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カテゴリー「702 疑問」の206件の記事

2024年4月12日 (金)

BWV発番の謎

BWVの部立てが、残された作品のヴォリュームの大きい順だということは腹に落ちた。だから先頭にカンタータがおかれているということだ。だからカンタータの番号はBWV番号と一致してくれる。「カンタータ第1番BWV1」ということだ。

一方で別の疑問の湧く。じゃあそのカンタータ200曲の配置はどう決められたのかだ。

きっと書いてあるのだろうが、まだ見つけられない。教会暦順でないことは確かだ。もしかして1950年のBWV1出版の時点で、認識されていた作曲順か。

2023年10月28日 (土)

第二の道

音楽之友社刊行の「作曲家◎人と芸術」シリーズの「ブラームス」の202ページにちょっとした疑問がある。交響曲を概観する記事の中に以下のような記述がある。

シューマンの発表した音楽評論文「第二の道」によって紹介されたブラームスは・・・

文脈から素直に読む限り1853年10月のブラームスのシューマン邸訪問に端を発した交流に触発されたシューマンが、ブラームスを世の中に紹介した記事だと考えるのが自然だ。

同じ本の生涯編33ページにそのことが書いてある。しかしその33ページでは紹介論文のタイトルが「新しい道」と書かれている。「第二の道」とは書かれていない。

元々存在した道とは別に新たに道が出来た場合、それが「新しい道」と呼ばれることはよくある話だ。同時にその同じ道が「第二の道」と呼びうることもまた奇異ではない。しかしシューマンによって書かれた名高いその論文は「Neue Bahn」だから「新しい道」の訳語で何の不足もあるまいに、なぜまた「第二の道」と表現しているのだろう。

  1. 「Neue Bahn」のほかに「第二の道」と訳されるようなタイトルのブラームス紹介文が存在した。
  2. 「Neue Bahn」をそこに限って「第二の道」と訳した。

同じ書物の中で何の注釈も無く、「新しい道」と「第二の道」が混在するのは、いかにも不自然と感じる。

何か特段の事情があるのだろうか。

 

 

 

 

2023年10月27日 (金)

帰属意識

自分はどこの国に属しているかという意識。私は当然日本だ。読者の多くは日本だろう。

ドイツ3大Bの一人と位置づけられているブラームスの帰属意識は「ドイツ」かというのが本日の疑問だ。

ドイツという国が成立したのは1870年から始まった普仏戦争によるところが多い。プロイセンの勝因はいろいろ言われている。普墺戦争勝利後、対仏戦争必至と見て周到に準備したビスマルクの作戦勝ちという評価が一般的だろう。フランス皇帝を捕虜にするという大戦果がこれを象徴している。

1833年ブラームスが生まれた頃まだドイツという国は無かった。1871年以前に自らの帰属を「ドイツ」とする意識を持つことが絶対にあり得ぬとは申さぬが、容易くもなさそうだ。

ブラームスの帰属意識はおそらくプロイセンかもしれぬ。ビスマルクへの帰依は割と知られているし、ホーエンツォレルン家への忠誠心も高かった。プロイセン主導による統一ドイツを心から支持していたことは確実だ。当時の中欧を席巻したプロイセンの強さの秘密は国民皆兵だという。1870年の普仏戦争開戦当時37歳のブラームスが兵役を志願する気になっていたことは割と知られている。開戦当初から戦局が有利だったために思いとどまったらしい。

1871年以降、ブラームスの返事は「ドイツ」であったに違いない。ビューローの有名な「3大B」の比喩も、バッハの復興も統一ドイツ成立前後の空気を敏感に反映していると考えたい。

2023年10月 6日 (金)

不思議なこと

生涯の楽器にヴィオラを選んだとは言っても、音程もボウイングも安定しないし、アレグロ以上のテンポでは16分音符もお断りだ。老年に差し掛かった今、技術的にそうそう積み上げが期待できる訳もない。それでもやはり心のどこかに自分の楽器はヴィオラという安心感がある。

そのヴィオラの楽譜は風変わりなハ音記号が特徴である。原則ハ音記号なのだが、高い音域となるとしばしばト音記号に差し替えられる。ブラームスの楽譜では、しばしばというよりはちょくちょくト音記号が出る。ヴィオラソナタ第2番は 冒頭いきなりのト音記号で始まる。室内楽でも管弦楽でもト音記号は珍しくない。

長くヴィオラに親しんできたせいか、ト音記号とハ音記号が混在する楽譜でもストレスなく演奏出来るようになった。音程が悪いのは混在のせいではない。おまけにヘ音記号もかなりスイスイと読替が出来る。ヴィオラで弾けない低い音は、瞬時にオクターブ上げて弾くことも出来る。この程度はヴィオラ弾きとしては当たり前の読み替えだ。

さて昔、娘にヴァイオリンを教えていた頃、ヴァイオリンを手にする機会もあった。不思議なことに気づいた。娘たちは、ト音ハ音を瞬時に識別する私を、まるで手品師でも見るかのように眺めていた。調子に乗ってヴァイオリンでヴィオラの楽譜を弾いてやろうと試みたが、これがまた想定外の難しさだった。

つまりヴィオラさえ持っていればト音、ハ音、ヘ音の行き来が自由自在に出来るのだが、ヴァイオリンを持つとハ音記号の楽譜を演奏出来ないのだ。ヴィオラを持つかヴァイオリンを持つかで構えに入った瞬間から脳内のマスターが機能してしまうかのようだ。これはなかなか不思議な感覚である。ヴァイオリンを持って構えただけで、網膜にフィルターがかかってしまう。人間の意識とは一筋縄では行かないものだと実感した。

2023年9月10日 (日)

収載の選択基準

音楽系書物の代表格が、名曲解説である。大作曲家たるもの自作の解説だけで、分厚い1冊になる。これをもって大作曲家と定義したいくらいだ。残した曲数が多くても、それらが名曲認定されていないとお話にならない。

悩ましいのは、バッハの作品であっても、名曲解説全集に収載されないものもあるということだ。アランさんの「バッハオルガン作品全集」のブックレットがありがたいのは、バッハのオルガン作品すべてについて言及があることだ。音楽系出版最大手の「作曲家別名曲解説ライブラリー」のバッハに収載されているオルガン作品は限られている。オルガン自由曲のうち同書に収載されている作品を以下に列挙する。

  1. BWV532 前奏曲とフーガニ長調
  2. BWV538 いわゆる「ドリアントッカータ」
  3. BWV540 いわゆる「踏みっぱ大王」
  4. BWV542 いわゆる「大フーガ」
  5. BWV543 いわゆる「シシリアン」
  6. BWV547 いわゆる「ブラ2」
  7. BWV548 いわゆる「くさび」
  8. BWV552 いわゆる「聖アン」
  9. BWV564 いわゆる「全三音」 
  10. BWV565 トッカータとフーガニ短調
  11. BWV578 小フート短調
  12. BWV582 パッサカリアハ短調
  13. BWV588 カンツォナ
  14. BWV589 アラブレヴェ
  15. BWV590 パストラーレヘ長調

以上15種類が名曲認定されている。どういう基準なのか大変興味深い。

 

 

 

 

 

 

 

2023年8月25日 (金)

サポーター語尾

サッカーチームを応援する人たちをサポーターと呼ぶ。応援するチームによってサポーターに名前が付けられているケースがある。

イタリア一部リーグのACミランのサポーターは「ミラニスタ」と呼ばれている。都市の名前である「Milan」に「-ista」が加えられたのだ。つまり「-ista」がサポーター語尾である。同じミラノを本拠とする有力チームインターミランのサポーターは「インテリスタ」と呼ばれる。「Inter」を語幹に据えて「-ista」を加えたことは明らかだ。これがユベントスになると「Juventino」になるというから、その場合のサポーター語尾は「-ino」だ。アンダンティーノでおなじみだ。どんなサポーター語尾が付くかは、語幹によって決まるのだと思う。

  1. -ista
  2. -ino
  3. -ist
  4. -ian
  5. -er
  6. -っ子

作曲家の熱烈なサポーターも同様の手法で表される時がある。ワグネリアン、シューベルティアン、モーツアルティアンの類だ。さて当然の疑問。語幹がブラームスだったらどうなるのだろうか。

  1. ブラームシスタ
  2. ブラムジーノ
  3. ブラームシスト
  4. ブラームジアン
  5. ブラームサー
  6. ブラームスッ子

ドイツ語でこの手の言い回しはあるのか知らないが、この中のどれかで違和感が無い。素朴な疑問。ドヴォルザークやバッハ、果ては源実朝はどうするのだろう。

2023年6月19日 (月)

名詞の性別

名詞の性別はドイツ語の学習においてはある種の鬼門を形作っている。英語では意識することもない概念だった。フランス語にも男性名詞、女性名詞が存在するが、ドイツ語ではさらに中性名詞が加わる。「太陽」のようにフランス語とドイツ語で性別が逆転することさえある。外国人にとって厄介なだけの性別をドイツの人たちはとても大切にしているという。昨今の日本語同様に言葉の乱れも指摘される中、名詞の性別だけは頑なに使い分けられているらしい。

クラシック音楽で使われる楽器の性別を調べた。結論から申せば圧倒的に女性優位だ。

<男性名詞>

  • コントラファゴット
  • コントラバス

<中性名詞>

  • ピアノ
  • ファゴット
  • ホルン
  • チェロ

上記以外は全部女性名詞と思ってよい。ティンパニ、トランペット、トロンボーン、チューバも女性なのだ。金管楽器の中でホルンだけが中性、木管楽器の中でファゴットだけが中性なのだ。ハープやヴァイオリンが女性名詞だというのは感覚的にOKなのだが、意外な割り当てが多くて面食らう。

ちなみにシンフォニーもソナタもオーケストラも女性名詞なのにコンチェルトが中性だというからますます判らなくなる。

何故と聞いてはいけないらしい。ドイツでは名詞が3つに分類されている。シンプルに「1群2群3群」と考えるべきだという。「女性男性中性」と考えると「何故」と訊きたくなるからだそうだ。ライン川やマイン川は男性で、エルベ川やオーデル川は女性だという。おそらくドイツの人々でも説明不能ではあるまいか。

男性楽器だけを集めた室内楽があったりしたら面白いと思うのは外国人だけで、ドイツの人々は息をするように自然に当たり前に使い分けているのだろう。もちろんブラームスもだ。

2023年6月18日 (日)

性別の決定

ドイツ語の名詞の性について素朴な疑問がある。

外来語の名詞が新たにドイツ語に定着した際、名詞の性別はどのように決定されるのだろうか。元々名詞に性別がある言語から導入された場合、元言語における性別にしてしまうというのが考えられる。厄介なのは元々名詞の性別が無い言語から採用された場合だ。

日本語はどうだろう。外来語の導入が盛んだ。元の単語の発音やスペルを元にカタカナの綴りがあてがわれるだけだ。言語の構造として格や数量による語尾変化が無いのは好都合に思える。格の変化は名詞そのものではなく、後ろに添えられる助詞が表現するのだ。助詞「てをには」の難しさは別として、外来語の導入だけなら容易だと感じる。

 

 

2023年4月11日 (火)

指揮者ブラームス

ブラームスの伝記を読んでいると、ブラームスが指揮をしていたことが頻繁に現れる。同時に伝記の記述を読んでいても、ブラームスが指揮を習ったという記述にはお目にかかれない。

若い頃には合唱団との関わりが頻繁に描かれる。ブラームスが歌ったのではない。手本くらいは示したかもしれないが、大抵は合唱の指導と表現されている。この指導に指揮が含まれることは確実だ。ブラームスは合唱指導の中から指揮を身につけていったと思われる。

ジンクアカデミー、楽友協会とキャリアを積み、やがて定職から離れても、ブラームスは頻繁に指揮者として自作の演奏に加わる。彼の指揮の腕前はどの程度だったのだろう。

一つの目安がある。友人のハンス・フォン・ビューローと2人で頻繁に演奏旅行に出かけた。ビューロー率いるマイニンゲン宮廷楽団との旅行だ。このときの出し物にはしばしばピアノ協奏曲が採用された。ブラームスとビューローが指揮とピアノ独奏を交代で担当したと伝えられている。

ハンス・フォン・ビューローは近代指揮法の確立者という位置づけにある大指揮者だ。彼と代わる代わる指揮を受け持ったということは、指揮者ブラームスの腕前を推測する良い目安だと感じる。ブラームス指揮の演奏が破綻したという記録は見当たらないのだ。

2023年2月22日 (水)

ピアノ曲の演奏年齢

ブラームスのヴァイオリン協奏曲の解説を読んでいると、キラ星のごとき名手たちのエピソードで彩られていることが実感できる。初演者ヨアヒムはもとより、第2楽章を皮肉ったサラサーテ、飛行機事故で世を去ったヌヴー、レーガーのカデンツァであっと驚かせたクレーメルなどなどだ。

手が大きくないと難しいというヨアヒムの危惧をよそに、10代半ばで弾いたという話も少なくない。ブラームスに直接賞賛されたフーベルマンを筆頭にシェリング、メニューインと続く。この人たちは「アンダー15」でブラームスのヴァイオリン協奏曲を公開の席で演奏したのだ。ということは練習だけは10歳になる前からしていた可能性もある。

早熟の天才のエピソードに事欠かないヴァイオリン協奏曲に対してピアノ協奏曲の方は、なぜかその手の話が少ないように感じている。話をピアノ協奏曲に限定せず、ピアノ曲と考えると、「アンダー15」の出る幕もあろうが、協奏曲ではとんと聞かない。

当たり前のことだが、ピアノには分数ピアノはない。小さな子供も大人と同じサイズの楽器を弾くことになる。たとえばブラームスに頻発するオクターブが弾けるようになるのは、ある程度手が大きくならねばならない。それに対してヴァイオリンは体格に合わせて楽器のサイズを変えて行くから、そうした心配はない。ヴァイオリンに比べて「アンダー15」の活躍話が乏しいのは、そのあたりの事情が関係しているのではないだろうか。

ワルトシュタインを15歳で弾いたブラームスの位置づけやいかに。

 

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