Fahr Wohl
作品番号93aとしてまとめられた6曲のうちの4番目。「さよなら」という邦題が与えられている。変イ長調8分の6拍子で、全長19小節、演奏時間にして2分弱の愛らしい合唱曲。混声四部合唱がリュッケルトのテキストをアカペラで歌う。
1897年4月6日ヨハネス・ブラームスの葬儀の日、棺は自宅からウィーン中央墓地に直行せずに長く親しんだ楽友協会に立ち寄る。葬列の到着にあわせて歌われたのがこの曲だ。
楽友協会への到着とともに歌い始められて、最後まで演奏したとしても2分弱だ。伴奏を持たぬアカペラということも屋外での演奏に適していたと思う。屈託のない変イ長調というのが、かえって悲しみの表現に相応しい。
誰の選曲だろう。数あるブラームス作品の中から1曲を選ぶ困難な作業を誰が受け持ったのだろう。合唱団は急遽集められて練習したのだろうか。あるいは万が一の場合はこの曲をとばかりに生前のブラームスが誰かに託したのだろうか。
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