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カテゴリー「741 仲間」の23件の記事

2019年3月12日 (火)

ヴィオラ六重奏のためのカノン

1980年の夏。大学3年のオーケストラの夏合宿。合宿恒例の室内楽演奏会があった。その直前の6月にヴィオラのパートリーダーに就任した私の思いで、ヴィオラだけでパッヘルベルのカノンを演奏した。もとは3声のヴァイオリンと通奏通奏低音という編成なのだが、私がヴィオラ6声部用に編曲した。編曲に加えてパート譜も写譜してそろえた。

原曲は3部に分かれたヴァイオリンがまったく同じ旋律を2小節ずつ遅れて追いかけるというシンプルな構成で、1~3までのヴァイオリンパートに難易度の差はない。編曲とは言っても個々の旋律を分解してヴィオラ6声部に構成しなおしただけで、せいぜいオクターブの上下動くらいだ。1番から6番までの各パートには、当時のヴィオラパートのメンバー構成に合わせて難易度に差をつけた。

  • 1番 難しいパート。
  • 2番 中くらいのパート。
  • 3番 難しいパート。
  • 4番 4月に入部した初心者用のパート。
  • 5番 中くらいのパート。
  • 6番 難しいパート。

実際にはコントラバスとチェロを各1名加えた。

8月29日の夜、室内楽演奏会で披露した時の会場のざわめきを忘れない。当時オケのしきたりに反するパートアンサンブルだったこと、それまで弱小だったヴィオラパートに12人そろったという驚きもあったはずだ。

2017年8月10日 (木)

議事録

会議の記録のことだ。開催日時、場所、出席者、議事を記録する。これを残さなかった場合、後々になってもめることもあるからとても大切だ。大切なのだが、これを書くのはなかなか大変だ。議事録は大抵会議の主催者が書く。会議を主催する組織のメンバーが担当することになる。

ところが私はこの議事録が大好きだ。書くのが得意だった。遅くも翌日には出席者全員宛てに議事録案をメール送信し、加筆修正がありはせぬかと問うのだ。何も問題が無ければ、OKの意思表示をもらうことが狙いだ。この速さがまずもってポイントだ。あまり遅いと出席者の記憶もあいまいになる。

実はこのスピードは、会議の事前準備にかかわっている。どうせ主催者として会のシナリオを考えるし、資料も準備するのだ。そのついでに備忘代わりのメモを作る。出席者、議事、望ましい結論、想定Q&Aだ。自分が会議の進行役ならもっと完璧だ。自分のシナリオ通りに自分がしゃべればいいからだ。誰も言っていないことを書くのは厳禁だが、誰かが口にすれば書くことが出来る。それが進行役の自分であろうともだ。嘘は絶対にいけないが、誇張と省略を駆使して会議のニュアンスを望みの落としどころに持って行くのだ。

会議終了後、質疑応答だけを付け加えて、タイトルを議事録に差し替える。記事の末尾に文責として私の名前を入れれば一丁上がりである。

実際の会議より議事録の方が出来映えがよいこともしばしばだった。上司はみなよく知っていて、「お前の議事録は眉唾だ」などとも言われた。会議の実態以上の議事録が書けてしまうからだ。

「ブラームスの辞書」でも同じことが起きている可能性大である。ブラームスに関する知識経験や演奏技能の実態を全く反映していないブログである可能性が極めて高い。

鵜呑み厳禁の眉唾ブログである。

2016年3月18日 (金)

馬鹿じゃないの

「ブラームスの辞書」を見た私の友人が、しばしば口にする言葉。親しい奴が発するほど「誉め言葉」の意味を色濃く帯びる。関西系の友人の場合「アホちゃうか」に変換される。

著書もブログもなかなか時間が要る。「いい歳をした大人のクセによくヒマがあるよな」という言葉を柱に、「昔と何も変わらないネ」の意味の「成長しないヤツだ」が添えられることが多い。

「これホントに全部書いたのかよ」という反応も嬉しいものである。「書かれてみれば、そうかもって気がする」というのもあった。昔からこういうおバカなことが好きだったということなのだ。

学生時代所属していたオーケストラでも、この手のおバカなことよく考えたりやらかしたりしていた。古くからの友人は、慣れてしまっていて「またか」くらにしか思わない。何事も徹底するのが性分である。もちろん治癒の望みは無い。

2016年1月18日 (月)

卒業演奏

1982年2月、大学4年の私は団内の室内楽演奏会においてブラームスのクラリネット五重奏のメンバーとして演奏を披露した。同期のクラリネット吹き、チェロ弾きと企んで、前年にはモーツアルトのクラリネット五重奏曲を演奏していたから、最後にブラームスで仕上げたいと臨んだ第一楽章だった。

メンバーは全部男性で以下の通り。

  • クラリネット 私の同期。4年生だが工学部の大学院に進学予定。悲愴交響曲での華麗なリードミスで一生語られる実直な男。
  • 第一ヴァイオリン 私が初心者としてオケに入り、1からヴィオラを教わった2コ上の先輩。元コンマス。工学部の大学院生。
  • 第二ヴァイオリン 3年で私がヴィオラトップだったときの1コ上の先輩。元コンマス。医学部5年生。
  • ヴィオラ 私。
  • チェロ 私の同期。4年生だが工学部の大学院に進学予定。

早生まれの私は、この中では一番年下だった。なのに他のメンバーは医学部やら大学院やらでみな、大学に残る中、最年少の私だけが卒業だった。だからこの演奏はただただ私だけの卒業演奏になった。

男5人のマジな練習を繰り返して大好きなブラームスに臨んだ。私が大学オケで記した最後の演奏が、ブラームスのクラリネット五重奏だった。実はオケで最初の演奏は、1年冬のブラームス第二交響曲だった。オープニングの「マイスタージンガー」やサブのラヴェル「マ・メール・ロア」にはステージに乗らなかったから、ブラ2が正真正銘のデビュー。つまり私の大学オケ生活は、第二交響曲で明けて、クラリネット五重奏曲で締めたということだ。

果報者というべきだろう。

2015年6月 5日 (金)

下心六重奏団

1981年8月大学4年で最後のオケ夏合宿に臨んだ私は、恒例の室内楽演奏会でブラームスの弦楽六重奏曲第1番第一楽章をメンバーの1員として披露した。周知のとおり、この六重奏曲はヴァイオリン、ヴィオラ、チェロが2本ずつで、6名の弦楽器奏者を必要とする。当日のメンバーは男子3名、女子3名というものだ。各々の楽器のセカンドが全部女子だった。

  • 2ndヴァイオリン H嬢 教育学部2年 
  • 2ndヴィオラ D嬢 薬学部3年 ホントは1stの私より相当うまい。
  • 2ndチェロ A嬢 園芸学部1年

という具合。男子は以下の通り。

  • 1stVn Nord氏 医学部4年
  • 1stVa 私 人文学部4年
  • 1stVc Koza氏 人文学部3年 ドヴォコンのソロいけるくらい。

男子は、私を除いて名人。チェロのトップとコンマスだ。とはいえ私だって6月の定期演奏会でトップを降りたばかりだからまだまだ行けた。だからひとまず様にはなった。

まあしかし、目的は演奏の披露よりも練習と、その後のお茶みたいなアンサンブルだった。誰がつけたか「下心六重奏団」とは秀逸なネーミングだ。亡き妻はこの中にはおらず、聴衆として演奏を聴いていた。そればかりかこの中からカップルは発生していない。イメージよりはずっとピュアだった。

青春の六重奏曲。

2014年6月29日 (日)

渭城の朝雨

唐の詩人・王維の「元二の安西に使いするを送る」という七言絶句がある。李白作「黄鶴楼に孟浩然の広陵に之くを送る」と並び称される絶唱。こちらも古来送別の席で歌い継がれてきた。

  元二の安西に使いするを送る

渭城の朝雨 軽塵を裛し 

客舎 青青 柳色新たなり 

君に勧む 更に尽くせ一杯の酒 

西のかた 陽関を出づれば故人無からん 

「あっち(新任地)に行ったら友達もいないんだから、まあ飲め」という意味。

次女のオーケストラ36代を、ともに追いかけたブラボー班創設のメンバーが、本日新任地に旅立つ。既に送別会は終えている。大切な仲間が転勤になるたびに送別の歌を記事にするが、これで2回目。栄転とはいえさびしい。

彼は宴会場の探索確保交渉を一手に引き受けてきた重鎮。会場の雰囲気と経済性を両立させる嗅覚は天性のものか。要所要所での重要な宴会の度に発起人となり続けた熱意が皆を引っ張ってきた。奥様はこれまた欠かすことのできない名会計係でもある。

そしてそして何よりも特筆すべきは、お嬢様のソロ。肝っ玉の座った吹きっぷりが今までもこれからも語り草だ。我々の飲み会のたびに永遠に語り継がれるべき極上のソロだった。

ブラームスのご加護を。

2014年1月15日 (水)

黄鶴楼

李白の七言絶句。「黄鶴楼にて孟浩然の広陵に往くを送る」

故人西の方黄鶴楼を辞し

煙花三月揚州に下る

孤帆の遠景碧空に尽き

唯見る長江の天際に流るるを

李白が親友の孟浩然を送るために詠んだ。「春眠暁を覚えず」で有名な孟浩然さんだ。黄鶴楼は中国・武漢に現存する建物。古来送別の席で歌い継がれてきた名句でもある。

友人が海外赴任のため間もなく旅立つ。もちろん栄転。めでたい8割、さびしい2割だ。話が決まって以来、仲間を集めて飲み会を重ねてきた。そう、彼は次女のオケに属するメンバーの父親だ。次女たちオケを追い掛け回すうちに意気投合した。震災の影響もささやかれる次女たちの代は、いつもよりメンバーが少ない中、応援する親の熱気は例年にも負けることは無かった。そうした熱気を代表するご夫婦だ。娘らの演奏を肴に飲む会がいつの間にか定着し、当の娘の引退後も、後輩の演奏を口実に集まり続けた。全くもって学生時代のノリ。何かと人見知りな父親たちが会社を忘れて集う。つくづく凄いオケだ。子どもたちを大人にしてくれる上に、大人を子どもにしてくれる。

ブラームスのご加護を。

2013年5月14日 (火)

これが飲まずに

会場とのお約束もあって、次女たちはスペシャルコンサート終了後、長くホールにとどまることができない。いつまでも余韻に浸りたいところなのだが、そうも行かない事情がある。山ほどもらったプレゼントを手にホール横の広場に一旦集まる。その場でお互いの健闘を称えあう。仲間同士はもちろん、親もOGも自然とそこに集まってくる。

晴天の空の下、あちこちに輪ができる。別れ難いのだ。誰もが人と触れ合っていたい気持ちになった。演奏の主役36代、37代はもちろん、裏方に回った1年生38代、OG、後援会などなどそれぞれの立場で集った。やがて生徒たちだけの輪が出来た。先生方、生徒3役、後援会長が挨拶でお開きにはなるのだが、やはりまだまだ話は続く。

長く苦楽をともにした生徒たちはともかく、それを見守り続けてきた親たちの間にも一体感が芽生えていることは既に何度も申し上げてきた。スペシャルコンサートはそうした各人の思いの交差点でもあった。

健闘を称えあう娘たちを見守りに集まった親たち同士が、打ち上げに流れ込むのはとても自然だ。子どもと水入らずの時を過ごしたい人、演奏会に呼んだ知人との食事に流れる者、田舎から招待した祖父祖母と時間を過ごす者などさまざまだが、やはり私はたった今の演奏を肴に一献傾けたいほうだ。

同士は簡単に募れる。総勢11人で、近くの居酒屋に流れる。後から顧問・指揮者も合流してたった今終えたばかりのコンサートを肴に語らった。

2013年5月 6日 (月)

準決勝反省会

一昨日、娘らのオケは準決勝を戦った。次女の通う高校の音楽系サークル4つが集う合同定期演奏会だった。オーケストラ部以外は、一昨日で3年生引退となるのだが、オーケストラ部は、その翌週に単独でコンサートを開く習慣になっている。準決勝の1週間後に決勝戦があるようなものだ。

だから、その準決勝の後、反省会になだれ込んだ。主役は娘らではなく、お父様たちだ。単なる飲み会の口実でもある。正月、クリスマス、新年会、送別会など大人の世界では数限りない飲みの口実がある中、娘らの演奏を肴に飲めるというのは、本当に幸せなことだ。合同定期演奏会を反省し、一週間後のスペシャルコンサートに向けて気合を入れる。父親が気合を入れてもどうなるものでもあるまいが、そこはご愛嬌だ。

メンバーの父親ばかり10名にサプライズなスペシャルゲストを加えた計12名で、しこたま飲んだ。36代のお父様方は既にいつも演奏会で顔を合わせる常連だ。先日のふくだもな壮行会のメンバーも3名いる。娘らオケの後援会は、とかくお母様中心の色合いが濃いので、父親同士の付き合いは貴重。早くに妻を亡くした私はいわば両性具有で、お母様方中心の後援会役員もやりつつ、お父様の飲み会にも顔を出す両面待ちだ。

予定より30分以上早く店に転がり込んでウガイ代わりに瓶ビールを空けまくり、規定の開始時間には、腹の底まで消毒が進んでいた。定刻になってかねて準備の「オーケストラ型座席配置」に特製名札を持って移動。私はいつの間にか「隊長」と呼ばれている始末。先輩の発声で乾杯。やがて「自己紹介の輪切り」で雰囲気をほぐしてから娘にソロがあったお父様のスピーチ。タイミングよくゲストが時間差で到着するから、同じ話が回ってももたれない。

延々と「本日の演奏」を話題に盛り上がる。間もなく現役生活を終える36代の父5名のテンションは特大だった。他の代のお父様は聞き役にまわった感じ。ここらへん課題か。

最後、「クレッシェンド3本締め」でお開きだが、有志は2次会へ。これで決勝戦は盛り上がること間違いない。

スペシャルコンサートまであと6日。そして今日はブラスマスイブ。

2012年12月14日 (金)

ふくだもなパンデミック

話は12月9日夜の後援会の年末懇親会に遡る。その出席者が50名だったことに引っ掛けた記事「五十奏」で、盛会の模様をレポートした。実は実は日曜の夜の集まりだったというのに二次会があった。二次会の出席者はなんと27名。半分以上が二次会に流れた。

一次会はくじ引きなどで予め席順が決まっているのだが、二次会の席は何となく流れで決まる。私の席の周りを見て驚いた、ふくだもな五重奏団の保護者が集まっているではないか。残念チェロがいないと思ったらやはり別の席にいらして、こちらの席に手招きしてお呼びした。ふくだもな五重奏団の保護者全員二次会に残った。幸先がいい。

ふくだもな五重奏団がブラームスに挑むことを親が皆わかっていた。親同士でいろいろな話ができた。「ふくだもな」の由来をちゃんとお見通しのお母様もいらして嬉しかった。

ピアノ担当のお嬢さんは、他のメンバーからは「結局彼女って弾けちゃうのよね」と思われている。つまりそれほどの腕前なのだが、どうしてそんな腕前なのに、高校の部活でオケを選び初心者としてヴァイオリンを始めたのかという立ち入った質問をお母様にぶつけた。「あの子みんなでアンサンブルがやりたかったみたいで」と即答。天にも昇る答え。ブラームスは成功したも同然。ヘ短調ピアノ五重奏のピアノパートが弾ける上に、ヴァイオリン演奏にも通じており、おまけにアンサンブル志向とは理想的。これさっそくブラームスに報告。

コンクールへのエントリーで少々のアクシデントがあった話も出たが、今や既に笑い話。弦楽器担当のあるお母様は、「うちの子は、自分が一番弾けないと言っている」とおっしゃった。我が家の次女と同じ。複数のメンバーが「この中では自分が一番弾けない」と思っている五重奏団の伸びシロは大きい。話を総合すると結局弦の子たちは「ピアノはきっと様になっちゃうから、勝負は私たち」と思っているらしい。「最初CD聞いたとき何だかピンとこなかったけど、だんだんブラームスが好きになってるみたい」とか、「今回のコンクールが終わってもまた同じメンバーで弾きたい」とか私の弱いところとつく話が出まくった。

我々親が娘たちより一足先に「親バカ五重奏曲ハ長調」で盛り上がってしまったというオチ。一人だけテーブルに紛れ込んだセカンド1年生のお母様が、にこやかに話をきいてくれていたのが救いだ。すんまへん。

その席上、私は勢いで「クリスマス頃にピアノ五重奏ネタを発信します」と口にしたので、明日からビスマルクネタを中断して約束を果たすこととする。

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