コンクール
世の中、音楽コンクールが花盛りである。近頃増え過ぎたという批判めいた声もあるにはあるが、衰える気配も聞かない。コンクールの名前には2つの大きな系統がある。一つは「地名+コンクール」というパターンだ。「浜松」「リーズ」「ミュンヘン」などなどである。もう一つは言わずもがな。「作曲家名+コンクール」だ。「ショパンコンクール」「チャイコフスキーコンクール」「ブラームスコンクール」などなど、有名作曲家の名前はほとんど網羅しているのではないかとさえ思われる。コンクールの前に「国際」と入るのが正式名称だったりする。「村おこし」「街おこし」の感覚がありそうな気もする。
さて、地名を冠した方はともかく作曲家名を冠したコンクールにおける課題曲が、その作曲家の作品だけになっている訳でもない。その作曲家の作品だけが課題になるコンクール方がむしろ例外だろう。ショパンコンクールは、その例外の方だ。課題曲はショパンの作品に限定されていると聞く。ピアノの腕前もさることながら「ショパンの解釈」も試されるのだ。つまりショパンコンクールは5年に一度「世界一のショパン弾き」を決める大会のようなものだ。これはこれで、はっきりしていて気持ちがいい。
先程も言ったように、ショパンコンクールはむしろ例外だ。ブラームス国際コンクールという名のコンクールは実在するが、課題曲はブラームスだけではない。ブラームスにゆかりの場所で開かれはするが、課題曲はブラームスオンリーではないのだ。一部の楽器ではブラームスの作品が本選の課題曲になっていないケースもある。つまり「世界一のブラームス弾き」を決める大会としてはいささか心許ない。もちろん「屁理屈部門」などあるはずもない。何だかつまらない。
私がブラームスコンクールをデザインしてみたいものだ。たとえばピアノ部門ならば下記のように。
- 一次予選 3曲のソナタの中から何か1曲。
- 二次予選 変奏曲op9、op21-1、op21-2、op24、op35の中からどれか一曲を指定。
- 三次予選 インテルメッツォ、カプリチオ、ラプソディー、バラード、ロマンスの中から自分で7曲を選んで演奏する
- 本選 協奏曲をどちらか1曲
三次予選は、一人40分くらいだろう。選曲や配列のセンスも審査対象だ。歌曲の伴奏や二重奏室内楽も課題にしたいのだけれど、これはパートナーの出来にも左右されるので取り扱いが難しい。
なんだか審査員がやりたくなってきた。
最近のコメント