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2019年7月 8日 (月)

左手のためのセレナーデ

ブラームスはピアノ演奏から右手の参加を奪った形態に興味を持っていた節がある。クララ・シューマンの右腕の負傷を契機に生まれたシャコンヌニ短調が特に名高い。もしかするとそうした傾向はハンブルク時代の恩師マルクセンの影響かもしれない。

ブラームスは15歳で初めてのコンサートを開いた。バッハのフーガに混じって恩師の作品も演奏したという。その恩師の作品こそが本日のお題「左手のためのセレナーデ」である。CDや楽譜は探しきれていない。もしかするとブラームスのこの初コンサートのプログラムの中でのみ命脈を保っているのかもしれない。

 

 

2018年6月14日 (木)

架空決勝戦

ロシアワールドカップにイタリアは不出場。だからせめてブログ「ブラームスの辞書」上で対ドイツ戦をイメージしてみる。

<イタリア代表>

  1. GK   1  Carlo Farina
  2. DF   2  Giovanni Antonio Pandorfi Mealli
  3. DF   3  Gioseppe Torelli
  4. DF   4  Arcangero Corelli
  5. DF   5  Thomaso Antonio Vitalli
  6. MF   6  Thomaso Albinoni
  7. MF   7  Antonio Vivaldi
  8. MF   8  Francisco Geminiani
  9. MF   9  Fransisco Maria Veracini
  10. FW  10  Giuseppe Tartini
  11. FW  11  Pietoro Locatelli

<ドイツ代表>

  1. GK  1  Johann Heinrich Schmelzer
  2. DF  2  Dietrich Buxtehude
  3. DF  3  Heinrich Ignaz Franz von Biber
  4. DF  4  Johann Philipp Krieger
  5. DF  5  Johann Jakob Walther
  6. MF  6  Johann Pachelbel
  7. MF  7  Philipp Heinrich Erlebach
  8. MF  8  Georg Philipp Telemann
  9. MF  9  Georg Friedrich Handel
  10. FW 10  Johan Sebastian Bach
  11. FW 11  Johan Georg Pisendel

我が家にCDのある作曲家。生年を1600年からの100年に絞って、ドイツとイタリアに分けて生年順に並べてポジションを「4-4-2」に割り振った。見ての通り、我が家のコレクションの偏りから、鍵盤楽器、オペラ声楽系統の作曲家が漏れている。ドイツならシュッツ、イタリアだとスカルラッティ、モンテヴェルディなどが代表漏れした。

イタリアもドイツもそれっぽくなるから不思議だ。

まずはイタリア。GKのファリーナさんはこの中で最年長1600年のお生まれ。現代ヴァイオリン奏法の開祖コレルリがセンターバックに鎮座するのもありがたい。御大ヴィヴァルディはおそらく守備的ミッドフィルダーだ。長短のパスを散らさせたら右に出るものはいない。攻撃的ミッドフィルダ2人、ジェミニアーニ、ヴェラチーニ、とテクニシャンが並ぶ。悪魔的トラップでDF3人置き去りのタルティーニと、ロカテッリはテクが半端ないのでゴリゴリとドリブルで仕掛けてパスしなさそう。

でもってドイツ。「シュメルツァー」って鉄壁っぽい感じ。PK戦お任せで。右SBブクステフーデもいい感じ出してる。オルガンの大家なのだが「Vnとガンバのためのソナタ」が美しく代表入りを果たした。センターバック、クリーガーとワルターも名前で抑えられる。守備的ミッドフィルダーがパッヘルベル。いやはや渋い。攻撃的ミッドフィルダーのテレマンとヘンデルは華がある。JSバッハに「10番」が行くこと自体出来すぎている。

ボール支配率はテクに勝るイタリアに分があるものと思われる。ドイツは攻めさせてカウンター狙い。バッハさんは一人で何とか打開するだけのテクと経験がある。

2018年5月27日 (日)

Geystliches Gesamgk Buchleyn

1524年ヨハン・ワルター(1496-1570)によって編纂されたプロテスタント最初の賛美歌集のタイトル。ルター本人の序文がある。スペリングがいささか時代がかっている。バッハの時代からでも200年は遡るから致し方ない。バッハの時代なら「Geistliches Gesange Buechelein」とでもなっていたはずだ。

このほど同曲集から12曲抜粋のCDを入手した。

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ほんっとに美しい。通奏低音ばかりではなくて、金管楽器までも含む小アンサンブルが、清らかなヴォーカルを包み込む感じ。

2018年5月26日 (土)

三大ワルター

古い時代のドイツ音楽に親しんでいると「ヨハン・ワルター」という名前にしばしば遭遇する。大変紛らわしいので整理しておく。

<1>Johann Walter(1496-1570) ルターの宗教改革に呼応し、ルターの賛美歌集を出版。最古のプロテスタント賛美歌集の編纂者。作曲家作詞家。ルターの序文付きだから、かなりの権威だ。

<2>Johan Jakob Walther(1650-1717) 最古期のドイツヴァイオリン教本的曲集「ケリュスの園」の作曲者。ドイツ特産無伴奏ヴァイオリン作品の先がけ。

<3>Johan Gottlieb Walther(1684-1748) バッハと同時代の作曲家、音楽理論家、オルガニストだ。浩瀚な音楽辞典の編纂で名高い。

みな「Johan」がつく。最初のワルターさんだけ「Walter」で、あとの2人は「Walther」という具合に「h」が入る。

2018年5月25日 (金)

クリーガー問題

無知とは困った問題だとつくづく感じた一件がある。

ドイツバロックの情報収集をしていて「Krieger」という作曲家を調べていて軽い混乱を味わった。てっきり一人だと思っていたら実は兄弟だったという話だ。

<兄>Johann Philipp Krieger(1649-1725) ニュルンベルク生まれ。

  • オルガニスト兼作曲家としてデンマークやバイロイト、ハレで活躍した。ヘンデルを見出した人かもしれないという。
  • 相当な多作家だったと伝えられるものの残されてはいない。

<弟>Johann Krieger(1651-1735) ニュルンベルク生まれ。

  • オルガニスト兼作曲家としてバイロイト、ツァイツ、グライツで活躍したのち、ツィッタウに赴任し最後の任地となった。鍵盤楽器演奏の達人として君臨していた。
  • 最初の音楽教育を生地ニュルンベルクのゼバルドゥス教会で受けた。
  • 鍵盤楽器用の作品と声楽作品が残っている。

さらにだ。

これに賛美歌作曲家ヨハン・クリューガーJohan Krueger(1598-1662)まで加わって三つ巴の混沌になっていた。

2018年5月18日 (金)

作曲家リューベック

Vincent Luebeck(1654-1740)の姓は、世界遺産都市リューベックとスペリングが一致する。紛らわしいことに、彼の父も息子も「Vincent」を名乗った。パッヘルベルより1年後の生まれで、バッハより31歳年長だ。それなのに没年はバッハより10年早いだけである。つまり長生きだということだ。

ブレーメン近郊に生まれ、少年時代をデンマーク国境に近いフレンスブルクで過ごし、1675年21歳でシュターデのオルガニストに就任したのがキャリアのスタートだ。1702年にはハンブルク聖ニコライ教会のオルガニストになり、生涯その地位にあった。キャリアを見ても、世界遺産都市リューベックとの関係は浮上しないというのがまたややこしい。

バッハが1720年にハンブルクを訪問した際、ラインケンの他、リューベックの演奏も聴いている。

2018年4月12日 (木)

ミニョンのレクイエム

ブラームスの恩師シューマンにもラテン語の典礼文とは全く関係のないレクイエムがある。それが本日のお題「ミニョンためのレクイエム」だ。

ゲーテの「ウイルヘルムマイスターの修行時代」より第8巻第8章がテキストになっている。ラテン語ではなくドイツ語だ。全6曲で演奏時間は約15分弱だ。ミニョンとはゲーテの作品に登場する少女の名前だそうだ。

1863年11月15日、ウィーンジンクアカデミーの音楽監督に就任したブラームスは、最初の演奏会でバッハのカンタータ第21番「我が心は憂い多かりき」を演奏するが、その日のプログラムにこの「ミニヨンのためのレクイエム」もあった。曲の規模から申してメインプログラムとは言えないが、ここにシューマンの合唱曲を持ってくることには積極的な意味があると思う。バッハのカンタータとともに選んだシューマンは、自らの音楽的出自を顕すと解したい。名刺代わりの選曲だったと感じる。

何よりもこれは「ミニョンのためのレクイエム」ウィーン初演であった。

2018年2月23日 (金)

音楽の母

日本の初等教育においてヘンデルを指す通り名だ。

小学校の音楽室に飾ってある肖像や年表のもっとも端にいるのが、バッハとヘンデルだ。片方のバッハには「音楽の父」という称号が奉られてるいる。同い年でドイツ生まれのヘンデルは、男であるにもかかわらず「音楽の母」と呼ばれている。当時の音楽家はカツラをつけていて長髪に見えるから、同級生の間では「ヘンデルは女だ」と信じている奴もいた。

この言い回しの根拠はどこにあるのだろう。当時は純心だったが今となっては、眉に唾の一滴も塗りたくなる。ドイツ音楽偏重の音楽史観だと思う。後期バロックの2人が始原と位置づけられているだけで相当な怪しさだ。

まあよい。

ヘンデルのオルガン作品はオルガン協奏曲に偏っている。いわゆるオルガンコラールは見かけない。独奏曲はフーガが少々あるだけだ。

本日2月23日はヘンデル生誕333年のメモリアルデーだ。

2017年12月25日 (月)

アンカー

船の錨のこと。あるいはリレーの最終走者もアンカーと呼ばれる。小学校の紅白対抗リレーでは、アンカーが特にたすきをつけて走る場合もある。決着がアンカー勝負にでもなればレースは俄然白熱する。相当カッコいい。

音楽之友社刊行の作曲家◎人と作品シリーズ「ブラームス」の生涯編の最終ページで著者西原稔先生は「ブラームスの死をもってドイツロマン主義が終わった」と断言しておられる。話が大き過ぎて呑み込みきれていない。ドヴォルザークに継承権は無いとしてもブラームスの死後、Rシュトラウスやグスタフ・マーラーの活躍があったし、シェーンベルク、ベルクそしてウェーベルンの台頭もある。そんなことは百も承知でブラームスの死をドイツロマン主義の終焉と位置づけたのだ。

ブラームスの伝記の最終ページであるが故にそう断言したのだろうか。ブラームスははたしてドイツロマン主義のアンカーだったのだろうか。

おそらく第一走者はベートーヴェンなのだと思う。それ以降シューベルト、ウェーバー、シューマン、ワーグナー、メンデルスゾーンなどなど華麗なメンバーが走り抜けた。彼等の奮闘を受け止めて20世紀に繋ぐ役割を、本当にブラームスが担ったという意味なのだろうか。

紅白リレーのアンカーに比べると何だか切ない。紅一点のクララの死まで見届けての華麗なゴールインと呼ぶには少し抵抗もある。

ブログ「ブラームスの辞書」を長く続けるなかから答えが見つかればいいと思う。

2017年12月15日 (金)

抱き合え百万の人々よ

ドイツ語で「Seid umschlungen,Millionen」とされている語句だ。ベートーヴェンの第九交響曲の第4楽章に現れる。つまりシラーの「歓喜に寄す」の中にこの言い回しがあるということだ。

ヨハン・シュトラウス2世のワルツにもズバリ「Seid umschlungen,Millionen」がある。op443である。驚いたことにこの作品ブラームスに献呈されているらしい。1892年のことだ。

ヨハン・シュトラウス2世は、この文言がベートーヴェンの第九交響曲の一節と一致することを知っていたのだろうか。確認は出来ぬが知っていた可能性が高いと思う。贈られた相手のブラームスも当然知っていただろう。何かのパロディだったらオシャレだと思う。

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