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カテゴリー「104 楽語」の57件の記事

2022年7月 3日 (日)

無意識の結晶

音楽作品は作曲家の創意の結晶である。これは疑えない。それが注文による作曲であったにしてもだ。もちろんその楽譜上に記載される楽語の選択も含めて、作曲家その人の意思の発露である。作品を世に問う手段としての楽譜出版の位置づけが重みを増せば増すほど、楽譜上に記される楽語の重要性もまた高まっていくことは確実だ。

さて、そうした作品がある程度たまってきたとして、作曲家はそれを手元において常に参照しただろうか。もっというならそこで用いられた楽語をカウント集計していただろうか。

おそらく答えは「No」だ。つまり作品自体はそこに書かれる楽語含めて意思の反映であるのに対し、作品群中の楽語の使用頻度までは意識されてはいるまい。250年後の極東日本の愛好家がまさか数えるとは思ってもいないはずだ。

だから楽語使用の頻度は、作曲家の無意識の反映だ。だからこそヴィヴァルディの「ALA」への固執は、個性の反映であると解し得る。

 

 

 

 

2022年7月 2日 (土)

テレマンのALA

「Allegro」が「Largo」を挟む楽章構成を持ったコンチェルトがヴィヴァルディには頻発するのにバッハではちっとも見かけない現象を追いかけている。協奏曲の数がさほど多くないバッハだから仕方ない面もあるとして、多作家として名高いテレマンで試すことにした。

テレマンの協奏曲は全部で112曲あるから、楽しみにしていたのだが、テレマンの場合、協奏曲が4楽章になっているケースが多く、肩透かしをかまされた感じ。全112曲の協奏曲のうち3楽章構成を採用するのはわずか31曲に過ぎない。

本日話題のALA型はたった1曲にとどまる。オーボエ協奏曲変ホ長調TWV51:Es1だけだ。緩徐楽章に「Largo」が用いられないわけではなく、「Allegro」に挟まれないということだ。

2022年7月 1日 (金)

タルティーニさんの事情

タルティーニのヴァイオリン協奏曲125曲について急緩急3楽章の発想記号がどうなっているか調べている。「ALA」はわずか14%程度。しからば何が多いのか。

「急緩急」のうち、両端の「急」については「Allegro」がほとんどで、変わるとしても「Presto」だ。この点はヴィヴァルディと大差ない。問題は中間の「Largo」が、どう差し替わるかだ。そこで両端を「Allegro」で固定し、中間楽章のバリエーションを調べた。

  1. Adagio    20
  2. Andante   22
  3. Cantabile   1
  4. Grave    16
  5. Largo    16
  6. Sostenuto  1
  7. 無表示    2

バランスが取れていると申し上げていいだろう。「Sostenuto」を除けば顔ぶれはヴィヴァルディと大差ない。ヴィヴァルディの「Largo」への固執だけは確実だろう。

2022年6月30日 (木)

タルティーニのALA

イムジチのヴィヴァルディボックスのブックレットを頼りに、ヴィヴァルディのコンチェルトにおける、楽章冒頭の発想記号を分析してみた。となるとヴァイオリン協奏曲全集のブックレットを頼りに同じことをタルティーニでやりたくなった。

まずは総数を125曲と押さえる。ここから3楽章ではないケース12曲が脱落するから113曲だ。ここでまずは軽い驚きがある。ヴィヴァルディやテレマンは様々な独奏楽器の協奏曲があったが、タルティーニの113曲はすべてヴァイオリン1本の独奏だ。

さてこのうちプレーンの「Largo」が、これまたプレーンの「Allegro」に挟まれた「真正ALA」は6曲しかない。

  1. D  29 ニ長調
  2. D  55 ホ長調
  3. D  59 ヘ長調
  4. D  93 イ長調
  5. D116 変ロ長調
  6. D117 変ロ長調

「Allegro」「Largo」が何かに修飾されている形「疑似ALA」まで含めると下記10曲が加わる。「Larghetto」2曲をこれに含めている。

  1. D   5 ハ長調
  2. D 13 ハ長調
  3. D 18 ニ長調
  4. D 25 ニ長調
  5. D 36 ニ長調
  6. D 81 ト長調
  7. D 87 ト長調
  8. D 88 イ長調
  9. D123 変ロ長調
  10. D125 ロ短調

合計16曲14%少々の構成比でしかない。ヴィヴァルディとは大違いだ。

2022年6月28日 (火)

ヴィヴァルディの辞書の可能性

楽譜収集の難易度で言うなら、バッハもヴィヴァルディも大差ない。ブラームスに比べると入手困難だし、その数も多い。CDのブックレット頼りになんとかというレベルだ。

我が家のヴィヴァルディは器楽、コンチェルトやソナタに偏ったコレクションだが、数が多いのでデータベースとしては役立つ。バッハのヴァイオリン協奏曲は片手で足りる数だし、チェンバロ協奏曲まで入れたとしても両手両足の範囲内だ。イムジチのボックス1個で150もの協奏曲がそろうヴィヴァルディは大変ありがたい。

ヴィヴァルディの器楽作品のCDがコンプリートできたら、下記のような弱点はあるにせよ、そのブックレットを分析するだけでかなりな情報が得られるはずだ。

  1. 曲全体の調はわかるが楽章毎の調は不記載のこともある。
  2. 楽章ごとの拍子はほぼ書いていない。
  3. 楽章冒頭のテンポはわかるがダイナミクスは絶望。
  4. 楽章途中のテンポ変更は完全に網羅されない。

テンポ表示に現れる楽語の分析はできるものの、調性や拍子、ダイナミクスとの相関をあきらめればそこそこ楽しめる。

 

 

 

 

 

 

2022年6月27日 (月)

Largo代替

ヴィヴァルディの協奏曲において第1楽章や第3楽章において優勢な「Allegro」の代替にどんな用語が使われているかを調べたばかりだ。ほぼ「Presto」だと推定できる。しからば第2楽章で「Largo」の代わりになっているのはどんな用語か調べた。それぞれの用語のプレーンばかりではなく含むケースも全部カウントした。

  1. Adagio      21曲
  2. Andante 16曲
  3. Cantabile 2曲
  4. Grave  10曲
  5. NO INDICATION  2曲

全部で51曲だ。ラルゴとその仲間たちで88曲あったから、ラルゴ主体は動じないが第1楽章や第3楽章における「Allegro」への固執っぷりに比べれば数段自由。ここで注目は「Andante」だ。ヴィヴァルディが「Andante」を遅い概念だと思っていた証拠だ。「急緩急」の中間楽章に据える以上遅い概念でなければならぬ。

ブラームスの器楽曲では数の上で「Adagio」と「Andante」が拮抗する。「Grave」や「Largo」は少数派である。

2022年6月26日 (日)

Allegro代替

イムジチのヴィヴァルディボックスのブックレットはつくづく役立つ。本日もそこから。収録されている協奏曲は150曲。3楽章制でないもの6曲を除去して144曲がベースだということを念頭に以下のリストをご覧いただく。

  1. 151 Presto
  2. 163 No indication
  3. 173 op6-4 Largo-Allegro
  4. 196 op4-10 Spiccato
  5. 298 Spiccato e non presto
  6. 358 Adagio-Presto
  7. 446 No indication
  8. 483 Presto
  9. 485 Presto
  10. 496 No indication
  11. 542 No indication

結論から書く。144曲のうちこれら11曲だけが第一楽章に「Allegro」が来ない。逆に申せば残り133曲92.4%は第一楽章を「Allegro」または「Allegro+α」で立ち上げている。第三楽章が「Allegro」でないケースは全部で19曲ある。第一楽章よりは落ちるもののこれもかなりの構成比だ。「Allegro」代替はほぼ「Presto」と断言できる。

 

 

2022年6月25日 (土)

Allegroのディテイル

記事「疑似ALA」の中で、「Allegro」や「Largo」のヴァリエーションを話題にした。本日はこのうち「Allegro」について少し深める。

  1. Allegro assai
  2. Allegro ma non molto
  3. Allegro ma poco
  4. Allegro molto
  5. Allegro non molto

疑似ALAに抽出した「Allegro」の変化形は上記の5種類だ。つまりヴィヴァルディはこれらを使い分けている。上記1と4はアレグロを煽ると思われる。2.3.5はアレグロを抑制していると受け取れる。面白いことに煽り型の1と4はブラームスに実例がある一方、抑制形の2.3.5はブラームスに実例がなく、書籍「ブラームスの辞書」に収載されていない。

「Allegro molto」と「Allegro non molto」の違い「non」の有無をヴィヴァルディは意識しているということだ。「Allgro ma non molto」と「Allegro non molto」では「ma」一個の出し入れだ。

「ヴィヴァルディの辞書」が書けそうな気配が立ち込める。

 

 

 

 

2022年6月24日 (金)

疑似「ALA」

記事「ヴィヴァルディのALA」の中で、協奏曲の楽章構成が下記になっている作品をイムジチのヴィヴァルディボックスのブックレットを頼りに抽出した。

  • 第1楽章 Allegro
  • 第2楽章 Largo
  • 第3楽章 Allegro 

プレーンの「Allegro」がこれまたプレーンの「Largo」をサンドしているケースに限ったため「Allegro+α」や「Largo+α」が脱落した。本日はその脱落組をリストアップする。

  1. 128  Dmoll  1楽章が「Allegro non molto」
  2. 202  Cdur op11-5  1、3楽章が「Allegro non molto」
  3. 204  Ddur op4-11  3楽章が「Allegro assai」
  4. 230  Ddur op3-9  2楽章が「Larghetto」
  5. 234  Ddur    1楽章が「Allegro molto」
  6. 244  Dmol  op12-2  2楽章が「Larghetto」
  7. 248  Dmoll  3楽章が「Allegro ma non molto」
  8. 263  Edur  op9-4  1、3楽章が「Allegro non molto」
  9. 267  Edur  3楽章が「Allegro ma poco」
  10. 297 Fmoll 「冬」 1楽章が「Allegro non molto」
  11. 299  Gdur op7-7  1楽章が「Allegro assai」、2楽章が「Largo,cantabile」
  12. 300  Gdur op9-10 1楽章が「Allegro molto」2楽章が「Largo cantabile」
  13. 301  Gdur op4-3 3楽章が「Allegro assai」
  14. 334  Gmoll op9-3  1、3楽章が「Allegro non molto」
  15. 308  Gdur OP11-4  2楽章が「Largo cantabile」
  16. 348  Adur op9-6  3楽章が「Allegro non molto」
  17. 349  Adur  3楽章が「Allgro ma poco」
  18. 383  Bdur op4-1  2楽章が「Largo e cantabile」
  19. 391  Hmoll op9-12  1楽章が「Allgro non molto」
  20. 460  Gmoll op11-6  1、3楽章が「Allegro non molto」
  21. 471  Cdur   1楽章が「Allegro molto」2楽章が「Larghetto」
  22. 481  Dmoll  2楽章が「Larghetto」3楽章が「Allegro molto」
  23. 492  Gdur  1楽章が「Allegro non molto」
  24. 493  Gdur  1楽章が「Allegro ma poco」
  25. 503  Bdur   1楽章が「Allegro non molto」3楽章が「Allegro molto」
  26. 504  Bdur  1楽章が「Allegro ma poco」2楽章が「Larghetto」
  27. 522 Amoll op3-8  2楽章が「Larghetto」
  28. 523  Amoll  1楽章が「Allgro molto」
  29. 525  Bdur  2楽章が「Larghetto」3楽章が「Allegro molto」
  30. 530  Bdur  op9-9  2楽章が「Largo e spiccato」
  31. 552  Adur  「遠くのこだま」 2楽章が「Larghetto」
  32. 565 Gmoll op3-11  2楽章が「Largo e spiccato」
  33. 549 Ddur op3-1  2楽章が「Largo e spiccato」

これらをひとまず「疑似ALA」と名付けるとともに、プレーンの「Allegro」「Largo」だけからなるパターンは「真正ALA」とする。昨日「真正ALA」が144曲中51曲をヴィヴァルディ協奏曲の根幹と位置付けた。惜しくも漏れた変化形「疑似ALA」は、派生形と受け取れる。このほかに1楽章または3楽章がテンポ表示をもっておらず、それ以外は「ALA」いう怪しいケースもあるにはあるが、きりがないので「真正ALA」と「疑似ALA」合計84曲、なんと58.3%が同パターンが占める。

 

 

 

 

2022年6月23日 (木)

ヴィヴァルディのALA

ヴィヴァルディの協奏曲を概観しているとほどなく気づかされる。

  • 第1楽章 Allegro
  • 第2楽章 Largo
  • 第3楽章 Allegro

3楽章構成が優勢のコンチェルトで、その3つの楽章が上記の通りになっているケースが非常に目立つ。ひとまずこのパターンを「ALA」と名付ける。多い多いと言っていてもブログにならぬから、試しに我が家所有のイムジチボックスのブックレットを頼りにカウントしてみた。まずは4楽章以上の楽章から成り立つコンチェルトは早々に脱落だ。「Allegro+α」や「Largo+α」も脱落とする。プレーンの「Allegro」がプレーンの「Largo」をサンドしているケースだけをカウントした。同ボックスに収録されているコンチェルトは全部で150曲。作品番号入りのものすべてとその他少々だ。このうち「ALA」型をRV番号順に列挙し、調性を添えておく。

  1. 117 Cdur
  2. 118 Cmoll
  3. 127 Dmoll
  4. 133 Emoll
  5. 161 Amoll
  6. 178 Cdur  op8-12
  7. 180 Cdur  op8-6
  8. 181 Cdur  op9-1
  9. 188 Cdur  op7-2
  10. 207 Ddur  op11-1
  11. 210 Ddur  op8-11
  12. 229 Ddur
  13. 236 Dmoll  op8-9
  14. 238 Dmoll  op9-8
  15. 239 Dmoll  op6-6
  16. 242 Dmoll  op8-7
  17. 253 Esdur 「海の嵐」op8-5
  18. 259 Esdur  op6-2
  19. 265 Edur  op3-12
  20. 269 Edur  「春」op8-1
  21. 279 Emoll  op4-2
  22. 280 Emoll  op9-7
  23. 284 Fdur  op4-9
  24. 310 Gdur  op3-3
  25. 316 Gmoll  op4-6
  26. 317 Gmoll  op12-1
  27. 332 Gmoll  op8-8
  28. 345 Adur  op9-2
  29. 347 Adur  op4-5
  30. 359 Bdur  op9-7
  31. 361 Bdur  op12-6
  32. 363 Bdur 
  33. 374 Bdur  op7-6
  34. 379 Bdur  op12-5
  35. 392 Ddur
  36. 393 Dmoll 
  37. 394 Ddur
  38. 397 Amoll
  39. 434 Fdur  op10-5
  40. 435 Gdur  op10-4
  41. 437 Gdur  op10-6
  42. 454 Dmoll
  43. 463 Amoll
  44. 464 Bdur  op7-7
  45. 499 Amoll
  46. 500 Amoll
  47. 519 Adur  op3-5
  48. 521 Adur
  49. 531 Gmoll
  50. 564 Ddur
  51. 580 Hmoll  op3-10

以上だ。収録協奏曲数150のうち、4楽章以上から構成されている作品6曲を控除し総数144曲のうち51曲35.4%が「ALA」だった。ヴィヴァルディ協奏曲の根幹をなす位置づけと解する。

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