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2022年1月 6日 (木)

グループリーグ結果

ブラームスの室内楽全24曲を参加国に見立てた疑似ワールドカップを進行中だ。昨日組み合わせを決定した。それはそれはもう楽しい作業だった。パズルとして一級と申し上げたい。本日はグループリーグの結果をレポートする。

<グループA>からは弦楽六重奏曲第1番が3連勝で余裕の首位通過だ。2位はクラリネットソナタ第1番が滑り込む。六重奏曲が勝ち点を集めすぎたために3位の勝ちが下がってしまい、ピアノ四重奏曲第2番が3位ながら決勝トーナメント進出を逃がした。

<グループB>からはピアノ五重奏との首位争いを制した「雨の歌」が首位通過した。クラリネットソナタ第2番が3位ながら決勝トーナメントに進んだ。

<グループC>はいわゆる「死の組」どこにも敗退のリスクがあるという意味だ。弦楽六重奏曲第2番、ピアノ三重奏曲第一番、チェロソナタ第一番の順で決勝トーナメント入り。

<グループD>ニ短調ヴァイオリンソナタを得失点差でかわして、ピアノ四重奏曲第1番が首位通過。ホルン三重奏曲も狙い通り3位で通過にこぎつけた。

<グループE>ここもまたグループA同様首位のピアノ四重奏曲第3番が3連勝で通過した。弦楽五重奏曲第2番も手堅く勝ち点を拾ったおかげで、3位のチェロソナタ第2番が決勝トーナメント進出を逃がした。

<グループF>ここも「死の組」。クラリネット五重奏、弦楽四重奏曲第3番、ヴァイオリンソナタ第2番の順で決勝トーナメント進出を果たした。

2022年1月 5日 (水)

組み合わせ決定

室内楽カップの組み合わせが下記の通り決定した。グループ内で総当たり戦を行い、上位2曲12作品に加えて、3位の中から成績優秀の4曲が決勝トーナメントに進む。各組の記載はポット順とする。

<グループA>

  1. 弦楽六重奏曲第1番変ロ長調op18
  2. ピアノ四重奏曲第2番イ長調op26
  3. ピアノ三重奏曲第2番ハ長調op87
  4. クラリネットソナタ第1番変短調op120-1

<グループB>

  1. ピアノ五重奏曲ヘ短調op34
  2. 弦楽四重奏曲第1番ハ短調op51-1
  3. クラリネットソナタ第2番変ホ長調op120-2
  4. ヴァイオリンソナタ第1番ト長調op78

<グループC>

  1. 弦楽六重奏曲第2番ト長調op36
  2. 弦楽四重奏曲第2番イ短調op51-2
  3. ピアノ三重奏曲第1番ロ長調op8
  4. チェロソナタ第1番ホ短調op38

<グループD>

  1. 弦楽五重奏曲第1番ヘ長調op88
  2. ピアノ四重奏曲第1番ト短調op25
  3. ホルン三重奏曲変ホ長調op40
  4. ヴァイオリンソナタニ短調op108

<グループE>

  1. 弦楽五重奏曲第2番ト長調op111
  2. ピアノ四重奏曲第3番ハ短調op60
  3. クラリネット三重奏曲イ短調op114
  4. チェロソナタ第2番ヘ長調op99

<グループF>

  1. クラリネット五重奏曲ロ短調op115
  2. 弦楽四重奏曲第3番変ロ長調op67
  3. ピアノ三重奏曲第3番ハ短調op101
  4. ヴァイオリンソナタ第2番イ長調op100

グループAのみ長調3曲の短調1曲となったが、他は長短仲良く2曲ずつだ。各G内に同じ主音の調が無い。弦楽器のみの室内楽がどの組にも最低1曲は入っている。クラリネット入り作品は同一G内に複数存在しない。グループFを構成する作品の調性を見てほしい。「H、B、C、A」となる。入れ替えると「BACH」が完成する。

 

2022年1月 4日 (火)

ポット分け

ブラームスの室内楽24曲をワールドカップの組み合わせ抽選よろしく4作品ずつA~Fの6組に分けてみる。その際のルールを下記の通り定める。

  1. 五重奏または六重奏が各組に必ず1曲入る。
  2. 四重奏が各組に必ず1曲入る。
  3. 同じ調または同主調の作品が同一Gに複数存在しない。
  4. 各Gには長調短調の作品が2つずつ同居する。ただしA組は例外とする。
  5. ピアノを含まない作品が各Gに最低1曲は入る。
  6. クラリネット入りの作品が同一グループに複数存在しない。

上記を満たすべくポッド分けを行う。これで各ポット6曲ずつとなるが、二重奏ソナタが7曲で、三重奏が5曲なので、二重奏ソナタから1曲が第三ポットに回る。(※)

  • 第一ポット 五重奏と六重奏
  • 第二ポット 四重奏
  • 第三ポット 三重奏※
  • 第四ポット 二重奏ソナタ※

上記ポット分けで組み合わせルールの1と2に対応できる。

第一ポット6曲を、作品番号の若い順に以下の通り各グループに自動的に配分する。

  • グループA 弦楽六重奏曲第1番変ロ長調op18
  • グループB ピアノ五重奏曲ヘ短調op34
  • グループC 弦楽六重奏曲第2番ト長調op36
  • グループD 弦楽五重奏曲第1番ヘ長調op88
  • グループE 弦楽五重奏曲第2番ト長調op111
  • グループF クラリネット五重奏曲ロ短調op115

さあ抽選だ。

2022年1月 3日 (月)

室内楽マラソン

ブラームスの室内楽全24曲の演奏時間はおよそ12時間になる。これを一日で聴くとどうなるかというお話。生ではとてもしんどい。トイレも食事もある上に、客席の椅子は窮屈だ。DVDまたはCDとしよう。どこぞのリゾートホテルに一日こもってサンドイッチやコーヒーを用意してソファにふんぞり返って楽しもうという設定だ。

<持ち物>

  1. CD
  2. DVD
  3. プレーヤー
  4. コーヒーセット
  5. サンドイッチ
  6. ホットドッグ
  7. おにぎり
  8. ワイン
  9. ビール
  10. ケーキ
  11. クッキー
  12. フルーツ
  13. 完璧な体調

<日程>

  • 06:00 起床
  • 07:00 ①ピアノ三重奏曲第1番 朝食をとりながら。第一楽章は意外と朝食向き。
  • 07:40 ②弦楽六重奏曲第1番
  • 08:15 休憩
  • 08:30 ③ピアノ四重奏曲第1番 長い作品が午前中にあるのはありがたい。
  • 09:40 ④ピアノ四重奏曲第2番
  • 10:30 休憩
  • 10:45 ⑤ピアノ五重奏曲
  • 11:30 ⑥弦楽六重奏曲第2番
  • 12:15 休憩 ランチのつもり
  • 12:45 ⑦チェロソナタ第1番
  • 13:10 ⑧ホルン三重奏曲
  • 13:40 休憩 コーヒーを多めに
  • 13:55 ⑨弦楽四重奏曲第1番
  • 14:25 ⑩弦楽四重奏曲第2番
  • 15:00 休憩
  • 15:15 ⑪ピアノ四重奏曲第3番
  • 15:50 ⑫弦楽四重奏曲第3番
  • 16:15 休憩 軽くワイン可能。ちょうど半分。
  • 16:30 ⑬ヴァイオリンソナタ第1番
  • 17:00 ⑭ピアノ三重奏曲第2番
  • 17:30 休憩
  • 17:45 ⑮弦楽五重奏曲第2番
  • 18:15 ⑯チェロソナタ第2番
  • 18:45 休憩 もっとも長い45分の休憩。ビール可。
  • 19:30 ⑰ヴァイオリンソナタ第2番
  • 19:55 ⑱ピアノ三重奏曲第3番
  • 20:15 休憩
  • 20:30 ⑲ヴァイオリンソナタ第3番
  • 20:55 ⑳弦楽五重奏曲第2番
  • 21:25   休憩
  • 21:40 ㉑クラリネット三重奏曲
  • 22:05 ㉒クラリネット五重奏曲
  • 22:45 休憩
  • 23:00 ㉓ヴィオラソナタ第1番
  • 23:25 ㉔ヴィオラソナタ第2番
  • 23:50 お開き

我ながら完璧。演奏会ではないので、咳払いもくしゃみもOK。缶ビール開けたり、ケーキを切ったりもできる。コーヒーをハンドドリップしながらでもいい。お湯はわかしておかないと。

箱根駅伝の往復を1日で済ます感じだが、なんだかやれそうな気がしてきた。

 

2022年1月 2日 (日)

室内楽楽章別ベスト10

ブラームスの室内楽は24曲ある。それらは91の楽章で構成される。4楽章制19曲、3楽章制5曲である。(4*19)+(3*5)=91だ。本日はその91楽章から私的ベスト10を選ぶというお遊び。24作品から10作のチョイスよりも話が深まる。作品として上位10作にランクインしない曲の中にも魅力的な楽章があることも少なくない。

  1. 弦楽六重奏曲第1番op18の第1楽章 変ロ長調
  2. 弦楽六重奏曲第1番op18の第2楽章 ニ短調
  3. ピアノ四重奏曲第1番op25の第3楽章 変ホ長調
  4. ピアノ五重奏曲op34の第3楽章 ハ短調
  5. ピアノ四重奏曲第3番op60の第3楽章 ホ長調
  6. 弦楽四重奏曲第3番op67の第3楽章 ニ短調
  7. ヴァイオリンソナタ第1番op78の第1楽章 ト長調
  8. ヴァイオリンソナタ第2番op100の第3楽章 イ長調
  9. クラリネット五重奏曲op115の第2楽章 ロ長調
  10. ヴィオラソナタ第2番op120-2の第2楽章 変ロ短調

上記は作品番号順の配列であり、そのままランキングではない。10曲選ぶ楽しさよりもいくつか切らざるを得ないつらさが身に染みた。

楽章別でこのありさまだから旋律別にしたらもっとカオスに違いない。対旋律の扱いとか課題も多い。

 

2021年8月25日 (水)

Massigの取説

死と乙女 」で思い出した。フィッシャーディースカウ先生の大著「シューベルトの歌曲をたどって」の135ページのことだ。「死と乙女」D531の演奏に際しての考察の中で、同曲イントロ冒頭の「Massig」(赤文字はウムラウト)の解釈について意見を述べておられる。「はたしてどんなテンポで演奏されるべきか」という課題の提示とも映る。楽譜上のドイツ語による指示は「明白さと正確さの点でイタリア語指示に劣る」と断言しておられる。軽い驚きがある。ドイツ語のネイティヴな話者であり、ドイツリート演奏の第一人者にしてなお、音楽用語においてはイタリア語の方が明瞭だと断言している点だ。演奏前の準備としてこれら用語の解釈を怠らない点、目から鱗でもある。

先生は歌曲における「Massig」実例の分析から、おおむね「Modearto」と位置付けながらもあくまでも慎重な姿勢を崩さない。アラブレーヴェという拍子を考慮すれば妥当なテンポに収まるとひとまず落とす。

さらに慎重に同名の名高い二短調弦楽四重奏曲の第二楽章を参照する。同書が歌曲以外の作品に言及する稀な例の一つだ。歌曲「死と乙女」のイントロのピアノ伴奏部を主題とする変奏曲になっているとシンプルな指摘に続き、テンポ指定が「Moderato」ではなく「Andante con moto」であることをもって、作品演奏の際のテンポの採用には慎重な準備と検討が欠かせないと釘を刺す。

ああ。何ということだ。書籍でもブログでも「ブラームスの辞書」は「Massig」を「Moderato」に比定 している。ブラームス作品の用語使用実態から到達した仮説だ。フィッシャーディースカウ先生がシューベルト演奏の解釈面からそこにたどり着いたことは深くて重い意味がある。「Massig」の解釈のために「死と乙女」にとどまらぬ他の作品での用例を分析したというのがまた象徴的だ。用語使用分布の分析が解釈に役立つというお考えに違いないからだ。「ブラームスの辞書」のコンセプトそのままではないか。

すごく嬉しい。

2021年8月24日 (火)

死と乙女

知名度で申すなら数あるシューベルト歌曲の中でも頂点付近に位置すると思われる。テキストはクラウディウス。文字通り死と少女の対話。魔王と並ぶ怪奇系の双璧。音楽のおかげで極端な怪奇的にならずに劇的という範囲にとどまる。

イントロに現れる「タンタタ」というリズムは「ダクテュルス」と呼ばれている。アクセントがある長い音符に短い音符2つが追随するなどという説明よりもベートーヴェンの第七交響曲の第二楽章冒頭のリズムと申し上げた方が早い。シューベルトはこのリズムを愛好したと見えて、偶然とは思えぬ頻度で出現する。3つの音高が変わるケースまで入れればしょっちゅうという感じでさえある。

さて知名度の押し上げに寄与しているのは弦楽四重奏曲第14番ニ短調だろう。第二楽章に歌曲「死と乙女」の伴奏パートが主題として現れる。もろに「ダクテュルス」だ。テキストに付与された旋律をスルーしてこのイントロ音型を主題として採用し、あろうことか変奏の主題としている。私にとってはシューベルト室内楽の頂点に長く君臨する。初めて買ったCDはアルバンベルクSQの演奏だったが、これが脳みそに刷り込まれてしまい他の演奏を受け付けにくくなっている。

 

2021年7月28日 (水)

就職試験

1857年5月31日。ブラームスはデトモルトの宮廷を訪問して1週間滞在した。同宮廷でピアノを教えていたクララ・シューマンが英国に演奏旅行することになったために、クララ自身がブラームスを後任に推挙したためだ。その1週間、ブラームスはピアノを教えるかたわら、バッハやベートーヴェンの作品を演奏する機会を与えられた。いわば就職試験である。

結果はもちろん合格。そりゃあまあクララの推挙だから限りなく当確なのだろうが、一応試用期間があったと見るべきだろう。

なんということか、その期間中、ブラームスはシューベルトのピアノ五重奏曲イ長調「ます」をピアニストとして演奏した。同曲第4楽章は歌曲「ます 」D550の旋律がそのまま引用された変奏曲である。ピアノパートがどれほどの腕前を要求されるものかわからぬが、15歳で「ワルトシュタイン」を弾いたブラームスだから問題は生じなかったと思われる。聴いてみたい。

「Fischer」でネタで忙しくて言い忘れた。

 

2021年7月25日 (日)

ます

オリジナルでは「Die Forelle」と綴る。魚の「ます」である。ドイチュ番号「550」を背負うシューベルト歌曲の代表格で知名度で申すなら頂上付近だ。ピアノ五重奏にも主題が転用されて名高い。シューバルトという名前の紛らわしい詩人のテキスト。バランスのとれた有節歌曲だ。

小川を元気に泳ぐますの描写に始まるが、狡猾な漁師の策にはまって釣られてしまう。水を濁らせるところの引き締まった転調がシャープだ。オリジナルには、だから身を慎みなさいと言う教訓を含むのだが、その部分は省略されている。

そう。タイトルにこそ現れないがこれもFischerが出現する。

2021年6月27日 (日)

歌曲から室内楽へ

ヴァイオリンソナタ第一番ト長調op78は「雨の歌」と呼ばれている。第三楽章の主要主題が歌曲「雨の歌」op59-3の旋律をそっくりそのまま採用しているせいだ。歌曲オリジナルは嬰へ短調だが、ヴァイオリンソナタへの移植にあたってト短調に移調されているものの、雨脚の描写かとも思われる伴奏の16分音符までそっくりである。

歌曲旋律の室内楽への転用はシューベルトにまばゆい前例がある。「ます」と「死と乙女」である。どちらも変奏曲の主題となっている。

シューベルト大好きのブラームスが真似したのかもしれない。

やっと、シューベルトにたどり着いた。

 

 

 

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