は、残された作品群から見て、ほぼドイツにおいて考案発展されたと考えられる。ドイツ特産品と考えていい。しかし、またその一方でバッハだけの功績と思い込んではいけない。バッハは明らかにその到達点、頂点を形成していいることと合わせて肝に銘じておきたい。

 

 

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