弱進行
強進行の反対概念。古典的な和声学においては、根音進行がパターンによりランク分けされている。このうちもっとも必然性が高い進行を強進行と呼びならわしている。実例は以下の通りである。
- 完全4度上昇(5度下降)
- 2度上昇長短可
- 3度下降長短可(6度上昇)
「上がるンなら4度か2度、下がるンなら3度」ということだ。
それで、これら強進行以外を「弱進行」と総称していると言うわけだ。強い必然性を聴き手に想起させる進行以外の進行だ。
実はこの弱進行はブラームスの得意技と位置づけられていることがある。ロマン派屈指の曖昧コレクターブラームスとしては、必然性を想起させない進行が有力なツールになっているのだ。強い必然性とは「確固たる調性感」ということだ。強い必然性をはずした弱進行は、確固たる調性感を忌避するということだ。
それでいて調性崩壊の推進者でもないところにブラームスの真価があると思う。
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