指揮者ブラームス
ブラームスの伝記を読んでいると、ブラームスが指揮をしていたことが頻繁に現れる。同時に伝記の記述を読んでいても、ブラームスが指揮を習ったという記述にはお目にかかれない。
若い頃には合唱団との関わりが頻繁に描かれる。ブラームスが歌ったのではない。手本くらいは示したかもしれないが、大抵は合唱の指導と表現されている。この指導に指揮が含まれることは確実だ。ブラームスは合唱指導の中から指揮を身につけていったと思われる。
ジンクアカデミー、楽友協会とキャリアを積み、やがて定職から離れても、ブラームスは頻繁に指揮者として自作の演奏に加わる。彼の指揮の腕前はどの程度だったのだろう。
一つの目安がある。友人のハンス・フォン・ビューローと2人で頻繁に演奏旅行に出かけた。ビューロー率いるマイニンゲン宮廷楽団との旅行だ。このときの出し物にはしばしばピアノ協奏曲が採用された。ブラームスとビューローが指揮とピアノ独奏を交代で担当したと伝えられている。
ハンス・フォン・ビューローは近代指揮法の確立者という位置づけにある大指揮者だ。彼と代わる代わる指揮を受け持ったということは、指揮者ブラームスの腕前を推測する良い目安だと感じる。ブラームス指揮の演奏が破綻したという記録は見当たらないのだ。
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