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カテゴリー「206 協奏曲」の61件の記事

2019年9月23日 (月)

ピアノ協奏曲ヘ短調

クララ・シューマンに未完成のピアノ協奏曲があったことは割と知られている。本日のお題の通りヘ短調だ。第一楽章の断片だと考えていい。1847年だから28歳のクララの作品である。完成に至らなかったのは、長男の死去と時期が重なっている点を指摘する向きもある。この作品の冒頭には古式通りの管弦楽だけによる提示部がある。これが古来ブラームスの第一交響曲冒頭との類似を指摘されてきた。ブラームスが14歳の頃の作品だから、伝播の向きは「クララ発ブラームス」だ。

実際に聴いてみる。骨太の旋律が弦楽器で奏でられる。ショパンのコンチェルトみたいな印象。この時にティンパニがどっしりと刻み続ける。このティンパニ連打が、ブラ1と似た印象を与えるのだと推測する。我が家には楽譜がない。CDを聴いた感じだけで申せば、これを似ているに加えるのはいささか心許ない感じがする。

どこかに楽譜がないものか。

2019年9月22日 (日)

組織委員会

オリンピックやワールドカップなどの大きなイベントになると、その準備や運営は個人の力では難しくなる。しからばとばかりに組織委員会が編成される。

 

1880年5月3日ボンにおいてロベルト・シューマン記念碑の除幕式が行われた。式典の前日を含めた2日間の進行を司る組織委員会が発足した。この委員会は2人の人物の共同指導体制だった。2人とはヨーゼフ・ヨアヒムとヨハネス・ブラームスだった。そして主役はロベルト・シューマン未亡人のクララである。

 

故ロベルトの信頼厚き2人の大音楽家をいただく組織委員会によって周到に計画されたイベントだったらしい。前日2日には記念の演奏会が催されロベルトの作品がいくつも演奏されたという。

 

演奏曲目を調べていて驚喜した。ブラームスのヴァイオリン協奏曲があったのだ。おそらく2日の夜だったと思われる。指揮は作曲者ブラームス本人で、ヴァイオリン独奏はヨアヒム。初演と同じ組み合わせだ。組織委員会トップの2人による渾身の演奏だ。

 

そしてもちろん60歳のクララがこれを聴いていたのだ。

2019年4月 7日 (日)

4つのヴァイオリンのための協奏曲

「4つのヴァイオリンのための協奏曲」といえばヴィヴァルディの調和の霊感op3-4を背負ったホ短調が名高い。編成は言わずもがな、独奏ヴァイオリン4本に通奏低音を伴う弦楽合奏だ。テレマンの「TWV54:A1」を付与されたイ長調コンチェルトがこの編成だ。

ところが「TWV40:200」からの4曲もまた「4つのヴァイオリンのための協奏曲」扱いになっている。作品番号の若い順にト長調、ニ長調、ハ長調、イ長調だ。ヴィオラの解放弦の順番を少々いじったようにも見える。

さらに決定的に興味深いのは楽器編成だ。本当にヴァイオリン4本だけなのだ。弦楽合奏はおろか通奏低音さえ伴っていない。実際に聴いてみると事実上の「ヴァイオリン四重奏」だ。コンチェルトの語感につきまといがちな超絶技巧感はない。ここいらの品ぞろえ豊富なところが多作家テレマンの醍醐味だ。

2019年3月28日 (木)

無理もないが

テレマンの「ドンキホーテのブルレスケ」のCDの話。ファビオ・ビオンディ率いるエオウロパガランテのCDを発見して小躍りしながら買い求めたのは一昨年の9月28日だった。ちょうどビオンディのリサイタルの1週間後だった。存在は知っていながら長らく見つけられずにいたから本当にうれしかった。

収録されているのは下記の通り。

  1. 3つのヴァイオリンのための協奏ヘ長調 TWV53:F1
  2. 組曲「ドンキホーテのブルレスケ」 TWV55:G10
  3. ヴィオラ協奏曲ト長調 TWV51:G9
  4. 2つのヴァイオリンのための協奏曲ハ長調 TWV52:C2
  5. 組曲「変化」 TWV55:g10

このうち1番目と4番目の独奏者には、もちろんビオンディを含む。店頭で収録曲目を見たとき、ヴィオラ協奏曲を発見してほくそ笑んだ。まさかビオンディがヴィオラ持ち替えなどということはあるまいなと。

帰宅。着替えももどかしくブックレットを開く。がっかりだ。独奏ヴィオラはビオンディではなかった。ジョルディ・サヴォールとのブランデンブルク協奏曲第6番では、ヴィオラを弾いてくれていたから期待したが残念。学生時代以来のヴォルフラム・クリフト版とは違う。そりゃそうでこちらはピリオド楽器だ。テオルボまで加わっているからなおさらだ。

チェンバロは先般のリサイタルでも聞かせていただいたポンセさんだ。写真も載っていた。

2019年3月27日 (水)

ドンキホーテのブルレスケ

「TWV55:G10」を背負うテレマンの組曲。「Burlesque de Quixotte」という。「ブルレスケ」は「おふざけ」「滑稽」くらいの意味。

  1. 序曲
  2. ドンキホーテの目覚め
  3. ドンキホーテの風車攻撃
  4. ドゥルシネア姫によせる愛の溜息
  5. かつがれたサンチョパンサ
  6. ロシナンテのギャロップ
  7. サンチョのロバのギャロップ
  8. 眠りにつくドンキホーテ

ドンキホーテの愉快な一日をトレースしているとも思われる。ガリヴァーやドンキホーテなど文学作品を題材に求めた描写音楽が巧みだ。

2019年3月25日 (月)

TWV51:G9

テレマンのト長調ヴィオラ協奏曲の作品番号だ。「51」は独奏楽器1本の協奏曲を表す。「G9」の「G」はト長調で「9」は独奏楽器1本のト長調協奏曲の「9番目」という意味である。

バロック時代のヴィオラ協奏曲の貴重なレパートリーの一つだなどどいっている場合ではないくらいレアだ。テレマンの協奏曲はひとまずおよそ130曲知られていて、このうち独奏楽器が1本のものが57曲ある。ヴァイオリンが最も多くて26曲あるのだが、ヴィオラは本日話題のト長調1曲だけだ。

さらに独奏楽器2本以上の協奏曲に範囲を広げて探してもヴィオラは独奏楽器に選ばれていない。ヴィオラと通奏低音の二重奏曲を探すとわずかに見つかるが、これはガンバとの持ち替えだったりするので怪しい。

どういう経緯で作曲されたかはわからぬが感謝だ。

 

2018年7月17日 (火)

Per eco in lontano

もっぱら「遠くのこだま」と訳されるヴィヴァルディの「2つのヴァイオリンのための協奏曲」イ長調RV552だ。ここ日本では、なんたって「四季」で名高いヴィヴァルディ、百歩譲っても「調和の霊感」どまりの受容っぷりなのだが、この曲は気に入っている。特に第一楽章だ。丁寧なあいさつを思わせるエレガントなたたずまいがとてもいい。四季の両端楽章はしばしば鋭角的なのだが、こちらは丸みを帯びている。

2018年3月15日 (木)

ビオンディ

昔こういう名前の水泳選手がアメリカにいたからショップでCDを手に取ったときは面食らった。もちろん別人なのだがイタリアのバロックヴァイオリン奏者にファビオ・ビオンディがいる。

我が家にもCDがある。ヴァイオリンソナタはとても気持ちがいい。バロックヴァイオリンは、ヴィオラダガンバほどではないにしても響きが心細いと感じていたが、この人は例外だった。イタリア人のバッハ云々という屁理屈を笑い飛ばしてくれる爽快な演奏だ。バッハを振り回しているとでも申せばいいのだろうか。

同じくバッハのヴァイオリン協奏曲にも風変わりなCDがある。定番のイ短調やホ長調、あるいはドッペルには華麗なスルーをかまして、チェンバロ協奏曲の原曲の再現としてのヴァイオリン協奏曲を入れている。正規なヴァイオリン協奏曲ホ長調はチェンバロ版になっているというはぐらかし方が痛快だ。

すごいすごいとうわさのヴィヴァルディは、ベストセラーのイムジチの演奏が刷り込まれきっている脳みそには刺激が強い。でも楽しい。顔をしかめる向きは多いのだろうが知ったことではない。さらに「調和の霊感」op3はもっとすごい。ヴァイオリン練習用として名高いイ短調op3-6は異次元だ。課題研究にと初心者が聴いたら腰を抜かすだろう。学生時代に合奏に参加した曲が多いのだが、既成概念を根底から揺さぶってくれる。

今日はビオンディの誕生日だという。長男と同じだ。

2018年3月 7日 (水)

研究対象

バッハは、ヴィヴァルディのコンチェルトを編曲しているのでBWV番号の若い順に列挙する。ここいらの作品が存在することで、ヴィヴァルディが知られ始めたと考えていい。

<オルガン用>

  1. BWV 593 ハ長調 op3-8 2Vn
  2. BWV 594 ハ長調 op7-11 VnSolo
  3. BWV 596 ニ短調 op3-11 2Vn+Vc

<クラヴィーア協奏曲用>

  1. BWV 972 ニ長調 op3-9 VnSolo
  2. BWV 973 ト長調 op7-8 VnSolo 
  3. BWV 975 ト短調 op4-6 VnSolo
  4. BWV 976 ハ長調 op3-12 VnSolo
  5. BWV 978 ヘ長調 op3-3 VnSolo
  6. BWV 980 ト長調 op4-1 VnSolo
  7. BWV1065 イ短調 op3-10 VnSolo

2017年11月 2日 (木)

Dという根幹

ブラームスが残した協奏曲は全部で4つだ。

  1. ピアノ協奏曲第1番ニ短調op15 ニ短調ニ長調ニ短調
  2. ヴァイオリン協奏曲ニ長調op77 ニ長調→ヘ長調→ニ長調
  3. ピアノ協奏曲第2番変ロ長調op83 変ロ長調→ニ短調→変ロ長調→変ロ長調
  4. ヴァイオリンとチェロのための協奏曲イ短調op102 イ短調→ニ長調→イ短調

見ての通り、4つの協奏曲全てに「D」を主音とする楽章がある。「D」を主音とする最初の2つは、当たり前の話だが、後の2つにニ短調とニ長調が現れるのは、一段と有り難みが増す。

おそらく偶然なのだと思う。けれどもこういう偶然を、ひるまずに記事にして行かないと2033年までは持たない。

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