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カテゴリー「732 レッスン」の70件の記事

2010年6月 7日 (月)

Andante religioso

「ゆっくりと敬虔に」と書けばマルがもらえる。「ブラームスの辞書」には載っていない。つまりブラームスは一度も使っていないということだ。そもそも「religioso」が一切現れない。

昨日次女のヴァイオリンの発表会だった。次女が挑んだ「タイスの瞑想曲」の冒頭に本日話題の「Andante religioso」が鎮座している。ここから作品の解説に走る愚は犯すまい。

この度の発表会を以て、4歳から続いたヴァイオリンのレッスンを止める。次女自身が決めて、自分の言葉で先生に伝えていた。だから今回は集大成。やがて来月には部活も引退し受験に備える。先般オケの演奏会に出かけた第一志望に挑むためだ。そこでオーケストラに入り、ヴァイオリンをやるという決意を先生に伝えた。ヴァイオリンを選ぶことについて私は何のアドヴァイスもしなかった。先生も私もトロンボーンを選ぶのかと思っていたから本当に驚いた。

ここ2ヶ月彼女の練習を横で聴いているのは楽しかった。表現の幅が見る見るうちに広がってゆく感じ。課題の設定&トライのルーチンを中学生なりに盛り込んだ練習にほぼ毎日取り組んだ。練習の後に感想を言うのは5日に1度くらい。一度片づけたヴァイオリンをまた取り出して親子で議論したこともある。彼女の演奏にああだこうだ言う資格はもはやない。音楽をネタに娘と会話が出来る喜びだけが目的だった。私の道楽で始めさせたヴァイオリンを心から受け入れてくれたと判る。

そして昨日の本番。10年の歩みと決意をこめたタイスだった。また戻って来るためのタイス。恥ずかしながら今までの発表会は、楽譜通りに間違いなく弾けるかどうかがゴールの判定基準だった。今回は6度目にして初めて、そこをスタートラインにすることが出来た。今までに何度も聴いた名曲だが、これほど心が動いたことは無かった。天にも昇るような5分間に敬礼。

そしてそして敬虔な偶然がふたつ。

昨日は私の伯母の通夜だった。急死だったから驚いた。大忙しの一日になったが予定通り弾かせてやれた。もし告別式と重なっていたらキャンセルだったかもしれない。

それからもう一つ。10年を越えるレッスンの間、ピアノと合同の公式発表会でブラームスを弾いた者は、講師生徒を合わせても一人もいなかった。そんなモノかと諦めていた。ところが次女ラスト発表会の昨日、トリの一人前の女性がブラームスを2曲弾いた。作品118から1番と2番だ。何というタイミング、何という選曲。

次女と歩んだ10年がブラームスから祝福を受けたと考えねば辻褄が合わない。伯母には冥福を、高校オケへのチャレンジにはブラームスとドヴォルザークのご加護を、ただただ祈るばかりの「Andante religioso」だ。

2009年10月14日 (水)

レッスン10周年

1999年10月14日娘たちが初めてヴァイオリンのレッスンに行った日だ。あれから10年が過ぎた。長女は昨年5月にレッスンをやめたが、次女が続けてくれているおかげで今日の日を迎えることが出来た。娘たち2人を巻き込んだ私の道楽である。

情操教育とは対極にある。完全に私の趣味で押し付けたのに、次女はよくがんばっている。このところ個人練習への取り組みが、板についてきた。練習に意図がある感じだ。音にコシが出てきた。チューニングの音も以前とは違う。

隣で練習を聴いているだけでも楽しい。

一方、ブラスバンドも順調だ。アンサンブルコンテストに向けての取り組みが忙しい。一昨日アンサンブルコンテストに参加するグループを決める校内予選があった。同学年の仲間3人とトロンボーン四重奏で参加した。ギリギリのところで滑り込んだらしい。

芸術の秋、二足のわらじ。

昨夜8時頃、誰かが「222222番」のキリ番を踏んだ。

2009年2月18日 (水)

暗譜安の初見高

「あんぷやすのしょけんだか」と読んで欲しい。どうもこれが次女の癖だ。

ヴァイオリンを一緒に練習していても感じるが、どうも次女は初見が利かない。レッスンで新しい課題が出るともじもじとしてなかなか先に進まない。臨時記号はもちろん弓のアップダウンなど音の高さ以外にも同時に読み取るべき情報は多いが、思うに任せない。あちら立てればこちらが立たずという具合に、複数の情報を同時に処理出来ない感じだ。音符配置を呑み込むまで時間がかかる。この感覚は理解出来る。大学1年でヴィオラ初心者だった私も極端に初見が苦手だった。

ところが、初見苦手で立ち上がる次女のレッスンなのだが、暗譜は得意と胸を張る。これはヴァイオリンでもトロンボーンでも同じらしい。初見が苦手という自覚があるから、一生懸命練習しているうちにいつも暗譜してしまうらしい。「暗譜なら誰にも負けない」と言っている。おおお。

初見はある程度利いた方がいいと思うから、少し初見の練習もしようと思うが、それと引き替えに暗譜力が落ちてこないように注意しなければなるまい。

20世紀初頭を飾る大ヴァイオリニスト、フリッツ・クライスラーは、ウィーン・フィルへの入団を希望したが、「初見の能力」に疑問符がついたために許可されなかったという。

2009年1月 8日 (木)

妹の視線

長女の受験レースはいよいよ胸突き八丁だ。この冬休みの集中ぶりはすさまじかった。それを見ていた次女がポツリと言った。

「お姉ちゃん去年の5月にヴァイオリンやめて良かったんじゃない」「お姉ちゃんは、やっぱり音楽が好きじゃないんだよ」「もう私のほうがヴァイオリン上手いし」

「ほう」「何で」とさらに水を向ける。

「好きじゃないのに無理してても気の毒なだけだと思う」「私は音楽好きだからトロンボーンにもヴァイオリンにもがんばれる」

細かいところまで観ているものだ。

「その代わり、今のお姉ちゃんの勉強への集中は凄い」「とても真似出来ない」「そんなお姉ちゃんにヴァイオリンさせてたらかわいそうだ」

肩の荷が降りた。昨年6月長女のヴァイオリンを止めさせる決断以来ずっと背負ってきた荷物が軽くなった。一連のやりとりにはお姉ちゃんがヴァイオリンをやめたことに対する批判がましいニュアンスは全く無く、むしろ受験勉強の集中力を素直に賞賛するトーンに溢れていた。味噌っかすだとばかり思っていた末の娘に教えられた感じがする。

この子とブラームスを目指すのも悪くない。

2008年12月16日 (火)

音型

「音の形」と解すると訳がわからなくなる。「音の並び方のパターン」とでも言っておこうか。旋律よりはずっと緩い概念である。同じ音型と定義し得るのに、間違っても同じ旋律には聞こえないことも多い。

何か具体的な意味を音型に託してみたり、音名を付与して具体的な単語を想起させたりと応用が利く。ブラームスはこの音型の扱いが巧みである。

  1. 半音下降の半音上昇 
  2. アウフタクトの4度上昇
  3. 3度進行
  4. CDFE。いわゆるジュピター音階

複数の作品に出現するパターンだけでも上記の通りすぐ思いつく。作品の主題はいつも音型として抽象化され、拡大、縮小、反転、鏡像のようなさまざまな処理が施される。驚いたことに伴奏パートの音型でさえ周到にアレンジされていることが多い。

音型が重要なファクターとして受け止められていることの前提に楽譜があることは言うまでもない。聴いて分らぬ音型の関連が、楽譜上に示すことによって明らかになる場合もある。音型という概念は楽譜に記された「音符配置のパターン」と呼び換えることさえ出来そうだ。感覚が瑞々しい子供たちには、視覚に訴える楽譜の効果も無視できない。

たとえばヴァイオリンを習わせている娘らは、教則本のお世話になっている。聴き覚えのない16分音符の羅列をある程度速いテンポで弾かせると、しどろもどろになることが多い。1個1個の音を見て取って、指に信号を送るのが間に合わない印象だ。ところが、音型を意識させるとたちまちスムーズになる。似た音型を鉛筆で指し示したり、同じ音型の繰り返しであることを示してやると、次の音の予測が容易になるのだと思われる。幼いうちから「音型を意識すると楽だな」と感じさせることは良いことだと思う。将来ブラームスを弾くならけして無駄な経験ではないと思われる。

2008年12月 9日 (火)

減七の和音

短三度の堆積によって得られる和音。Cを起点にすれば「C-Es-Fis-A-C」となる。一度に鳴らされる場合と、分散和音として鳴らされる場合と両方ある。

さてさてブラームス作品にも減七の和音は売るほど現われる。思うに一番印象的なのは作品118の6番だ。変ホ短調のインテルメッツォの3小節目と4小節目に現われる。この響きが作品全体のありようを決めているようにも聴こえる。ヴィオラソナタ第1番の第1楽章にも印象的な減七の和音がある。177小節目と181小節目の16分音符は減七の和音をなぞっている。

私が生まれてはじめて実感した減七の和音は第1交響曲の第4楽章に出てくる。146小節目だ。1拍目裏Aを起点に下降をはじめる。C線の開放弦まで降りてまた上昇に転ずる。2小節に渡って浮揚感を味わえる。

ブラームスやバッハにおいては欠くべからざるスパイスになっている。

娘たちのレッスンの教材になっているカイザーには早い段階から割と頻繁に見かける。臨時記号が頻発するので、立ち往生のキッカケになりやすい。「半音が3個挟まれた音に飛ぶ」と教えて「減七の和音」(げんしちのわおん)と3度言わせた。練習の最初に減七の和音の箇所に丸をつけさせることにしている。すると間違えずに音が取れる確率が数段高まる。今鳴っている和音の名前を覚えさせることで、音取りが楽になるのだ。サスペンスドラマでよく鳴る和音だと言っている。

2008年11月16日 (日)

チャンス到来

発表会が終わってから最初のレッスンだった。

発表会後の最初の課題がグノー=バッハの「アヴェマリア」に決まっていた。発表会から2週間また次への歩みが始まる。先生の意図はヴィブラートだ。ゆったりたっぷりと歌いたい曲だ。指回しやハイポジションは一旦棚に上げて、ヴィブラートを深めたい。

しめしめでもある。5月18日の記事「大人の暗譜」でも述べたとおり、バッハの平均律クラヴィーア曲集の1番ハ長調のプレリュードを暗譜したから、もう少しがんばれば「アヴェマリア」の伴奏をピアノでしてあげられるのだ。

単なる丸暗譜だから、ヴァイオリンとあわせるとなると、もう少し鍛錬が必要だ。次女のヴィブラートの歩みと競争だ。

2008年11月 1日 (土)

クヤビアーク

「Kuyawiak」と綴る。ヴィニエフスキーの作品だ。ヴァイオリンとピアノのためのマズルカという感じの小品である。リピートを全部忠実に守っても5分程度の長さだ。

ピチカートとアルコの急速な交代、重音、ヴィブラート、グリッサンド、フラジオ等ヴァイオリンならではの小技がちりばめられている。極端なハイポジションが無いことが特長か。

今日、ヴァイオリンの発表会で次女がこれを弾いた。中学生になって初めての発表会だ。初めて制服で出演した。

5月にお姉ちゃんがヴァイオリンのレッスンをやめた後、中学でのブラスバンドの傍らコツコツと実直にレッスンを続けてきた成果を存分に発揮出来た。部活との両立に配慮した先生が選んでくれた曲だ。対照的な表情の弾き分けが肝だ。短い曲だが見せ場が満載である。部活で忙しい9月が終わり10月になってから気合いが入った。暗譜は軽々だった。最後の2週間で表情に磨きがかかった。油断をすると汚い音になってしまう点がトロンボーンより難しいと言っていた。やはりレッスンは発表会に出て何ぼである。

しかし、今日のハイライトは別にあった。

メンコンだ。第一楽章だけだがメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲が演奏されたのだ。もちろんピアノ伴奏だ。驚くべきは弾き手。男子高校生のペアだ。独奏ヴァイオリンもピアノも男子高校生だった。聞けば2人は高校オケのヴァイオリン仲間らしい。キビキビ感あふれる清潔な演奏で感心した。サークル仲間の2人の演奏だけあって呼吸はピタリだ。これを人前で弾くとはヴァイオリンもピアノも只者ではないのだが、それを微塵も感じさせぬ爽やかさだった。彼らの未来の広さは計り知れない。次はブラームスが聴きたい。

その演奏を次女も聴いていた。期するところ大であろう。

この子が続けてくれているヴァイオリンが、楽しみの一つになっている。やはりいつかブラームスを。

2008年10月19日 (日)

進路相談

長女中3の秋。来春の高校進学に向けて志望校選びが佳境である。自分の現在の学力と、希望校の難易度の綱引き。最悪のケースに備えた次善校の選定もせねばならない。何校か説明会や文化祭にも行った。通学の利便にも増して制服のデザインも無視出来ぬ要素だ。彼女の中で入学金授業料定期代などの位置づけは不当に低い。

今中1の次女は、お姉ちゃんを横目で見ている。この夏以降2人で進学情報誌とにらめっこというシーンも増えた。

まだ時間がある次女が何もそんなにと思っていたら、凄いことが判明した。お姉ちゃんに教わりながら、オーケストラがある高校を探していたのだ。通学可能でオケのある学校だ。公立で6校程度見つかった。通学の利便や学力を考慮に入れれば、このうち3校くらいが候補になろう。

「高校ではオケやってみたい」という。「オケに入って何弾くの?」と恐る恐る尋ねた。

「ヴァイオリンやってみたい気もする」

そういえばと思える出来事があった。ブラスバンドで簡単なアンサンブル大会が控えている。定員は4名だが、たったひとりの初心者である次女はそのメンバーから漏れたのだ。ショックが無いはずがない。今はまだいい。来年下級生が入ってきて、自分より上手い奴が来るリスクが現実味を帯びている。内心穏やかではないのだ。かといって彼女がそのメンバーに入れば経験者一人がショックを受けることになる。補欠に回った次女の潔い姿勢はパートの結束に影響するのだ。毎日欠かさず部活に通い落ち込んだ様子はない。これからも「落ちても腐らない、入っても威張らない」子だと思う。

だからこそ10年のヴァイオリン経験者として高校オケの門を叩いてみたいのだ。ヴァイオリンのレッスンに欠けているのは同年代の友達とのアンサンブルだ。その経験はトロンボーンに挑むブラバンが補ってくれる。たった一人の初心者としての心細い気持ちと、それでも声をかけてくれる先輩の暖かさも大切な経験になる。

高校オケに入って、現在のブラバンと同等以上の熱意でヴァイオリンに打ち込んだら、相当上手くなると思う。しかも「弾けない者、吹けない者」の気持ちを思い遣れる心も期待出来る。

日程をやりくりしてブラバンとレッスンをともに継続させてやることは私の義務と感じる。高校進学時にヴァイオリンにもトロンボーンにもブランクを作らないことが大切だ。

お姉ちゃんの進路選びに乗じた他愛のないお遊びだと思うが、地の底からわき上がるような嬉しさを押し殺してこの記事を書いている。

2008年6月20日 (金)

アヴェ・マリア

「Ave Maria」と綴る。「おめでとう、マリア」という程度の意味合いだ。「マリア」とは申すまでもなくイエス・キリストのお母さんである。聖母マリアへの祈祷が反映している。どちらかと言えばカトリックにその傾向が強いという。プロテスタントでは「信仰の対象はイエスだけ」という前提があるらしい。

とはいえブラームスにも「Ave Maria」がある。「女声合唱とオルガンのためのアヴェ・マリア」op12である。

しかし、何と言っても名高いのはグノーである。バッハの平均律クラヴィーア曲集との関連は6月17日の記事「余分に暗譜」で述べた通りである。

原曲のハ長調のプレリュードの暗譜に成功したので、問題の1小節を余分に暗譜すれば、娘たちとアヴェ・マリアの合奏が出来ることになる。

これも暗譜の副産物だ。

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