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カテゴリー「300 作曲家」の106件の記事

2021年7月11日 (日)

話を繋ぐ

初対面から日の浅い者同士が同席した場合、会話が続かないということがままある。この時に起きる気まずい沈黙が苦手という向きは多い。ましてや相手が目上の人やいわゆる大物だったらこの気まずさはさらに増幅する。

相手と打ち解けて何ぼのベテラン営業マンは、経験上ノウハウを持っていることが多い。床屋さんやタクシーの運転手もきっと同じだと思う。つまりどんな相手でも間が持つ話題を1つ2つはいつも用意しているのだ。天気、ゴルフ、野球、他一般の時事ネタだ。これらを相手の性別、年齢やその場の空気により使い分けているのだ。

ブラームス相手にこれをやるのは至難の業だったらしい。元々有名人ハンターにつきまとわれることが多くて歳とともに警戒モードがエスカレートしたブラームスだから相手は大変だ。逆に言うとこの段階での気の利いたセリフ一つですっかり打ち解けた人もいるが、それはあくまでも少数派だ。

当時の楽壇を二分した大論争の片方の首領だということは、音楽関係者だったら皆知っていた。会話をつなぐためにワーグナー派批判を展開する輩が多かったらしい。ワーグナー作品への批判に加え、その取り巻きへの批判も含まれていよう。この手の輩は大抵、こっぴどく説教されたとホイベルガーが証言している。大して曲を知りもしないで、自分へのご機嫌取りのための発言であることがバレバレなのだ。

ワーグナーだけではない。過去の作曲家への安易な批判には断固抗議したという。バッハ、モーツアルト、ベートーヴェンに加えシューベルト、シューマン、メンデルスゾーン、ドヴォルザークあたりが擁護の対象だった。打ち解けた相手にはこれらの作曲家の批判もときたましているから、ただ闇雲に肩をもった訳ではない。

本人の作品を誉めるのはさらに逆効果だという。曲を深く知った上での発言かどうかがたちどころに判るからだろう。スイスの詩人でブラームスのお友達のヴィトマンの証言は興味深い。

スイスアルプスの絶景に触れ感動したヴィトマンは、ブラームスに向かって「このような素晴らしい景色は、詩や絵では表現出来ない」と言った。これに対してブラームスは「この正直者」と言ってたいそう喜んだという。「このような景色を見ると、先生(ブラームス)の交響曲○○番の第●楽章を思い出します」などと見え透いたことをいう輩が多いらしい。

もし私がブラームスに会ったらなんて言おうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

2021年4月27日 (火)

ニーノロータ

20世紀イタリアの作曲家だ。映画音楽の分野ではかなりな有名人。「ゴッドファーザー」「太陽がいっぱい」など名旋律が多い。中学校時代私も大好きだった。このほどふとした弾みで思い出した。「スターウォーズ」のオルガン版が欲しくて購入したCDに、ニーノロータ作曲の「オルガンのためのソナタ」が収録されていた。

20181110_090309
いやいや楽しいCDだ。冒頭はひとまずバッハだ。「トッカータとフーガニ短調BWV565」が枕替わりである。ダースベイダーのマーチは、オルガンで弾かれると説得力がある。それに加えてニーノロータとは恐れ入る。

 

 

 

 

2021年3月14日 (日)

組歌「四季」

知名度で申すなら、そりゃあヴィヴァルディにはかなわないが、瀧廉太郎にも四季がある。1900年に発表された組歌「四季」である。

  1. 納涼

上記の四部からなる。それぞれが春夏秋冬を表す。おそらくもっとも名高いのが「花」であろう。「春のうららの隅田川」と歌いだす。中学の音楽の時間に習った記憶がある。冬が雨ではなく雪になるところがイタリアとの違いだ。

2020年11月21日 (土)

ブリティッシュバロック

ブリテンの「青少年のための管弦楽入門」という作品は、パーセルの主題が変奏されることで成り立つ。極論するなら日本人のパーセル観は、この一点に集約されると申していい。中学時代の音楽の時間に聴かされる。

バッハより26歳年長の1659年生まれで1695年に没している。享年36歳は当時としても短命だろう。

食わず嫌いはいけない。ソナタにはまっている。

11月21日はパーセルの命日だ。

 

 

 

 

 

 

2020年11月 7日 (土)

余禄のお宝

若いころからバッハのガンバソナタのCDを集めていた。

  • ト長調BWV1027
  • ニ長調BWV1028
  • ト短調BWV1029

どんな演奏でも3曲で50分以内に収まるから、中にはおまけが収録されているCDがある。我が家のガンバソナタのCD全てに収録された「おまけ」を列挙する。

<CPEバッハ>J.S.バッハの次男。

  1. ガンバソナタニ長調Wq137
  2. ガンバソナタト短調Wq88
  3. ガンバソナタト短調BWV1020 旧バッハ全集ではJSバッハ作とされていた。
  4. ガンバソナタヘ長調BWV1022 同上

<W.F.バッハ>J.S.バッハの長男

  1. ガンバソナタハ短調

<C.F.アーベル>バッハと同時代のガンバ奏者でもある。

  1. 無伴奏ガンバのための3つの小品
  2. ガンバソナタホ短調

<Dスカルラッティ>

  1. チェロソナタニ短調 Kk90

<G.F.ヘンデル>

  1. ヴァイオリンソナタニ短調 HWV364b

<J.C.F.バッハ>

  1. チェロソナタイ長調

<J.L.クレプス>

  1. トリオハ短調WV473

<A.ヴィヴァルディ>

  1. チェロソナタ 変ロ長調RV47
  2. チェロソナタ ヘ長調RV41
  3. チェロソナタ イ短調RV43
  4. チェロソナタ 変ロ長調RV45
  5. チェロソナタ ホ短調RV40
  6. チェロロナタ 変ロ長調RV46

目的のバッハのガンバソナタを繰り返し聴いているうちにこれらの作品にも接することとなり、耳から鱗が落ちた。

 

 

2020年10月27日 (火)

リーガとウニオン

1618年から1648年まで、主にドイツを舞台に繰り広げられたカトリックとプロテスタントの争いが三十年戦争だ。典型的な後世のネーミング。1618年にプラハで始まった時には、当事者たちも周囲も「三十年戦争が始まった」とは思っていない。1648年に終わってみて、思えば1618年に始まった戦争だと総括した結果「三十年戦争」と命名された。

東軍対西軍の図式ではない。プロテスタント側を「ウニオン」といいカトリック側を「リーガ」という。「リーガ」の正式名は「Katholische Liga」という。ドイツサッカー国内リーグは「Bundesliga」の「リーガ」だ。

さて、その三十年戦争が終結した時点で、ドイツ国内におけるカトリックとプロテスタントの勢力図がかたまった。日頃「ドイツの作曲家」とひとくくりにされている作曲家たちを、出生地をキーにカトリックとプロテスタントに分類してみた。

<ウニオン>プロテスタント同盟

  1. シャイデマン
  2. シュッツ
  3. ブクステフーデ
  4. エルレバッハ
  5. パッヘルベル
  6. テレマン
  7. バッハ
  8. ヘンデル
  9. シューマン
  10. メンデルスゾーン
  11. ブラームス

<リーガ>カトリック同盟

  1. シュメルツァー
  2. ビーバー
  3. ハイドン
  4. モーツアルト
  5. ベートーヴェン
  6. ウェーバー
  7. シューベルト
  8. ワーグナー
  9. ブルックナー
  10. リヒャルト・シュトラウス
  11. マーラー

出身地がカトリックの領域で、没地がプロテスタントの領域である場合、またはその逆のケースなど厳密さに欠けるがそこはお遊びだ。このメンバーでサッカーをしたらどちらが強そうかなど、話題には事欠かない。

 

 

 

 

 

 

 

 

2020年10月26日 (月)

スカルラッティ生誕335年

チェンバロソナタで名高いドメニコ・スカルラッティは1685年10月26日の生まれ。生誕333年だとはしゃいだバッハやヘンデルとは学年違いの同い年だ。バッハとの扱いの差は歴然で申し訳ないが、本日は生誕335年のメモリアルデーだ。

もっぱら鍵盤楽器作品の作曲家と思われがちだがそこはイタリア人ということもあり、弦楽器作品も存在する。例によってビオンディさんがCDを出している。

2020年10月12日 (月)

ヴァイオリンとギターのためのソナタ

パガニーニの作品。全12曲なのだがビオンディが抜粋してCDを出している。パガニーニは超絶技巧のヴァイオリニスト兼作曲家だと思っていたらギターも弾けたらしい。ビオンディの演奏はいつも通り楽しい。超絶技巧を存分に楽しむのに持ってこいだ。

昨日のリストにははいりきれないので載っていない。これだけ別に持ち歩いている。

 

 

2019年12月10日 (火)

未亡人

配偶者を亡くしたご婦人という定義だと、やや物足りない。平均寿命の関係で夫に先立たれる妻は少なくないのだと思う。あくまでも直感だがそこそこの老齢に達している夫人が、夫に先立たれても、未亡人とは呼ばれにくいような気がしている。定義があるのだろうか。音楽史をひもとけばかなりの数の未亡人に遭遇する。バッハ2人目の妻アンナ・マグダレーナ、モーツアルト夫人コンスタンツェ、メンデルスゾーン夫人セシル、ドヴォルザーク夫人アンナ・チェルマコーヴァ、マーラー夫人アルマなどなどだ。

ブラームスの伝記にもこれまた数多くの未亡人が登場する。

  1. ロベルト・シューマン夫人のクララ。筆頭格だ。説明不要である。
  2. デニングホフ夫人のリースヒェン。ハンブルク郊外のヴィンゼンで製紙業を営むギーゼマンの娘。14歳でブラームスと知り合った幼なじみ。デニングホフ夫人となったが、娘アグネスがベルリン高等音楽院在学中に夫に先立たれる。窮状を知ったブラームスが奨学金の支給に尽力したことはよく知られている。
  3. カロリーネ・シュナック 父ヨハン・ヤーコプの2人目の妻。先夫との間にフリッツをもうけたが死別。
  4. セレスティーネ・トゥルクサ ブラームスの家政婦。1887年41歳の時、54歳のブラームスの面倒を見始め、最期を看取った人。文筆家の未亡人とされている。

男性の平均寿命が40代半ばだった時代、いわゆる未亡人が発生する確率は現代よりも高かったと思われる。

2019年11月23日 (土)

シューマンとの距離感

ブラームスの楽壇デビュウにあたり、ロベルト・シューマンの後ろ盾が大きく物を言ったことは、有名である。はじめてシューマン邸を訪問したブラームスの様子は、シューマン夫妻の日記の記述から克明に復元されている。

ブラームスがハンサムな若者だったこと、ガチガチに緊張していたこと、シューマンの態度はゆったりと寛大だったこと、すぐにクララを呼んで再度弾かせたこと、リストのサロンとは違って家庭的な雰囲気だったこと等等、みなよく知られている。シューマンはその後ブラームスを絶賛する記事を書く一方、作品を出版する労を惜しまない。それからわずか3年後にシューマンが没してしまった後も、その妻クララとは終生交流が続いたこと、周知の通りである。

ブラームスは、シューマンに感謝はしていたと思う。いや、していたに違いない。

ところがである。20歳そこそこでガチガチに緊張していたはずのブラームスは、敬愛するシューマンの薦めに従って、自作を無闇に出版しまくった訳ではない。シューマンに出版を薦められたいくつかの作品をブラームスは出版せずに破棄している。この事実は、相対的に無視されている。自分を楽壇に紹介してくれた恩人の薦めを冷静に受け止め、自作をじっと吟味する器をその若さで持ち合わせていたことこそが奇跡のように思える。

ブラームスは後年「シューマンに教わったのはチェスの指し方くらいだよ」と語ったとされている。さすがにそれはブラームス独特の逆説を含んでいるとも思われるが、一笑に付しきれない真実味も感じられる。「少なくとも作曲は教わっていないよ」という意味と解したら勘繰りが過ぎるだろうか?

何と言ってもブラームスにとってシューマンは「クララの夫」である。今風に申せば「シューマンは60%がクララの夫、40%が作曲家」くらいに思っていたなどということを想像したくなる。

一生考えて行きたい。

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