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2019年7月17日 (水)

メルケルさんの伝記

「わたしの信仰」という本だ。著者はアンジェラ・メルケルその人。別に編者と訳者がいるから、彼女の文章なり言動なりを取りまとめて和訳したものだとわかる。信仰を切り口としたメルケル伝と思っていい。あるいはメルケルさんを切り口にした現代ドイツの信仰とも言い換えうる。

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昨今の世界情勢に照らして興味深い記述にあふれている。ますます彼女が好きになる。最近体調がすぐれぬともきく。何卒ご自愛を。そしてハッピーバースデー。

2019年2月19日 (火)

鎌倉右大臣

建保7年1月27日、鎌倉三代将軍源実朝が、甥の公暁に暗殺された。北条氏の陰謀とする説も根強いとか。これで源氏の直系が途絶えた。享年28歳。12歳で征夷大将軍に任じられ、武士として初めて右大臣になった。百人一首にある「鎌倉の右大臣」とは彼のことだ。

実は、日本史上の人物の中では大好きな人。伊能忠敬と双璧をなす。短歌の世界でも相当な位置づけにある。

冒頭に掲げた命日を新暦に直すと1219年2月19日だ。つまり本日は没後800年のメモリアルデーということで、「バロック特集」をさっそうと中断して記念の記事をさしはさむ。

2018年11月 5日 (月)

Bundesmutter

直訳すれば「連邦の母」だ。先月末ドイツ・メルケル首相は政界引退を表明した。12月の党首選に不出馬の意向を示したということだ。首相の座には任期切れの2021年までとどまるものの、その後は政界引退だという。

呆然とした。

自国第一主義、民族差別、難民、テロなど極端な報道が後を絶たない中、毅然と鎮座する母のような存在。それがメルケル首相の印象だった。それを一言で「ブンデスムッター」と表現してみた次第。

私が彼女を贔屓にする理由は3つある。

一つは、彼女が大のサッカー好きだということ。彼女が生観戦したときの代表チームの勝率はとても高いらしい。

次は、彼女の経歴だ。2005年11月22日、ドイツ史上初の女性首相に就任したのは、ブログ「ブラームスの辞書」創設の5か月半後だ。そこから13年、ブログ「ブラームスの辞書」が歩んだ日々はそのままメルケル政権下だった。その間私は3度ドイツを訪れ、ますますドイツに傾倒した。

三つ目は、彼女がハンブルク出身であるということだ。ブラームスと同郷だ。

ブログ「ブラームスの辞書」は、ここに予言する。

彼女はハンブルク名誉市民に列せらるに違いない。1889年ブラームスはすでにハンブルク名誉市民になっている。おそらくは政界引退後になるだろうが、きっと彼女はハンブルク名誉市民になる。

実現のあかつきに、本日のこの記事にドヤ顔でリンクを貼るために、展開中の旅行レポートをためらわずに中断する。

ただただ寂しい。

メルケルさんありがとう。

2018年5月31日 (木)

賛美歌のシューベルト

ヨアヒム・ネアンダー(1650-1680)の「通り名」だ。デュッセルドルフの教会付属ラテン語学校の校長として活躍したが、30歳の若さでブレーメンにおいて没した。賛美歌60編のテキストを残したが、その半数について作曲もした。もっとも有名な「Lobe den Herren,den Maechtgen Koenig」は、バッハのカンタータ120番と137番に採用されているほか、多くの賛美歌が歌い継がれている。

残された作品の美しさと、30歳で早世したこともあって「賛美歌のシューベルト」とあだ名されるにいたる。

存命中、彼はデュッセルドルフ郊外の谷に出かけてしばしば思索にふけったという。その谷はいつしか「ネアンダーの谷」と言われるようになり、やがてそこから古人類の化石が出土した。つまりはそれがネアンデルタール人である。

今日5月31日は彼の命日である。

どこかに「賛美歌のブラームス」はいないものか。

2018年5月17日 (木)

忠敬没後200年

私が日本史上の人物で最も尊敬する人物が伊能忠敬である。実測に基づく最初の日本地図の作成を主導したが、文政元年4月13日74歳でなくなった。これを新暦に直すと1818年5月17日になる。だから今日は没後200年の記念日だ。

ブログ「ブラームスの辞書」カレンダリング上の大問題だった。バッハ没後333年の今年、バロック特集を展開すると、忠敬の没後200年の記念日がその会期内に来てしまう。

やむなく、バロック特集を中断しての言及となる。

2018年5月 5日 (土)

GWマルクス

「GW」はゴールデンウィークではない。

1849年16歳のブラームスが「ロシアの思い出」と題するピアノ連弾作品を出版にこぎつけた。このときは本名を名乗らず、「GWマルクス」というペンネームを用いた。なぜこの名前を選んだのだろう。「マルクス」は恩師「マルクセン」に関係があるのだろうか?

今試しに「GWマルクス」でグーグル検索してみるといい。若きブラームスのペンネームなどヒットしたりはしない。資本論で名高いマルクスの「GWの公式」が大量にヒットする。「GWのGはお金、Wは商品云々」だ。「GWマルクス」は「Marks」であり、資本論のマルクスは「Marx」だが、デューデンの苗字辞典には「Marks=Marx」と書いてある。偶然なら相当怖い。

カールマルクスは1818年5月5日生まれだから、生誕200年のメモリアルデー。

迷った末バッハのトマスカントル就任の記事を前日に押しやっての言及だ。

2017年12月 5日 (火)

イエンナーの昼食

グスタフ・イエンナーは、ほぼ唯一と申して良いブラームスの作曲の弟子。彼の残した回想録は、師匠ブラームスを活写していて面白い。

弟子入りした最初の頃、ブラームスとちょくちょく昼食を取ったと証言している。場所は毎度「赤いはりねずみ」だったらしい。ところが程なく自分だけ遠慮したという。その理由が、70~80グルデンの代金を支払うのが苦しかったからだとイェンナー本人が述べている。ほぼ1000円と思って良い。

記事「ランチのご予算」でブラームス本人がウィーンにいる間、ランチに費やす金額が2000円~3000円だと書いた。駆け出しの音楽家にとっては毎日1000円を昼食につぎ込むのが辛かったということだ。

やっぱりブラームスのランチはリッチだったのかもしれない。

2017年10月15日 (日)

ニーチェ

今日はニーチェのお誕生日だ。1844年10月15日に生まれたドイツの哲学者である。

R・シュトラウスの交響詩「ツァラトストラはかく語りき」はニーチェの著作に霊感を得て作曲された。音楽との関係で申すならリヒャルト・ワーグナーである。ニーチェはワーグナーに心酔した。ワーグナーもこれを受け入れ蜜月時代が訪れた。

ニーチェの音楽との関わりは、これにとどまらない。彼は作曲もしたのだ。歌曲とピアノ曲だ。まだある。驚くべきことに彼は自作のカンタータをブラームスに献呈しようと試みた。この動きはニーチェとワーグナー蜜月が去ったことと連動していると指摘されている。案の定ブラームスはこれを辞退する。根に持ったニーチェはそれ以降ブラームスとも距離を置き始めた。

ビューローと似ている。ワーグナーとの蜜月が破綻した後、ブラームスに走るところがそっくりだ。

2017年6月14日 (水)

ラインフランケン

西中部ドイツ方言は、いくつかの方言帯がライン川に貫通される形で南北に堆積している。このうち古くからのワイン産地ラインガウを含む地域で話されるのがラインフランケン方言だ。この方言帯はラインヘッセンからラインガウに向けてライン川を横切る。ここは2010年秋のワイン特集記事の執筆の際、穴が開くほど地図を眺めた地域だ。カール大帝のエピソードが散在する地域でもある。

何のことはない。今でこそ「ラインフランケン方言」と位置付けられているこの地域の言葉は、カール大帝の宮廷で使われていた言葉だった。昔の都の言葉だ。日本で申せば京言葉というイメージに近いかもしれない。

2017年6月13日 (火)

決意の理由

記事「方言詩人」でクラウス・グロートの経歴を紹介した。彼はブラームスの父ヨハン・ヤーコプと同じハイデの生まれだ。彼もホルシュタイン人である。国民学校の教師をしながら独学で詩作を学んだ彼がさらに学ぶためにキールに出立したのが1853年だった。

1853年は第1次デンマーク戦争が終わった翌年だった。まだ決着はついていないもののプロイセンの領土的野心は明らかだった。そうした背景の中で彼が文学を志し、方言に立脚した作品を生み出して行った。低地ドイツ方言やホルシュタイン方言への愛着は、低地ザクセン方言を操るプロイセンへの文学的抵抗なのではあるまいか。ドイツ標準語によらない文学作品を発信し続けたアイデンティティを思い遣りたい。

プロイセンによるシュレスヴィヒホルシュタイン地方の領有が確定した1866年に、キール大学の教授に就任したのはなにやら象徴的だ。

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